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金沢大学大学院自然科学研究科

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Academic year: 2022

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(1)

表-1 調査項目

項目 調査項目

100円バスの利用状況 ・知ったきっかけ ・利用頻度

・天候別利用状況 個人交通状況

(バス利用者対象)

・バス利用の理由 ・利用するバス停

・100円バス評価(5段階評価)

居住地選択要因調査 ・居住地、住居形態

・居住地選択重視評価 (5段階評価)

個人属性 ・学年、性別等

・利用できる交通手段

図-1 100円バスを知ったきっかけ(複数回答)

金沢バストリガー方式による居住地選択行動および公共交通利用に及ぼす影響分析

金沢大学大学院自然科学研究科

学生員 山本慎之介

金沢大学理工研究域環境デザイン学系 フェロー 高山純一 金沢大学理工研究域環境デザイン学系 正会員 中山晶一朗

1. はじめに

地方都市におけるモータリゼーションや,路線バス 等の公共交通機関の利用者数の減少が進展することに よる公共交通サービスの低下を招き,それがさらなる 利用率の減少につながるという悪循環が生じている.

一方,平成

14

年度の道路運送法改正法施行により,バ ス等の路線の休廃止の提出に関して,許可制から事前 届出制へ変更となる等,大幅な規制緩和がなされたこ とにより,今後の不採算・赤字路線から公共交通の撤 退や減便を生み出す流れにつながるとの指摘もある.

金沢市では,公共交通事業者の経営リスクを抑えな がらも公共交通サービスの利便性向上を図ることを目 的に,平成

18

年度から金沢バストリガー方式(通称

100

円バス)を取り入れ,実証実験としてバス運行を 継続している.

100

円バス導入により,導入前に比べ,

バス利用者が

3倍に増加したという(ICa利用者限定)

1). 一方,100 円バスの需要は,高まりつつあるが,利用 者(転入者)の居住地選択への影響や,バス利用者の 利用状況等は,十分に明らかとなっていない.

本研究では,金沢バストリガー方式の導入による利 用者の居住地選択行動及び公共交通利用に及ぼす影響 を明らかにすることを目的とする.

2. アンケート調査の概要

アンケート調査は,金沢大学の角間キャンパスに通 学する学生を対象に,無作為に抽出された講義の終了 後に実施した.アンケートの調査項目を表-1に示す.

平成

22

6

月に実施し,配布枚数

838

枚,回収枚数

799

枚,回収率

95.3%であった.学年別割合は,学部生 1

年生31%(211),2年生

14%(99),3

年生

17%(117),4

年 生

25%(177),院生 14% (101)であった. (カッコ内人数)

3. 金沢バストリガー方式の概要

金沢バストリガー方式は,平成

18

2

月,金沢市の 仲介のもと,金沢大学とバス事業者が「金沢大学地区 金沢バストリガー協定」を締結したものである.トリ ガー方式は,「旭町・鈴見町・鈴見台二丁目から金沢大 学角間キャンパス間を

100

円(従前は

170

円~200円)

で運行し,基準年である平成

17 年度の運賃収入を上

回れば次年度も継続,下回れば従前の運賃に戻す」と いうものである.なお,導入された区間付近にある金 沢大学角間キャンパスは,郊外の山中に立地しており,

所属する学生数は,およそ

7,500

人である.

3. 結果および考察 3.1 居住地選択への影響

図-1に

100

円バスを知ったきっかけを示す.

100

円 バスを知ったきっかけは,「バス停・車内」が最も多い.

大学行き・帰りのバス車内で「社会実験による

100

円 バス」の車内放送が影響しているものと考えられる.

一方,大学入学前に原則入学予定者が全員参加する 大学生協主催の新学期会場において,住居案内のほか に

100

円バスの

PR

,不動産のホームページや住居雑 誌において

100

円バスを住居選択のアピールポイント として

PR

しており,住居選択前に

100

円バスを知る 機会は十分あり,

100

円バスが住居選択時に居住地選 択要因として影響する可能性があると考えられる.

土木学会中部支部研究発表会 (2011.3) IV-066

-393-

(2)

今後も変わ らない

25%

少し減る だいぶ減る 21%

33%

利用しない 21%

クルマ 7%

バイク 12%

自転車 39%

徒歩 42%

n=155 n=107

-2 100

円バスの廃止による影響

0% 20% 40% 60% 80% 100%

院生 4年生 3年生 2年生 1年生

毎日 週に数回 月に数回 全く利用しない

図-3 学年別バス利用者割合 表

-2

に,マン・ホイットニーの

U

検定により,バ

ス通学する学生とその他(徒歩・自転車・クルマ等)

通学する学生の居住地選択要因(

5

段階評価)の比較 結果を示す.

5

段階評価は,(1:重要でない~

5:非常

に重要である),通学手段は,雨天時のものとする.「バ ス停の近さ」,「

100

円区間内」の要因に有意差が認め られた.居住地選択時に,バス通学することを念頭に 置いている学生は,居住地からバス停の近さを考慮し,

さらに,従来のバス停でなく,

100

円バスが運行する 区間内にあるバス停の近くを重視する傾向が高いと考 えられる.

100

円バスが,居住地選択要因のひとつと して,影響を与えていることが示された.

3.1

公共交通利用への影響

-2

に,

100

円バスの廃止によるバス利用への影響 を示す.およそ

75%のバス通学者が,100

円バス廃止 後に通学時のバス利用頻度が減少すると答えた.100 円バスが,バスを利用するためのインセンティブとし て大きく寄与していると示唆される.

また,バスを利用しなくなった場合,およそ

8

割の 学生が,自転車や徒歩にモーダルシフトすると答えた.

100

円バス運行区間は,大学に比較的に近いため,バ スから徒歩や自転車で通学できると判断した学生が多 かったと考えられる.

-3

に,学年別のバス利用者割合を示す.進級に伴 って,バス利用率が低下する傾向が示された.大学

4

年時以降は,大学内駐車場の駐車許可証が発行可能と なり,比較的利便性の高いクルマへモーダルシフトす るものと考えられる.バストリガー方式を成功させる ためには,交通事業者側の一方的な施策で終わらせな

いように,利用者の最適なニーズ(運賃,精算方式,

運行区間等)を具体的に把握する必要がある.

4. まとめ

(1)

居住地選択時に,バス通学することを念頭に置い ている学生は,居住地からバス停の近さを考慮し,さ らに,従来のバス停でなく,

100

円バスが運行する区 間内にあるバス停の近くを重視する傾向が示された.

(2)

公共交通利用への影響は,100 円バス廃止後に,

75

%のバス通学者のバス利用頻度が減少すると示さ れ,100 円バスが,バス利用のインセンティブとして 大きく寄与していることが示された.

(3) 利用者の進級に伴い,バス利用率が低下する傾

向を示しており,利用者のより最適なニーズを具体的 に把握する必要がある.

参考文献

1)

金沢市:金沢大学地区バストリガー協定,

http://www4.city.kanazawa.lg.jp/11031/taisaku/

trigger/100en.html

表-2 居住地選択要因(5段階評価)の比較

バス通学群 その他通学群 p

(n=503) (n=347)

M SD M SD

家賃 4.39 0.81 4.38 0.89 .775 部屋の広さ 3.79 1.00 3.75 1.05 .721 セキュリティ 3.37 1.05 3.26 1.14 .159 建築年数 3.17 1.04 3.13 1.13 .641 駐車場の有無 3.53 1.19 3.68 1.18 .054 バス停の近さ 3.73 1.03 3.07 1.19 .000 100円バス区間内 3.79 1.15 2.89 1.31 .000 大学の近さ 3.80 1.08 3.79 1.15 .651

スーパー・コンビニの近さ 3.78 0.98 3.64 1.09 .089

土木学会中部支部研究発表会 (2011.3) IV-066

-394-

参照

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