進路多様校の研究 : 進路選択の成就と蹉跌の構造
分析
著者 千葉 勝吾 学位授与大学 東洋大学 取得学位 博士 学位の分野 教育学 報告番号 甲第188号 学位授与年月日 2008-03-25 URL http://id.nii.ac.jp/1060/00003960/ Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja2007年度
進路多様校の研究
一進路選択の成就と蹉跌の構造分析一
東洋大学大学院 文学研究科教育学専攻 博士後期課程学籍番号 4170010002
千葉 勝吾はしがき 巷間では、「今時の高校生は」という嘆きの声が、よく聞かれる.,この嘆きの 意味するところは、おそらく勉強もろくにしないで、毎日を気ままに生活して いる高校生をイメージして、その有り様に対してのやや批判を込めたメッセー ジであろう。 しかし、実際には「今時の高校生」という 般像は存在しない,確かにマス コミに取り上げられるような、夜ごと繁華街を俳徊すK)高校生もいるが、その 一方で、難関大学を目指して、口夜、勉学に励む高校ノ1.もいる、 このような多様な若者像のなかで、本論文においてその研究対象としている のは、進路多様校という様々な進路希望をもった、わるいば持たない高校生が 混在しながら、日々の教育活動が展開している高校である,, ここでは、従来の高校教育の目標や規範が通用しないサブカルチャーを持っ 生徒が学校生活を送り、中途退学者も多いものの、それでも大方の生徒は卒業 を果たす。しかし、彼/彼女らの高校生活の指向性と従来からの高校の進路選択 過程の間には大きな矛盾があり、生徒の一一一定数はその矛盾を解消できずに、卒 業時、フリーターという進路に導かれるといった状況がある。 本論文は、矛盾の構造をおもに質的調査によってあきらかにし、格差社会と いわれるなかで、今後はさらに増えるとも予想されている進路多様校のあり方 を探っていくものである。
論 文 目 次 序章 問題の所在と研究方法 第1節 問題の所在 第2節 先行研究 第3節 進路多様校研究の方法 第1章高校教育における進路多様校の位置と状況 第1節 進路多様校の定義と変遷 第2節 進路多様校のη:徒像 第3節 進路多様の意味 第2章 自己を充足させるメ力ニズムと進路選択 第1節 自己を充足する方策 第2節 A商業高校という進路多様校における調査 第3節 進路多様校の生徒像 一「潜在的」不本意人”}∫:意識と学習の構え一 第4節 生徒の生活態度と行動の方向性 第5節 キャリア形成と「うまく切り抜ける」方策の方向性 第6節 コーチングという進路支援 第7節 インセンティブ・ディバイドを乗り越える 第3章家庭背景と進路選択 第1節 家庭背景の影響 第2節 家庭背景と学校の関係についての先「J研究 第3節 家庭背景の1要素 第4節 家庭背景に日1目した質的調査 第5節 4事例の進路選択過/’[ll
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第6節 へ み’ ” ムメド 弟i即 第8節 ,封例に基づく家庭背景の影響び)分W 家庭背景における経済的状況と進il各選択 家族関係 第4章選択支援機関が進める進路分岐メカニズム ーA商業高校の進路カルテ分析一 第1節 選抜機関から選択支援機関一 第2節 1970年イk(ノ)”γ:十交σ)内部過程 ~選抜牛幾関とL・⊂(ノ)”}φ校 第3節 1990年代の社会変動と学校の機能変容 第4節 進路形成を捉える視角 第5節 A商業高校と 「進路カルテ1 第6節 「進路カルテ1分析 ~A商における配分の過利1 第7fl↑i 「選‡尺]屯視(ノ)1人]剖;1過利:と 「逗劃友1と(ノ)手麦合 第8節 進路選択の内部過程 第5章進路指導に乗れないメ力ニズム 第1節 選択における阻害要囚の生1克 第2節 分析対象の拡大 第3節 進路指導担当のインタビュー 第4節 先を考えずに努力しない生徒 第5節 自己理解と適’性把握のパターン 汀;6負↑i 占と糸冬白勺オCド1己~央)じ(ノ)‘要♪}く 第7節 進路未決定の承認 第8節 教師が見落としがちな進路選択の障害
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終章 自主的進路選択の変容と行方 第1節 高校の意味と進路選択 第2節 進路選択に作用する文化的要[大] 第3節 指導場面にお1ナるノヒ徒の意識 第4節 進路選択を阻む障害となる要因 ぐ朽5f]↑i ”一]:: f交カミつく り~ご『寸「1章’{㌣ 第6節 進路多様校における進路選択の成就とr)1鉄 第7節 進路多様校の展望 η58f[↑j 糸r㌣11吾 謝辞
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序章 問題の所在と研究方法 第1節 問題の所在 後期中等教育における教育改革の取り組みの中では、 ’人一人の個 性にあった特色ある学校づくりと、なるべく数多くの学校の中から志 望校を選ぶことを可能とする人試制度の改革が、施策として進められ 実施されてきた。 その結果、多くの都道府県で高校受験の学区c/ ) iiil」限が撤廃または緩 和され学区が拡大されたため、難関大学進学を日指す者にはよりレベ ルの高い高校、専門的な技能・知識を身につけたい者にはそのための 専門課程をもつ高校を選択できることにな・)た,とくに交通網が進ん で遠隔地の高校までの通学が可能となる都市部においては、学区が完 全撤廃された地域も増加している、,ところが、学区が撤廃された結果、 自分が希望する高校に自由にいけるようになったのは全ての中学生で はなく、その恩恵に浴するのは学力レベルの高い者たちであり、学力 レベルの低位な者は受験競争に打ち勝つことはできないので、現実に は自由な選択をすることはできない。 結果として、大都市部の入試難易度の低い高校には、学区拡大の流 れの中でより広い地域から、 一様に低学力の子どもたちが多く入学し てくる。学区の撤廃や拡大は公立の名門進学高校には優秀な生徒を広 く集める結果をもたらしたが、ド位校にとってはその逆の効果をもた らし学力格差は拡大されっっある,,また、学力の低いf一どもたちは課 程や学科を選ぶ余裕はなく、商業科・1:業科といった・草門学科の高校 の下位校には、普通科には合格できずに入学してきた生徒の割合が少 なくない。したがってこのような専門高校は、lj?1門教育をおこないつ つも、専門性を生かした就職以外に、生徒の多様な進路希望に対応す ることを迫られ、結果としてフリークーや進路先未定者を多く輩出す 1
る進路多様校という様相を呈し、学習や進路選択をめぐる様々な課題 が集中して出現することとなる、 本来、教育的な理念に基づくならば、学校において進路が多様であ ることは、一人.一一.一人の個性や能力に応じて自由な進路選択が行われる という意味において肯定され、むしろ推奨されるべきことである、し かし、進路多様校における進路選択の状況は、教育的理念とは乖離し たものである。進路多様校の生徒たちの多くは、自己の進路希望自体 を持ち得なかったり、学力や経済力あるいは様々な文化的な障壁に遭 遇したりしながら、希望とは異な・)た進路選択を余儀なくされるとい う現実に直面して、成り行きまかせやあきらめから不本意な進路を選 ぶ結果となっていることも少なくない、, 本論文では、進路多様校においてこのように教育理念と現実とがア ンビバレントな関係性にある状況について教育社会学的な観,lk]J.から分 析し考察することを目的とする。格差社会が進行しているといわれる 現在、進路多様校において、格差を導くと思われる要囚のなかで屯要 視されるのは、学習や進路選択に対して努力する意欲の喪失である。 これに対応すべく学校側も特色を出した魅力ある学校づくりを進め、 興味関心を高める授業をおこない、意識形成を重視する計画的で段階 的な進路指導をおこなうように様々な改革を進めているr,しかし、そ れらの改革の成果は必ずしも十分なものではない,、進路多様校におい ては、いわゆる学校の「荒れ」や中途退学者、卒業後フリーターの増 加が深刻な状況となっており全体としては著しい成果をヒげられずに いる。 しかしその一方において、進路多様校においても、生徒の本来的な 能力幅は相当に広いので、なかには指導法によっては十分に学習の遅 れを取り戻すことができる者もいる.)長た、生徒自身の成熟や、外部 からの働きかけや支援により、気持ちを切り替えて学習や進路に向け
て努力する活動を開始する可能性を保持している場合もある、本論文 ではそのような教育的な可能性を実現しようとする進路選択支援の実 践の分析をおこないながら、従来の進路多様校に対する研究K’ U)見方 や生徒自身の評価について再吟味することを日的とする、 論文全体の構成としては、①進路多様校の定義とその変遷について の整理をおこなう。具体的には東京都の公立高校をとりあげて、1980 年代以降30年近くに渡って進路多様校が高校教育のなかで、どのよう に扱われてきたかを歴史的な研究としておこなう、また、2000年以降 の関東圏にある進路多様校の教師、生徒におこなった聞き取り調査か ら、現在の進路多様校の全体像をとくに進路選択についてあきらかに する。つぎに、②首都圏にある進路多様校の1校を対象として、長期 にわたる継続的なフィールドワークをおこない、高校在学時から卒業i、 進学、就職、あるいはフリーター経験を経て、成人するまでの過程に ついて、高校教育の影響やかかわりを中心に分析する。具体的には1999 年から2007年まで継続的な観察をおこない、進路多様校に通う生徒の 意識・行動や教師生徒間関係を解明するとともに、家庭状況が複雑で あったり経済状況が厳しかったりする背景をもった生徒がどのように しC進路選択や自己実現を果たすかについて明らかにする。その上で、 ③進路指導において従来の選抜に基づく進路配分装置から、それの支 援機関へと移行した学校の社会的機能について、学年全体約100名分 の「進路指導カルテ分析」をもとにあきらかにするととともに、④進 路多様校の生徒たちの進路選択を阻む様々な課題を乗り越えるための 支援のあり方にっいて検討するものである、 最後に付言するならば、本論文は格差社会の底辺に固定化された進 路多様校の希望の無いような困難な状況を描こうというものではない,、 そうではなくむしろ、様々な困難な状況を含みながらも、1ξ渋に満ち たフロセスを経て、たとえ、他の同年代の子どもたちよりは遠回りを 3
したとしても、各々が自分らしい自立した生活を獲得する姿をt[’hくこ とを目的とする。 第2節 先行研究 進路多様校について教育学的な研究を進めるEには、まず、その特 有な文化性を把握する必要がある、この学校文化研究の噛矢となった
のはすでに古典ともいうべきイギリスにおけるウイリスの研究
(1985)1である、、この研究では、高校内の生徒文化を向学校丈化と反”}∫1 校文化といった文化的差異として、対抗的な関係でとらえられてきた ものであり、イギリスにおける中産階級と労働者階級の階層形成を中 等学校段階からあきらかにしたものである、、 ・方、現在のB本では文 化的な差異というよりは、階層内における経済格差を指摘する1名差社 会が問題視している。その意味においては、学校文化研究も格ジ!iとし ての捉えなおしが必要であるといえるが、学校文化研究においては、 その研究蓄積は多くはなく、本論文ではそれらを進路選択時における 文化的な障害として仮説的にあきらにするものである.、 日本での学校文化研究をみていくと、第一には量的な意識調査によ る一連の研究がある。耳塚等がおこなった大規模な質問紙による研究 (2000)tによれば、高校における「トラッキングの弛緩」と並行して、 「勉強」や「学校」の存在や価値そのものに対する重要性が低下して きているとしている。さらに前掲書において堀1’tは、意欲をなくし競争 から降りる低階層の高校生について「起こりつつあるのは、競争的主 体が形成されにくくなったことによる競争それ自体の空洞化、さらに は学習行動がともなわないという意味での空洞化である,、それに加え て重要なのは、『勝ち組み』『負け組み』といった用語が流通するよう な競争の時代にはいりっっあり、競争から降りることの意味が大きな 違いをうみだしかねない時代に、特定の階層の子どもたちが、あるいはそれと知らずに、降りることであるcjと述べ、この時点ですでに意 欲における格差の拡大を指摘している。 第二には、進路多様校においては質的な調査による研究が、進学校 などよりも多くみられる.それは、進路多様校においての量的調査に っいては、精度の限界が見られるためである.、 一般に学校における集 合自記方式による量的調査は、授業や試験と同様な形式をとるので学 校以外の調査対象と比べて極めて高い回答率を得ることができる、,と ころが、進路多様校においては、反学校的な傾向を持っ生徒は欠席率 が高いために、それらの生徒の回答率は低くなり、川収したデ…タに 偏りを生じてしまう。また、回答の内容自体に・)いても非協ノJ的なも のも…定数含まれるので、データ数の確保とクリーニングが必要とな り、全体像を正確に把握できない危惧がある,、 これに対して、フィールドワークによるエスノグラフィーなどの質 的な調査は、進路多様校の内部に観察者として人り込み、膨大な観察 記録の蓄積の中から社会学的な分析をおこなうものである,、もちろん 質的調査には限られた観察データの客観性、普遍性の問題はあるが、 対象を継続的に直接観察することにより初めて得ることができる知見 も多く、それらの知見を社会学的に分析することの意義は大きい,、 これまで学校を対象とした質的な調査は、学校におけるニューカマ ーといったマイノリティ研究としておこなわれたものが多いが、進路 多様校といった学校そのものを対象としたものも少なくない,、なかで も、古賀(2001);tは1990年代に教育困難i校(進路多様校とほぼ同意) において長期間の観察をおこないエスノグラフィーによる研究をおこ なっている。このなかで、古賀は多人数の教師の語りから多声法によ るエスノグラフィーを生成し、教育困難校で日夜生徒と向き合いなが ら格闘する教師の物語を教育社会学の研究として分析した、、このなか で、古賀は1990年代の教育困難校は、学校の「荒れ」に教員個人や教
師集団が臨床的に対応した1980年代から、荒れはおさまってきたもの の学習に向おうとしない生徒に対して、計画化と組織化が再構築され、 新たな対応がなされていると結論づけているt、 さらに、第三に進路多様校をみるときに本論文のなかでのilll要な視 角は先に述べたように、様々な格差の問題である、、従来の学校文化研 究では格差といえば、生徒自身の学力の格差や親の経済的な格差が川 題とされてきたが、苅谷(2001)’は階層による学習時間U)努力の差を意 欲の格差構造としてとらえ直して、詳細な量的調査び)分析により1社 会階層ごとに異なる〈自信〉形成メカニズムが作動しはじめた」と指 摘している。つまり、下位の階層出身の高校生では、学校が課す学習 活動といった業績主義的な価値にたいして、構造的な意欲の1各差(イ ンセンティブ・ディバイド)から学校的な「努力1一学習をしなくな ったと解釈し、学業から「<降りる\ことで自己を肯定し、自己を充 足させるメカニズムが特定の階層で作動しはじめている」と述べてい る。この指摘は、現在進められている興味関心をから学習への意欲を 高めさせようという一連の教育改革の取り組みが必ずしも効果をt;一げ ていないことを示唆するものである、,つまり、新しい学力観によ・)て 主導されてきた興味関心を意欲の源となるよう期待したもののむしろ 意欲は低下し、その上、社会階層によりその格差は拡大され、相対的 に下位の階層の家庭の子どもはより学習に対する意欲が低「し格差は 拡大されている。 また、本田(2005)f)は、子どもが学校の内外でおこなう努力の変質が 生じ、その差異を「閉じた努力」と「開かれた努力」と捉えている。 本田は「『閉じた努力』が、受験勉強を典型とするような、与えられた 目標に向って反復練習などを通じて自分自身の単線的な向ヒを成し遂 げることを意味としていたのに対し、ここでいう『開かれた努力』と は、その時々の周囲の状況に応じて自分のあり方や目標を自ら選び取
り、それに向って最大限の力をつくすような行動特性」と説明してい る。 この両者の論点は、学校が求める学習に対する1自己有能感」を見 出すことができない進路多様校の生徒たちにとって、学校外のアルバ イトにおける役割期待といった「自己有能感」に傾斜する状況を、閉 じたものから開かれたものへの「努力」の拡張ととらえるか、階層を 背景とする努力の「格差」ととらえるかということである、, このことについて本論文では、実際、進路多様校における生徒の学 校生活や進路選択の有り様を観察していくなかで、両者が二項対、1万白え」 なものではなく並立的な要素として存在していることを仮定して議論 を進めるものとする、. 第3節 進路多様校研究の方法 先行研究のレビューですでに述べたように、進路多様校の教育社会 学における研究は、質問紙による量的調査と観察やインタビューによ る質的調査がすでにおこなわれ、いくつかの研究成果も発表されてい るc, 本論文においてもその2つの研究方法を組み合わせて研究を構成し ている。詳しい研究方法と調査対象は各章で述べるものとするので、 ここでは論文全体を通じての調査対象と研究方法の概要について述べ る。 研究対象は進路多様校の在校生及び卒業生である1、そのうち、首都 圏大都市部にある全日制商業科の進路多様校1校については、8年間 に渡る継続的な調査対象としており、この調査対象校は筆者が過去に 勤務した高校である.ここでは数的には限られているものの長期のイ ンタビュー調査と、1学年分全員の進路選択過程の分析を行なってい る一
また、特定の高校の事例としての研究になることを避けるために、 関東地方にある進路多様校15校あまりに対して実施した進路選択に っいての大規模調査のデータを用いて比較検証をおこなっている.こ の大規模調査は東京大学教育学部の苅谷剛彦教授の研究グループが、 2001年から2002年にかけてアンケートによる量的調査と、面接によ る聞き取り調査をあわせて実施したもので、本論文ではおもに聞き取 り調査のデータを用いているL,この調査は大規模な1{/t的調査(2003加で 進路多様校の進路選択過程をあきらかにしたが、お{)に高校3年2学 期におこなわれた調査なので、最終的に卒業時に未定になったものを カテゴリーとして抽出できないといった限界があ・)た、なお、この調 査には筆者も研究グループの一員として参加しており、デー一夕の山:分 析と活用についても承諾を得ている。 8
1Paul E.Willis菩,熊沢誠訳,山田潤訳『ノ・マー一タウンの野郎ども ・学校 ノ\〔ノ)ノ文わt ・労f動ノ\び)川貞Lぴ一』 (]撒U学ミeil:ル」 ・ 1985) 2樋田大二郎、岩木秀夫、耳塚寛明、苅谷剛彦『rギ;i校生丈化と進路形成の 変容』(学事出版・2000) .〕@坊E健:忘,1}1∫推]ii’}; 「ど搾業…f\0)コミットメン ト1 p.181 1占賀1王義『〈教えること〉のエスノグラフィー 1教育困難校、U)構築過程』 (金子書房・2001) 1苅谷剛彦『階層化II本と教育危機一イミ平等川:生産から意欲格差社会へ 』(有 イ言堂・2001) p.200-222 ”本田由紀『多元化する「能力」と日本社会 ハイパ…メリトクラシー一化のな かで』(NTT出版・2005)p.76 7千葉勝吾[進路指導体制におけるKねじれた/ノ向性ご}苅’f・lid]1」彦,濱中茂隆lI か『ポスト選抜社会の進路分化と進路指導』(東京人学人学防三教6学研究科・ 紀要第41巻・2003) 9
第1章高校教育における進路多様校の位置と状況
第1節 進路多様校の定義と変遷 ここでは進路多様校についての定義をおこなう、.進路多様校という 高校のカテゴリー名は、学校教育の現場ではほとんど使われていない、、 進路多様校という用語はおもに教育社会学の高校研究のf測或で、「多様 な進路希望を持つ生徒が在籍する高校」と定義できるが、一・般的には 進学校に対しての非進学校のうち就職者も少ない普通科全ll制のド位 校を指している。 学校現場では、これらの高校は従来から、進学校を頂点とした入試 ランクや進路実績の底辺をなす高校として底辺校といわれたり、問題 行動が多発し通常の授業がなかなか成立しない高校として教育困難校 といわれたりしてきた。 これらは、元々、学校の現場で付与された呼称であったが、教育行 政においても使用されるようになり、1984年には文部省は教員配置計 画(第5次教職員改善)において、様々な教育的な問題が山積する「教 育困難校」に対して教員の増員配置を示すなど、公に認められた高校 の実態を示す用語となった。 しかし、当時、この定数改善を受けた各都道府県では教育困難校が どこの学校を指すかはほとんど公開せず、他の事由による定数改善と あわせ各学校の教員加配がおこなわれた,.つまり、教育行政レベルで は1980年代半ばには、問題行動などの教育課題が多い教育困難校が人 的資源を投入して解決をはかろうという施策を実行に移していたもの の、入試制度では学区制を維持していたため、普通高校全日制課程は 基本的にはどこの高校でも同一一な教育内容を保障する必要があり、具 体的にどこの高校が教育困難校なのか明示されることはなかった、 本論文における調査地域の1つである東京都でも210校あまりの都 ]0立高校のどこが進学校でどこが教育困難校であるかは内部的にも公開 されていない。しかし、進路多様校では基本的生活習慣が身について いなかったり学業不振であったりする生徒の割合が高いので、中途退 学者が多い高校Jや中途退学に伴う補欠入試の募集人員が多い高校が 教育校であると推測できる。 また、直接的に教育困難校を明示したリストといったものは公式に は作成されてはいないが、他の資料から推定することが可能である、、 その推定のための1つの資料となるのが、教育委員会が定めた教員の 定期異動のための異動要綱である、,1980年代以降につくられた要綱に は、異動促進校というリストに毎年20から40校ほどの高校が掲載さ れており、その学校から転出したい教員が停滞しているので、転人を 希望する教員には異動にかかわる区分条件などが緩和されていたc,こ の異動促進校リストの高校は、この学校から転出したくても転入する 教員の少ない人気のない高校ということで、交通が不便といった理由 もなかにはみられるが、押しなべていわゆる荒れている高校といわれ る学校である。もちろん、このリストに載っていない学校の中にも教 員の異動は停滞していないものの教育困難校といわれる学校もあるが 学校数としては多くはない。 表1に示した1995年度の異動要綱2〕に掲載されている異動促進校は 41校であるが、このうち20校は、この間の都立高校の適正配置計画 の実施にともない統廃合またはエンカレッジスクールの指定を受け、 2007年時点で従来の学校形態のままで存続している校数は約半分の 21校に過ぎない。したがって、これらに他の教育困難校とみなされて いる高校をくわえると、都立高校の教育困難校の割合は1割強の20か ら30校であると推定される。 また、大手受験予備校などの都立高校偏差値一覧によれば、拘備校 によって異なるが入学試験における合格可能偏差値が45に満たない
高校は30校前後みられるので、学力レベ・しの・Lからも教育困難校の割 合が同様に推定されるtt 表1都立学校異動促進校の現在(2007年現在) 1995異動促進校・ 2007年現在の状況 1 校名 学科 所在地 指定校 特例校 交通不便杉 ,廃合 ンカレ指 存続 2 羽田 普通 大田区 ○ ○ ○ ○ 3 羽田工業 工業 大田区 ○ ○ 4 練馬工業 工業 練馬区 ○ ○ 5 大山 並通 橋区 ○
O
1 6 北 普通 北区 ○O
7 池袋商業 商業 豊 区 ○ ○ 8 赤羽商業 商業 豊島区 ○ ○ 9 京橋 並通 央区 ○ ○ ○ 10 足立東 普通 足立区 ○ ○ 11 足立西 並通 足立区 ○ ○ 2 12 足立新田 普通 足立区 ○ ○ ○O
3 13 淵江 並通 足立区 ○ ○ 4 14 荒川工業 工業 足立区 ○ ○ 5 15 足立工 工業 足立区 ○ ○ 6 16 水元 並通 葛飾区 ○ ○ ○ 17 葛西南 並通 江戸川区 ○ ○ ○ ○ 7 18 篠崎 普通 江戸川区 ○ ○ ○ 8 19 葛西工業 工業 江戸川区 ○ ○ 9 20 化学工業 工業 江戸川区 ○ ○ 21 江東工業 工業 江東区 ○O
22 片倉 並通 八王子 ○ ○ ○ ○ 10 23 八王子北 普通 八王子市 ○ ○ ○O
11 24 館 並通 八王子市 ○ ○ 25 松が谷 普通 八王子市 ○ ○ ○ 12 26 野津田 並通 町田市 ○ ○ ○O
13 27 忠生 普通 町田市 ○ ○ 28 拝 並通 昭 市 ○ ○ ○ ○ 14 29 武蔵村山 普通 武蔵村山 ○ ○ ○ ○ 15 30 多摩 並通 青 市 ○ ○ ○ ○ 16 31 青梅東 普通 青梅市 ○ ○ ○ ○ 32 福生 並通 福生市 ○O
17 33 秋留台 普通 あきる野 ○ ○ ○ ○ 34 羽村 並通 羽村市 ○ ○ ○O
18 35 五日市 普通 あきる野市 ○ ○ 19 36 秋川 並通 あきる野 ○ ○ ○ ○ 37 瑞穂農芸 農業 瑞穂町 ○O
20 38 清瀬東 並通 清瀬 ○ ○O
39 永山 普通 多摩市 ○ ○ 21 40 南野 並通 多摩 ○ ○ ○ 41 稲城 並通 稲城市 ○ ○ *1995年版都立高校教員異動要綱による この 「異動要綱」は毎年、教育委員会が定め、 異動促進校な・L・{♪変更される また、文部科学省は、教育困難校のキャリア教育のあり方について も調査研究協力者会議において取り上げ、教育困難校を匿名で取り上 げた調査研究をおこない、インターンシソプなどのキャリア教育の必 12要性を指摘している’tt ところが、東京都では2000年以降、この見えざる教育困難校が、教 育課題校として可視化された、教育課題校とは、教育困難校のことを、 不登校やいじめ、問題行動など多くの教育課題をもっ学校ということ で言い換えた名称で、教育課題集中校ともいう 2001年に東京都教育 委員会は教育課題校検討委員会、中堅校対策検討委員会を相次いで設 置し、翌年には報告書(2002)1を作成している、、さらに報告に基づき 2002年には教育課題校対策として、普通科2校〕が二]一ンカレッジスク ールの指定を受けて、翌年からカリキュラムの変更をおこなった,、こ のエンカッレジスクールという名称は中学校までの段階で蹟いた生徒 を勇気付ける(エンカレッジする)学校というコンセゾトで、,ll:類・ 面接のみの入試、30分授業で座学は午前のみ、定期考査の撤廃など、 これまでの普通科全日制にない特徴をもつ,, その結果、すでに実施に移されていた都立高校の難関大学合格を目 指した進学指導重点校の指定ぽと合わせて、進学校、中堅校、教育課題 校(教育困難校)というカテゴリー分けをおこなうとともに、どの学 校がいずれに該当するかを教育委員会が指定することがおこなわれた、, このことは、入学者選抜による学力レベルの差はあるものの普通科全 日制であれば、少なくとも建前上はどこの高校でも普通科の生徒とし て共通の基盤に立って、授業や学校生活を行なっていたものが、生徒 の能力や意識、行動特性に伴って、学校ごとに生活指導や教材内容の レベルを超えて、カリキュラムや授業時間など教育内容の枠組み自体 を対応させるという制度変更といえる。つまり、進学重視、生活指導 重視、いわゆる落ちこぼれ対策といった教育指導上の・E点が、いわば 学校の特色づくりの大きな要素に組み入れられたとみることができる。 ここでもう一度、進路多様校と底辺校、教育困難校、教育課題校、 中堅校などとの関係を整理してみようt.歴史的にみると高校への進学 13
率が上昇し、高校教育が準義務教育化されるなかで底辺校といわれる 高校が出現した。準義務教育化自体は、「戦後の新制高等学校の基本的 立場は、多くの者に広く門戸を開放し、高等学校への入学を志願一,」一る 者は可能な限り収容するという国民皆教育を目指すものであったJ’わ けで高校全入運動の成果であったとみられている、しかし、その一方 で、もう勉強をしたくないと思う中学生まで、高校に進むことが’1i然 視され、なかば義務的に高校へ入学しなければならないという状況を っくりだしたとも言えるv これらの高校では様々な教育課題が発生すことから教育困難校、あ るいは教育課題校と呼ばれるようになった,,底辺校、教育困難校、教 育課題校はほとんど同意であると考えられるが、東京都の場合、教育 課題校は教育委員会が作成した教育課題校検討委員会報告書にもとづ くエンカレッジスクールとして指定されたのは、暑:しく困難な状況に ある高校数校に留まっている。したがって本論文が議論の対象として いる進路多様校は、教育課題校と下位中堅校をあわせた領域の高校群 というのが妥当だと考えられる。 先の教育課題校検討委員会報告書では、教育課題校を「高校進学率 の上昇とともに、義務教育における問題や困難な家庭状況などを背景 に、学習への関心、意欲、態度や基本的生活習慣等に課題を抱え、可 能性はありながら、学ぶことに積極的な意味を見出すことができない 生徒も高等学校に入学してくるようになった。そうした生徒達が多く 入学してくる学校」と定義しており、本論文の研究対象である進路多 様校もまさにそのような生徒が多く入学する学校といえる. 一方、中堅校対策検討委員会報告書では、中堅校の生徒の進路状況 について、「卒業後の進路は、4年制の大学、短大、専[『学校への進 学者から就職するものまで多様である、生徒の減少により、大学への 入学が容易になる中で、難関大学へ進学する生徒は、近年、現役合格 14
者も含め、その数は少なくなりつつある、また、いわゆるフリーター になる生徒も増える傾向にある」と指摘しており、中堅校全体の地盤
沈下が進行して、進路多様校化することを示唆している.、
図1-] 進路多様校の領域 ≒;・.1、・1ぷ‘一、∴ご・・一ピ:11111.;1.1 亨 Tl 高い 低い 巾 …四 校 な甚詫治遺の在軍等ll 進路多様校 負担が少ない 負担が多い * ヒ図は、東京都教育委員会の中堅校対策検討委員会報]t】1、1}:資料にある <学校タイフによる特色化の方 したものである、 lfジの図に、進路多様校の領域を加筆 16
図1-1は、先に述べた中堅校対策検討委員会報{{r書の資料にある 「学校のタイブによる特色化の方向」という図である、ここでは、中 堅校を3つのサブカテゴリーをもつものとして捉えており、①中堅進 学校 ②中位の中堅校 ③生活指導等に負担の多い中堅校一一に分類 している。この生活指導等に負担の多い中堅校は、生徒の卒業後の進 路をみると、一般的には、入り易い大学、専門学校、フリーター、就 職とまさに多様な進路を形成しているt、そこで本論文では、図1に示 したように生活指導等に負担の多い中堅校と教育課題校をあわせて進 路多様校として捉えるものとする、、 第2節 進路多様校の生徒像 進路多様校にはどのような生徒が学んでいるのだろうか//進学校と は異なり、学校に通う生徒の目的性が様々である進路多様校では、そ の生徒像をひとつに特定化することは容易ではない、, そのなかで、進路多様校の生徒全体に共通することは以下の三点で ある。まず、第一には低学力ということである。小中学校と異なり、 高等学校には入学選抜試験があるので、学校ごとにランク付けがなさ れ序列化が進む。このランクは公式には公開や発表はされないが、中 学の進路データや塾などの情報に基づいて、自己の実力に応じた受験 先が指導されるため、進路多様校を受験する生徒の学力幅は低位に固 定化されたものとなる。 とくに、先に述べたように交通網が発達した大都市部では、自宅か ら通学可能の高校の数が相当数に上るので、より序列化が進行してい わゆる輪切りされた成績幅で新人生が入学してくることになる,,した がって、中学校での学業成績と高校の入学試験の成績は、進路多様校 の生徒は押しなべて低いという状況がある.、 しかし、この低学力を招いた要因は…様なものではなく、生徒一人 17
一人に個別的な理由や事情が存在するttこの個別性は生γじの進路選択 に大きな影響を与えることも少なくなく、本論文においても、このこ とについてデータにもとつく分析をhなうものであるLt 第2には、進路多様校の生徒の多くは消費社会の浸透を強く受けて いるという点があげられる。とくに大都市部ではその傾向が強く、筆 者が1999年に東京都の進学校から進路多様校の高校生12()0名に対し て行なった調査9でも、進路多様校の生徒のアルバイト就業率は7割 を超え、月収も約4万円であった。同調査では進学校などでアルバイ トをしていない生徒のお小遣いの平均は約7日りであったので、5倍 以上の開きがある。進路多様校の生徒の多くは学校以外の生活空川が 消費社会のなかに相対的に広く存在し、そのなかでアルバイトを行な って稼ぎ、遊びや洋服やケータイ代など様々な消費をおこなっている,、 第3には、先に挙げた2点にも関連するが、学校の価値に対する認 識の低さである。進路多様校の生徒の多くは、学習活動、特別活動、 学校行事といった学校の諸活動全般に対する参加の度合いが低く、か つ消極的である。それは、学校が用意し提供するサービスは自分にと っては不要なものであるようかの振る舞いで、提供者側の教師と様々 な場面でコンフリクトを生じることとなる,, 具体的な行動としては、大量の遅刻欠席早退、授業中の居眠りやお しゃべり、部活動や行事への不参加、校則や教師の指導に対する無視 や拒否といったものがあげられる。 しかし、ここで改めて強調するが進路多様校の生徒像はステレオタ イプなものではなく、いわゆる優等生的なタイプから問題傾向が高い タイプの生徒まで多様なのである。進路選択という1つの学校内にお ける過程についても様々なプロセスがある,、本論丈ではその個別的な 事例を詳細に分析すること(2章)と学年全体を見通しながら生徒を 選択過程毎に類型化しカテゴライズした分析(3章)を行なって、進 18
路多様校の生徒像を描き出すものである 第3節 進路多様の意味 進路指導の本来的なあり方は、「生徒の能力・適性、興味・関心、希 望進路を総合的に考慮して、生徒が主体的、自一i:的に賢明に進路の選 択・決定を行い、社会的・職業的自己実現を図ることにある」c. その点からは高校生の進路が多様であることは、教育本来の意味か らみて問題視されることではなく、むしろ生徒入人の{固性とllヒカ に応じた進路選択ということで奨励されるべきことのはずである、、し かし、進路多様校では、教育的には好主しいと思われる進路が多様で あることが教育的な課題として浮上してくるのはなぜであろうか., その理由は以下の3つである。第1には、高校の進路指導では、就 職ではハローワークを通じての正規雇用としての就業、進学では大学 短大、専門各種学校への入学が進路選択の目標として設定され、それ 以外の進路選択は一部の例外を除けば好ましい進路とはみなされない、、 具体的には、非常勤のような非正規雇用やフリークー、先輩の口利き や紹介といった雇用条件が曖昧な不安定な就労、進学ではネイルアー トやモデルのスクールや養成所といった将来が不透明なものなどであ る。 つまり、進路多様校では、学校が好ましいと思わない進路を選択す る生徒の割合が他の学校に比べて相対的に高いので問題視されるので ある。さらに、高校を卒業して進路を選択する前に進路を変更すると いういわゆる進路変更というかたちでの退学者が多いことも問題とし てあげられる。進路多様校では、入学者の2割以ヒ、学年によっては 5割が卒業までに退学するようなこともあり、退学という進路選択が 最も割合が高いという事態が生じることもある., 退学者の増加に対しては、95%を超える高校への進学率によりユ 19
ニバーサル化した高校教育に対しては始めから高校に入学する意味を 持たない子どもたちが入学してきたためであるという説明がなされる が、必ずしもそれは妥当な理由であるとはいえない、なぜならば大都 市部においては、すでに20年以上前には高校進学率はg5%を超え ていたが、現在のような退学率には達しておらず、高校における進路 変更という中退者の問題はむしろ今日的な課題であるといえる、 いずれにしろ中途退学者を含めた学校が好ましいとは考えない進路 選択をおこなう生徒が多いというのが進路多様校の問題なのである、, そして、進路多様校の…定割合の生徒たちは学校側が考える本来の教 育的な意図に反して、3年間あるいは相当期間を過ごし進路未定(ブ リーター)として卒業あるいは進路変更(退学)をしていくという事 実を、失敗とみるのか青年前期の若者を処遇するあらたな枠組みとし て、学校機能の拡大とみるのかという問いがそこには存在するr、 第2の問題としては、進路選択に向けての努力を行なわない生徒の 割合が高いということである。学校教育においては、自己の目標を定 めてそれに向けて努力するということが求められているが、進路多様 校の生徒の多くは学校が求める目標への努力の優先順位は高くない,、 その典型的なものが、自宅での学習時間であり、通常の自宅での学 習時間がまったくないというだけではなく、進路多様校では定期試験 中のいわゆる一夜漬けというようなその場だけの自宅学習でさえ行な わない生徒が相当数存在する。そのような生徒たちにとっては、1日 1、2時間で終わる定期試験の期間は、他校の生徒が休みをとるので アルバイトの稼ぎ時であったり昼間から遊べる憩いの期間になったり している。このような心性は、耳塚(1981)が指摘した「地位欲求不満」 〔tとは異質のものであり、学業不振の地位を自らが選び取っているよう にも見えるf, そして、努力しない結果の進路選択は、第3の問題として、進路多 20
様校では多くの成り行きの進路選択を生むということがあげられる、 っまり、進路選択の結果も問題であれば、その進路先にいたる過程そ のものも問題であるということであるt,しかし、この点においても検 討を必要としている課題が存在するL、 それは、進路多様校の生徒は努力をせずに成り行きで進路決定をお こなうという進路選択は受動的な行為なのか能動的な行為であるのか ということである。現在のところ学校現場では、前者であるという言 説が支配的であるが、後者であるとすれば高校3年間で進路選択でき ない高校生の存在とは、卒業後も含めた長いスハンのなかで進路選択 を行なっている過程の一部を見ているのに過ぎないとも言えることに なる。つまり、もともと高校3年間で進路選択するという強制的な時 間設定自体が、学校内における他の指導においては個人の適性や能力 を重視することと矛盾しているという前提に、Lflつならば、卒業の時点 での進路未定者や中途退学者の存在は当然の帰結であるとする見方も 可能であり、基礎基本の学習指導、生活指導重視と計画的進路指導に 基づく高校卒業時での進路実現という進路多様校の機能・°をさらに拡 大して捉える必要があるということとなる、、 以上、述べてきたように本節まででは、進路多様校の歴史的な変遷 と位置づけを概観した上で、進路多様という生徒の状況について、そ の教育学的な問題点をおおまかに整理したf、さらに、進路多様校につ いて高校受験負け組のたまり場のようなステレオタイプ的な見方では なく、これまでの進路選択のなかみを拡大させた機能を有する可能性 があることを仮説的に提示した,、以下、研究の方法を述べたヒで、各 章において分析を進めていくu 21
1東京都教育委員会では、中途退学者の多い学校に対して、35人学級(通常 40ノ\) c・’)実垣亘{⊃教』哉[1(ノ)力1]酉己 ・辺垂こL(ノ)手昌1酎を’了1プご/)『こし、る、 ・ 『都・L/1高校教員異動要綱』(東京都教育委員フご・1995) .『高等学校におけるキV・リア教育〔ノ)推進に関する調1㌣川一究協力者会1能報11,1、1 (文部科学省・2006) 1『都・‘五高校教育課題校対策検討委員会報告☆』中1ミ京都教育委日会・2002)、 r都立高校中堅校対策検討委員会報告,1:』(tU 」1〔都教育委日会・2002) 「2006年までに新たに普通科1校、 1,業科1校、商業科1校がこ1,ンカレッジ スクールに指定され、現在は5校となっている、、全都で5校という学校数か ら、その地域の最も教育課題が集中している教育困難校が指定されたとみる ことができる。 {・東京都教育委員会は2001年9月に、日比谷高校、川ll1高校、四高校、八i’1 了’東高校の4校を進学指導重点校と指定した、 T吉田辰男『教育評価の理論と実践』(福村出版・1985) Sf葉勝吾『学校を社会化するなかで生徒の白X‘/訓,を高める教育のありノノにつ いて』(東京都教育研究生報告書・1999) “耳塚は、生徒は学業において何がしかの努力をLてもその見返りとしての評 価が満足でない場合には不満をもつと述べている,なお、このことにっいて は第4章2節に詳しく述べる ll) w都・」ノ:高校教育課題校対策検討委員会報告,1::』(前掲Jl-)では教育課題校の日 標として以ドの4点をあげている、、 0社会生活を送るEで,1・要な基礎的・基本的学力を身に付けた生徒 ②自己の在り方生き方を見つめ、進路を選択していくことのできる生徒 ③社会人としての規範意識を身にっけた生徒 ④社会人として自xt/1して、’定の役割を果たし、社会にL1〔献していくこと のできる生徒 コ[占賀IE義『“教えること”のエスノグラフィー…一.[教育困湖校1の構築過程』 (金了一書1ヲ] ・2001) 22
第2章自己を充足させるメカニズムと進路選択
第1節 自己を充足する方策 本章で、あきらかにするのは、進路多様校に通う生徒が自己を充足 させるために独自に開発した方策とその結果に生じる進路選択におけ る障害である。苅谷は学習における意欲の格差(インセンティブ・デ ィバイド)について階層差の拡大を指摘したが、それは学習時間を変 数としたもので、その実態は学習時間の格差である、、しかし、インセ ンティブ・ディバイドはデジタル・ディバイドのような単なるスキル の量的格差ではなく、それは学習に対する様々な意識や要因が織り込 まれた結果の先に生じる格差だといえる、,進学校では、学習時間が高 校生自身の意欲とリニアな関係であると捉えられるが、いわゆるド位 校や進路多様校ではその前提は成立せずに、苅谷が指摘した意欲を学 習以外の領域で発揮する「自己を充足させるメカニズム」が優位な学 校文化が形成され機能していると考えられる,、苅谷はその理由につい て、問題が個人化された結果、学習活動に対する〈意欲・関心・態度 〉が形成されにくい下位階層において、「学校での成功をあきらめ、現 在の生活を楽しもうと意識の転換をはかることで、自己の有用感が高 まるのである」とし「このように、インセンティブへの反応の階層差 は、学校の有意味性の遮断、〈降りる〉ことによる自己肯定感を伴い ながら進行する」ためであると指摘している。 つまり、進路多様校の生徒の意欲の方向性は、本来、学校が求めて いる学習活動といったものとは別の方向を向いており、学校における 様々な競争に対しては、始めから参加しないか途中から離脱している 生徒が多いといえる、、 進路多様校の生徒たちがとる具体的な方策は、授業をぎりぎりまで 休んで、課題・宿題はなるべく提出しないですまし、最低限の努力で 23単位を落とすことなく 「うkく切り抜けよう」とすることであり、い わば努力を回避する行為の積み重ねの果てに高校卒業が目指されてい る。しかし、このようなことは変化の箸しい社会に日を向けてみれば、 おとなも「こつこつ」やる努力ではなく「切り抜ける」能力を求めら れている現実がそこにはあり、学校にもそのことが波及していると見 ることもできる。 そうだとすれば、生徒たちは学習指導や進路指導から一’方的に「降 りる」ことによってのみ自己肯定感を保つだけではなく、むしろ計画 的に可能な限り少ない投資で楽をしながら、成績はオール2の評佃iiで あっても卒業して、フリーターも含めたなんらかの進路実現を果たす ということが、「自己を充足させるメカニズム」の全貌だといえる,,し たがって、そのような進路選択過程をも含めたメカニズムを解明し学 校の対応を検討することが必要な課題として浮きヒがってくると考え る。 第2節 A商業高校という進路多様校における調査
A商業高校は、関東地方の大都市中心市街部にある1学年定員160
名ほどの比較的小規模な全日制商業高校である,,経済バブル崩壊後の 1990年代後半以降、高卒求人数の激減から商業高校の人気が低下した のに伴い、入学試験において全員合格に近い状況がつづき下位校とい うイメージが定着した。その結果、近隣区域からの入学者は減少し、 利便な交通網を利用して遠隔地から来る低学力の入学者が増加したc、 また、いわゆるギャル雑誌に在校生が読者モデルとして紹介されたこ となどから、服装や頭髪の生活指導がきびしくない学校という風評が 中学生の間に広がり、低落傾向に拍車をかけ進路多様校としての学校 の評価が確立された.)2003年度の大手高校入試模試のA商業高校の偏 差値は30台後半で隣接県を含む地域における最もド位の高校の1校で24
ある. 中途退学率も高く、2000年から現在まで、人学から卒業までの3年 間の間に2割から3割程度が中途退学するという状況が続いている、 進路状況も卒業時未定者の割合が高く、この数年は景気回復に伴い求 人数が増え状況は改善されたが、卒業生のなかで、就職、進学、未定 がそれぞれ1/3という状況が続いているtt 本章では、この間のA商業高校の状況を分析するために、進路指導 部が実施した調査(進路指導部調査)の結果と生徒へのインクビ・・一 調査での生徒の語りをデータとして用いる、,そして、生徒の語りにつ いて解釈をおこない、進路指導部調査の結果とも比較検討しながら、 進路多様校に通う生徒の側から、彼/彼女らのとった学校生活を送るた めの方策の実態を描くものである。 進路指導部調査は、1年の入学時と3月、2年のll/|と3年の4月、 6月、9月に合計5回実施されたものを用い、その内容はおもに進路志 望とそのための準備状況を把握するための記名式の質問紙調査である、, 各学年全員を対象に進路指導部から担任が委託されHRにおいて集合 自記式で実施する。回収率はいずれも90%以上である。 生徒の語りについては、個人面接及びインフォーマルインタビュー
の形式で1999年から2005年までの在校生約200名分について作成さ
れたデータの一部を利用している。これらのデータは筆者が学年、生 活指導部、進路指導部の業務をおこないながら生徒指導ために記録し たもので、日々の学校生活における生徒の様々な語りが蓄積されているnその中で学年担任としてかかわった1999年のA商業高校業高校2
年生のうち6名については、ケーススタディとして1999年17歳の時
点から2006年24歳までの継続的なインクビ・t一をおこなったものを データとして用い、妥当性・信頼性を確保するために、①調査対象者 本人によるメンバーチェック、②高校2年生在学時から卒業後にわた25
る長期観察(8年間)、③当時の担fl:、進路指導担当の教師間での検証、 をおこなったt 第3節 進路多様校の生徒像 一r潜在的」不本意入学意識と学習への構え A商業高校では、毎学期始業式後の1週間を全学年f固人面接週川とし て、午前中授業、午後は面接という臨時時間割を亘錐定している,これ は、長期休業明けですぐに全日の授業ではなかなか生徒がついてこな いという事情もあるが、担任と生徒が時間をかけてコミ・・ニケーショ ンをとるもので、進学校などには見られない取り組みである。 具体的には、各担任、副担任がクラスの生徒に対して面接をおこな う時間を時問割変更により設定し、午後の授業時間(5,6時lll]目)を面 接の時間帯として、一人当たり30分程度の時間をかけて実施している、、 年3回、繰り返し実施される面接は、教師と生徒のお圧いが惰性的に なる危惧がある一方で、教員間では生徒とのコミュニケーションが図 られ、生徒の不満などの本音を知るよい機会であるという意識が教師 の問で共有されている。 ここでは、1年生の入学直後に担任と副担任が実施した面接記録をも とに生徒の学校に対する意識や学習、進路選択についての構えをあき らかにするIL」h。 ㌃β転車でこfzるどこrA商業高校ノだ、から采たんで、普遡丹,がま.かつ たけ、k“、行けそうなとこぱ還こい乙、ンφ学の先生にノパソコン、k,かできる 、からって言わノττ・’・でろ夜’々zど/?1≠端安ぐτ促低、どに.かぐ頭髪ど、か うぜ2・’・勉強ぱ乙ないっでいうかしたぐ力’レ・L、達路ぽ二倉.然考えτな いL、まあ卒業できたらいいかなっτノ 高校生 A (2年男 f-) 2000 年 4 .月 26
r中学じや虐㍑浮いて、をが’㌧ぽかのλの/ラかai e、ごこ・)てこごでイ商に 乙たのがン志望乙たノ理由 ・’・遼踏んれ、い方セ蒜ピをって、旅λないみた いだ’プど鋭行化’ご就職ソ、か指定授r推薦ノで五’1こ》三いき走いプも’・’で か余計なこどぱ乙たく訟い乙、局柁の・元ち〆こ遊んで.おき、をい/ク・ら、先生、 どう乙ノごらラ三ξぐできるノラ)お乙ジ{iτノ2、ノ r高‡交メ七 B (2 fド女 Jt-) 2001 年二 4 月 /うちぱ兄弟多ぐτ、中学の宏空が勉強存こ1々ノノ,プL’』や冷い/.だかイ㌧ぽ 格とノzて就職〆こ存wな商業い〆プ/っていわノ~τ、任か〆ズ.僻ノラ?だ功ら・]/~亨〆ご∠ た乙、忍立ぎ)受けなかったから’・’親〆ズ就撮っていラ乙、〃分でろぞん な気ぱナるけど、化仲のよいノどμr夜名ノみてる己走容己か〆パ拓ρゲr学 校ノ、/テきたい気もナ《凱・”勉強/JXぎ)ラいい、薄、え∫ζ)2プ・、3ノ汲だ〆ノと れってtrわfzて己った.からもラいいの。ノ 高校生C(2年女子)2001年9月 ここで示した3名は、年度は異なるがいずれも入学直後の進路指導 部が実施したアンケートでは、A商業高校が第1志望と同答している。 その理由は高校入試において、ほかの様々な高校ではなくA商業高校 を結果として実際に受験して入学したからである。ところが、個人面 接で直接話を聞くと、A商業高校に入りたくて入学したわけではなく、 A商業高校を受験することになったそれぞれの事情を語り、積極的に是 非、A商業高校に入学したいからと受験を選択している者はいなかった。 つまり、質問紙による調査では高校入試において、実際に受験したA 商業高校が第1希望だったと回答するものの、実際のところはA商業 高校について十分に考え自分で納得した上での選択ではなく、ほかに 27
合格が期待できる高校がなく、合格するために、いわゆる入試のラン クを下げた結果の選択であり 「潜在的」な不本意入学者といえる,私 立高校を別に受験し、第1希望だったその学校が不合格になったため にやむなく、滑り止めのA商業高校に入学したという、「典型的」な不 本意入学者はごく少数であった、、しかしながら、「潜在的」な不本意人 学者は、しかたなくてA商業高校に入学したという意識はあるものの、 ではどこの高校に行きたかったわけでもないので、本来の希望する学 校イメージも強固なものではなく、そもそも高校に入学するというこ と自体に明確な意思を持っていないといえる、、 第4節 生徒の生活態度と行動の方向性 進路多様校の生徒は勉強嫌いで何事にも意欲のない性格的な特性を もつわけではない。彼/彼女らは彼らなりに最低限の負担で学習をこな し、空いた時間にアルバイトで稼ぎ、消費して自立するといったノi向 での、「うまく切り抜ける」という、ある種の生活の知恵を駆使して学 校生活を過ごしていると言える。 下記の生徒たちの語りにみるように、教師の方から成績が不振で進 級が危ぶまれる生徒に対し、定期考査の前にはアルバイトを休んで、 試験勉強に集中するように促してもアルバイトを優先する価値観が逆 に示される。 ㌃計、険のノ時っで砲の子ってン試㍉険勉強でノ休め・ないか’)、%がやる乙か しかたないの。バイゐ乙なぐたっτ、べつに勉強ナるわ〆プじやない//y) /)、 休んだっで局じだ、からやるう。だいたいバイIX乙安きrやただとマ・なだ〆プ だから、今からじやあ何やっていいかろわかんないし、プグンβたぶん 何兇乞かある,から、それやれ/王いいで乙に:フノ 高校ノ{.D(2イ「女r-)2002年5月 28
/おfzは、学校L”や勉強乙ない乙、差生二〃つけらノ~て〆でか〃だ〃ど、 ラちの店ぱおカがいな↓㌦力互らな(、んだ仁だから、どん冷つらこてむ、 友女とかご,遊べなぐてぎ)、バイβやら冷きやだ乙、才∫∂〃が頬〃だつτ佐長 、から期待9,されてつから、新λ〃〆こ励一卿だ6メどいろいろ.河えた〃、ち/- ft乙↓、〆フLどノ頃張Z5ん、(ご’oノ 高t交ノE E(2tf’ワ]▲二)2002イls 9∫j /うちじや、高技ば行つたらバ/ゐと乙うつて言わノ~’⊂一やつてんだかi・) if/ めないから! だいいち辞・め/をら、お屋だって稔ベノ~.な↓)乙、ケータ〆/e だつτ払え・ないんだ、から、ムグ。砿擾の方んrρかつたから、匂川花γ:ん己 こ庁って課題、とかたのんで茱るから、それでいいで(11だいkい6《の勉 にだってン成績ノ悪いノ.いっZ才1いいτ、忍なん功かわい‘ソNラLl’や/{ノノ 高↓交ノ[三 F (2年女∫”) 2002 イ1二 12 月 進路多様校の生徒がこのような行動をとるにはおもに3つの理由が 考えられる。第1にはまさに経済的な理由である。大都市の消費社会 に浮遊する高校生にとっては、お金はいくらあっても足りない。A商業 高校の多くの生徒の家庭では、高校に入学したらお小遣いは自分で稼 ぐことを当然と考える保護者が少なくなく、アルバイトをすることを 当たり前だと子どもに語ったり、むしろアルバイトをして自分の生活 費を稼ぐことを奨励したりしている,,そして、生徒たちはアルバイト によって自分で稼いだお金で、ケータイ代、飲食費、化粧品や服代を まかない、親元に生活の大半を依存しながらも、社会的にはいわば「寂 しい自立当を果たすのである,、A商業高校の所在する大都市には、高 校生が就労しやすいコンビニエンスストア、ファーストフード店、フ ァミリーレストラン、大規模ショッピングストアなどが数多くあり、 簡単にアルバイトができる労働環境もアルバイト就労を加速している。 高校の中にはアルバイト就労を校則で禁1ヒしている高校もあるが、A
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商業高校では生活のためのアルバイトは許されており、1拝実ヒ、野放 し状態である、 第2には、時間を消費するため、言い換えれば暇つぶしのためにア ルバイトをして時間を潰すのである、自宅学習をま・)たくせず、部活 動などにも興味の無い進路多様校の高校生にとっては、放課後3時か ら翌朝8時半まで、睡眠時間を除いて10時間以上を、自己の裁量で埋 めなければならない。生徒たちはこの時間を、アルバイトなどで労働 してお金を稼ぐことと遊びやショッピングなどの消費行動により、稼 いだお金を遣うことのサイクルで埋め、深夜までアルバイトをして、 教室では疲れて寝ているような忙しい高校生を自演しているのである、, 第3にはアルバイトにより社会や他者からの承認の場を得られると いうことである。学校ではクラスの中の1人に過ぎず、居ても居なく てもいいような自分が、アルバイト先では自分が行かないと業務がま わらないなど、役割が強く期待されるとともに、実際に仕事のなかで 常に評価されるので、高校の受け手の授業とは異なり、労働のやりが いを肌で感じることができる。 このように進路多様校の生徒たちの学校生活を送る方策の方向性は、 消費社会に引き寄せられたものとなっていることが分かる、,だが、こ の代償としての低い成績や多い遅刻欠席の回数は進路決定には不利に 作用するので、結果として、彼/彼女らに困難に満ちた進路選択の道を 歩ませることとなる。 第5節 キャリア形成と「うまく切り抜ける」方策の志向性 A商業高校の進路指導は、従来は1,2年次では学年P-1体の進路指導が 行なわれ、3年からは進路指導部が一}三体となっておこなわれるというパ ターンで実施されてきた。しかし、経済バブル崩壊後の求人数の激減 という影響もあり1990年代末頃から、]年生から進路指導部により計 i30
画的に進路指導が展開され、3年生では月ごとにスケジュールに沿って 進められるように徐々に転換されてきた、、 表2-1にA商業高校の分掌組織を示す、A商業高校は生活指導上の 問題が多いので生活指導部の人数が一一番多いが、進路指導部はその次 の5人であり、進路指導を重視していることが窺われる、, 表2-l A商業高校の分掌組織 一一一一一⊥一一一 分掌名 人数 仕事内容 1学年4名で構成 学年 12 担任として生徒を直接的に指導 進路希望についても担任を通す 一一‥ 教育課程の管理、時間割の作成 教務 4 考査、評価、出欠席の管理 入試業務、図書館・視聴覚 最大の定員の分掌。頭髪などの校 生活指導 8 則指導、問題行動に対する特別指 導。行事の企画運営。 一一A一 学年毎の進路指導計画立案・実施 進路指導 5 就職斡旋。就職・進学受験指導(教 科・面接・小論文)。データ保存 企業新規開拓。 保健室関係の業務、健康診断。 保健 3 清掃関係の業務。 *各分掌には}:任が置かれ(学年は各学年)、その11に 校長、副校長長おり全体を統括する 進路指導の特徴は、経済バブル崩壊後の求人数激減の対応として、 指導開始の早期化がはかられてきたことと、発達理論ltに基づき、①自 己理解をおこない、②上級学校や企業・社会状況の学習から適性把握 をした後に、③実際の進路選択の決定という段階的な指導をおこなっ ている点である。 そのために、生徒は入学してから卒業するkでに、進路指導部によ
る進路希望調査を最低5回、担任との面接を最低6回受ける、この際、 進路志望が未定の場合には、そのたびに未定の場合は担任から早く進 路希望を決定するように個別的な指導を受けることとなるt、 表2-2は、2001年3月から2005年3月までの5年間の卒業生σ)、各 時点の進路希望調査における進路希望末定と川答Lた生徒の割合と実 際の進路実績の結果について示したものであるL 表2-2 A商業高校の各時点における進路希望未定と卒業時未定の割合 一一一 鼈 調査 1 年 2 年 3 年 卒業 時期 入学時 3月 刊月 4月 卒業時 年度 サンプル数 一 一一一一一. 一.一一一一一 2001 年 卒 25% 22% 41% 15% 35% n=105 一一一一一 一一一一一一一一 2002 年卒 23% 29% 44% 17% 45% n=98 2003 年 卒 19% 21% 36% 9% 40% n=117 2004 年 卒 20% 19% 42% 13% 30% n=112 2005 年卒 17% 22% 38% 17% 32% n=96 平 均 21% 23% 40% 14% 36% *n数は3年4月時点、学年定員は160名(01-04)140名(05) *回収率は各調査時で異なるが概ね90°/・を越えている この表からは、各年度を通じて3年生の4月時点での進路希望未定 の割合が最も低くなっているが、実際の卒業時点での未定者の割合は2 年の11月の時点での割合に近いことがわかる,,これは就職や進学を希 望しても結果として未定となった者もいると思われるが、進路指導の 早期化ときめ細かいスケジューリングが未定者抑制に必ずしも効果を 32