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で示したようにA商では3年生の4月に86名だった全体指 導を受けて進路選択する意志を示していた生徒は、進路選択に向けて

の指導を開始した2ヵ,月後には、57名に減少する。この減少率は3 割を超えるもので、学校が生徒に対して有利な進路選択ができるよう にと行なう進路に関する指導が、少なくとも3割の生徒には無効であ

り、このうちの5名にいたってはすでにこの6月の時点で、早々と進 路選択過程から離脱して、卒業時未定者となっている。

 この間、学校側がおこなった指導は、個別面接、頭髪・身だしなみ 指導、志望の動機の作文練習といったごくあたりあたり前の進路選択 に向けての準備的な指導に過ぎない。頭髪指導についても、改善の必

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要性を示す段階で、個別的なチェックなどは行なわれていない。それ では、生徒たちは何がいやで全体指導に乗れなかったのだろうか。こ

こでは、生徒とのやりとりを記録したフィールドノートからその理由 を検証する。登場するQ子、R男、 S子、 T子はいずれも、3章で調 査対象となったA商の3年生(2004年3月卒業)で、卒業時に進路先

未定となった生徒である。

 /万、バイβなんで出れません・’・だい/をい、↓学舵がノ勝∫㍉こ↓放謀1   後にノいつ残ノ乙なんて、むり!それもゾ週尼θ前(/こ/プ程をズガらピるノカ   んて、(バイβのノシフβと、かスってんだから、傍子iナざ、∴ξL;’、あ〃

  2ないから・一■出なレ、ならン就磁のノ推薦乙なレワ公んτ、脅Lじへ㍉ん/

  Q子(3年女子)2003年5月

/残って説明きいてもrまわりばノラるさい乙、按拶/がオ穽どか、(fk7 e}

てもノ、章妹ないじやん。当たク前ナぎ。プツン♪、とかみた4) ,そん安こ と話だってわかるんだから、説明(とかいらないL”・ぎ)っと、かんか

役〆こたつっていうか、 まLなことやノ乙よってかんじノ R男(3年男子)2003年5月

 /面接でr進路選択をノどうナんだ8,か麗かノττ()、わかんかいし、

どっかいい己こあるのっで鷹7いでも、ぞtL /t e分で/kめなきやつτ_言 咲わかん・ない。だいたい一搬事務とかなんなのワ・’・美容部員とかや クたいン仕事のノ求ノ《ぽ無いっτいラ乙、つ,かえ㌘い乙,∠ノ S子(3年女子)2003年5月

r黒染めとか、ラざナぎ! そんなこどし安きやなら、もういいってかん

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じ、自分でン就職ナるノショップ.㌧か占eナ、から、いい、、”・正社員ど

やなぐたっτ、 バイKの方功’/iKめる乙、 いいっで。ノ T子(3年女子)2003年5月

 Q子は、学校が一方的に決めたスケジュールが自分のバイトのスケ ジュールとぶつかるのが不満で、以後の指導に参加しなくなった事例 である。この例では2つの要素が関係しあって指導からの離脱を促し

ている。

 第1には、アルバイト優先の価値観である。学校側は、3年になる と進路決定までの時期はアルバイトを自粛するか、夕方6時以降に行 なうように指導C2)していたが、この生徒の場合は、家庭の経済的状況も 厳しく自分の生活費を自分で稼いでいるので、放課後すぐにシフトを

入れていた。

 第2には、進路選択のスケジュールが一律決められているという問 題である。個性重視、自己選択といいながら、決定の期限や準備の作 業は一律におこなうという理念と現実の指導の問題がそこにはある。

 R男は、指導内容の実効性に疑義を唱えている。A商の進路指導で は、従来の一致団結して就職戦線を勝ち抜こうといった方針と、就職 試験に向けての結団式といった行事が残存しているc,そのためか、毎 回の全体指導場面では実効性のある具体的な話よりも、就職活動に望 む態度や行動など精神論的な講…話tltが多くなっていることを批判した

ものといえる。

 S子は、個性の尊重や自己選択の押し付けというべき問題で、判断 ができる情報や判断をする方法を与えないで、自己決定を迫られたこ

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とに拒絶感ももっている.さらに、自由な選択といいながら、自分が 選択したい仕事(美容部員)はそもそもないので、その矛盾を訴えて

いる。

 T子は、おとなが考える当然と思える頭髪や身だしなみを恥ずかし い格好だと思う文化的断絶と、たとえ恥ずかしくても日的達成のため には我慢するという価値観の欠如による反応である。

 いずれの場合でも、学校側はしごく当然の進路指導内容を展開して いるのに過ぎないと認識しており、進路指導の内容自体が生徒によ・)

ては障害となっていることの認識は低く、与えられた条件のなかで、

少しでもよい進路選択ができるように諸々の事柄は我慢して努力する ことを前提としているのである。このように進路多様校では、進路選 択をおこなう上での障害がより多く存在して、生徒の進路実現をより 困難なものにしている。

第4節 進路選択を阻む障害となる要因

 各章の分析と、前節の検討をもとに進路多様校における進路選択を 阻む要因を整理すると次の5つに大別される

①家族関係要因

②経済的要因

③能力・スキル

④文化的要因

家族関係や親の価値観や子どもへの態度・かか わり方で、他の要因にも大きく影響する

家庭の経済力が進路選択に大きな影響を与える 学力や他の能力、受験を突破したり受験準備を 遂行するための能力

学校の内外での行動様式、価値観など、生徒が 持つサブカルチャー(下位文化)

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⑤情報的要因 進路選択にかかわる情報量と正確性、

どの問題

客観性な

 上記の要因は相互に関係しあい進路多様校の生徒の進路選択に大き く作用している。なかでも、①の家族関係要因は影響力が大きいこと は、これまでの分析で示された通りである。また、②の経済的要因に ついても多くの場合、進路選択を阻害する直接的な原因をなすt、その ほかのカテゴリーの要因についても、本章3節で示したように学校が おこなう進路指導を無効化し、適IEな進路選択を行うヒでの障害とな

る可能性がある。

 学校の教師は経験的に生徒の家庭での家族関係や経済的状況が安定 している方がスムーズに進路選択が行なわれるという共通認識を持っ ている。これは、家族関係や経済的状況といった家庭背景の安定性が 他の障害の要因を抑止したり解決したりする効果が高いという証左と 考えられる。

 また、実際に第4章で仮説的に指摘しているように、授業料減免を 受けているような相対的に不安定な家庭の子どもの方が、卒業時に進 路先未定またはフリーターになる確率が高いこともあきらかになって

いる。

第5節学校がつくりだす障害

(1)学校がつくりだす非教育的な障害の研究

 教育上、恒常的に学校は教育活動の一環として、教育的に意図した 課題を設けて学習指導や生活指導をおこなっている。いわゆるハード ルを設けて、それをクリアさせることで達成感を持たせると言う教育

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方法である。この場合、努力によってその課題がクリアできることが 前提になって指導がおこなわれるのだが、そうなることが期待できず に越えられない障害となるケースもでてくる。

 このような学校内の教育的指導のいわば障壁化について、教育学に おいて研究が行なわれている分野は二・・一カマー(newcomer)の研究 領域である。ニューカマーにとって学校は障壁だらけの存在なのであ

る。佐藤叫ま学校内の様々な障壁にっいて、制度的なハードルと呼び、

ニューカマーの子どもたちにとっては、①明確に意図された行動目標 としての教科、カリキュラムの体系、、②学校生活を通じての慣習、規 則への同化、特に無意識の同化を強いること.③進路選択の障壁一一一 があると指摘している。また、恒吉川まこのことを「一斉共同i三義」に よる学校の内部構造と指摘し、それに適応できない者には様々な障壁 のなかに置かれることになる。

 これらの指摘をもとに第4章でみた進路多様校の生徒の状況を考え ると、進路多様校においては、ニューカマーの生徒と類似した処遇を 受けている生徒が一定数いる可能性を指摘したい。とくに第4章で指 摘した、全ての進路指導のチャネルから離脱した37名には、その可 能性が考えられる。

 離脱した37名の彼/彼女らにとっては、学校が課す好ましい進路選 択に向けての教育的な課題は、彼/彼女らの目にはその多くはただの邪 魔ものにしか写らず、様々な方法で課題や指導の回避をおこない指導 から離脱したため、結果として、教育的な指導を課すことはかえって 進路選択から逆に遠ざける結果となったのである.)これについては、

今後、ニューカマー研究での研究枠組みを援用した考察も必要ではな いかと考えられる。

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(2)障害となる乗り越えられない教育的課題

 繰り返しになるが、教育においては、計画的で意図的な教育的課題 を乗り越えさせることを経験させ、未知の課題に対応する能力を習得 させることを目的としていると考えることができる。本論文では、そ のように計画的にっくられた教育課程のなかで生成される課題を[教 育的課題」ということにする。

 「教育的課題」は、適切な教育的な指導と生徒自身の学びに対する 意欲に基づく努力により乗り越えさせることを前提としているわけで あるが、現実的な問題としてすべての生徒がすべての課題をクリアす ることは困難である。そのため学校は、そのような状況に対する様々 な調整機能を作動させる。

 例えば、一度、生徒に与えた課題をより容易なものに修lilしたり、

助言や介入をおこなったり、解決までの期限を延ばすなど課題を乗り 越え易くする。また、一度、失敗しても繰り返しチャンスを与え再チ

ャレンジを促すなどの対応がなされている。しかし、この調整機能は、

他の生徒から見れば特別扱いとして映るので、一般には個別的に指導 され、場合によっては、まわりの生徒が納得するようなペナルティー

が科せられる。

 一方、生徒が学校生活を送る上では、学校に由来しない、生徒の家 族背景や文化的な基盤に起因する障害が生成され、それが学校におけ る学習や進路選択に大きな影響を与えているr)とくに、相対的に複雑 な家庭であったり、学校文化から離れたサブカルチャー(ド位文化)

に身を置く生徒が多かったりする進路多様校の場合、大きな問題にな ることは、ここまでの各章で指摘した通りである。このような学校で の教育活動や生徒の処遇に大きな影響を与えながら、学校側がコント

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