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Vol. 4 No. 4

自己点検・評価報告書

1999(平成11)−2000(平成12)年度

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刊行にあたって

関西大学

学 長

永 田 眞 三 郎

本学において自己点検・評価委員会が設置されたのは、1994(平成 6 )年 4 月である か ら 、 本 学 の 自 己 点 検 ・ 評 価 は 、 本 年 3 月で 8 年の経験を積んだことになる。同委員会 の長時間にわたる献身的な作業の成果として、ここに、第 4 回目の「関西大学『学の実 化』自己点検・評価報告書」が刊行されることとなった。 本報告書によると、今期の委員会では、自己点検・評価実施要領にある10分野のうち、 特に、「正課教育活動」、「研究活動」及び「自己点検・評価活動」の 3 分野を主たる対象 にして、その作業が進められた。さらに、それに加えて、実施要領にある10分野の項目・ 内容を視野においたうえで、「情報化」を軸とする重点的な点検・評価が行われており、 それは、本報告書のなかの特集としてまとめられている。 本報告書の構成をみると、第一に、「正課教育活動」については、第Ⅱ編において、各 学部・大学院の教育理念・目標に沿って、教員組織、入学試験、カリキュラム、授業方法 の在り方について、点検・評価の結果が整理されている。第Ⅱ編の末尾には、第 3 回目 までの報告書による指摘事項についての「現状の点検と評価及び概評」がまとめられてい る。そのなかで「達成度」が高いと評価されているものもいくつかあるが、なお引続き指 摘事項として留保されているものが多数ある。また、学部教育にあっては、18歳人口の減 少に伴う教育環境の変化に対応して、入試の在り方、カリキュラムや授業方法の在り方に ついても、新しい視点からの指摘が加えられている。特に、少人数教育やクラス編成の在 り方などについては、かなり具体的かつ現実的な提案が示されている。また、大学院教育 については、高度専門職業人の養成を主眼においた、研究機能から教育機能への相当程度 のシフトを基調とする抜本的な改革方向が提示されている。この大学院教育の機能のシフ トないし多元化を主な背景として、教員組織については、人事計画、採用形態にまで踏み 込んだ問題提起がなされている。 第二に、「研究活動」については、本報告書の第Ⅲ編において、研究体制、研究費と研 究設備、教員の研究活動・成果、学術情報・研究支援システムに分けて整理されている。 ここでも従来の指摘事項についての「現状の点検と評価及び概評」がまとめられている。 研究組織としての研究所・研究室の体制については、その運営や研究グループ及びテーマ の設定等の問題点が、引続き指摘事項として留保されているものも少なくない。もっとも、 経済・政治研究所ではプロジェクト型研究への転換を機軸とする大規模な組織改革が行わ れている(2001 (平成13)年10月)。さらに、工業技術研究所は、先端科学技術推進機構 に名称を変更して、研究グループをいくつかの現代型テーマに集約したものに再編成し、 ハイテク・リサーチ・センターや学術フロンティア事業も組み込んだ組織として新たな出 発をする(2002 (平成14)年 4 月)。一方、教員の 研究活動については、特に、科学研究 費等のいわゆる競争的研究資金獲得への意欲の促進が強調されている。また、図書館及び 情報処理センターの整備充実については、この報告書において示唆に富む提示がなされて いるが、この問題については、現在、将来構想計画検討委員会に対して諮問し、中間報告

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る。その点検・評価の対象ないし内容としては、本学の情報化の現状、情報リテラシーと いう視点からみた情報教育、インターネット時代の教育・研究環境の整備、情報化と社会 貢献、学内組織の運営における情報化がとりあげられている。それぞれの項目について、 きわめて詳細な整理と綿密な分析がなされている。特に、パソコンとインターネットの時 代における情報教育の在り方、研究支援の在り方については、新しい状況を踏まえた大胆 な転換を迫る提言となっている。また、大学の運営における情報システム(情報作成と情 報開示)にも踏み込んで、その公正さと効率性の改善に向けた、積極的な問題提起もなさ れている。 今日、大学の教育研究活動は、内からよりもむしろ外から、その改革を迫るさまざまな 意 見 や 批 判 に さ ら さ れ て い る 。 そ の 意 見 や 批 判 は 、 連 関 す る 2 つのスタンスのもとで提 示されているといえよう。その一つは、それぞれの大学は、本当に、高等教育の拠点とし て優れた人材を養成してきたのか、学術・文化の創造の拠点として社会に貢献してきたの か、というスタンスからのものである。これは、「大学の教育・研究の品質」に向けられ た問いかけである。それに続くもう一つは、それぞれの大学に対して、これまでのように 社会が資源配分するだけの意味がどの程度あるのか、というスタンスからのものである。 これは、大学の教育・研究への「資源配分のための指標」、つまり費用対効果や効率性の 視点からの問いかけであり、ともすればいわゆる「格付け」に繋がりかねない問いかけで もある。 本学の自己点検・評価は、いうまでもなく、前者の意味での、「教育・研究の品質」の 向上を目的とする点検・評価であるが、この自己点検・評価という制度ないし仕組み自体 が 、 目 下 、 大 き な 転 換 期 を 迎 え よ う と し て い る 。 ま ず 、 国 公 私 立 の 全 国262 大 学 ( 正 会 員)によって組織される大学基準協会では、1996(平成 8 )年度から、各大学の自己点 検・評価報告書を踏まえた「相互評価」制度の採用に踏み切っている。2001(平成13)年 度までに、本学も含め95の大学がこの「相互評価」を申請し、大学基準協会の構成メンバ ーから選ばれた審査委員による審査に基づいて、同協会から改善に向けた助言及び勧告を 受けている。他方、大学評価・学位授与機構では、国立大学の独立行政法人(国立大学法 人)化を見越して、国立大学に限って大学関係者以外の委員を含む委員会による「第三者 評価」が始まっている。文部科学省の大学設置基準においても、この「第三者評価」が努 力規定として置かれ、さらに、法曹養成制度として2004(平成16)年に創設される法科大 学院のような専門大学院については、第三者機関による評価を受けることが義務づけられ ている。本報告書でも指摘されているように、いまや、大学のステークホルダーに対する 説明責任を果たす基礎資料としては、情報開示、自己点検・評価だけでなく、「第三者評 価」の結果までが求められる状況にある。 この「第三者評価」となると、上記のように、「大学の教育・研究の品質」の維持・改 善に向けたものにとどまらず、大学の教育・研究への「資源配分のための指標」を提供す るという局面にも繋がっていく。教育・研究とて授業料や助成金などの対価という側面を もっていることからすれば、やはり効率性をまったく無視することはできないのであり、 その意味では、「資源配分のための指標」をも提供する「第三者評価」を受け入れざるを

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えない状況にあるといえよう。しかし、大学は、収益性といった指標で教育・研究に取り 組んでいるわけではなく、むしろそうした指標で推し量れないからこそ、企業ではなく、 大 学 が 教 育 ・ 研 究 を 担 っ て い る の で あ る 。 し た が っ て 、「 第 三 者 評 価 」 は 決 し て 「 格 付 け」のための評価ではないということを明確に認識しておかないと、高等教育の拠点であ り、学術・文化の創造の拠点としての向上をめざす、本来の大学の存在意義を見失うこと になりかねない。 最後に、本学の教育研究にかかる厖大な素材を整理・分析され、報告書としてまとめあ げていただきました、自己点検・評価委員会の小林武委員長、岡徹副委員長はじめ委員各 位及び事務職員の方々に、心から敬意と感謝の意を捧げたいと思います。本報告書では、 この自己点検・評価の作業の在り方をも含め、教育・研究活動に関する数々の重みのある ご示唆やご提言をいただきました。これらを本学の現在と将来に最大限生かすよう力を尽 くすことこそが、ご尽力いただいた方々の労に報いることになると心に期しています。 2002(平成14)年 3 月

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刊行にあたって

関西大学 学長 永 田 眞 三 郎 巻頭

まえがき ... ⅵ

第I編 −特集− 情報化

1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (1) 「情報化」とは〈3〉 (2) 自己点検・評価の視点〈3〉 (3) 自己点検・評価の項目〈5〉 2 「情報化」と関西大学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (1) 関西大学の教育理念と「情報化」〈6〉 ア 建学理念の沿革 イ 建学理念と情報化 (2) 「情報化」理念の展開と近年の学外動向〈6〉 ア 情報通信基盤の整備と情報教育 イ 新しい理念構築の提言と組織・体制の変更 ウ 「情報化」に関する学外動向と課題 (3) 「情報化」に関する将来構想〈10〉 3 情報リテラシー教育とインターネットを利用した教育環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (1) 情報リテラシー教育〈14〉 ア 一般教育科目「情報処理論」設置の経緯 イ 「情報処理論」の内容とその特色と、一般教育等の新カリキュラムの実施 ウ 「情報処理論」(Aセッション)の経過 エ 「情報処理論(B、Cセッション)」の経過 オ 情報処理基礎教育の現在:面談調査結果に基づく点検 カ 情報処理基礎教育の現状評価と今後の展開 (2) インターネットを利用した教育環境〈35〉 ア インターネットの利用状況 イ ITの教育などへの利用状況 ウ 支援体制 エ 利用目的と利用の障害 オ インターネットの可能性 カ おわりに 4 「情報化」と教育・研究支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59 (1) 図書館サービスの「情報化」への対応〈59〉 ア 学術情報 イ パブリックサービスと情報 (2) 視聴覚教室(外国語教育研究機構)・博物館と学習支援〈64〉 ア 視聴覚教室のサービスと情報 イ 博物館の公開と情報 (3) 情報処理センターと教育・研究支援〈68〉

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ア 情報処理センターの活動 イ 情報処理センターの各種施設・設備・活用 ウ ネットワーク・インターネットの環境・整備 エ ジョイント・サテライト事業 オ マルチメディア教育・研究環境 カ 事務情報の活用 キ 補助金と情報化 ク 点検・評価のまとめ (4) 各学部・機構・大学院・研究所の情報環境設備(教育・研究)〈76〉 ア 各学部・機構と大学院の施設・設備とその利用状況 イ 研究所・研究室の施設・設備とその利用 (5) 「情報化」と教員サービス〈79〉 ア 教育支援サービス イ 研究支援サービス (6) 「情報化」と学生サービス〈81〉 ア 奨学金 イ アルバイト ウ 寮・下宿 エ 健康管理 オ 就職 5 「情報化」と社会への貢献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83 (1) 生涯学習〈83〉 ア 本学における生涯学習の取り組み イ ホームページによる情報発信 (2) 研究成果の開放・研究協力〈84〉 ア 学術情報データベース イ 各学部の学会(紀要編集委員会)、各研究所等の情報発信 (3) 大学広報〈90〉 ア 本学における大学広報 イ ホームページによる情報発信 6 運営における「情報化」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 (1) 各種会議・委員会等の情報公開〈92〉 ア 「情報化」と情報公開 イ 議事録の情報公開 ウ 調査項目と結果 エ 分析と評価 (2) 情報システムの企画と運営機関の在り方〈97〉 ア 社会における情報化の進展と情報システム イ 学内の情報システム ウ 企画と運営の組織 エ 企画と運営機関の在り方の評価 オ 機関の自己変革を妨げる要因の検討 カ 機関の自己変革の方向性 7 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117 (1) 自己点検・評価結果の要約〈117〉 (2) 関西大学のさらなる「情報化」に向けて〈127〉 8 資料 130

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第Ⅱ編 正課教育活動〈学部・大学院〉

1 目 標 147 (1) 教育理念・目標〈147〉 (2) 正課教育の概況と問題点〈148〉 ア 変動する社会のなかでの高等教育 イ 第2部教育 ウ 大学院教育 2 教育職員 151 (1) 教員組織〈151〉 ア 大学教員の構成 イ 教員数 ウ 教員に占める女性教員の比率 エ 教員の平均年齢・勤続年数 オ 教員の出身大学 (2) 人事計画〈154〉 ア 教員人事に関する各教授会規程 イ 人事計画の現状 ウ 今後の人事計画の在り方 3 学生の受け入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 156 (1) 入学試験制度と組織〈156〉 (2) 学部における入学試験〈157〉 ア 一般入学試験 イ 推薦入学 ウ AO入学試験 エ 関西大学第一高等学校卒業見込者入学試験 オ デュアル・ディグリー入学試験 カ 社会人入学試験 キ 外国人学部留学生入学試験 ク 帰国生徒入学試験 ケ 編・転入学試験 (3) 大学院における入学試験〈162〉 ア 博士課程前期課程・修士課程 イ 博士課程後期課程 (4) その他の学生受け入れ〈165〉 ア 学 部 イ 大学院 (5) 入学試験広報〈165〉 (6) 今後の課題と展望〈166〉 4 教育指導・授業方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 167 (1) カリキュラム編成〈167〉 ア カリキュラム編成方針 イ 教育内容とカリキュラム全体の関係 (2) 教育指導方法〈184〉

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ア 教員の授業担当 イ クラス編成の在り方 ウ 教育補助者 エ 単位互換 オ 授業計画(シラバス)の検討と活用 カ 附置研究所(室)の教育活動への連携 キ 学生の研究発表 (3) 授業方法〈191〉 ア 学内共用施設の利用 イ 特別講義・講演 ウ 授業方法の工夫・研究 (4) 授業評価〈194〉 ア 授業評価の現状と事例 イ 授業評価の意義 ウ 授業評価の主体と対象 エ 授業評価の方法 オ 授業評価の課題(調査実施などの支援体制の整備) 参考記事:FD部門・授業評価部門委員会の取り組みについて〈196〉 5 成績評価 199 (1) 成績評価・単位認定〈199〉 ア 成績評価 イ 単位認定 (2) 学位審査〈205〉 ア 学位取得状況と今後の課題 自己点検・評価指摘事項の達成度評価表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 207

第Ⅲ編 研究活動

1 研究体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 239 (1) 研究組織〈239〉 ア 学部・外国語教育研究機構 イ 大学院 ウ 研究所・研究室 (2) 研究員・研修員制度〈258〉 2 研究費と研究設備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 260 (1) 個人研究費〈262〉 (2) 教育研究用機器備品費〈262〉 (3) 学内の研究費補助〈263〉 ア 学術研究助成基金による助成 イ 重点領域研究助成 ウ 特別研究・教育促進費 エ 学部共同研究費 (4) 外部資金の導入〈265〉 ア 科学研究費補助費 イ 公的法人からの研究費

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3 教員の研究活動・研究成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 273 (1) 研究活動の評価の問題点〈273〉 (2) 研究成果とその開示〈274〉 (3) 学会活動〈280〉 (4) 学術交流〈281〉 ア 産官学連携 イ 国際交流 (5) 学位の授与・取得〈285〉 4 学術情報・研究支援システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 288 (1) 図書館の整備充実〈288〉 ア 研究者サービスの充実に向けた環境整備 イ 図書館データベースの構築状況 ウ 図書館のオープンシステム化(学術情報システムの整備) (2) 情報処理センターの整備充実〈292〉 ア システム構成と利用状況 イ マルチメディア教室とジョイント・サテライトの利用状況 ウ 今後の情報処理センターの整備充実 自己点検・評価指摘事項の達成度評価表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 295

第Ⅳ編 自己点検・評価活動

1 今期委員会の活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 329 (1) 今期委員会の活動方針…「重点化」〈329〉 (2) 「データブック」の刊行〈329〉 (3) 「研究総覧」の刊行〈330〉 (4) 自己点検・評価のための資料収集〈330〉 (5) 自己点検・評価刊行物の公表〈331〉 2 自己点検・評価活動の今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 332 (1) 自己点検・評価活動のサイクルと重点化〈332〉 (2) 自己点検・評価委員会の構成〈332〉 (3) 自己点検・評価委員会の運営〈333〉 (4) 各個別組織の自己点検・評価委員会との関係〈333〉 (5) 第三者評価に向けて〈334〉 相互評価の認定に伴う「助言・勧告」事項に係る改善報告書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 335

〔資 料〕

1 自己点検・評価委員会の活動記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 355 2 委員会の規程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 358 (1) 関西大学自己点検・評価委員会規程〈358〉 (2) 関西大学自己点検・評価実施要領〈360〉 3 関西大学自己点検・評価委員会名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 364

あとがき

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 365

(10)

ま え が き

関西大学自己点検・評価委員会の活動が開始されてから、今期で第 4 期目になる。過去 3 期 6 年にわたる同委員会によって点検・評価に関する基本的な路線が敷かれていたこと は今期委員会が活動を開始するにあたってきわめて有効な参考資料となったことは言うま で も な い 。 今 期 の 委 員 に お い て も 本 学 の 実 際 の 姿 が 反 映 し て い る 『 デ ー タ ブ ッ ク 』 の 刊 行、及び専任教育職員の個人研究活動の成果と各研究機関における活動成果の集大成とも 言うべき『研究総覧』を発行してきた。今期の委員会が刊行する最終出版物になる本書は 今までの委員会が築いた路線を継承しつつも、本自己点検・評価委員会の独自性を織り込 んだ報告書となっており、 2 年間にわたる今期委員会の集大成であり、それなりの意義を 持つものであろうと確信している。 昨 今 、 社 会 の 変 動 が 著 し く 、 変 革 の 時 代 と 言 わ れ て い る な か で 、 大 学 も そ の 例 外 で な い 。 大 学 に お け る 教 育 ・ 研 究 の 在 り 方 が 問 わ れ 、 変 革 が 求 め ら れ て い る 。 そ の 一 例 と し て、国立大学の再編・統合に向けてこの改革の具体的な動き、あるいは大学生の学力不足 の解消に対する模索などが挙げられよう。ことに後者については技術系学部においては切 実な問題であり、科学技術立国であるわが国の大学教育レベルを上げ、優秀な技術者を育 てることが必要であるとした観点から、関連学協会が中心になって1999年に「日本技術者 教育認定機構」(JABEE)を設立した。本学工学部材料工学科が2001年12月にこのJABEE の試行審査を受け、その結果を踏まえて2002 年度に本審査を受けるべく、準備を行ってい る 。 し た が っ て2002年 3 月にJABEEの認定を受けた学生が卒業する可能性も出てきてい る。さらに法科大学院開設問題も大学改革の一端に位置づけられよう。本学においても法 科大学院開設に向けて着々と準備が進められている。 さて、大学における教育・研究の在り方が問われ、18歳人口の激減、学生の多様化、学 力低下等が新たな教育環境問題として浮上する中で、今期の委員会では、本学における教 育・研究の向上と発展に寄与することを自己点検・評価の目的とした。すなわち、過去 3 期 6 年にわたって継承してきた基本的な活動方針を踏まえつつ、総花的に本学の現状と推 移を単に披瀝するのみならず、深く掘り下げて分析し、包含する問題を明確にして抜本的 な改善策へ結びつけることに重きを置いた。そのために今期委員会では時間的な制約と量 的限界に配慮して重点的点検・評価を行うことにした。今期委員会では、自己点検・評価 実施要 領の10分野のうち、継続して点検・評価すべき「正課教育活動」「研究活動」及び 「自己点検・評価活動」の 3 分野に限定した。このうち「正課教育活動」と「研究活動」 の 2 分野について、過去 3 期の委員会における自己点検・評価指摘事項を洗い出し、改 善・改革状況の調査を行い、その達成度、難易度あるいは改善の方向性などを調べた。そ の結果を踏まえて、今期の点検・評価の活動に移行した。なお、他の分野については次期 以降の委員会に委ねることとした。また、自己点検・評価実施要領の( 3-2 ) ③ (3)に「自 己 点 検 ・ 評 価 に 関 す る 基 本 的 内 容 に よ っ て 大 学 の 活 動 の 現 状 と 推 移 が 把 握 で き る と と も に、時機に応じた『特集的内容』をも加味するようにする」とある。そこで、今期委員会 では、本学が直面している課題の中から重要なテーマを定め、それを評価軸に設定して、 自己点検・評価実施要領の10分野のなかで関連する項目・内容を摘出して重点的に点検・ 評価を行った。すなわち、評価軸として「情報化」に着目して点検・評価を行った。関西 大学では「情報化社会 への対応」が教育理念の一つになっており、「情報化」を評価軸と することは、本学の教育理念を視点として点検・評価することにもなる。グローバル化を 特徴として急速に変化しつつある社会の中で、情報通信技術の進展による社会の変革と大

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以上のように、本報告書は 4 編から構成されており、第Ⅰ編は−特集−情報化、第Ⅱ編 は正課教育活動<学部・大学院>、第Ⅲ編は研究活動、第Ⅳ編は自己点検・評価活動であ る。 上記のような基本計画で効果的かつ効率的に活動を進行するために、部会による分担制 を 採 用 し た 。 す な わ ち 、 第 1 部会:−特集−情報化、第 2 部会:正課教育活動、第 3 部 会:研究活動の 3 部会とし、各委員はいずれかの部会に所属して活動した。さて、点検・ 評価活動が進むにつれて難しい問題に遭遇することになった。全学的な了解を得て行った アンケート調査、個別組織・機関に予め申し込んで(了解を得て行う)ヒヤリング及び依 頼調査を実施するにつれて、関西大学自己点検・評価委員会規程(第 2 条第 2 項)「委員 会は、その任務を遂行するに当たって、個人の権利と学部の自治等各機関の自主性を尊重 するものとする。」に直面したことである。個人の権利はもとより、各機関の自主性を尊 重しつつ、点検・評価活動を遂行する難しさを知らされた。今後、早晩第三者機関の評価 を受けるであろうが、その時の難しさにつながる思いがした。 最後に、限られた時間のなかで、アンケート調査、ヒヤリング及び依頼調査に快くご協 力下さった学部・機構、個別組織・機関の方々に心よりお礼申し上げます。さらに自己点 検・評価活動を遂行するに当たり当該事務局の関係者の方々並びに今期委員会の方々に厚 く御礼申し上げます。本報告書が本学の教育・研究の向上・発展に大きく寄与することを 願う次第である。 2002(平成14)年 3 月 関西大学自己点検・評価委員会 委員長

小 林 武

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1 はじめに

第Ⅰ編 −特集− 情報化

1 はじめに

今期委員会の自己点検・評価は、「情報化」を一つの軸として選択し重点的に点検・評価を実施することと なった。ここではまず、「情報化」をどのような意味で用いるのか説明し、ついで点検・評価の視点を述べ、 点検・評価事項を紹介する。

(1) 「情報化」とは

関西大学は「情報化社会への対応」を教育理念の一つとしてきた。今期委員会の「情報化」を軸とする自 己点検・評価は、この理念およびこの理念を視点とした点検・評価とする。 「情報化社会への対応」を取り上げるにあたり、まず「情報化社会」とその現代的特徴に触れる。「情報化 社会」とは、情報が物質やエネルギーと同等あるいはそれ以上の重要な資源となり、その価値を中心に社 会・経済が発展していく社会をいう。日本の情報化は1970年代から電子技術・通信技術の急速な発展(高度 情報化現象)を背景として進められてきた。さらに1990年代になるとパソコンの高機能化やコンピュータの ネットワーク接続が進み、1990年代半ばからはインターネットが急速に全世界に広がり、瞬時に双方向での 大量の情報交換が可能となった。これらの情報通信技術の進歩は情報伝達に劇的な変化をもたらし、産業界 を始め地球規模での社会を大きく変えつつある。 現在顕著になっている情報化社会の特徴は、社会、経済、文化におけるグローバル化の急速な進展と、国 際的な流動性の高まりである。文化面に限れば、インターネット等の情報通信技術の急速な発展は、「知」の 創造と伝達の方法を大きく変化させつつある。諸大学では、グローバル化に対応した教育改革が進められて おり、教育内容の見直し、情報通信技術の活用をはじめとする様々な新しい企画/検討が開始されている。 このような情報化社会の中に置かれている関西大学における今回の自己点検・評価では、「情報化社会への 対応」を軸とする点検・評価を、『グローバル化を今日の特徴として急速に変化しつづける情報化社会の中で、 大学に対する社会のニーズに応えかつ大学内及び大学間での情報化を促進する様々な活動を、教職員個人の レベルから大学全体までの各次元において点検・評価すること』と定義する。

(2) 自己点検・評価の視点

今期の自己点検・評価委員会で「情報化」を評価軸として点検・評価を行うにあたっては、過去 3 回にわた る「自己点検・評価報告書」で「情報化」という視点においてどのように点検・評価がなされてきたかまず 検討した。この点に関して前回の「自己点検・評価報告書(1997−1998)」(対象期間は1997年 4 月∼1999 年 3 月)を参照すると、そこでは情報化社会への対応という視点を個別に取り出して点検・評価はなされていな いものの、点検・評価のすべての項目にわたって社会の情報化進展が意識されている。前回の「自己点検・ 評価報告書(1997−1998)」では、情報化社会への対応を目的として実施されたこと、例えば、情報関連カリ キュラム、情報通信機器設備の充実、情報システムの更新、総合情報学部での教育推進などが広範囲に取り 上げられている。 「情報化」に関する前回までの点検・評価の視点は、主に‘ソフト’面よりも‘ハード’面の視点が中心 となっている。ここで‘ハード’とは、設備・施設など情報化推進のための情報通信基盤(インフラストラ クチャー)を指し、‘ソフト’とは、主として設備の利用や制度、組織の運用を指す。

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今回の「情報化」を軸とした点検・評価は、‘ソフト’面での点検・評価を重視し、かつ‘ハード’面での 評価も前期と同様に行うことで特色を持たせる。 「情報化」を軸とした点検・評価の視点としては具体的には以下の視点を設定した。 ‘ハード’面 情報通信基盤:情報通信基盤の整備 1.社会における急激に進展する情報通信技術に対応した情報通信基盤の整備が適切になされているか。 2.全学的な観点で整備が適切に進められているか。 3.将来の変化の予測の下に整備がなされているか。 4.情報通信技術の進展に対し、計画変更も含めた柔軟な対応がとられているか。 5.コスト・パフォーマンスの点で適切な選択がなされているか。 ‘ソフト’面 教育内容:教育内容と社会への対応 1.情報化の進展に伴う社会のニーズを見いだし、それに積極的に対応を試みているか。 2.初等中等教育における「情報化」の進行に対する、大学での教育内容を中心とした対応が進んでい るか。 3.「人材の育成」が、情報化が進展する社会のニーズに応えることを意識して積極的に推進されてい るか。 4.情報化の進展に伴い社会に生じる諸問題に対して、教育面での対応が進められているか。 5.教員の「情報化」に対する意識を深めるための対応がなされているか。 基盤活用:情報通信基盤の活用 1.整備した情報通信基盤が活用されているか。 2.情報通信基盤を活用するためのコンテンツ制作支援などの対応がとられているか。 3.社会のグローバル化状況に対し積極的に対応しているか。 4.教育の質を高めるための対応がとられているか。 5.情報化の進展に対応して、情報基盤を活用するための制度上の改革が積極的に行われているか。 意思決定:情報化推進にかかる意思決定機関の在り方 1.情報化推進を各部署で進めるにあたって、全学的観点での意思決定がなされているか。 2.急激に進展している情報通信技術や情報システム技術の専門的知識が求められる情報システムの構 築等について、意思決定を適切に行える組織の構成となっているか。 3.意思決定にかかる手順(企画/立案/決定/実施/評価)と時期が適切に実施できる機関の在り方にな っているか。 情報公開:大学内部における情報化 1.情報化の進展が急激である社会環境下で、大学内の各組織における意思決定過程が適切かつ柔軟に 対応できているか。 2.意思決定過程の情報開示が戦略的な判断の下で進められているか。 3.意思決定過程における責任の所在が明確化され、大学内部に対してアカウンタビリティのある形で 情報公開がなされているか。 なお、各分野・項目にて点検・評価を実施する際の具体的な評価基準については、評価対象に応じて個別 に設定した。

(14)

1 はじめに

(3) 自己点検・評価の項目

点検・評価の対象は「自己点検・評価の分野と項目・内容」の中から「情報化」に関連するものを選び出 した。具体的には、前回の「自己点検評価・報告書(1997−1998)」の‘情報’のキーワードを含む記述をす べて抜き出し検討し、さらに新たな内容を追加した。 今回の「情報化」を軸とする点検・評価の報告は、次のような章構成をとる。 第 2 章では、「情報化」と関西大学、 第 3 章では、情報リテラシー教育とインターネットを利用したの教育環境、 第 4 章では、「情報化」と教育・研究支援、 第 5 章では、「情報化」と社会への貢献、 第 6 章では、運営における「情報化」、 について記述する。 最後に第 7 章にて、「情報化」を評価軸とする自己点検・評価結果を主な指摘事項を中心に要約し、関西大 学のさらなる「情報化」に向けて方向性を示唆する。

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2 「情報化」と関西大学

(1) 関西大学の教育理念と「情報化」

ア 建学理念の沿革

関西大学の前身である関西法律学校は1886年に創立されたが、その創設の趣旨は近代国家の構成員として 必要な法知識の涵養と普及のための教育を行うことにあった。当初の建学の精神は、後に「正義と自由」や 「正義を権力より護れ」という言葉で展開され、本学の学風を示すスローガンとして定着し、今日に至るま で受け継がれてきた。 1922年、関西大学は大学令による大学(旧制)へ昇格したが、その直前に総理事(兼学長)として山岡順 太郎を迎えた。関西財界の巨頭として知られた山岡は、関西大学の興隆について熟考した末、「学の実化」と いうスローガンを教育理念として提唱した。そこには、未来を見据えた建学の精神のさらなる展開を期する ものがあった。山岡は、この理念を具現化するために 4 本の柱を立てた。すなわち「学理と実際との調和」 「国際的精神の涵養」「体育の奨励」及び「外国語学習の必要」である。 1948年 4 月に学制改革が行われ、関西大学は新制大学となった。この学制改革の前年に本学卒業生で初の学 長となった岩崎卯一は、大学の復興と新たな出発を促すために「関大ルネッサンス」「関大アカデミア」及び 「ハイト関大」を矢継ぎばやに提唱した。それとともに、岩崎は「正義と自由」「正義を権力より護れ」とい う表現を作り上げ、本学の学風を示す標語として広めた。 1960年代の末頃から全国的にいわゆる大学紛争が起こり、関西大学もその渦中に巻き込まれた。そして、 関西大学において現状の改革を目指し新たに提唱されたのが「開かれた大学」理念であった。当初、この 「開かれた大学」理念を展開する過程で「国際化」と「情報化」が打ち出されたが、若干の変遷を経て「開 かれた大学」「国際化の促進」及び「情報化社会への対応」が新しい理念として改めて提唱され、これらの新 理念が学内に定着し今日に至っている。

イ 建学理念と情報化

本学は現在、「開かれた大学」「国際化の促進」「情報化社会への対応」という 3 本柱を教育理念として有し ているが、それは山岡の提起した「学の実化」を構成する 4 本の柱を原点とし、岩崎の大学復興にかけた情熱 を受け継いで打ち出されたものである。教育理念の中で「情報化社会への対応」は、1970年代から進められ てきた日本の社会における電子技術・通信技術の急速な発展(高度情報化現象)の下で、学理と実際との調 和を図るという「学の実化」を具現化したものといえる。

(2) 「情報化」理念の展開と近年の学外動向

ア 情報通信基盤の整備と情報教育

1970年代以降、日本社会の高度情報化現象に対応すべく、関西大学においても教育研究における情報化へ の対応とそれらを支援するための設備・施設(情報通信基盤)の整備が進められた。この情報化社会への対 応が実践される過程で、「情報化」理念が定着してきたといえる。ここでは、情報通信基盤の整備と教育及び その支援に関してその経緯を概観する。 本学にコンピュータシステムが導入されたのは1971年 3 月である。工業技術研究所内に電子計算機室が設け られ、そこに研究用装置として設置された計算機は数値計算や統計解析に利用された。またこの計算機を用 いて、計算機応用関係の授業科目や一部の実習科目で情報処理関係の教育に利用された。 1982年 4 月、情報化社会の進展に伴い、電子計算機室は情報処理センターと名称を変え、従来からの研究利 用に加えて教育及び事務分野での利用を加えた総合的サービス機関として新たなスタートを切った。さらに、

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2 「情報化」と関西大学 図書館と情報処理センターを収めた「総合図書館・情報処理センター」の竣工に伴い、1985年 1 月より新施設 で情報処理センターの業務を開始した。1986年度からはTSS端末を設置した教室が 6 室(センター 2 室、学部 ステーション 4 室)開設された。また工学部にはCAD教室 2 室が1987年度から開設された。このようにして 学内の初期の情報通信基盤が整備された。 文部省(現在、文部科学省)の情報処理教育に関する会議は1972年 5 月に、最終報告「情報処理教育振興の 基本構想」をまとめ、学生一般に対する情報処理入門教育の実施を説いた。1974年からは大型計算機センタ ーのシステムを研究のほか教育・事務処理にも利用する方針を明確にし、私立大学に対する研究等設備整備 費補助金の対象を一般学生の情報処理教育の設備にまで拡げた。 本学では、1985年度より一般教育科目(自然科学系列)として「情報処理論(実習を含む)」が開設され、 上述のTSS端末設置の教室にて実習が実施された。この科目は若干の変更がなされたものの現在まで継続し ている。(この経緯や現状についての点検・評価は本報告書第Ⅰ編第 3 章を参照。) 1985年以降、大型汎用コンピュータの更新やスーパーコンピュータの導入により計算機システムの高性能 化が図られると共に、ネットワーク技術の発展に伴い学内に設置されているワークステーションや多数のパ ソコン等のネットワーク化が進められた。1995年ごろまでには100MbpsのFDDIループを基幹とした学内のネ ットワーク化が完成し、1996年には教員の個人研究室や共同研究室に情報コンセントが設置され、すべての 研究室からネットワークに接続できる環境が整備された。 教学体制の面では、1994年 4 月に総合情報学部を創設した。この総合情報学部は、われわれの直面する様々 な領域の問題を「情報」の視点から解明し、その理論的知識と情報リテラシーを身につけた人材を育成する ことを目的として教育・研究を行うことにより、情報化社会のニーズに応えようとしている。1998年 4 月には 同学部に大学院博士課程前期課程、2000年 4 月には同後期課程が開設され、より高度な教育・研究が進められ ている。 教育・研究支援の観点からは、図書館が中心的な役割を担っている。1985年の総合図書館開設以来、「学術 情報の中枢機能を担う」ことを基本理念として、教育研究上必要な資料の収集、整理及び提供を行い、かつ 情報の処理及び提供のシステムを整備してきた。蔵書検索サービスに関しては、1985年に蔵書検索KULシス テム、1989年改訂版KUL-Ⅱシステムの開発が行われた。また、1992年には学術情報センターとの接続が行わ れ、既蔵書の遡及入力作業、相互利用等に活用されている。1995年にはCD-ROMサーバが導入され、館内及 び高槻キャンパス図書室、学部資料室への公開が始められた。 さらに、本学の事務部門においても各種業務の情報システム化が進められてきた。教務事務関係は情報処 理センターによる内部開発、入学試験業務や給与支給業務などは外部業者委託により、各部署の必要に応じ てシステム開発が進められてきた。 以上のような経過を経て、学内における情報通信基盤の整備と教育及び教育体制、教育サービスの情報化 が進められ1990年代中頃には一定の段階に達した。しかし、情報通信技術の革新は極めて急である。米国・ 国防総省が1960年代末から計画開発し、1980年代中頃には全米科学財団(NSF)が基幹ネットワークの構築・ 運用を行い全米の大学・研究機関に一気に拡大したインターネットは、1990年代中頃に本格的な商用化が推 進され、日本国内でも急激に普及が進みだした。さらにコンピュータの高機能化と低価格化が進行し、パソ コンでマルチメディア処理が容易に行えるようになった。 このようなインターネットの拡大と情報のマルチメディア化進行の中で、1996年10月から関西大学ホーム ページの正式運用が始まり、各部署が学生などの協力を得て作成した多様なコンテンツがインターネット上

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情報処理センターでは、1997年 5 月に「中期情報化推進計画」をまとめ、教育・研究用システムやキャンパ スネットワークについて具体的な提案を行った。この計画に基づいて、情報処理センターのマルチメディア への対応が本格的に始まると共に、学内ネットワークの基幹にATM高速ネットワークを導入し、また学外と のインターネット接続を強化するなどネットワーク環境の整備が進められている。さらに1998年 3 月には「私 立大学ジョイント・サテライト事業」に参加し、SCS(Space Collaboration System)の整備を行った。また、 1998年 8 月には、VODサーバとマルチメディア教材作成システムを導入し「デジタル工房」を開設した。 1999年 6 月にはマルチメディアに対応可能なサテライトステーション 2 室を開設した。2000年 7 月には新大学 院棟「尚文館」が竣工し、マルチメディアAV大教室、マルチメディアAVブースを設置し、「デジタル工房」 も移設した。 学術情報の中枢機能を担う図書館は、インターネットの普及とCD-ROMや電子出版など情報のデジタル化 によって、紙を中心とした来館型の図書館から、遠隔地からでもアクセスできかつ多様なメディアを包含し た図書館へと転換していく必要性に迫られ、極めて大きな変革期を迎えている。1996年からはWebで利用で きる蔵書検索システムKOALA(Web版)が開発され、運用されている。続いて1998年、外国雑誌目次検索 システムの運用が開始された。図書館は1998年12月、「関西大学図書館が目指す方向(ビジョン 7 項目)」を定 め、具現化を進めている。例えば、図書館ホームページを電子カウンターと位置づけ、各種サービスの展開 を始めている。このビジョンを展開することにより、メディア多様化の対応とオープンシステム化の計画推 進、サービスの拡大とアウトソーシングの積極的活用を目指している。 さらに、就職情報検索システムや教務インフォメーションシステムも、インターネット上で利用できるWeb 版学生就職支援システムKIPSやWeb版インフォメーションシステムに更新され、学生へのサービスが向上し た。 以上に概観したように、過去20年以上にわたり学内における各種の情報通信基盤の整備や教育研究に対す る支援、総合情報学部の創設など、情報化推進が具体的に実践されてきた。この過程を経ることにより教育 理念の一つである「情報化」の理念が学内に定着した。

イ 新しい理念構築の提言と組織・体制の変更

1994年 4 月に発足した第 1 期の自己点検・評価委員会の「自己点検・評価報告書(1993−1994)」による教 育研究上の問題点や改善点の指摘を受けて、教学の新しい展開を目指す将来構想計画委員会が、1996年 9 月、 学長の諮問機関として設置された。同委員会では、「関西大学自己点検・評価報告書(1993−1994)」(1996年 3 月発行)において指摘された本学の教育・研究における300有余の項目にわたる問題点について検討を行い、 1998年 9 月には「関西大学の将来構想−創造的に前進する大学を目指して(最終報告)」を学長に提出した。 その「自己点検・評価報告書(1993−1994)」では次のように関西大学の新しい教育理念構築の提言がなさ れている。 『・・・ しかし、変革の時代にあって、21世紀の関西大学の輝かしい発展を期するためには従来の理念を超 越した新しい教育理念を構築し、それを新しい教学方針として前進して行く必要があろう。 ・・・ 新しい 理念構築のために立脚すべき基盤要素としては、「人間(human )」を中心にし、「情報(information )」と 「技術(technology)」、そしてこれらを包含する「社会(society)」の 4 要素が望ましいと考えられる。これ ら 4 要素を基盤とする理念に基づいて大学教育を革新し推進することによって、21世紀の社会が要請する人 材を育成し、関西大学から輩出しようというわけである。そのためには、「個性化と多様」「グローバル化 とネットワーク化」「開放と交流」といった理念的目標を21世紀の関西大学の新しい教学方針とすることが 考えられよう。』

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2 「情報化」と関西大学 ここでは、従来の 3 理念の一つとして扱ってきた「情報化」に代わり、「情報」を理念構築の 4 基盤要素の一 つと位置づけた新しい理念を構築することが提言されている。 さらに同委員会は1999年 2 月に学長より 4 項目からなる「教育の質の向上をはかる具体的方策について」の 諮問を受け、同年 3 月にそのうちの「Ⅰ.CS放送を利用した教育事業」、及び「Ⅱ.教育の「質」の維持・向 上を図るための具体的方策」について、同年 7 月と11月にそれぞれ「Ⅲ.全学的教育組織の改組・転換」と 「Ⅳ.補助教員・研究員(TA、RA、客員研究員)制度のあり方」について答申を行った。 これらの答申のうち、「全学的教育組織の改組・転換」の答申を踏まえ、2000年 4 月から全学共通教育推進 機構と外国語教育研究機構が発足した。本学において教育面での「情報化」推進を担うものとして1985年か ら全学的に実施されてきた「情報処理論」や関連科目は、全学共通教育推進機構がその運営にあたることと なった。「情報処理論」のような全学の学生を対象とした情報基礎教育については、本報告書第Ⅰ編第 3 章 (1) 情報リテラシー教育、で点検・評価されているように、グローバル化に対応して抜本的な見直しが必 要と考えられる。現在実施されている情報基礎教育は従来からの延長線上にあるので、今後全学共通教育推 進機構の中で教育内容の改革が進められることを期待したい。 以上概観したように、「情報化」の推進に関しては、本学では継続して情報通信基盤の整備が進められ、個 別に新規事業が実施されている状況であり、新しい理念はまだ構築の段階に至っていないと考えてよい。し たがって、「情報」に直接関連する理念は、従来の「情報化社会への対応」がそのまま存続していると理解す るのが自然である。

ウ 「情報化」に関する学外動向と課題

社会の高度情報化現象の進展、とくにインターネットの急激な普及とそれを支える情報通信技術の発展に 伴い、1990年代から経済活動におけるグローバル化が急速に進行し、国際的な流動性が高まっている。この グローバル化は経済活動に止まらず社会・文化においても進行し、教育の分野においても大きな変革をもた らしつつある。 このような社会情勢を踏まえ、大学審議会は2000年11月、答申「グローバル化時代に求められる高等教育 の在り方について」(以下、「大学審議会答申」という。)を行い、それを公表した。大学審議会答申では、 『第 1 に、インターネット等の情報通信技術の急速な発展は、「知」の創造や伝達の方法を大きく変化させ つつある。第 2 に、これと関連して、グローバル化は、経済界のみならず社会や個人の様々な営みにまで波 及し、国境を越えたあらゆる活動の増加と拡大をもたらしている。第 3 に、各国におけるグローバル化に対 応した教育改革がなお一層進展しており、欧米諸国をはじめとする諸外国の大学においては、グローバル 化に適応する高等教育システムの構築を目指して、教育内容の見直し、情報通信技術の活用をはじめとす る様々な新機軸の検討が開始されつつある。』 との状況認識の下に、グローバル化時代において高等教育が目指すべき改革について 5 つの視点を示している。 5 つの視点のうち、第 3 「情報通信技術の活用」の視点においては、インターネットの急速な普及をはじめ とする情報通信技術の革新が進む状況の中での、大学教育において情報通信技術を活用するための以下の具 体的方策が述べられている。 ・大学の授業等における情報通信技術の活用 授業内容の豊富化・高度化 授業時間外の学習支援 ・遠隔授業の在り方の見直し

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通学制における取扱い(インターネット等活用の遠隔授業による単位習得) ・情報通信技術活用の普及のための支援 教材の開発支援体制の充実や大学間で共同して支援する仕組みの必要性 これらについて大学が自主的に実施できることについては、本学においても、例えば過去の「自己点検・ 評価報告書」や将来構想計画委員会の報告書で指摘や提言がなされてきた。さらに、次のより具体的な課題 も顕在化してきている。 ・情報にかかる教育内容高度化への対応 ・情報化に対する教職員の意識や技量差への対応 ・情報発信/提供(戦略的広報活動)の在り方 ・情報化を支える学内の組織・体制の在り方 ・企画から実施にいたる各段階での情報公開と合意形成の在り方 以上のような学外動向に対応しかつ顕在化している学内の課題を解決するためには、教育内容、教育方法、 教育体制、学内での教育・研究支援の情報通信基盤、学外との接続などについて「グローバル化時代」に対 応すべく、それらの抜本的な見直しと改革が必要になっている。この改革を進めるにあたっては、それが大 学構成員の個人の意識レベルから大学全体の組織にいたるまで、深くかつ広範囲に影響を及ぼすであろうと 予想されるので、関西大学の将来構想計画(最終報告、1998年 9 月)で既に指摘されている「情報」を 1 つの 基盤要素するような、理念レベルでの対応も必要であると考えられる。しかしこの対応にあたっては、単に 理念を論じるのではなく、実践からのフィードバックにより現実を踏まえ近未来の指針を与える理念が提唱 され定着することを期待したい。

(3) 「情報化」に関する将来構想

グローバル化に伴い学内で顕在化している上述の課題については、全学的、総合的、中長期的な視点から、 早急に抜本的解決の方向性の示されることが必要である。この方向性を示し、関西大学の「情報化」に関す るビジョン(将来構想計画案)の策定が進められることを、将来構想計画委員会に期待したい。 インターネットの拡大や携帯電話が爆発的に普及したように情報通信技術の革新と社会の変化は極めて急 である。現在もブロードバンド時代が急速に訪れようとしている。このような状況にあっては、計画策定の みならず、具体的な施策の企画と実施も迅速になされることが、計画の実効性を上げるための重要な点であ る。 なお、将来構想計画委員会での検討審議については、過去 3 期の「自己点検・評価報告書」においていずれ も、構想に関する情報の開示と大学構成員による情報共有の重要性を指摘している。つまり、意思形成過程 が透明であればあるほど、大学構成員の納得度が高くなり、その構想が具体化したあかつきには、有効に機 能する。「情報化」に関する事柄は、前述したように、大学構成員の個人の意識レベルから大学全体の組織に いたるまで、深くかつ広範囲に影響を及ぼすと予想されるので、是非この検討過程が従来よりも積極的に情 報公開され、構成員の意見が反映されかつ構成員間で信頼関係を保つ形で進められることを期待したい。

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3 情報リテラシー教育とインターネットを利用した教育環境

3 情報リテラシー教育とインターネットを利用した教育環境

我が国の大学を取り巻く情報環境の激変の中で、本学も情報公開さらに教育のアカウンタビリティ、IT (情報通信技術)を使った教育の質的向上などの積極的対応が迫られている。多くの大学では統計的に見て 未だ雪崩のような変革の兆しはないものの、次に述べるように我が国での情報化に絡む情勢は急展開してお り、ネットワークの充実と、優れた教育コンテンツさらにコースウェアの作成、インターネットを使った広 範な双方向授業の実現などのための環境作りが必要となっている。 インターネット環境について、日本は現在欧米との間だけではなくかつてのアジアNIEsと比べても遅れが 目立つようになり、その危機感から、挽回さらに先頭に躍り出すべく制度改革などが着手されている。2000 年11月29日に「高度情報通信ネットワーク社会基本法」(IT基本法)が成立、2001年 1 月22日には総理大臣を 本部長とし全閣僚と民間などの有識者を本部員とする「IT戦略本部」が、「 5 年以内に世界最先端のIT国家に なる」(e-Japan戦略)として、 5 月31日には年次計画「e-Japan2002」が策定された。 6 月26日にIT戦略本部で 決定された具体的プログラムでは、2002年度予算に向けて、「学校教育の情報化」、「IT学習機会の提供」、「創 造的人材の育成」の 3 分野に対して総額314億円が要求されている。教育インフラ整備に絞ると、2001年度中 にすべての公立小中高等学校にインターネットを接続、2005年度までに高速光ケーブル( 1. 5 Mbps予定)で インターネットと常時接続し、すべての教室をLANで結ぶ計画である。 参考のためにアメリカ合衆国ロサンゼルスでの事例を紹介する。ロサンゼルスではすべての学校が、そし て全教室の70%がインターネットに接続されている。双方向のテレビ会議式授業の実現のために学校間は光 ファイバーで繋がっている。教育コンテンツ利用だけではなく、学校の透明度を高めるための授業内容など の情報公開が進み、生徒指導のための「意思決定支援システム」などが機能している。(INTERNET magazine、 2001年12月 1 日号、インプレス発行、 pp.191-199;村井 純、 同文献、pp.200-204) 1993年度から中学校の技術・家庭科で「情報基礎」(2002年度から「情報とコンピュータ」)が始まった。 新学習指導要領は幼稚園では2000年度から実施され、小中学校では2002年度から、高等学校では教科「情報A、 B、C」(うち 1 科目)などが2003年度から実施される予定である。この新学習指導要領では情報に関する授業 を必修とし、小中高等学校を通じて、新たに創設される総合的学習の時間や各教科でコンピュータや情報通 信ネットワークを活用するとしている(先進学習基盤協議会編著、eラーニング白書2001/2002年版 オーム社、 pp.25-27)。関西大学情報処理センター自己点検・評価報告書(1998-1999年度、p. 1 )では、「特に、初等教 育機関の情報化が計画され、実現されようとする中、大学の情報教育との関連性について早急に検討しなけ ればならない」とするが、この情報教育の展開は単に情報基礎教育にとどまらず全科目に影響を及ぼすもの である。 家庭用ゲーム機、i-modeや2000年12月から開始されたBSデジタル放送など、双方向の個別指導を含むWBT (Web based training)システムを利用した遠隔授業のための基盤整備は急速に進んでいると考えて良い。我 が国のここ数ヵ月のADSLを主とする常時接続ブロードバンドの普及速度には目をみはるものがあり、上記 のデジタルテレビや携帯電話などを含めると、当初予測の2005年インターネット個人普及率は60%を更新す る可能性がある。 インターネットを駆使した双方向性の高い教育環境を実現してゆくことは、個々の大学が今後も先進的に 高等教育を担う可能性を維持するための必須条件である。1999年末に関西大学を含む大阪大学など大阪府下 の国公私立大学40大学の学長で作る大阪府内大学学長会で単位互換制度の導入の構想を固めたように(日本 経済新聞、1999年12月22日号)、教育メニューの自由化は今後かなりの速度で学外に展開し、さらに大学の枠 を超え自由化してゆくだろう。 それゆえに、現学内の情報システムや教育内容が少なくとも国内で広汎に通用するかどうか、通用しない のであれば、どのような方策を採る必要があるのかを検討する必要がある。大学基準協会会長が指摘するま

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でもなく(大学基準協会発行『じゅあ』、第27号、2001年10月 1 日発行、巻頭言)、大学評価は本来的に自立自 尊のためのものである。自己点検・自己評価を通じて、社会的使命を果たす存在として存続しうる戦略を見 いださなければならない。 今後の大学教育は多様な受講学生を想定しうるし、現在のように学生が毎回の授業を受けるために通学す る形よりも、Webまたはデジタル放送などの授業の発信、非同時双方向デジタル通信が普及してゆくだろう。 多種のコンソーシアムが成立し、授業コンテンツやコースウェアの共用が進み、そのプロバイダーの主体は 大学よりも教育産業になる可能性もある。この兆候はすでにアメリカ合衆国に出現している(Carol A. Twigg and Diana G. Oblinger,1996, The Virtual University, A report from a Joint Educom/IBM Roundtable, Washington, D.C., 私情協ジャーナル ’99 Vol.7 , Nos. 2 - 4 )。

各学部の2001年11月末現在で手に入る最新の自己点検・評価報告書のうち、教育のIT利用に関して触れら れている部分について以下簡潔に示したい。これらは事務的資料を主とする調査または学生に対するアンケ ート調査に基づいて執筆されている。ここでは本学の「ITを利用した教育」に対する認識の水準を見ること ができる。 法学部(2000年度、第 3 号、2001年 5 月発行、pp.18-20)については、「情報処理教育」と「課題」の項目 で触れられている。 1. 情報基礎教育の施設の不足から毎年度100名程度の履修希望者の積み残しがある。 2. 例年、専任教員 1 名、非常勤講師 2 名の体制で、2001年度には非常勤講師 1 名の増員予定だが、非常勤講師の 長期的安定確保が難しい。定時事務職員の勤務時間の関係で授業が 2 ∼ 4 限に限定されており、他の専門科目 との調整も難しい。 3. 1997年度からTA(大学院生補助員)制度を導入。教員 1 名にTA 1 名を配置。TA制度 はこの種の授業に不可欠。2001年度からSA(学部生補助員)制度の導入を予定。 4. 今後も情報化の進展で 情報教育の需要は増大するので、マンパワーの確保と充実が必要である。本学は、情報処理教育の現状を点 検し、その将来的発展をめざした施策を講ずる必要がある、などとしている。 文学部の報告書1996/1997(1999年 3 月発行、pp.20-21)では、学科別の授業でのパソコン利用率、教員の 電子メール利用頻度が報告されている。なお実態把握の方法は明記されていない。『文学部学生の学習と生活 −1998年度 3 年次生アンケート調査報告書−』(1999年 3 月発行、pp.19-20)では、 3 年次生の専門科目の演習 受講者を対象に調査。在籍者1194名、配布者867名、回収率73%。 1. ワープロ・パソコンを利用しているか どうかを問うている。1996年度と同様、約半数が使用していないという結果。 2. 本学のホームページにアク セスしたことがあるかどうかという問い。「見たことがある」が、1996年度には21%、1998年度には42%にな った。いずれも、本学提供の情報基礎教育との関連では問われていない。報告書1998/1999(2001年 3 月発行、 pp.22)では、学科・教室全体としてのパソコン利用と教員の電子メール利用を調査しているが、学科・教室 のデータの質に差がある。調査結果の利用法、つまり調査目的が明確ではない。 経済学部(第 2 号、『学生たちのみた関西大学経済学部(経済学部 4 年次生アンケート調査報告)』、1997年 11月発行)は、1996年度 4 年次生を対象に実施している。先の文学部のアンケートに比べてITに関連する項目 は具体的といえる。MML(マルチメディアラボラトリ)室の利用目的についての設問(施設や学習環境につ いて、の細目、p.11-12)は「MML室を主にどのような目的で利用していますか」であり、この選択肢には、 1.ゼミのレジュメ、卒論等の作成にしばしば使用している、 2.パソコンの使い方を学習するために利用して いる、 3.LL等語学学習のために利用している、 4.ビデオを見るために利用している、 5.ほとんど使ったこと がない、がある。76%が「 5.ほとんど使ったことがない」を挙げている。 1.が11%、 2.が 7 %である。男女 で傾向は異なっている。なお、出席率とのクロス集計がなされており、「 4 年間よく出席した」学生の 5.の選 択率は52%と低くなっている。 情報処理教育への感想(講義一般について、の細目、p.27-)に関連した設問では、「情報処理機器やイン ターネットの利用が、大学教育においても重要な一要素となってきましたが、これへの対応についてどのよ うに思いますか」である。この選択肢には、 1.現在の一般教育科目の情報処理論で十分である、 2.もっと多

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3 情報リテラシー教育とインターネットを利用した教育環境 くの学生が情報処理論を履修するようにすべきである、 3.情報処理論ではなく、基礎経済学の中で誰もが学 べるようにすべきである、 4.ゼミでもっと取り入れるようにゼミ担当の教師は努力すべきである、 5.設備は 提供されているので、学生は個々に学ぶべきで講義は必要ない、がある。この中で、男女ともに 3 が最も多く、 次に 2 が続く。男女 3 と 2 の合計は69%に達している。一方、 5 の個々に学ぶべきが14%に達している。これ らの選択肢は互いに排他的であるかどうか。 2 や 3 の選択肢は、情報処理論の履修希望が実現していない情況 を示している。 商学部では1997年度に続き、1998年度にも「専門教育科目受講生の意識アンケート調査」(1999年11月発 行)を実施しているが、ここにはIT関係の情報が見られない。 社会学部の『1997年度在学生 学部の評価に関するアンケート調査報告書』(1998年 9 月発行)は、調査対 象者、方法など、前記文学部、経済学部よりも充実している。しかしながら、習熟度や今後のITに関わる教 育方針を模索する情報には欠ける。回収率は 1 年次生99.7 %、 2 年次生92.2 %、 3 年次生84.4 %、 4 年次生 50.4 %と高率である。 コンピュータ教育への対応について(調査結果と分析、学部について、の細目、p.18-21)の設問「あなた は関西大学社会学部をどう思いますか」という枠の中での「コンピュータなどの情報機器が充実している」 という問いと、「あなたはこれからの大学生活の中で何がしたいですか」という枠の中での「必ずコンピュー タをマスターしたい」という、計二つの問いがある。ただ、 4 年次生に対する後者の問いは、「あなたにとっ て大学生活はどのようなものでしたか」という枠の中で「コンピュータをマスターした」という表現になっ ている。 「情報機器が充実している」と回答した者は 1 ∼ 4 年次生とも 6 割前後と高い。 1 ∼ 3 年次生の「必ずコン ピュータをマスターしたい」という比率は 1 年次生79.8 %、 2 年次生73.7 %、 3 年次生63.1 %と高い。ところ が、 4 年次生の「コンピュータをマスターした」という問いへの回答の内訳は、そう思う16.5 %、どちらで もない15.1 %、そう思わない66.3 %となっている。この点については、社会学部のコンピュータ設置状況の 推移から説明がなされている。 情報機器の充実度の問いかけに対し、肯定的な回答が得られているのは評価される。台数や利用機会の点 で大きな不満が無いと考えることができるであろう。他学部と比べて社会学部は充実度が高く、他学部に敷 衍することはできない。 1 ∼ 3 年次生が「必ずコンピュータをマスターしたい」と思うのは当然であろう。 4 年次生の半数がアンケートに答えたのであるが、その 4 年次生は比較的出席率が高いグループであろう。その 2 / 3 が「コンピュータをマスターしなかった」と回答した事実は、重く受け止める必要があろう。なお、「コ ンピュータをマスターする内容」が漠然としており、たとえばワープロや表計算が使えると思っている学生 であってもそのテクニックの内容は様々である。この種の到達度をアンケート形式で測ることが可能なのだ ろうか。情報関連の授業や試験で評価ができる筈であり、この種の情報を大学が持っていないこと自体が問 題であろう。卒業論文の 9 割以上は現在、ワープロ原稿で提出されている筈であり、その表現の水準から、パ ソコンの能力の一部を測ることも可能であろう。 工学部では1997/1998年度のアンケートを主体とする資料集、それを使った報告書が2000年 3 月に出版され ている。これには特に「情報化」やIT利用に関するアンケート項目はない。 総合情報学部の報告書(1999年度分、2001年 3 月発行)には、学部の性格上、「情報化」やIT利用の項目は 多いが、アンケートなどは実施されていない。特に情報教育内容の観点からの、有効な情報は記載されてい ない。 これから述べる部分は 2 節からなっている。最初の節は「情報リテラシー教育」、次の節は「インターネッ トを利用した教育環境」である。それぞれで、上に述べた問題意識を基に論じている。今期はあいにく学 内・学外ともアンケートを実施する機会を得ることができなかった。それゆえ、本学の「教育の情報化」を

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