入学後の 1 年間は学内のパソコンを使う機会を提供し、ノートブックパソコン購入の猶予期間を設ける
③ 開発費用のコラムなどから、
● 会計・出納・物品調達の 3 システムを柱とする財務情報システムは、機能拡張や再編成が 行われ、従来オフィスコンピュータで稼動していたシステムも汎用機上に統合されてきたこと、
● 人事・給与情報システムも、給与関係を除き、従来の委託先から汎用機に情報システムが移 行したこと、
● 教務関係や学生サービス、 「その他」の情報システムなどは、情報処理センター内部で開発や 保守が継続的に行われていること、
などがわかる。
したがって、事務情報システムの開発や運用の特徴としては、
● 事務基幹業務を支援するシステムは、汎用機をサーバとする集中型のシステムに集約してき たこと、
● サービス業務やインフォメーション提供を目的としたシステムは順次
Web対応が進められて いること、
● 図書館システムは、オープンシステムへの移行が進行していること、
の 3 点をあげることができる。
このような特徴をもつ本学の事務情報システムの在り方については、前述の一般企業における情報システ ムの在り方と比較し、システム構築・運用にかかるコスト、提供できるサービスの質、及びその提供範囲を 検討する必要がある。
ウ 企画と運営の組織
学内にある情報システムについて、企画・運営の組織とその現状(運営状況)を述べる。
(ア) 情報システムの企画と運営の全学的組織
本学の情報処理センターは、『研究、教育及び業務(学校法人の業務を含む。)に関する情報並びに計算を 電子計算機システムによって処理することにより、研究及び教育の充実並びに事務能率の向上に資するこ と』を目的として設置されている。情報処理センターの適正な管理運営を図るために情報処理センター委員 会(以下センター委員会と呼ぶ。)が全学的な組織として設置されている。センター委員会は情報処理センタ ーの業務を効率的に処理するための「運営委員会」、衛星通信システムを利用した遠隔授業などを行う私立大 学ジョイント・サテライト事業の推進を目的とした「ジョイント・サテライト及びマルチメディア教育・研 究推進委員会」と、センター業務の自己点検及び評価を行うことを目的とした「自己点検・評価委員会」を 設置している。情報処理センターにはさらに「所員」もおかれている。
センター委員会とは別に、1992年に「事務情報システム推進委員会」が設置され、同委員会により学内に おける事務情報システムに関して、既設事務情報システムの統合化や業務情報システムの総合的な開発計画
6 運営における「情報化」
の策定及び推進が図られている。
センター委員会は、センター所長、センター所長代理(学部及び外国語教育研究機構選出の委員が兼任)、
副学長(共通教育担当)、法・文・経済・商・社会・総合情報・工の各学部から 2 名及び外国語教育研究機構 から 1 名選出された委員15名、大学院から選出の委員 1 名、学長推薦委員 3 名(図書館長、就職部長、工業技 術研究所長)、センター次長及び事務職員から選出された委員 2 名の合計24名で構成されている。
センター委員会は、次の基本的事項を協議し決定している。すなわち、センターの管理運営、情報及び計 算処理、情報ネットワーク及びジョイント・サテライト及びマルチメディア教育研究の実施支援についての 基本方針並びにその他センターの業務に関する重要事項を扱う。運営委員会は、機械設備、ソフトウェア、
利用方法及び広報活動などの具体的事項を決定し運営している。さらに所員は、情報処理教育の技術援助、
システム計画、ソフトウェアの開発並びに指導の職務に従事している。
(イ) 学術研究システムの企画と運営
学術研究システムに関する企画と運営の基本的事項はセンター委員会が行い、具体的な事項は運営委員会 が取り扱っている。さらに、専門性が要求される事項については、所員により構成される所員会議で検討さ れることになっている。
汎用計算機の設置やネットワーク環境の整備は、イ「学内の情報システム」の(イ)「学術研究システムの 概略」で指摘したように、文部科学省の補助を得ていることやシステムのレンタル契約が複数年度にわたっ ているため、 3 年から 9 年程度の長いタイムスパンでの情報システムの運用が前提となる。したがって、この 種の情報システムや情報基盤は、企画・立案、導入、運用改善、次期システム(設備)検討などのフェーズ
(ライフサイクル)を中・長期にわたって経る。センター委員などの任期は 2 年であるので、それぞれの情報 システムや情報基盤について、どの年度の委員会で、どのフェーズのことを行うのかを明確にした上で計画 的かつ継続的に活動することが、情報システムの企画と運営の機関には求められる。
センター委員会は、現在のシステムの問題点を明らかにし、今後の方針を検討するため、2001年度からセ ンター委員会の中に作業部会を設置している。作業部会では、スーパーコンピュータの設置継続の是非とネ ットワークの問題が検討されているが、学術研究システム全体としての今後の在り方は検討されていない。
表Ⅰ‑ 6 ‑ 3 「情報処理関係事業経費の推移」を示した箇所で、学術研究システム導入の推移から、
① 2001年度は、次期システムの在り方に関して基本的な方向を検討することが必要な年度である こと、また、
② 「中期情報化推進計画」で設定された期間は2001年度で終了するので、単にシステムの更新にと どまらず抜本的な企画を行える可能性もあること、
が分かるので、2001年度には基本的な方向性を十分に検討し、次期システムのグランド・デザインを策定す べき年度であると思われる。しかしながら、作業部会で検討されているのは、スーパーコンピュータの設置 継続の是非とネットワークの問題である。このことは、企画と運営機関の在り方に起因しているのではない かと考えられる。この点については、後の「エ 企画と運営機関の在り方の評価」のところで検討する。
現在検討されている課題について、まず、スーパーコンピュータは、CPUの劇的な処理能力の向上により、
最近の高性能パソコンの処理能力が、少し前の単一CPUのスーパーコンピュータの能力を上回る状況になっ ており、スーパーコンピューティングは数百台のCPUを並列に使って能力を上げる超並列型スーパーコンピ ュータシステムを用いる方向に移行している。東京大学や京都大学には、全国の大学の研究者や大学院学生
が利用できるスーパーコンピュータが設置されている。これらのスーパーコンピュータの性能は、例えば東 京大学情報基盤センターに設置されているシステムでは、 8 台のCPUに主記憶容量16GBを有する演算ノード を114台搭載した超並列型スーパーコンピュータであり、 1 ノードあたりの理論性能は14.4 GFLOPS、システ ムの総理論演算性能は2073.6 GFLOPS(約 2 TFLOPS)である。これは、本学に設置されているスーパーコン ピュータの性能、19.2 GFLOPS( 9.6 × 2 PE)の約100倍である。このような技術動向と他大学の動向が既に 明確になっているにも拘らず、2000年度から 3 年間スーパーコンピュータを継続して設置することを1999年度 に決定し、かつスーパーコンピュータ存続の可否が現在検討されている状況は、財政的理由を除くとしたら、
情報化社会の変化への対応の迅速性の点において再考する必要があると考えられる。もちろん、この検討に あたっては、本学に設置するスーパーコンピュータの設置目的と役割を他大学との比較・関連において明確 に位置づける必要がある。ここで指摘した事項は、後述する機関の在り方の評価において述べる「機関の専 門性」に起因していると考えられる。
さらに、情報システムが有効に機能するための情報基盤であるネットワーク環境についても、整備は 計画的に進められているものの、利用者の数と情報コンテンツのマルチメディア化に伴う情報量の増大 のため、教育研究ネットワークにおいてはインターネット利用の、また事務用ネットワークにおいては 業務コミュニケーションシステムのレスポンスが、利用の集中する時間帯では極端に低下する状況がな お続いている。したがって、作業部会でこれらのネットワーク環境の問題点について検討され、コスト 面を十分考えた企画を行うことにより、抜本的な改善が図られることを期待したい。
(ウ) 事務情報システムの企画と運営
本学における事務情報システムは、各事務部署の必要に応じて、情報処理センターによる内部開発や外部 業者委託によりシステム化が進められてきた。1992年に業務情報システム開発の推進及び既設システムの統 合化を推進するために「事務情報システム推進委員会」が設置され、同委員会は円滑で効率的な事務の遂行 及び適切な情報の管理並びに運営を行うこととなった。すなわち、事務情報システムを対象として、開発及 び総合的な推進や統合の計画に関する事項、事務情報システムに関するOA機器等運用の全学的連絡及び調整 に関する事項、情報処理センター委員会との協議に関する事項などを業務として行うことである。
同委員会は、企画室長、情報処理センター次長、事務システム課長、企画、総務・人事情報、財務・管財 情報、教務情報、図書情報、学生情報の各部門から各 2 名ずつ12名並びに高槻キャンパス事務室と情報処理セ ンターから各 1 名の合計17名の事務職員から構成されている。
事務情報システム推進委員会に関して、前回の「自己点検・評価報告書(1997−1998)」には、『事務情報 システム推進委員会は、その設置目的である各システムの統合化を推進し、業務の合理化を進めていかなけ ればならない』、『教員、学生を視野に入れた総合的な情報提供の在り方についても検討を進め、一定の方向 性を示すことが必要である』と指摘されている。前者については、「開発と統合化」はどのようなシステム開 発においても根本理念として理解され、業務が推進されている。さらに後者については、業務コミュニケー ションシステム(J‑net)の開発推進や、学生対象のインフォメーションシステムの開発及びWeb対応とi‑
mode携帯電話への対応などにみられるように、教員、学生に有為な情報を提供し、利便性と業務の合理化を 念頭においた各種事務情報システムの開発が行われてきている。事務情報システム推進委員会は、社会の動 向や本学の情報通信基盤の整備充実を視野に入れながら、今後ともこれまでと同様の方向性でシステムの開 発が進められるとしている。
事務情報システム推進委員会設置の目的に由来する同委員会の基本的な方向性については、 情報化の進展 の中で社会における情報システムの在り方 は、ア「社会における情報化の進展と情報システム」で述べた