関西大学自己点検・評価委員会
SQ 5. 3 公表は,どのようにされていますか.(丸印複数可)
3 学生の受け入れ
(1) 入学試験制度と組織
入試制度の在り方を実質的に決定する主体は各学部・研究科である。これは各学部・研究科が教育・研究 の対象とする学問分野の特性、それに由来する教育理念がそれぞれの個性を持ち、その結果、入学者に求め られる資質が学部・研究科ごとに違ってくる以上、当然のことであろう。全学的な組織として設置されてい る「入学試験部」も、「本大学の入学試験に関する大綱を企画・立案するために、必要な調査、研究を行うと ともに、関係諸機関と協議のうえ実施計画を策定し、これを遂行することを目的として」(『関西大学入学試 験部規程』)置かれたものであった。もちろん、総合大学としての利点を最大限生かすために、入試の在り方 についても、以上に述べた各学部・研究科の主体性を大前提としたうえで、入学試験部を中心とした全学レ ベルでの効果的な連携が必要であることは言うまでもない。入試にかかわる全学レベルの組織として、現在、
入学試験部の下に、入学試験主事会(各学部選出の主事等で構成)、入学試験実行委員会(各学部長代理等で 構成)、入学試験出題主管者会議、AO入試委員会(各学部選出の委員等で構成)、DD入試委員会(各学部選 出の委員等で構成)が設けられており、それぞれ、入試制度にかかわる事項の検討、実際の業務にかかわる 事項の検討、入試問題にかかわる事項の検討、そしてAO入試(後述)、DD入試(後述)にかかわる事項の検 討が行われている。大学院入試に関しては、各研究科がそれぞれ独自に実施し、事務的な処理については大 学院事務室が担当しており、入学試験部の職掌外となっている。
さて、18歳人口の長期的減少傾向、経済不況の長期化による併願受験の減少と地元国公立大学志向の増加、
大学教育の世界への市場原理の浸透を背景として、大学間競争は今後ますます激化の一途を辿ることが予想 される。このような中で、いかにして質の高い、また本学の教育理念に合致した入学者を確保するかは、こ の大競争時代を乗り切るための焦眉の課題である。そして、これに対応すべく、これまで、さまざまな入試 制度が工夫され、導入されてきたが、2000年度にはAO入試が、法学部、文学部、社会学部、総合情報学部、
工学部の各学部(第 1 部)で導入され(2002年度からは経済学部と商学部の第 1 部でも導入)、2001年度にはD D入試が総合情報学部と工学部を除く全学部(第 1 部)で導入されるなど、一層の多様化が進展している。こ の結果、以下で詳述するように入試制度は多岐にわたるものとなっているが、当然ながら、それぞれの入試 に対して、問題の作成、試験の実施、採点、合否判定資料の作成、判定会議などが伴い、これら一連の作業 に投入される教(職)員の時間的精神的労力は相当な量に達している。教育・研究を圧迫しているのではな いかとの声も聞こえてくる。一方で、質の高い、本学の教育理念に合致した入学者の確保は、すでに記した ように焦眉の課題である。したがって、入試業務に投入される多大の労力に見合った成果が得られているか どうかを、中長期的な追跡調査を通して、絶えず検証することが必要であろう。
ところで、このような入試にかかわる作業量の質的量的増大は、入試業務に関する危機管理体制の整備を 急務のものとして要請するだろう。近年、全国的に入試関連のミスの発生が報道されているが、本学でも 1999年度入試において、採点業務時に「正解入力ミス」が発生した。その原因究明と今後の事故防止のため に設けられた「入試調査委員会」の提言を受け、入学試験部では「入学試験問題出題・校正・模範解答作成 及び採点業務等マニュアル」を作成、その運用の徹底に細心の注意を払ってきたことにより、比較的順調に 推移していると思われる。しかしながら、不測の事態に備えて危機管理体制の見直しを絶えず行うことは当 然ながら必要である。例えば、進化し続けるコンピュータ・ウィルスによって、担当者の細心の注意にもか かわらず入試業務に思わぬ支障が発生する可能性はないのか、ということ等の検討が求められるであろう。
3 学生の受け入れ
(2) 学部における入学試験
ア 一般入学試験
一般入学試験は募集人員が圧倒的に多く、全学一体となった総力戦的実施体制で行われるという点で学部 入試の根幹をなしている。出願資格は、高等学校を卒業した者、卒業見込みの者、あるいは高等学校を卒業 した者と同等以上の学力を有すると認められた者等に与えられる。この一般入試はA日程、S日程、C日程、
後期(B)日程の 4 種類に分けて実施される。 2 月 1 日から 2 月 8 日までの期間(第 1 日曜日を除く毎日)学部 毎に日を替えて実施するのがA日程、この第 1 日曜日に全学部が一斉に実施するのがS日程、A日程期間中の 土曜日に希望する学部が別個に実施するのがC日程(2001年度、2002年度は工学部が実施)、そして 3 月初め に全学部が実施するのが後期(B)日程である。A日程とC日程は各学部とも第 1 部のみを対象とし、S日程と B日程では、総合情報学部と工学部以外の他の学部は第 1 部・第 2 部両方を対象としている。この一般入試は、
B日程の第 2 部の入試が本学のみで行われるのを除いて、全国14〜19箇所の試験地で実施される。
入試の多様化は一般入試の在り方にも及んでおり、特にS日程、C日程、B日程の各試験において、試験科 目や配点に変化を持たせている。各学部の特性に応じた質の高い入学者をいかに確保するかということへの 苦心を反映していると言える。なかでも注目されるのは、一般入試では従来 3 教科型を原則とし、学部・日程 によっては 2 教科型もあるのに対して、試験科目数を増やすタイプの試験が現れてきたことである。工学部で は、募集人員の最も多いA日程の試験が英語、数学、理科の 3 教科(理科は物理・化学から 1 科目選択)であ るのに対して、C日程の試験は国語も含む 4 教科で、理科も物理・化学 2 科目必須と、教科科目数を増やして いる(2001年度入試から)。また経済学部でも、2002年度入試から、S日程の試験は、英語、国語、数学、地 歴・公民の 4 教科型で行われる(A日程は従来どおり 3 教科型で数学、地歴・公民はいずれか選択)。志願者数 確保という課題と学力確保という課題の均衡点を求めて、国公私立を問わず、どの大学も試験科目の設定に 腐心してきたわけだが、本学が有力大学として生き残るためには、この点の更なる検討が必要であろう。
さて、本学の一般入試志願者数は、「(1)入学試験制度と組織」で記したような、潜在的志願者数の減少 という、とりわけ私立大学にとっての逆風の中にありながら、第 1 部については、ここ 5 年間を見ても、毎年 7 万〜 7 万 5 千人前後を維持している(表Ⅱ‑ 3 ‑ 1 )。これに対して、第 2 部は、前回の「自己点検・評価報告 書(1997−1998)」でも指摘された志願者数の大幅な減少傾向が依然続いている(表Ⅱ‑ 3 ‑ 2 )。また第 2 部の
試験は、B日程では法学部、商学部、社会学部については、第 1 部とは別の日に異なる内容の入試問題で実施
しているが、募集人員の多いS日程においては第 2 部をもつ学部のうち法学部と経済学部以外の学部が、第 1 部と同一内容の入試問題で実施している。このため、「自己点検・評価報告書(1995−1996)」及び「自己 点検・評価報告書(1997−1998)」で指摘された「第 1 部・第 2 部間の成績格差の発生」は続くものと思われ る。第 2 部入試をめぐるこのような状況は、第 2 部の将来の在り方そのものと関連するもので、この点につい ては「第 2 部協議会」及び「第二部問題委員会」で検討中である。さしあたり第 2 部入試の改善策として、社 会人入試制度が導入された(1999年度入試で法学部・経済学部が採用して、全学部で実施されることになっ た)が、これによって第 2 部志願者の減少に歯止めがかかったとは、とうてい言えない。第 2 部の在り方自体 の議論とも関連させつつ、今後、さまざまな方策が検討されるべきであろう。
表Ⅱ‑3‑1 一般入試の志願者数の推移(第1部)
法 文 経済 商 社会 総合情報 工 合計
1997年度 8,155 12,603 10,956 13,082 12,678 9,643 15,100 82,217 1998年度 7,555 10,410 10,855 11,345 11,933 7,051 15,949 75,098 1999年度 10,200 10,289 11,482 10,587 10,409 6,928 16,076 75,971 2000年度 7,398 10,645 9,000 9,750 11,334 6,082 14,874 69,083 2001年度 8,402 10,925 9,797 11,813 10,987 5,734 17,005 74,663
表Ⅱ‑3‑2 一般入試の志願者数の推移(第2部)
法 文 経済 商 社会 合計
1997年度 447 549 396 395 346 2,133 1998年度 349 412 352 292 298 1,703 1999年度 740 395 365 271 212 1,983 2000年度 309 287 336 259 185 1,376 2001年度 377 247 296 240 182 1,342
この項目の最後に、地方試験地での志願者数について見ておこう(表Ⅱ− 3 − 3 )。ここ 5 年間について見れ ば、概ね志願者全体の 4 分の 1 程度を維持し堅調に思えるが、地方試験のために多大の労力が投入されている わけであり、これについてもそれに見合った成果が得られているのか、試験地の見直しなどを含め、絶えず 検証することが必要であろう。
表Ⅱ‑3‑3 地方試験地の志願者数
1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 志願者総数 84,350 76,801 77,954 70,459 76,005 地方試験地の志願者数 20,032(23.7) 19,881(25.9) 19,825(25.4) 18,273(25.9) 20,979(27.6)
(注)( )内は総数に占める割合(%)。
イ 推薦入学
入学試験日などの全学的調整を除いて、試験実施(面接・監督等)、事務体制を含め基本的に各学部が独自 に行っている。
(ア) 指定校制
出願資格は各学部が指定する高等学校を卒業見込みの者で、各学部が定める学力条件等を満たす者に与え られる。第 1 部については全学部で実施されており、第 2 部については定時制高校を対象に文学部と経済学部 で実施されている。なお、文学部(第 1 部)では「指定校制における特別推薦」として、所定の学力条件を満 たすとともに特定の能力を証明できる者(スポーツ活動、文化・学術活動)を一定の定員の枠内で入学を認 める制度もあわせて設けている。この指定校推薦の方式による入学者の割合が一般入試に次いで大きいこと、
また本学が全国展開する上での主軸のひとつとなっていることを考えれば、質の高い、本学の教育理念に合 致した入学者を確保するという観点から、この制度の運用の絶えざる点検が必要である。少子化・長期経済 不況といった受験環境の変化に伴って、この制度による出願率の低下が指摘されており、これに対して各学 部において絶えず指定校の見直しを行っているが、その際、全国各地の高校側とのより緊密な接触によって 各高校の正確な現状把握が必要である。そのためには、後述の「アドミッション・コミュニケーター制度」
をより充実させることが望ましい。
(イ) 公募制
出願資格は、高等学校を卒業見込みの者で、実施学部が指定する一定の条件を満たす者に与えられる。こ の方式は公募制だが、高等学校長の推薦を必要とする点で推薦入学の範疇に入る。この方式を採用している のは、商学部(第 1 部)、社会学部(第 1 部)、工学部の 3 学部である(「商学部公募制推薦入学」「社会学部ス ポーツ能力に優れた者の公募推薦入学」「工学部スポーツ能力に優れた者の公募推薦入学」)。商学部の公募制 推薦は、全日制高校の商業に関する学科または総合学科の卒業見込み者を対象とし、所定の学力条件を満た す者で、簿記、珠算、情報処理及び英語に関して一定以上の資格を有する者に出願資格を付与している。社 会学部と工学部の方式は次項で説明する。