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ジオテキスタイル補強土壁の L 形壁面材に対する盛土転圧の影響

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Academic year: 2022

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ジオテキスタイル補強土壁の L 形壁面材に対する盛土転圧の影響

岡三リビック株式会社 正会員 ○中村 真司 岡三リビック株式会社 正会員 小浪 岳治 岡三リビック株式会社 正会員 林 豪人

1.はじめに

ジオテキスタイルを用いた補強土壁の鋼製の壁面工は,溶接金網の壁面材とエキスパンドメタルの壁面材に 大別することができ,溶接金網の壁面材は壁面近傍の転圧作業で比較的変形等生じやすいことが指摘されてい る.筆者らは,溶接金網を用いたL形の壁面材への転圧による影響を知るため,斜タイ材の取付け高さ等を変 えて作業時の壁面変位を計測した.本文は,これらの壁面変位を計測した結果について報告するものである.

2.使用したジオテキスタイルと壁面材の形状

本実験に使用したジオテキスタイルは,長繊維ポリエステルの芯材にポリプロピレン被覆したストランドを 縦横に格子状配置したジオグリッドである.壁面工は図-1に示す溶接金網(線材径6mm)のL形壁面材を用いて 図-3のように2段積みで壁面勾配1:0.3に仕上げた.各試験ケースは図-4及び表-1に示す4ケースである.

表-1 試験ケース

3.盛土材の種類並びに施工方法

実験に使用した盛土材は,細粒分56.6%,砂分42.6%,礫分0.8%の砂質火山灰質粘性土(1種)である.

壁面材を整地した基盤上に一列に設置し,壁面材底面の後端部に1.5mのジオグリッドを取付けた.その後,

1 層の厚さが 30cm,壁面材1段毎に2層となるよう盛土の撒き出し転圧を行った.撒き出し作業はバックホ ウで行い,転圧はハンドガイド式振動ローラーを使用した.特に壁背面近傍はランマー,振動コンパクタ等で 入念に転圧した.施工機械の種類を表-3に示す.また,盛土の現場密度は1.477g/cm3である.

キーワード ジオテキスタイル補強土壁,壁面工,鋼製枠,L形壁面材,転圧,変位 連絡先 108-0023 東京都港区芝浦4丁目1623号(AQUACITY芝浦) TEL 03-5442-2400

Case 試 験 条 件

Y 斜タイ材取付け高さ=424mm:横線材5本 A 斜タイ材取付け高さ=494mm:横線材4本 B 斜タイ材取付け高さ=657mm:横線材4本 C 斜タイ材取付け高さ=494mm:横線材6本

仮とめ用アンカーピン

ジオグリッド 500mm折 L形壁面材

図-1 補強土壁概要

6.7 5.6

40

40

縦ストランド 横ストランド

図-2 ジオグリッド

424

170

200 185 630

170

200 185 630

50

200 185 630

50 70 628

175

175 175

70

494657

494

図-4 試験ケース

Case Case Case Case

図-3 補強土壁断面

600600

1:0.3

表-2 盛土の物理的性質

湿潤密度 1.477 g/cm3 液性限界 64.20%

乾燥密度 1.006 g/cm3 塑性限界 30.40%

土粒子密度 2.709 g/cm3 塑性指数 33.8 一  般 コンシステンシー特性

表-3 施工機械の種類 機  種 規    格 振動ローラー ハンドガイド式700kg級

ランマー タンピングランマー57kg 振動コンパクタ 振動コンパクタ60kg級 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑561‑

Ⅲ‑281

(2)

4.変形の計測

盛土の転圧作業がL形壁面材に及ぼす影響を把握するため,壁面材縦壁部の変位を計測した.あらかじめ計 測区間両端に設置した計測用丁張り間に水糸をはり,この水糸を基準として壁面工に付けたターゲットまでの 離れを計測した.図-5 に計測用丁張りと水糸の状況を示す.図-6 には壁面工計測位置を○で示し,斜タイ材 の位置を矢印で示す.計測時期は,パネル設置初期状態,盛土材撒き出し終了時,転圧終了時とした.

5.計測結果

壁面材の変位は盛土の転圧にともない増加し,縦壁下端から上端に向かって変位量が大きくなる.1:0.3 の計画仕上がり面を勾配基準面とすると,それぞれの計測値を壁前面(前倒れ)側,後面(引込み)側への変位量 で表示できる.図-7~図-10は上段の各壁面工の最終計測結果を変位量の等高線で表示したものである.

図-7は盛土高さの2/3付近に斜タイ材を取付けたCaseYの計測結果である.この場合,斜タイ材より上側が 勾配基準面より前面に大きく変位している.図-8及び図-10は盛土高さの3/4付近に斜タイ材を取付けたCase

AとCaseCである.この両ケースでは変位が比較的小さくなっているが,上端変位量に着目すると CaseAが

変位量-7~-27mmの前倒れ範囲でバラつきが大きく,横線材を上端に追加して補強した CaseCでは変位量が

9~-4mmと勾配基準面付近でバラつきも小さくなった.図-9の上端に斜タイ材があるCaseBでは壁面が全体

的に前面側に変位,突出し凸形状となった.

6.まとめ

ジオテキスタイル補強土壁用の一般的なL形壁面材では,同数の斜タイ材を用いる場合では,斜タイ材取付 け高さが盛土転圧時の壁面変位に深く関係することが確認された.特に,今回用いた壁面材では,盛土高さの 3/4の位置に斜タイ材を取付ければ転圧時の土圧による壁面材の変形を抑えられた.さらに,横線材を追加し 壁上端を補強することで変形のバラつきが小さくなり,盛土転圧時の変形が抑えられることを確認した.

参考文献

・ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル:平成12年2月 財団法人土木研究センター

変位計測杭

水糸

図-5 計測用丁張り

1 5 10 15 20 25 30

図-6 パネル1枚の計測位置

図-7 壁面変位(CaseY) 図-8 壁面変位(CaseA)

図-9 壁面変位(CaseB) 図-10 壁面変位(CaseC)

中立

前倒れ 引込み

追加横線材 斜タイ材 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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Ⅲ‑281

参照

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