• 検索結果がありません。

実験では岩塊に発生する最大の

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "実験では岩塊に発生する最大の"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). Ⅲ‑244. 実岩塊形状再現モデルによる岩塊崩落危険度の解析的検討 鉄道総合技術研究所 鉄道総合技術研究所. 正会員 ○箕浦 慎太郎 正会員 上半 文昭. 1.はじめに 鉄道沿線での落石被害を防ぎ安全・安定輸送を確保するために、目視 検査に代わって不安定岩塊を定量的・効率的に検出する手法が求められ ている。それに対し筆者らは、遠隔からの振動計測が可能なレーザード ップラー速度計「U ドップラー」を用いた不安定岩塊検出手法の確立に 取り組んでいる。図-1 に U ドップラーを示す。これまで不安定岩塊を模 擬した直方体ブロックモデルを用いた実験及び解析を行い、岩塊の不安 定性と卓越周波数の関係を調査した. 1)。実験では岩塊に発生する最大の. 引張応力と岩塊の引張強度の比を表す転倒安全率というパラメータを導 図-1. 入して岩塊の不安定性の評価を行い、振動計測により不安定岩塊を検出 できる可能性を示した. U ドップラー. 2)。本研究では実岩塊への本手法の適用性を検討. た。そして転倒安全率により解析結果を評価し、さらに直方体ブロック モデルでの解析結果と比較することで、不安定岩塊検出手法の実岩塊へ の適用性を検討した。. 2.数値解析 (1) 転倒安全率. 図-2 に転倒安全率の定義と既往の研究で行った複数. 卓越周波数(Hz). するために、実岩塊の形状を再現した解析モデルを作成して解析を行っ 150 100 50 0 0. 図を示す。既往の研究では複数サイズのモデルに対し、ブロック部と基 岩部との接着部を上から徐々に切断することでその面積を変化させて実 験及び解析を行い、卓越周波数や応力を調査した。転倒安全率は岩塊に 発生する引張応力が増すほど転倒安全率は小さくなり、1 を下回るとき 岩塊が崩落すると考えられ、既往の研究ではブロックサイズの影響を抑 えた力学的安定性の評価が可能であった。本解析でも接着面積毎の最大 引張応力から転倒安全率を計算し、卓越周波数との関係を整理した。. (2) 解析方法. 本研究では、構造解析ソフトウェウェア LS-DYNA. を用いた二次元線形解析を行った。解析では陰解法による静的解析を行 い、岩塊の解析モデルに発生する自重による応力を調査した。また同じ. 卓越周波数(Hz). サイズのブロックモデルを用いた解析結果による接着面積及び転倒安全 率と卓越周波数の関係を示す。また図-3 に用いたブロックモデルの模式. 小ブロック 中ブロック 大ブロック. 200. 20 40 60 80 接着面積(cm2). 100. 160 120 80. 小ブロック 中ブロック 大ブロック. 40 0 0. 1. 2 3 4 転倒安全率. 5. 図-2 転倒安全率の定義と既往の研究で の接着面積・転倒安全率と卓越周波数の 関係 ブロック (岩塊). 切断. モデルに対し固有値解析を行って固有周波数を求め、一次モードの固有. 接着部. 周波数を卓越周波数とした。解析モデルでは岩塊部と基岩部をモデル化 し、岩塊部の背面を基岩部に接着しており、この接着部の面積を徐々に 減らしていくことで不安定岩塊を再現した。接着面積毎の解析結果から. 基岩部. その時に岩塊に発生する応力と卓越周波数を求め整理した。実岩塊形状 を再現したモデルのほかに、比較用として正方形断面を持つブロックモ. 図-3 ブロックモデル. デルについての解析も行った。. (3) 解析モデルとその作成手法. 解析では直径約 1m の花崗岩の岩. 表-1 花崗岩の物性値 2.63 g/cm3. 塊を想定した解析モデルを作成した。表-1 に解析で用いた花崗岩の物性. 比重. 値を示す。図-4 に今回の解析で用いた解析モデルの作成手法を、図-5 に. 弾性係数. 51.0 GPa. 引張強度. 4.34 MPa. 作成された岩塊の解析モデルを示す。本研究では複数の落石画像をもと. キーワード 落石、安定性評価、岩盤斜面、非接触計測、U ドップラー 連絡先 〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38 (公財)鉄道総合技術研究所 TEL042-573-7290. ‑487‑. 6.

(2) 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). Ⅲ‑244. に実際の岩塊形状を再現する解析モデルを作成し、解析による検討を行った。解析モデルの作成では岩塊画像の輪 郭データからその図心を求め、図心と輪郭上の点の距離を求めた。そして半径が図心と輪郭との距離の平均値であ り中心が図心となる基準円を想定し、この円の半径と図心から輪郭上の各点の距離の差を円の半径で割った比を求 めた。そして求められた値を円の円周方向に沿って一定角度ごとにプロットし、そのフーリエ振幅スペクトルを求 めた。複数の岩塊画像に対して同様の操作を行い、得られたスペクトルを平均化して岩塊の形状のスペクトルを求 めた。このスペクトルにランダムな位相と基準となる半径を与えてフーリエ逆変換することによって、ランダムな 形状を持つ複数の岩塊解析モデルを作成した。同時に基岩部もモデル化し、一部を接着して不安定岩塊を模擬した。. 3.解析結果 図-6 に静的解析による最大主応力の分布を示す。図より、岩塊背面の亀裂先端部に強い引張応力が生じているこ とが確認でき、この部分での応力が岩塊の引張強度を超えると一気に接着部分の崩壊が進むと考えられる。よって 転倒安全率の計算では、この部分に発生する応力を用いた。 図-7 に今回の解析で得られた転倒安全率と卓越周波数の関係を示す。転倒安全率は既往の研究同様に発生する最 大の引張応力である亀裂先端部の引張応力と引張強度の比として求めた。図より転倒安全率が上がり岩塊の安定性 が増すほど卓越周波数が上昇するという関係性が確認でき、あらかじめこの関係性を把握しておけば、計測した卓 越周波数から安定性を評価できると考えられる。また複数の正方形の断面を持つブロックモデル(block1:辺長 0.5m、 block2:辺長 1m、block3:辺長 2m)を用いた解析結果と比較すると、辺長 1m の block1 との一致度が高く、ま たその他のケースともおおむね一致することが確認できた。これより、転倒安全率が複雑な形状を持つ岩塊モデル に対しても使用できることが示され、また岩塊のサイズが数倍になっても卓越周波数と転倒安全率の関係性への影 響は小さいと考えられる。. 4.結論及び今後の課題 既往の研究で検討されてきた転倒安全率が、実岩塊に対しても適用できる可能性があることを解析により示した。 本手法では二次元解析を行ったが、今後の研究では三次元に拡大した解析が行えるよう岩塊モデルの作成手法を考 慮する必要がある。そして提案する安定性評価手法の実岩塊への適用に向けて、より多くのモデルに対して解析的 な検討を実施する必要がある。 謝辞:本研究は国土交通省研究開発補助金を受けて実施した。. 参考文献 1) 箕浦慎太郎,上半文昭,斎藤秀樹:岩塊の力学的安定性と振動特性の関係についての基礎的検討,第 17 回鉄道 工学シンポジウム,Vol.17,pp.167-174,2013 2) 箕浦慎太郎,上半文昭,斎藤秀樹:崩落危険度評価を目的とした岩塊転倒安全率に関する一考察,第 20 回鉄道 技術連合シンポジウム(J-RAIL2013),Vol.20,pp.131-134,2013. (a) 岩塊画像. (b) 輪郭データと基準円 (c) 基準円の半径と輪郭との差とそのスペクトル 図-4 解析モデル作成手法. 卓越周波数(Hz). 400 基岩部 岩塊 引張. 200. 岩塊モデル block1 (辺長0.5m) block2 (辺長1m) block3 (辺長2m). 100 0. 圧縮. 0. 接着部 図-5 解析モデル. 300. 図-6 最大主応力分布. 5. 10 転倒安全率. 15. 20. 図-7 転倒安全率と卓越周波数の関係. ‑488‑.

(3)

参照

関連したドキュメント

図-6 に同じレンジで比較した評価点を含む断面の 最大主応力図を示す。どちらも鉄骨部分の応力が大 きくなった。斜角度 45

3.解析結果 1静的空気力係数 図-3 に平均抗力 係数 Cd,平均揚力 係数 Cl,平均空力 モーメント係数 Cm 図-2 解析領域 の 2 次元解析,3 次

亀裂の再発防止のためスカラップ施工により亀裂 の起点 と考え られ る不 溶 着部の 除去を 行う 。図 - 5 に示す ように 不溶 着部 は 3 溶接線交 差部 に隠れ る よ うにして存在し

図−5 FEM モデル図 表−1 FEM 解析における応力低減率 補強前 補強後 応力低減率. (MPa)

図-5 隅角部補強案 図-6 , 図-7 に現況のラーメン橋脚梁隅角部応力度コンターを示す。. 図-6 は上フランジ,

図-7および図-8に疲労き裂の状態を示す.ハンチ無し試験体は, 1.7 万回 時に引張側フランジの端部でき裂が発見され, 13 万回時でき裂長が 50mm

図-4 の赤プロットは,岩盤等級がCⅡからDⅠに変化する場合の解析結果である.切羽前方の軟弱層の影響を受

発生前後の計測結果を分析し,上り線 の脚部沈下管理値(最終値)を 120mm とした.なお,5 章で示すように,変