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企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立

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神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3月 85

■ 研究論文

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立

Es t a b l i s hme n to f Ho wt oUs eAd v i s o r yCo mmi t t e ei nMa n a g e me n t

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

山 口 貴 嗣

Y AMAGUCHI , Ta k a s hi

■キーワー ド

経営諮問委員会、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス、企業内委員会、企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス 原則

1

は じめに

今 日、企業のコーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論は、 日本国内において私的機 関などを初め として度重 なる提言が されてい る。 この背景 には、

常に企業がコーポ レー ト・ガバナ ンスの制度の見 直 しを行い、経営者 によって自社 に適合 したコー ポレー ト・ガバナ ンスを構築 しようとす るように なったことが考 えられ る。

そ して、日本企業においては、企業のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス体制の構築のための原則やあるい は行動指針 と企業内部の委員会制度 などを充実 さ せるために、企業が率先 して実践 してい ることが 多い 1。一部 の企業で は、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスを充実 させ る手立て として法令順守意識の定 着や監視や監督機能 を向上 させ るために任意で委 員会を設置 している企業が存在 している。その委 員会制度 は、経営諮問委員会 をは じめ として、 コ ンプライアンス委員会 などといった形態で共通 し

た 目的 と役割 を有 してい る。そこで、筆者 は、経 営諮問委員会の役割や機能 をより具体的に し、企 業経営のなかで活用 させ るためには、企業独 自に 策定 したコーポレー ト・ガバ ナ ンス原則 を活用す ることが必要で あろうと考 えた。 くわ えて、経営 諮問委員会の役割が企業 によって如何 なる認識の‑′

もとで設置 されているかを明 らかにす ることも必 要であろう。

そこで、本論文では、企業経営 における経営諮 問委員会の活用方法 に焦点 を当て る。 また、今後 の経 営諮 問委員会 の活 用法 を企業独 自の コーポ レー ト・ガバナ ンス原則の有効性 に も検討 を広 げ なが ら、原則策定 と委員会設置 を目的 とした考察 を行 う。 まず、第2節では、企業 における経営諮 問委員会の設置への促進 を行 うために、企業が如 何 なる委員会 を構築 してい るのかについて検討 を 行 う。 また、第3節では、経営諮問委員会の制度 確立 と企業内委員会の充実 を行 うために、経営諮 問委員会の役割や機能の拡大 と共通 した 目的の も

(2)

8 6

神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第

1 4

2 0 1 0

3

とでの概念 の拡大 につ いて検討 を行 う。 さらに、

4

節では、企業独 自のコーポ レー ト・ガバナ ン ス原則 を用いた経営諮問委員会の活用方法の確立 を行 うために、企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 と経営諮問委員会が如何 なる関係性かを 明 らかにす る。 そこで、明 らかになった ことをも とに、今後の経営諮問委員会の活用方法の確立 を 行 う。

2

企 業 にお ける経営諮 問委 員会 の設置 へ の促進

2 ‑ 1

コーポ レー ト・ガバナ ンス体制 を充実 させ るための企業内部の制度構築

今 日の 日本企業 において、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論 は

、1 9 9 0

年代初 めか ら行 わ れ、企業不祥事 を如何 に して起 こらないようにす べ きなのか とい う点 と、企業競争力 を如何 に して 強化すべ きなのか とい う点で交わ されて きた と考 え られ よう。平 田光弘

[ 2 0 0 8 ]

も 「企業統治は、違 法経営の遵法経営化 (不健全経営の健全経営化) の達成 に向けて、企業不祥事の発生 を抑止す る機 能 を持つ とともに、非効率経営の効率経営化の実 現 に向けて企業競争力の強化 を促進す る機能 をも 有 す る2」 と提言 してい るよ うに、 日本企業 にお いてコーポ レー ト・ガバナ ンスが企業や経営者 に とって如何 なる視点で捉 えられているかが重要視 されているのである。そ して、実際の企業経営 に おいては、経営者 によるコーポ レー ト・ガバ ナ ン ス体制の充実や強化 を目的に企業独 自の方策が と られているO

そ して、企業 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに 関す る独 自の実践 法 は、企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 に基づいて制度 が構築 されて お り、その制度 は既 に実践段階であると考 えられ る3。 ただ し、企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 を策定 し、実践 している企業 は多 くな く、

明確 な企業 目標 と企業経営機構改革 を設定 しなけ れば効果がない と考 えられよう。 このような企業 の考 え方 には、企業 に適 したコーポ レー ト・ガバ

ナ ンスの制度の実践や、 あるいは独 自の原則 の策 定が重要で あるとい うことが関係 していると考 え られ る。 したがって、企業には、自社の コーポ レー ト・ガバナ ンス体制 には何 が必要 なのかを経営者 らが把握す る必要があろう。

2‑2企業 におけるコーポ レー ト・ガバナ ンスの 自主的な制度構築

まず、表 1では、今 日の 日本企業の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスを充実 させ るための機 関の設置状 況 を示 してい る。調査項 目は、①既 に設置 してい る、(む今後設置す ることを予定 している、(勤設置 す る予定 はない、④わか らない、①無回答、の 5 段階に対 して、企業 に設置 されている企業内委員 会の設置状況 を示 した。 また、企業 に設置 された 企業 内委 員会 には、 (1) 報酬委員会、 (2)人事 指名委員会、 (3) コンプ ライア ンス委員会、 (4) 経営諮 問委貞会、の4つ を挙 げてい る4。 さらに、

ここで挙 げた企業内委員会 は、企業がコーポレー ト・ガバナ ンスの 目的 を達成 させ るために任意で 設置 した委員会制度 で ある。 くわ えて、表1では、

企業がコーポ レー ト・ガバナ ンスを充実 させ るた めに如何 なる制度 を求め、導入 してい るかなども 検討の対象 としてい る5。

また、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスを充実 させ る 諸機 関の設置状況 は回答企業の約3割か ら4割が、

分か らない と選択す る企業や、設置す る予定はな いと選択す る企業 が存在す るなど、今後の対応方 法 が定 まっていない。 そ して、企業 によって は、

法令 を順守す るための機 関 を設置す るとい う意識 か ら、 コンプライアンス委員会 を既 に設置 してい る企業 が

1 5 . 8 %

となってい る。 その他 の委員会 と 比べて も、設置率が上回ってお り、 コンプライア ンスに対す る企業の認識が強い と考 えられ る。 ま た、全ての委員会 において構成 され る構成員では、

経営諮問委員会のような外部か らの有識者 を取 り 入れている企業が多 く存在 している。

さらに、企業 が設置 してい る委員会の役割や 目 的に関 して共通点がみ られ る。 それは、社外か ら の構成員 と社内の構成員 との連携 によって組織 さ

(3)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立 87 表1 コーポ レー ト・ガバナ ンス を充 実 させ るための機 関の設置状況

調査項 目 報酬委員会 など 人事指名委員会など コンプライアンス委員会など 経営諮問委員会 など

①既 に設置 している 3.4% 2.6% 15.8% 5.1%

⑦今後設置す ることを予定 している 1.9% 0.9% 5.8% 2.1%

③設置す る予定はない 53.6% 54.8% 33.7% 45.4%

④わか らない 36.7% 37.0% 40.4% 43.0%

(出所)経済産業省[2002

「企業会計制度に関す る国内企業調査報告書」経済産業省政策局企業行動課,91頁 を参考に筆者作成。 (調査対象は、3,523社で、抽出元 は日本 における証券取引所 に上場、あるいは店頭売買 有価証券市場 に株式 を公開 している企業 を対象 としている.アンケー ト配布方法は郵送 し、回収数は1,026通 で回収率は29.1%であった。)

れ、経営方針 の決定 や助言 を行 ってい ることが挙 げ られ る。 そ して、経営諮 問委員会 の よ うな企業 によって役割や機 能 の捉 え方 が複雑 な制度 と比較 して も類似 してい ると考 え られ る。 これ は、企業 が名 目的に社外 か らの有識者 な どを集 った経営諮 問委貞会 の よ うな制度 を構築す るな どとい った方 針で表1の よ うな委 員会 が設置 され てい るので あ ろ うと考 え られ る6。一 方 で、 委員会 の設置 状況 が企業 に よって差 が あ る とい うことに関 して は、

企業 が 自社 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスの 目的 に 応 じて適 した委員会 や制度 を構築 してい るので は ないか とも考 えることがで きよ う。

したが って、経 営諮 問委 員会 をは じめ と して、

(1)報 酬 委 員会、 (2)人 事 指 名 委 員 会、 (3)コ ンプ ライア ンス委員会、 な どは企業 の なかで コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンス を充実 させ る機 関 として設 置 してい る例 が少 ない と考 え られ る。 また、経営 者 らの認識 が ある企業 において設置 されてい るコ ンプライア ンス委員会 には、社 内 と社外 の構成 員 の比 率 とい う課 題 が あ る7。 これ らを、企業 が 自 主的に解決へ と導 いてい くためには、企業独 自の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス原則 の策定 を行 い、設 置への要請 と企業 目標 の設定 な どを原則 に織 り込 む必要 が あると考 え られ る。

2‑3 企 業経 営 にお け る経 営諮 問委 員会 に対 す る 見解 と状況

企業 において、経営方針 や取締役会 で審議 され

る内容 に対す る助言 や提言 を行 う経営諮 問委員会 の導 入 はい まだ例 が少 な い と考 え られ る8。 しか し、企業 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス を充実 させ る 目的 に よって具体 的 な役 割 を有 した委員会 の設 置 は積極 的で ある。 この ことは、企業 に適合 した システムを構 築すべ きとい う視 点で評価 すべ きで あ り、導入 が進 んでい るとい えよ う。 で は、企業 経営 において導入 が検 討 され、 あ るい は他社 が設 置 してい るとい う状況 を考 えた うえで経営諮 問委 員会 を実 際 に設置 してい るか ど うか を表 によって 示 した。 ここで は、経営諮 問委員会 の設置 に積極 的で あるか ど うかで はな く、 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスを充実 させ るために設置すべ きか ど うか と い う企業 の積極性 を前提 と してい る。調査項 目は、

①既 に設置 してい る、⑦今後設置 す ることを予定 してい る、(む設置す る予定 はない、④ わか らない、

① 無回答、の5段 階 に対 して、経営諮 問委員会 の 設置状況 を (1)全 体、 (2)積極 的、 (3)消 極 的、

の3つ を挙 げてい る。

まず、表

2

で は、経 営諮 問委員会 の設置状況 は 回答企業 の全体 の約8割 が、設置 す る予定 がない とい った見解や、分 か らない とい った見解 が 目立 つ。 そ して、既 に設置 して い る企業 や今後設置す ることを予定 してい る企業 は全体 の1割 に も達 し てい ない。 これ は、企業 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスに対 す る意識 が顕著 に あ らわれてい るので は ないだ ろ うか と考 える。つ ま り、 コーポ レー ト ・ ガバ ナ ンスに積極 的で ある企業 は、既 にコ ンプ ラ

(4)

88 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3月 表2 経営諮問委 員会 の設置状況 (積極性別)

調査項 目 全体 積極的 消極的

①既 に設置 している 5.1% 18.5% 0%

塗)今後設置す ることを予定 している 2.1% 9.3% 0% (彰設置す る予定はない 45.4% 27.8% 76.9%

④わか らない 43.0% 42.6% i7.3%

(出所)経済産業省【2002

「企業会計制度 に関す る国内企業調査報告書」経済産業省政策局企業行動課,91頁 を参考に筆者作成。 (調査対象は、3,523社で、全体の企業数は1,026社である。)

イア ンス委員会 や報酬委員会、 そ して人事指名委 員会 を設置 し、外部 か らの視 点 を取 り入れ るべ き で あると考 えるで あろ う。一方 で、コーポ レー ト ガバ ナ ンスに消極 的で ある企業 は、 そ もそ も制度 の構築 が十分 で はないで あろ う9。

また、積極性別 にみて も経営諮 問委員会 に対 す る見解 に大 きな開 きが ある. コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに積極 的 な企業 は、経営諮 問委員会 を既 に 設置 して い る例 が18.5%で あ り、今後設置 す るこ とを予定 してい る例 も含 め る と約2割 の企業 で設 置 が促 されて い る。 しか し、 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスに消極 的 な企業 は約8割以上 が設置 を考 え ず、設置 しないか経営諮 問委員会 の意識 自体 がい まだ薄 い状況 で あ る。 この状況 か ら、企業 の コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンスに積極 的で あるか否 か とい う基準 において、経営諮 問委員会 の必要性 に企業 ご との大 きな差 が生 じてい る。 また、企業 が コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンスに積極 的で あった と して も、

経営諮 問委員会 の設置率 が約2割 とい う結果 か ら、

役割や機 能 は認知 されつつ あるが企業経営 に有効 に活用 されてい ない ことが考 え られ る。

さらに、経営諮 問委員会 は、企業へ の導入例 や実 践状況 か ら取締役会や代表取締役への経営全般 の 助言 や提言 を行 う役割 を持つ とされてい るが、実 際 にはその役割 は拡大 しつつ ある。役割 に関 して 考 えるとす るな らば、 コ ンプ ライア ンス委員会や 報酬委員会、人事指名委員会 も取締 役 らへの法令 順守への意識や報酬額 の審議 、 あるいは選任 や解 任 に関 して助言 がで きる と され て い る。 そ して、

目的に関 して考 えるとす るな らば、コーポ レー ト

ガバ ナ ンスを充実 させ るためや、経営の透 明性 や 客観性 を強化す るため とい うことが挙 げ られ よ う。

以上 の よ うに、企業経営 におけ る経営諮 問委員会 や企業 内部 の委貞会 は、少 な くとも企業 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス体制 の強化 な どに寄与 してい ると考 え られ る。 また、企業 の法令順 守 に対 す る 意識改革 や倫理制度 の構築 を 目的に、 コ ンプ ライ ア ンス委員会 や報酬委員会、 そ して人事指名委員 会 とい う制度 が構築 されてい った。 そ して、企業 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス を充実 させ る機 関 な どの設置 は、 この委員会 な どの 目的や役割 に集約 され ない と考 え られ る10。つ ま り、企業 経営 にお け る経営諮 問委員会 は、取締 役会 や代表取締役 な どへ の経営全般 の助言機 能 を持つ が、実 際 に社外 構成 員 な どへ は企業経 営 において広 い見地 か らの 助言 を必要 と してい る。 したが って、経営諮 問委 員会 とは、取締役会や代表取締役 な どへ の経営全 般 の助言 に加 えて、専 門委員会 の設置 な どへ の設 置 日的 を も視 野 に入れ た役割 を拡大すべ きなので

は と考 え られ る。

2‑4 経営諮問委員会の設置 へ向 けた概念 の拡大 企業 におけ る経営諮 問委員会 は、取締 役会 や代 表取締役 な どへの諮 問や助言機 能 を有 す るとい う ことが定着 しつつ ある。 また、企業 に よって設置 目的や役割 が違 うことが、経営諮 問委員会 その も のの役割 を広 げてい ると考 え られ る。 これ は、企 業 が取締役会 の諮 問機 関 と しての認識 に基づ いて 組織 されてい ることと解釈で きる。 た とえば、企 業経営全般 の助言 を行 うとい う目的で組織 されて

(5)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立 89 いるとい うことか ら、経営の個別の 目的のためを

も含めた委員会で あるとい う企業 も存在す る。

一方で、企業 における専門委員会 とは、 コンプ ライア ンス委員会や企業倫理委員会 など、企業 が 既 に個別 の 目的で設置 してい る機 関 を指す と考 え られてい る11。 これ らの企業 におけ る専門委員会 も、時 として企業経営 における経営諮問委員会 と して認識 されてい る企業 も存在 してい る。例 えば、

企業の認識 として、企業の法令順守意識の向上や 健全 なコーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築のための助 言機 関 として設置す るといったことが考 えられ る のである。 ここか ら、企業 が如何 に して経営諮 問 委員会の位置づ けを行 い、実践 してい るかが推測 で きよ う。つ ま り、企業が コンプ ライア ンス委員 会 などを、会社 に対す る勧告や提言 などを行 う権 限を持 ってい ると認識 してい ると解釈 してい るの であれば、会社外部者 による適法性の監視 目的 を 広い意味で持 ってい るとい うことがで きよう12。

したが って、企業経営 における経営諮 問委員会 の設置へ向けた企業の方策 には、取締役会内の委 員会 と、経営諮問委員会 とい う取締役会の諮問機 関 とを明確 に区別せず に、企業 が独 自に適応可能 性 を高め られ るよ うな委員会 を構築すべ きで ある

とい った ことが必要で あろ う。

3

経営諮問委員会の制度確立 と企業内委 員会の充実

3‑1 経営諮 問委 員会 と しての企 業 内委 員会 の特 徴

企業経営 において、取締役会や代表取締役 らへ の経営全般 の助言 は、経営諮問委員会 などの企業 内委員会 を用 いて実践 され る一方 で、制度の構築 も進んでい る。 また、企業 内委員会 には、経営全 般や あるいは、専門的な助言 を目的 としてい る共 通点がある。 さらに、経営全般 の助言 とい う役割 を考 えると、企業 が 自社の適応性 を考 えなが ら適 宜 に委員会制度 を構築す るとい うことが考 えられ る。つ ま り、企業 には、経営諮 問委員会 その もの として組織 されてい る場合 と、い くつ かの企業 内

委員会 を含 めた概念 として経営諮 問委貞会が認識 されてい る場合 とい う2つの考 え方 があるので は と考 え られ るので あ る13。表3で は、主 に取締 役 会への助言 などを目的 と した企業 内委員会 の特徴 を企業への導入例 などを参考 に しなが ら示 した も ので ある。 そ して、企業 内委員会 の分芽 としては (1)コ ンプ ライア ンス委員会 と企業倫理委員会、

(2)内部統 制委員会、 (3)内部通報委員会、 (4) CSR委員会、 に分類 した。 また、委員会の分類 に 応 じて企業 内委員会 の特徴 をまとめた14。

まず、 (1)コ ンプ ライ ア ンス委 員会 と企 業 倫 理委貞会 は、委員会 の特徴 として1つ 目に、主 に、

企業の法令順守の意識向上 を目的 とした委員会 と して認識 されてい る。他 には、社員の意識向上の ための規則 やマニ ュアル、 そ して倫理要綱 な どの 作成 を行 ってい る。 2つ 目に、取締役会 な どへの 助言機 能 を有 してい る。 その場合 には、社外 か ら の有識者 らを招 き常 に危機 管理対策の構築 の際の チ ェ ックを行 ってい る。 この コンプ ライア ンス委 員会 などは、企業への導入 は増 えてお り実践 され てい るが、実際に取締役会への助言機 能 を有 して い るか否 かにつ いては、不透 明な部分 があると考 え られ る15。

また、 (2)内部統 制 委 員会 は、 委 員会 の特徴 として1つ 目に、主 に、企業の内部統制の整備 や 業務 とシステム状況 に関す る評価 と企業行動の適 正化 に関す る審議 と決定事項の審議 を行 ってい る。

2つ 目に、取締役会 な どへの直接 的な内部統制 に 関す る専門的な助言機 能 と、企業 内部の監査部門 との連携 による間接的な助言 を行 ってい る。 この 内部統制委員会 などは、監査機能の強化や業務執 行の適正化 を目的 としなが ら、企業の監査部門の 諮問機 関 と して認識 されてい る16。

さ らに、 (3)内部 通報 委 員 会 は、委 員 会 の特 徴 と して1つ 目に、企 業 の経 営 理念 や行 動基 準 (あるいは公益通報者保護法) に基づ いた内部通 報者 の人権保護 を目的 と した委員会 と しての構築 を行 ってい る17 2つ 目に、 コ ンプ ライア ンス委 員会 などに組み込 まれてい る制度 と しての場合 が 多 く、社外 か らの法律家や専門家 が窓 口を担 当 し、

(6)

90 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第14 2010年3

表3 取締役会 への助言 などを目的 と した企業 内委員会 の特徴

企業内委員会の分類 企業内委員会の特徴

コンプライアンス委員会企業倫理委員会 ①主に、企業の法令順守の意識向上 を目的とした委員会であり、社員の意識 向上のための規則やマニュアル、そして倫理要綱などの作成 を行 う○

⑦取締役会などへの助言機能 を有す るoその場合には、社外からの有識者 ら

・ を招 き、常に危機管理対策の構築の際のチェックを行 うo (例 として、積水ハ ウスや 日本製紙などo)

内部統制委員会 ①主に、企業の内部統制の整備や業務 とシステム状況に関す る評価 と企業行 動の適正化に関する審議 と決定事項の審議 を行 うo

②取締役会などへの直接的な内部統制に関する専門的な助言機能 と、企業内 部の監査部門との連携による間接的な助言 を行 うo

(例 として、中央三井 トラス トHDやキヤノンなどo)

内部通報委員会(ヘルプライン) ①企業の経営理念や行動基準 (あるいは公益通報者保護法)に基づいた内部 通報者の人権保護 を目的とした委員会 としての構築 を行 う○

堰)コンプライアンス委員会などに組み込 まれている制度 としての場合が多く、

社外か らの法律家や専門家が窓口を担当 し、委員会へ報告や助言 を行 うo (例 として、 日本製紙やアサヒビールなどo)

CSR委員会 ①企業のCSR (企業の社会的責任)に関する審議 とCSR活動に関す る方針決 定 を行 う○

③取締役会への間接的な助言を行 うo また、コンプライアンス委員会や企業 倫理委員会、そして、その他の委員会の統括委員会 としての体制強化を行 う

(出所)各企業のホームページを参考に筆者作成。

委員会へ報告や助言 を行 う。 この内部通報委員会 などは、他 の委員会 と少 し異 な り、個別 に組織 さ れてい るよ りも委員会の内部組織 としての位置づ けが考 え られ るため、取締役会 などへの助言 を直 接的には果 た していない例 が考 え られ よう18。

くわ えて、 (4)CSR委員会 は、委員会の特徴 と して1つ 目に、企業 のCSR (企業 の社会 的責任) に関す る審議 とCSR活動 に関す る方針決定 を行 っ てい る

。2

つ 目に、取締役会への間接的な助言 を 行 ってい る19。 また、 コ ンプ ライア ンス委員会や 企業倫理委員会、 そ して、 その他 の委員会の統括 委員会 としての体制強化 を行 ってい る。 このCSR 委員会 などは、企業 の社会的責任 に対す る意識の 高 さか ら、既 に企業経営 において実践 されてい る

200

以上 のよ うに、企業経営にはコーポ レー ト・ガ バ ナ ンス機 能 を強化 させ る目的や企業 に適応 した 制度 を構築す るために、企業 内委貞会 を充実 させ てい ると考 え られ る。 そ して、企業経営 には表3

だけで な く、 その他 の委員会 も制度 が整備 されて い る。 その他 の委員会 に関 して も、経営全般 や一 部の専門性の ある業務 に関す る助言 とい う役割 は 共通 してい る。

3‑2 企 業経 営 にお ける経 営諮 問委 員会 の捉 え方 と概念

企業 が、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの制度 を構 築す る際の企業 内委員会 は 目的に応 じて、形態が 増 えてい る。 また、取締役会 などへの助言 を目的 とした経営諮問委員会 に関 して も、企業 の概念 は 広 くな り、経営諮 問委員会 の 目的が広 くなってい ると考 え られ る。図1では、企業 が コーポ レー ト ガバ ナ ンスの機能強化や委員会制度の充実 を目的 に設置 してい る例 がある企業 内委員会 を、経営諮 問委員会 として認識 した場合 いかなる捉 え方 をす べ きか を示 した もので ある。

まず、図1によ ると、企業経 営 において認識 さ れてい る経営諮 問委員会 は各企業 によって設置形

(7)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立 91

図1 企業経営 における経営諮問委員会の捉 え方 と形態例

経営諮問委員会の形態例

コンプライアンス委 員会

企業倫理委員会

内部統制委員会

内部通報委員会

企業個別 の委 員会 (

(

(

(

(

(

個 別 関係 と相 互 関 係

(1)経 営機構における個 別の役割 (丑地域社会との調和と社会 貢献

② 関連会社 事 業部会との連携

③ 利害 関係者との情報 共有 (2)各棟 関との相互 関係

① 取締役会への諮 問と提言

② 監査役からの監査

③ 業務監査垂などへ の助言 (1)経 営機柵 こおける個 別の役 割

① 企業倫理や法令遵守の定着

② 行動指針に基づいた助言 (卦人権や雇用関係の議論など

(2)各機 関との相互 関係

① 取締役会への諮 問と提言

csR担 当役 員への勧 告

③ 代表取締役への間接 的助言 (1)経営機楓 こおける個 別の役割

① 内部統 制の整備

② 企 業行動 こ対する審 議

③ 監査計画の報告と承認 (2)各機 関との相互 関係 (む取締役 会への諮 問と提言

② 監査 役と連携した職務監督

③社 長や監査 人との意 見交換 (1)経 営機楓 こおける個 別の役割 (D内部通報システムの整備 (塾社外 窓 口からの調査 依頼

③ 社 内窓 口としての役割 (2)各機 関との相互 関係

① 取締役会への間接 的助言

② 取締役や有識者との意 見 交換

③ 通報 案件を取締役らへ報告 (1)経 営機柵 こおける個 別の役割 (か子会社などの事 業活動の助言

② 企 業倫理委 員会などを統 合

③ 企 業経 営活動全見好)充実 (2)各機 関との相互 関係

① 取締役会への諮 問と助言

② 取締役らによる直属機 関

③ 報告書などを取締 役会へ提 出 (1)経 営機柵 こおける個別の役割

① 環境や社会 貢献 こ関する審議

② 報告書をCSR委員会へ提 出

③ 企 業経営活動全般乃充実 (2)各機 関との相互 関係

① 取締役会への間接的助言

csR委 員会議長との連携

③ 関連 委 員会所属乃役 員と対話

問 題 点 と解 決 法

(1)経営機構のなかでの問題 点 (丑社 内構成貞が8割を超えている (診csR委員会との概 念が分離 していな

(2)解決法

(丑法令遵守と社会 貢献の意識を区別

②社 外構成員の人数を過半数にする

(1)経 営機構のなかでの問題 点 (》社 内構成 員が8割を超える場合があ

② 取締役会と明確 に分離していない (2)解決 法

(丑社 外構成 員の人数を過半数にする

② 企業倫理の基準を構 築する役割に する

(1)経 営穂積のなかでの問題 点 (丑社 内構 成 員が8割を超える場合があ

② 他の委 員会を含めた認がある (2)解決 法

(丑社外構 成員の人数を過半数にする

② 業務監査や職 務監督などに絞った 役割の明確化

(l)経営機のな

かで

の問題点

①報告対象が

内過

半数の取締役 ある

②取締役会との

分的

な未分離 (2)解決法

(丑社 外構成 員の 人数を過半数にする

②他の委 員会との分 離

(1)経営機構のなかでの問題 点

① 社 内構 成員が8割を超える場合 がある

② 取締役 会との部分 的な未分離

(2)解 決法

①社 外構 成 員の人数を過半数にする

②他の専 門委 員会との分離

(1)経営機構のなかでの問題 点 (丑社 内構成 員が8割を超える場 合がある

② 従 業員代表が少ない

(2)解決法

(D社 外構 成員の人数を過半 数にする (塾従 業 員に近い位置であるため、過 半数 の従 業 員代表の参加

(出所)著者作成。

態や 目的が異 なるが、 おおよそ (1) コンプ ライ の6つが考 えられ る。そ して、経営諮問委員会 は、

ア ンス委員会、 (2)企業倫 理委員会、 (3)内部 経営諮問委員会 とい う

1

つの組織 として機能 して 統制委員会、 (4)内部通報委員会 (ヘルプライン い るとい うよりも、経営諮問委員会の性質や機能、

など)

、( 5 )CS R

委員会

、( 6 )

企業個別 の委員会、 そ して、役割 に準 じた制度 を構築 し、利用 されて

(8)

92 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第14 2010年3月

いることが考 えられ るのである。 また、その 目的 別の組織名か ら、企業の行動規則や戦略方針に基 づいて任意 に組織 されてお り、必ず しも図1の よ うな6つ に集約 され ない ことを前提 としてい る21

た とえば、なかには内部通報委員会 (ホ ッ トライ ンやヘルプ ラインと呼ばれ る) といった企業の内 部通報者保護 を目的 とした専門委員会や、 リスク マネジメン ト委員会 といった企業の部門別組織 に 対 して、専門家の意見 を取 り入れ るために、重点 的に組織 された委員会 も存在 してい る22。 このよ うな、専門委員会 を利用す る企業の実践 は、監査 役設置会社か ら委員会設置会社への企業経営機構 の見直 しの際に、経営者 が企業経営機構 を変更せ ずに、任意の委員会 を設置す るように促 されたこ

とが理由 として考 えられ る。

また、企業が任意 に設置 を模索 している経営諮 問委員会 は、いまだに設置 されている企業 は少 な い。企業がコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの実効性 を 向上 させ るために、執行役員制度の導入や委貞会 設置会社 といった制度の導入 を行 っている。 また、

社外取締役 や社外監査役 の導入 も企業 の コーポ レー ト・ガバナ ンスの実効力を向上 させ るためや、

経営者への監視や監督機能 を向上 させ るための も のであると考 えられている。 しか し、従来におい て実施 されて きた企業の対策は一定の監視や監督 機能 を果た して きた とはいえ、現状 が変わってい ない例 もあるだろう。 そこで、経営者 はより自由 度のある任意の委員会 を設置に 目を向け、企業が 独 自に実施で きる環境 を整 えることも企業経営や

コーポ レ‑ ト・ガバナ ンスの実践の課題 として認 識 され始めた と考 えられ る。

さらに、図1で は、経営諮 問委員会の企業経営 機構 における委員会個別の特徴 と各機 関 との相互 の関係 か ら考 えられ る特徴 を挙げた。第 1に、委 員会個別の特徴 としては、各委貞会の特徴 に合 わ せた独 自のシステムの整備 が挙 げ られ よう。一方 では、 1つの委員会が他の委員会 を統合 してい る 例 もみ られ、委員会 によって解釈の範囲が異 なる。

第2に、各機 関 との相互の関係か ら考 えられ る特 徴 としては、取締役会 などへの助言 とい う基本的 な役割は共通 している。一方では、委員会の専門 性 を活かす ような特徴があ り、取締役や監査役 な どに関わ らず、企業経営活動全般 において助言 を 求める仕組みがある。以上 を分析す ると、企業経 営 における原則 と して経営諮問委員会 は図1の よ うな捉 え方 となるであろうと考 えられ る。 この経 営諮問委員会 を積極 的に企業経営や、企業のコー ポ レー ト・ガバ ナ ンスを構築す るための手段 とし て利用すべ きで あると考 える。

4

企業独 自のコーポ レー ト・ガバナンス 原則 を用いた経営諮問委員会の活用方 法の確立

4‑1 経営諮問委員会の活用方法の策定 と原則 の 有用性

今 日の 日本企業は、企業 におけるコーポ レー ト・

ガバ ナ ンスの機能 を向上 させ るために、社外監査

図2 原則 か らの要請 と経営諮問委員会設置へ向 けた企業の方策

(1)取締役会 への 諮問機関 としての 役割 (2)企業に適応した委員会制度 の充実 (3)経営諮問委員会 の制度 の拡大 (4)原則を用いた委員会 の機能強化 (出所)著者作成。

(1)原則策定 ‑の促進

(2)経営諮問委員会発足 へ 向けた承認 (3)原則と委員会相互 の実践 (4)取締役会 との 連携と承認

(9)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立 93

役や社外 取締 役 の活 用、 そ して企業 の委員会制 度の構築 に力 を注いで きた と考 えられ る23。 また、

社外の 目を企業経営に取 り入れ るためには、企業 のなかで一定の指針や原則 を定め る必要が有用で あったため、企業が独 自にコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの指針 を行動原則 として策定 したのである24。

そ して、企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原 則は、既 に多 くの企業で策定が進み、企業 ごとの 原則 として企業経営の1つのモデル と認識 されて いる。つ まり、 日本企業は企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 を用いて、 コーポ レー ト・ガ バナ ンス体制の強化や経営 目的に応 じた制度の構 築 を行 っているとい うことが理解で きる。

一方で、企業独 自のコーポ レー ト・ガバナ ンス 原則 を策定 し実践 している企業の例 か らみ られ る ように、企業の原則の特徴 には企業の経営方針が 大 きく反映 されてい る250 そ して、企業のコーポ レー ト・ガバナ ンスの充実 とい う方針のなかにお ける企業内委員会 の充実 は、既 に企業独 自のコー ポレー ト・ガバ ナ ンス原則 に織 り込 まれそい る260

さらに、帝人には、ア ドバ イザ リー ・ボー ド (経 営諮問委員会 としての認識) とい う取締役会に対 する諮問機 関が設置 されている。 この制度は、帝 人の企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 に

1つ の項 目と して記載 されてい る27。 この ことは、

経営諮問委員会が企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 を通 じて設置 され、実践 されていると い う解釈がで きると考 えられ る

ここで、企業 における独 自の原則 と経営諮問委 員会 の関係性 をまとめ ると、図

2

の よ うにな ると 考 えられ る。経営諮問委員会は、企業独 自の コー ポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 に追加 させ ることを目 的 としている。 そのために、 (1)取締役会への諮 問機 関 と しての役 割、 (2)企業 に適応 した委員 会制度の充実、 (3)経営諮問委員会の制度の拡大、

(4)原則 を用いた委貞会の機能強化、などを企業 のなかで具体的に規定す ることが考 えられ る。 そ して、企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 は、経営諮問委員会 を原則 に記載 し、設置への要 請 を行 うことを目的 としている。そのために、(1) 原則 策定へ の促進、 (2)経営諮 問委員会 発足 へ 向けた承認、 (3)原則 と委員会相互 の実践、 (4) 取締役会 との連携 と承認、などを企業が実践す る

ことが必要であると考 えられ る。

4‑2 経営諮問委員会の発足方法 と原則の策定 それ で は、企 業 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス 体制 の なかでいか に して経営諮 問委員会 を発足

図3 企業独 自の コーポ レー ト・ガバナ ンス原則策定 と経営諮問委員会の発足方法

(出所)小島大徳[2004

『世界のコーポレー ト・ガバナンス原則一原則の策定 と企業の実践‑』文異堂,125 頁を参考に筆者作成。

(10)

94 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3月

すべ きなの か を検 討 した い。 た とえば、帝人 は、

1999年 以 来 か らコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの基 本方針 を実践す るために、経営諮 問委員会 を設置 してい る。 そ して、2003年 には一連 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る規 定 を明文化 した コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス ガイ ドを公表 した28。 さ らに、

コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスガイ ドは、取締役会 内 で承 認 され、社外構成 員主体 の諮 問機 関 と して正 式 に経営諮 問委員会 を設置す ることが決定 してい

るので ある。

以上 の例 を参考 に して、経営諮 問委員会 を設置 す るため には、 図3の よ うに考 えるこ とがで きよ う。 図3に よ る と、 まず、取締 役 会 の指示 に よ り 企業独 自の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス原則 の策定

を行 う会 議体 を発足 させ る ことがで きる。 また、

会 議 体 に は、企 業 のCEOやCFO、 そ してCOOと い った企業経営の トップが参加 し、意 見収集 の場

と して開催 され る。 さらに、 よ り専門的 な意見交 換 の場 とす るためには、社外 か らの有識者 や取締 役 を招 き、 あ るいは、企業 内部の各専門家や分野 別 の専 門家 を招 くこ とに よ ってCEOな どの社 内 の構成 員へ向 けた助言 も行 うことがで きる。

4‑3 経 営諮 問委 員会 の活用 方 法 の確 立 と企 業 の 原則 の活用

それで は、企業経営 において経営諮 問委貞会 を 策定 し企 業 が独 自に活 用す るためには、如何 な る 方法 を とるべ きなのか を明 らかにす る。 その ため には、企業独 自の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス原則 へ の設置へ向 けた要請 と、経営諮 問委員会 の規 定 が最低 限で あ ることが必要 で あろ う。

まず、 図4に よ る と、企 業 の コーポ レー ト ・ガ バ ナ ンス原則 を策定す るためには、企業経営 にお け る原則実践 の理想 と して、私 的機 関な どの コ‑

図4 今後 の企業独 自の コーポ レー ト・ガバナ ンス原則 と経営諮問委 員会 の活用法 企業経営 における

原則実践 の理想

コーポレートガバナンス原則 JCGF新CG原則(2006) (争取締役会の地位と目的 (診取締役会の権能

③取締役会とcEOの権限

④報告事項の充足

⑤任意での委員会の設置

⑥各委員会の設置と構成 (∋各委員会の役割

@社外取締役などの提言 など

企業経営 における 原則実践 の現実

企業 目標 企業改革プラン

①日産リバイバルプラン

②ソニー経営機構改革の理念

NEC経営戦略 など 企業理念

(丑オムロン企業理念

②帝人企業理念

③上記以外の企業理念 など

企業経営 における 経営諮問委員会 の活用

経営諮問委員会 企業経営‑の諮問

①取締役らへの助言

②取締役会‑の提言

③審議事項に関する答申 社内制度の充実

①任意での委員会の設置

②有識者らの充実

③多様な目的における設置

l

(出所)小島大徳【2004

1

『世界のコーポ レー ト・ガバナ ンス原則一原則の策定 と企業の実践‑』文集堂,124 頁 を参考に一部加筆 し、筆者作成。

(11)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立 95

ポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 を参照す る必要がある。

日本 国内 において は、 日本 コーポ レニ ト・ガバ ナ ンス ・フォーラム (以下

、「 J CGF

」 とい う)の コーポ レー ト・ガバナ ンス原則が公表 されている

29

。J CGF

の コーポ レ‑ ト ガバ ナ ンス原則 が企 業に経営者へ向けた原則であり、 より実践的な内 容が含 まれてい る。 また、 この原則 を参照 しつつ 企業経営 に取 り入れ ることによって、各委員会制 度の構築 が企業 によって行いやすい環境 を作 り上 げることが可能 となるのではと考 えられ る。

また、企業経営における原則実践の現実 として、

企業のなかで 目標 を作 る必要がある。企業 目標 に 関 しては、既 に企業の行動規範や指針の策定 を通 して方向性が定 まっている企業が存在す る。 そ し て、企業 目標が定 まっていればこそ、企業が独 自 のコーポ レー ト・ガバナ ンス原則 を策定す る環境 が整い、制度 として認識 されやす くなると推測 さ れる。 くわえて、制度 として経営者 らが認識 され ることがで きたな らば、常 に経営課題 としての見 直 しの対象 となる。 さらにいえば、企業が外部に 公表す る情報の一部 として広 く利害関係者へ認識

させ ることも可能 となると考 えられ る。

さらに、企業経営 における経営諮問委員会の活用 法 として、経営諮問委員会の制度 を確立す ること が必要で ある。企業経営における経営諮問委員会 に関 しては、 これ まで検討 して きたように、企業 経営への諮問 と社 内制度の充実 を行 うことが考 え られ る。た とえば、経営諮問委員会 として、取締 役会などへの助言 と提言や審議事項の答 申、 そ し て、任意で委員会 を設置す ることと企業 に適合 し た設置案 を定義すべ きと考 えられ る。 さらにいえ ば、経営諮問委員会の企業 ごとの定義案 を 1つ と 活用法 として企業独 自のコーポ レー ト・ガバ ナ ン ス原則 に記載 し、実践 してい くことが経営諮 問委 貞会の有効性 を発揮で き得 る策 として考 えられ る のである。

5

おわ りに

日本企業 において、企業 のコーポレー ト・ガバ

ナ ンスの機能 を向上 させ る努力は 日々模索 されて いる。 それは、企業 目標や経営戦略、 あるいは経 営理念 などを土台 とした行動指針 を前提 に企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 として策定 さ れている。そ して、本論文で取 り上 げた経営諮問 委員会 は、企業がコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの強 化 を目的 として企業経営機構 に設置 された任意の 委員会制度である。 その認識のなかで、企業 はこ の経営諮問委員会 を、制度の改革の 1つの手立て として、 自社のコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの規定 に織 り込んだ と考 えられ る。いまだに、経営諮問 委員会 は企業への導入例 が少 ない と考 えられ るが、

目的や役割 を企業 が設定 し、原則 に記載す ること がで きたな らば、今後の導入 も増 えてい くで あろ

うと考 えている。

経営諮問委員会の役割や 目的は、基本的に取締 役会 などへの助言 と提言機能 を有 してい ると考 え ている企業 が多い。 そ して、その考 えが経営諮問 委員会の定義で あるとす るな らば、企業が任意で 設置 している他の委員会 も、同様の 目的 として認 識 されて よいので は と考 え られ る。 この ことは、

取締役会や代表取締役へ の助言 と提言 だけで は、

明確 に説明がで きな くなることへの補足説明 とし て取 り上げ るとよいのではと考 えている。 くわえ て、企業のなかでは、いまだにコンプライアンス 委貞会 と経営諮問委員会の区別 をすべ きかどうか が議論 されてい る。 この議論 に関 して も、企業 に よって考 えの違いがあることを考 えれば、企業経 営への一躍 を担 ってい る機 関 として、広 い意味で の経営諮問委貞会 と位置付 けることがで きよう。

このような、経営諮問委員会の認識 をもとに考 えると、 これ まで検討 して きたような、企業独 自 のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則の策定が経営諮 問委員会の有効性 を発揮す ることがで きると考 え られ るo この企業独 自の コーポ レー ト・ガバ ナ ン ス原則 に関 して考 えるな らば、企業の 目的や今後 の方向性 に準 じたコーポ レー ト・ガバナ ンスを構 築す るために存在 してい るのである。一方で、経 営諮問委員会が委員会 としての実効力 を強化す る ためには、独 自の原則の役割 と相互で協力 しなが

(12)

9 6

神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第

1 4

2 0 1 0

3

ら、企業 のコーポ レー ト・ガバ ナ ンス体制 を強化 し、 1つの手立て と して経営諮問委員会 を導入 し やす くな ると考 え られ る。 そのため、今後 も企業 が経営諮 問委員会 を導入 し、企業 に適合 で きるよ うな制度 として展 開 してい くことを注視 しなが ら な らない と考 えるO

1

今 日の 日本 企 業 に お い て は、 コ ー ポ レー ト・ガバ ナ ンスの 目的 を、 おおよそ小島大徳

[ 2 0 0 4

】において定義 された ことに基づいて設 定 してい ると考 え られ る。 そ して、企業 が経 営理念や行動指針 を策定 し、 それ を原則 と位 置付 けたことによって、自社 の コーポ レー ト

ガバ ナ ンスを実践 してい ることが考 え られ る。

2

平 田光 弘

[ 2 0 0 8 】

『経 営者 自己統 治論 社会 に 信 頼 され る企業 の形成 』 中央経 済 社

,5 4

を参照 した。

3 小島大徳

【 2 0 0 4 ]

『世界の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則一原則 の体系化 と企業 の実践‑』文 具堂

,1 2 3

頁 に論拠 してい る。 また、原則 は、

対象範 囲 を広 げれば実践段階ではない企業 も 増 えてお り、今後 も原則 の策定や実践 は行 わ れてい くで あろ う。

4 今 回取 り上 げ た、 (1)報 酬 委 員 会、 (2) 人 事指名委員会、 (3) コンプ ライア ンス委員会、

( 4 )

経営諮 問委員会、の

4

つ の委員会 は、主 に企業 が任意で設置 した機 関で あ り、同時に 特 に取締役会への助言 を行 ってい ることが前 提で ある。

5 ここでは、(1)か ら (4)の委員会 に関わ らず、

企業 が特 に必要 と判 断 した委員会 に も検討の 幅 を広 げなが ら、いかなる委員会 が必要で あ

るのか とい うことを指 してい る。

6 取 り上 げた委員会制度 は、名 目的な設置だけ ではな く、各委員会 にどの よ うな社外の 目を 取 り入れ た らよいか とい う検討 を した うえで 設置 してい る。 また、国内の私 的機 関の原則 において も、委員会制度 の充実 は取 り上 げ ら れてお り、企業 に委ね られてい る。

7 今 日の任意の委員会制度 の課題 としては、企 業 に役割や権限が委ね られてい るために、社 外 と社 内の構成員の比率 (た とえば、社 内構 成 員 のみの組織体 や社 内構成 員8割以上 の組 織体 など) が問題視 されてい る。企業 によっ ては、取締役会 と明確 に分離 した状態で組織 されてい る理 由で認めてい る例 が多い。

8 ここで は、 あ くまで経営諮問委員会単体 とし て認識 してお り、企業経営 において普及率が 向上 してい る任意の委員会 とは区別 してい る。

9 いまだに、企業 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス を充実 で きていない企業 が存在す ることも考 え られ る。 しか し、一方 では、CSRに積極的 な姿勢 をみせ るなどとい った企業 が増 えてい るため、必ず しもコーポ レー ト ・ガバ ナ ンス をいかに捉 えるか といった ことだけを比較検 討す ることは していない。

1 0

今 日の委員会制度 は多岐に渡 り、既 に多 くの 企業 が導入 を試みてい る。 したがって、 ある 程度 の役割 と目的に集約 したのは、経営諮 問 委員会 の制度 を企業 内部で構築す るために役 割 を明確 にす るためで ある。

11 ここでの専門委員会 と、前述 した企業内委員 会 は 目的 と役割 において共通 している。

1 2

角 田大

意[ 2 0 0 0 ]

「取締 役会諮 問機 関

『商事 法務』No.1572

,3 8

頁 を参照 した。

1 3

ここまでは、経営諮問委員会 と企業 内部の委 員会 とは区別 していたが、 目的に共通点があ ることか ら、経営諮 問委員会 と複数の委員会 の集合概念 が経営諮 問委員会 で あるとの2つ の認識で あると考 えてい る。

1 4

ここでは、 よ り経営諮問委員会の役割 を拡大 すべ く、内部統制 と内部通報 といった 目的 を 追加 してい る。詳 しい実践状況 につ いて は、

各企業の関連 ホームページを参照の こと。

15 企業 によって最 も認知 されやす く、かつ幅の 広 い見地か らの助言 がで きるとされてい るこ

とが理由 として考 えられ よ う。

16 日本製紙 や アサ ヒビール な どの ように、企業 の監査部門の諮 問機 関は、 コンプライア ンス

(13)

企業経営における経営諮問委員会の活用方法の確立

9 7

委員会 などと比較 して も取締役会 と明確 に分 離 している機 関がある。 しか し、その助言の 適応範囲は、業務監査 などにとどまり間接的 に しか役割 を果たせていない。

1 7

内部通報委員会 などは、正式 に取締役会の諮 問機 関 として認識 されている例 は少 ないと考 えられ る。 しか し

、CS R

委員会の内部委員会 として弁護士などの法的処置 を主 目的としな が ら、間接的に情報 を提供 している。

1 8

1 7

に加 える とす るな らば、本章 では、 内 部通報委員会 などの 目的は今後 も検討すべ き と考 えるが、経営諮問委員会 と比較 しなが ら 検討す ることは、便宜上 していない。

1 9

企業経営 に広 く助言す るために、社会貢献活 動に関す る助言や環境問題 に関す る企業の施 策に対す る助言 を行 っている。

′\

2 0

詳 しくは、積水ハ ウス とダイキ ンの

CS R

に関 す る所見 を指 した関連 ホームページを参照の こと。

2 1

企業個別 の委員会 とは、他 の

5

つ の委員会以 外の ことを指 している。

2 2

この場合 は、比較的規模 が小 さい委員会 を指 し、企業 経営 に携 わ らない人物 が構成員 と なってい る

2 3

中ハト英彦

[ 2 0 0 1 ]

「わが国の企業 にふ さわ しい コーポ レー ト・ガバ ナ ンスへの期待

商事

法務

』No .1 5 9 8 ,8

頁 を参照 した。

2 4

企業独 自のコーポ レー ト.ガバ ナ ンス原則 は、

小島大徳

【 2 0 0 4 】

『世界の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則一原則の策定 と企業の実践‑』文 具堂

,8

頁に論拠 しなが ら、定義 を行 っている。

2 5

具体的な例 としては、帝人の他 に検討 した積 水ハ ウスや 日本製紙、そ して中央三井 トラス ト

HD

やキヤ ノンが挙 げ られ る。 これ らの企 業に も諮問機 関は設置 されている。

2 6

詳 しくは帝人のコーポ レー ト・ガバ ナンスガ イ ドを参照の こと。

2 7

帝人 は経営の基

を規定 してい る !∴ 二三 ∵ ̲‑∴ の確保や公正性の確保で ある。

2 8

ここでは、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスガイ ド を企業独 自の コ‑ポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 の

1

つであると認識 してい る。

2 9

日本 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス フォー ラム

[ 2 0 0 6 】

新 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則

日本 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスフォーラムを 参照 した。

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資料

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「我 が国におけるコー ポ レー ト ガバ ナ ンス制度 の あ り方 につ いて

日本経済 団体連合会.

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企業経営における経営諮問委員会 の活用方法の確立 99

日本 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス フォー ラム

[ 2 0 0 6 ]

「新 コーポ レ‑ ト ガバ ナ ンス原則」 日本 コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンス フォー ラム.

参考ホ ームペ ージ (最終ア クセス 日12月1日) アサ ヒビール株式会社

株式会社 日本製紙 グル ープ キヤ ノン株式会社

積水ハ ウス株式会社

中央三井 トラス トホール デ ィングス コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス報告書 ダイキ ン工業株式会社

TEUI N

TEI J I N

アニ ュアル レポー ト

2 0 0 8

帝人 グル ープの コーポ レー ト・ガバ ナ ンス

TEI J I N

コーポ レー ト ・ガバ ナ ンスガイ ド

2 0 0 7 TEI J I N

コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス報告書

2 0 0 8

(各企業 の イ ンターネ ッ トサ イ トは、企 業 の 関連 ホームペ ージを参 照 した。)

参照

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