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発展途上国のコーポレート ガバナンスと地域円卓会議

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(1)

■ 研究論文

発展途上国のコーポレート ガバナンスと地域円卓会議

一 各地域 における課題 と議論の展望 ‑

Co r p o r a t eGo v e r n a n c ei nDe v e l o p i n gCo u n t r ya n dOECDRe g i o n a l Ro u n d t a b l e s

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

牧 野 雄 貴

MAKI NO, Yu ki

■キーワー ド

コーポ レー ト・ガバ ナ ンス、 コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス原則、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス白書、地域 円卓会議、発展途上国

1

は じめに

コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論や研究 は

、1 9 9 0

年代 前半 か ら、先進 諸 国 にお いて活 発 に行われて きた。 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスが必 要 とされ た第1の要 因は、企業不祥事へ の対処 を め ぐってである。 そのため、企業不祥事 の再 発 を 防止 す るには、経 営監 視 ・統 制 の仕組 み は ど う あるべ きか、が問われていたことが挙 げ られ る1

第2の要 因は、企業競争力の強化 をめ ぐって であ る。そのため、企業競争力 を高 め るには、いかな る経営意思決定の仕組み と、いかな る経営監視 ・ 統制の仕組み とが望 ましいか、が問われていたこ

とが挙げ られ る2。

先進諸国において議論や研究 が進 め られてい く なか

、1 9 9 0

年代 後半 か らは、発展 途上 国 に おい て も議論 が始 まった。発展途上国では、先進諸国 に比べ、企 業数 が少 な く、企 業 の活動 が活 発 で はない こ とが考 え られ る。 しか し、今 後 の経済

成長 を考 えると、発展途上国 において も、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスは避 け ることので きない問題 で あるとい えよ う。 そのため、発展途上国 におい て も、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論や 研究 の必要性 が高 まって きたのである。 なかで も、

OECD

の取 り組み が、発展途上 国の コーポ レー ト ガバ ナ ンスに関す る議論 を進展 させ る大 きな要 因 となった

oOECD

は、発展途上 国に もコーポ レー ト・ガバ ナ ンスが必要 で あ る との見解 か ら、地 域 を

5

つの ブロ ックに分 けて、 それぞれで コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る円卓会議 (以下 「地 域 円卓会議」 とい う) を開催 させ、地域 ごとに議 論 を進 めたのであ る。地域 円卓会議 を契機 と して、

発展途上 国の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス議論 は大 きな進展 を遂 げ ることにな り、今 日において も活 発に議論 が行われてい る。 い まだに、発展途上国 は、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築 が鈍い との指 摘 が多いなか、地域 円卓会議 における取 り組み は、

この指摘 を大 きく覆す ものである。 また、 コーポ

(2)

36 神奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第13 20093月

レー ト・ガバ ナ ンスの研究 は、先進諸国だけでな く、発展途上国へ も目を向けることで コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの本質 を知 ることがで きるもの と 考 えている。その点 において も、 これ まで、着 目 されて こなかった発展途上国の コーポ レー ト・ガ バ ナ ンスに関す る研究 は、重要 な意味 を持つ とい

えよ う。

そこで、本稿 では、地域円卓会議における議論 の進展 を明 らかにす ることで、発展途上国のコー ポ レー ト・ガバ ナ ンス に焦点 をあてた研究 の必 要性 を明 らかにす ることを 目的 とす る。 そのた め、第2節では、発展途上国において コ‑ポ レ‑

卜・ガバナ ンスが必要 となった背景 を論 じ、地域 円卓会議が開催 され るに至 った経緯 を論 じる。 ま た、第

3

節では、地域 円卓会議 における議論の進 展 と発展途上国における課題 を検討す る。 さらに、

第4節では、発展途上国において進 め られている コーポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 を具体的に論 じるO そ して、第5節では、今後の地域 円卓会議 が どの よ うな議論 を進め、発展途上国各国へ影響 を与 え るのか、展望 を論 じる。

2

コーポ レー ト ・ガバナ ンス改革 が求め られた背景 とコーポ レー ト・ガバナ ン ス原則

2.1 発展途上国 においてコーポ レー ト・ガバナ ンスが求め られた背景

発展途上国においては、コーポ レー ト ・ガバナ ンスが求 め られ るよ うになった背景 には、第1に、

経済のグローバル化 を背景 として、発展途上国で も企業の競争力強化 を目指 し、経済発展 をもた ら そうと したことが挙げ られよう。 また、近年、発 展途上国のかなで も、BRICsに代表 され るように、

経済成長の 目覚 ま しい国が増 えて きてい る。 これ らの国に属す る企業の規模 が大 きくな るにつれ、

コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの必要性 が高 まって く ると考 えられ よう。

第2に、発展途上国の経済成長 に ともない、先 進諸 国 の投 資家 によ る投資が増 えてい る ことも

コーポ レー ト・ガバ ナ ンスが求 め られ た要 因 とし て挙 げ られよ う。 また、先進諸国の投資家 などは、

ファミリー企業 を中心 とした閉鎖的 とされ る発展 途上国の企業 に対 し、積極 的なコーポ レ‑ ト・ガ バナ ンス構築 を求めていることが考 えられ る。

3

に、 アジア通貨危機 を背景 と した発展途上 国における法整備が問題 となったことが挙げ られ る。 アジア通貨危機 の深度 を増幅 した要因の

1

つ として、アジア地域 における企業の透 明性欠如等 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの不備が指摘 されて い る30 その ため、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの 確立および強化が経済安定化 をうながす施策の1 つ と して位置づ け られ たので ある4。 また、 アジ ア通貨 危機 の要 因で あ った債務 累積の根幹 には ファ ミリーの経営支配 とい うコーポ レー ト・ガバ ナ ンス上の問題 があるとの認識 があるとされてい る5。発展途上国の企業 では、規模 の大小 を問わ ず、株式の公開 ・非公開を問わず、 ファ ミリー企 業 が支配的な企業形態であるため、いかに、 ファ ミリー企業 を中心 とす る地場企業の経営内容 を改 善 し、法的に規制す るかが問題 となったのである 6。 この よ うな問題 を背景 と して、発展途上 国に おいて もコーポ レー ト・ガバナ ンスが求 め られ る ようになったと考 えられ る。

2.2 0ECDコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 の策 定 と地域円卓会議の開催

先進諸国では、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関 す る議論 の深 ま りとと もに、 コーポ レー ト・ガ バ ナ ンスに関す る統一基準の必要性 が高 まった7。 そ こで、 しだいに コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原 則 (以下 「原則」 とい う)の策定 が相次いだので あるS。なかで も、OECDが公表 した 『OECDコー ポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 (以下 「OECD原則

とい う

」 )

9』 は、「非拘束制」 と 「参照可能性」 と い う特徴 をもち、各国の コーポ レー ト・ガバ ナ ン ス構築 に大 きな影響 を与 えることになったo

OECDは、原則 の検証作業 を行 うため、世界銀 行 と共 同でグローバル ・コーポ レー ト・ガバナ ン ス ・フォーラム

( GCGF )

を結成 し、 どの よ うに

(3)

原則 を中心 としたコーポ レー ト ガバ ナ ンスを評 価す るのがよいか、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスを より世界 に普及 させ、 どのよ うにインセ ンテ ィブ を得てい くのがいいのかについて、研究 を行 って い る1。。 また、発展途上 国において もコーポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 が必要 で あ るとの見解 か ら、

OECD非加盟 国が集 まる地域 を5つ の ブ ロ ックに 分割 して、OECD原則 を広めることに したのであ る11。 この地域 円卓会議 の開催 が、発展途上 国の コーポレ‑ 卜.ガバ ナ ンス議論 を活発な もの とさ せ、今 日にいたるまでの きっかけとなったのであ る。

地域 円卓会議 は

、GCGF

と世 界銀行 グル ープが 中心 となって行われてお り、 アジア12、南東 ヨー ロ ッパ 13、ユ ー ラ シア14、 ラテ ンア メ リカ]5、 ロ シアで議論 を深化 させ てい る16。各円卓会議 には、

地域 に属す る国か ら、規制当局、政策担当者、専 門家、企業 経営者 、非政府組織 (NCO) などが 参加 している。地域 円卓会議の 目的は、コーポ レー ト・ガバナ ンスの特徴や課題 を示 したコーポ レー ト・ガバナ ンス白書 (以下 「白書」 とい う) を策 定す ることであった。

地域円卓会議 の開催 を端 に して、発展途上国に おけるコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの議論 は、大 き く進展す ることになったのである。 そこで、次節 では、発展途上国の コーポ レー ト・ガバナ ンス議 論 に さまざまな影響 を与 えてい る、地域 円卓会議 の議論 と自書 につ いて、詳 しく論 じてい く。

3

コーポ レー ト・ガバ ナ ンス白書 の策定 と各地域の課題

3.1 地域円卓会 議 にお ける議論 と発展途上 国の コーポ レー ト ・ガバナンス構築

地域 円卓会 議 は

、2 0 0 0

年前後 に各地域 で始 ま り、 年1回の ペ ー ス で 開催 され て い るO それ ぞ れの円卓会議 におけ る今 日までの議論 の流れ は、

白書策定 まで の議論、 (2) 白書策定 後 の議 の

2

つの段 階 に分 け ることがで きる。 ここで は、 (1) 白書 策 定 まで の議論、 を論 じ、 (2) 白

書策定後の議論、 につ いては、次節で論 じること にす る。

各地域 における白書策定 までの議論 の流れ を概 観 した ところ、 その流れ には共通 した部分がある。

まず、各地域 では、議論の第1段階 と して、第1回、

も しくは第

2

回の会議 において、情報 開示 ・透 明 性 に関す る議論 を行 った。 これ は、 アジア通貨危 機 の原 因が、情報 開示 ・透明性 の欠如 を主 と した コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの不備であった と指摘 されていたため、発展途上国が取 り組むべ き、最 初 の議題 と して扱 った と考 えられ よ う。 い くつか の地域 では、情報 開示 ・透明性 に関す る議論 を何 度 か行 っていた ことか らも、各地域 が情報 開示 ・ 透 明性 の重要性 を認識 していた ことが うかが える。

つ ぎに、第2段 階 と して、株主 をは じめ と した利 害 関係者 の権利 に関す る議論 を行 った。 ここでは、

各国の株主権利 の制度 などに関す る議論 を中心 に 行 った。発展途上 国の 多 くでは、一部の株主 によっ て権利 が掌握 されてお り、少数株主 などの権利 が 侵害 され るとい う問題 を抱 えてい るため、情報 開 示 ・透明性 とあわせて、権利 の保護 が重要視 され て い る。 そ して、第

3

段 階 と して、企業経営機 構 に関す る議論 を行 った。 ここでは、先進諸国 と同 様 に、企業経営機構改革 の必要性 を議論 し、いか に して、企業経営機構改革 を行 うか を示 した。 こ の よ うに、地域 円卓会議では、発展途上国におい て、改革 をすべ き重要 な部分か ら議論 が重 ね られ、

白書の策定 に至 ることになったのである。

コーポ レー ト・ガバ ナ ンスは、利害 関係者、情 報 開示 ・透 明性 、企業経営機構、の3部 か ら構成

され る17。つ ま り、 これ らの制度 を整 えることで、

コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築 を進展 させ ること がで きるので ある。地域 円卓会議の議論の流れ は、

発展途上国各国が コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築 を行 う際の議論 の流れ に も適応 で きると考 えてい る。地域 円卓会議 では、重要視す る問題か ら議論 を行 っていた ことか らも、発展途上国各国は、 こ の順番 で論 じてい き、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス 構築 を行 うことが賢明だ ろうC

(4)

38 神奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第13 20093

3.2 コー ポ レー ト ・ガバ ナ ンス 白書 の策 定 と役 割

各地域 円卓会 議 で は、 それ までの議論 を もとに、

2002年 か ら2004年 の 間 に相 次 い で、 白書 を策 定 した18。 それ ぞれ の 自書 は

、OECD

原 則 を基本 的 枠 組 み と しな が ら、 円卓会 議 で の議 論 を もとに、

これ までの進 捗状況 を解説 し、残 され た課題 を特 定 す る とと もに、政策立 案者 や技 術支援供 与者 の 指針 とな る具 体 的 な提言 を行 って い る9。

ここで

、OECD

原 則 、 白書 、 各国原 則 の相 関 関 係 を示 す と図

1

の よ うにな る。 まず

、 OECD

原則 は、

規範 原則 と して、 白書 の策定 に直接 的 に影響 す る。

また、 自書 は、指 針原則 と しての役割 を担 い各 国 の コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス規 則 の策定 に影響 を 与 える。 そ して、 各国の コーポ レ‑ 卜 ・ガバ ナ ン ス規 則 は、 白書 に再 び反映 され るよ うに、定期 的

に調査 ・報告 され る。 この よ うに して、各地域 で 策 定 され た 白書 は、各 国の実行原則 に影響 を与 え、

各 国 の実 行原 則 に よって、企業 の コーポ レー ト ・ ガバ ナ ンス改革 を進 展 させ るこ とに な るので あ る。

近年 では、調査報告 も行 われ て お り、各国 が ど れ だ け改革 を進展 させ たか を比較 す るこ と も可能 となってい る。 これ につ い て は、次 節 で詳 しく論 じて い くこ とにす る。

3.3 各地 域 の改 革課題

各地域 で策 定 され た 白書 に は、表1に あ る よ う に優 先 して改革 すべ き課 題 を

6

つ ほ ど挙 げ て い る。

それ ぞれ の地域 に よって、課題 や特 徴 は異 な って くる ものの、提示 され た課題 を照 らし合 わせ る と、

共 通 した課題 が浮 かび上 が る。

それ ぞれ の地 域 が抱 え る共 通 した課 題 と して、

1

発展途 上 国 にお ける コーポ レー ト・ガバ ナ ンス と原則

(出所)小島大徳 [2007]136頁

実行原則

1. 世界標準 コーポ レー ト・ガバナ ンス原則 の性質は2つある。

(∋非拘束性

② 参照可能性

2. 各経済ブ ロックの 『白書』 の作成に直接的影響す る。

①世界5ブ ロックの 『白書』 の前提 となる。

(診ELT等の経済統合の際、会社法な どの策定の基礎 となるo

1. 経済ブ ロックごとのコーポ レー ト・ガバナンスを構築す る。

2. OECD原則 の遵守状況を詳細に検討す る。

3. 各国の企業経営機構体制な どの緩やかな統一を促す。

4. 各国の利害関係者に関す る規定を要求する。

1. 上場規則に採用す る。

2. 会社法に取 り入れ る。

3.各国内私的機 関の原則が参照す る。

(5)

(1) 少数株主 の保 護 を中心 と した株主 の権利 保 護に関す る課題 (アジア:課題

1

・課題

5

、南東 ヨー ロ ッパ:課題4、ユ ー ラシア:課題4・課 題5、 ラテ ンアメ リカ:課題1・課題2)、 (2) 非財務情報 を中 心 とした情報 開示 ・透明性 に関す る課題 (アジア:

i/

課題3、南東 ヨーロッパ:課題6、ユ ーラシア:課題 2、 ラテ ンアメ リカ:課 題3、 ロシア:課題2)、 (3) 取締役会改革 および取締役研修 に関す る課題 (ア

ジア:課題

4

、南東 ヨーロ ッパ:課題

3

・課題

5

、ユ ー ラシア:課題6、 ラテ ンアメ リカ:課題4) が挙 げ ら れ る。

それぞれの課題 に関す る要 因 を考 えると、 まず、

(1)少数株主 の保護 を中心 とした株主 の権利保護 に関す る課題、では、発展途上 国の企業形態 と し て支配的であるファ ミリー企業 では、大株主 と経 営者 によ り少数株主 が搾取 され る可能性 が あ り2、 他の株主 の権利 が侵害 され るとい う問題 を含んで い るためで あ る。 また、 (2) 非財務情 報 を中心 とした情報開示 ・透明性 に関す る課題、において も、 (1)の要 因 と同様 に ファミリー企業 が中心で あるため、一部の株主や経営者 にのみ情報 が伝 わ り、外部者 には情報 が伝 えられていない とい う問 題 を含んでい るためで ある。小 島大徳

[ 2007

]は、

「ファ ミリー企業 の存在 を前提 と した施 策 に関 し ては、情報 開示 ・透 明性 の機能 に期待す る しかな い2

」 と論 じて い る。地域 円卓会議 にお ける議論 が情報開示 ・透 明性 か ら始 まった ことか らみて も、

この改革 が最 も求 め られているといえよ う。 そ し て、 (3)取締役会改革 および取締役教育 に関す る 課題、では、各地域 において、先進諸国で も活発 に議論 された企業経営機構 に関す る問題 を挙 げて いる。なかで も、独立取締役の必要性 が各地域で 論 じられてい るものの、 そのな り手 が不足 してい ることや、知識の不足 といった経営者 の資質 を問 題視 してお り、教育機 関の設置や何 らかの研修の 必要性 が さけばれてい る22。

このように、それぞれの地域で課題 は異 なって いるものの、発展途上国全体の課題 と して、上述 の

3

つ に分類 され る。 これ らは、先進諸 国 におい ても、その背景 は異 なるものの同様の問題 を抱 え

ていた ことか ら、先進諸国における改革 を うま く 利用 しなが ら、改革 を進 めることが必要 となるだ

ろ う。

4

白書策定後の地域円卓会議 における議 論 と白書の浸透調査報告

4.1 地域円卓会議 における新 たな議論の展開 地域 円卓会議では、 白書策定 に至 るまでの議論 のなかで、明 らか となった課題 を解決す るために、

新 たな議論へ と移 ってい る。 そのなかで も、多 く の地域 で取 り組 まれてい るものが、銀行や国有企 業 に焦点 をあてたコーポ レー ト・ガバ ナ ンスの議 論 である。

第1に、銀行 に焦点 が当て られ た背景 に は、 ア ジアやユ ーラシアでは、銀行の借 り入れによる出 資が多い ことが挙 げ られ る。 アジア白書 において、

「銀行 の ガバ ナ ンスが弱 い こ とは、銀 行の株主 に 対す る リター ンを低 くす るのみ な らず、問題 が拡 散 すれ ば、金 融 システ ム全体 を不安 定 化 させ 得 る。 ・ ・(中略)‑ ・その ため、銀 行部 門 の健 全 なコーポ レー ト・ガバ ナ ンス慣行 を促進 す るこ とが必要 で あ る

2 3

」 と提言 してい る。つ ま り、銀 行 が しっか りと したガバ ナ ンスを構築 しなければ、

アジア危機 の よ うな問題 が再び発生す るとの考 え があ り、銀行の ガバ ナ ンスを重要視 して議論 を深 めてい るのである。

第2に、国有企業 に焦点 が当て られ た背景 には、

南東 ヨーロッパ やユ ーラシアに多 くある市場経済 移行国 につ いて、い まなお、国有企業の影響 が強 いため とい えよ う。 とくに、農業や鉄道 な どイン フラス トラクチ ャーを提供す る役割 を持 ちなが ら、

不祥事の頻発や業績の低迷が起 こる場合 は、民間 企業 の よ うにコーポ レー ト ・ガバ ナ ンスが重要視 され るので あ る24。 その ため

、OECD

は 『国有企 業 コーポ レー ト ガバ ナ ンス原則25』の策定 も行 っ てお り、 これ を参考 に しなが ら、国有企業 の コー ポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 も進 め られ ると考 え ら れ る26。

この よ うに、発展途上 国で は、 コーポ レー ト・

(6)

40 神 奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報J 第13 20093月

表1 コーポ レ‑ 卜・ガバナ ンス白書 で示 された各地域 の改革課題 コーポレー ト.ガバナンスに関する課題

アジア 課題1企業、株主、その他の利害関係者の良いコーポレート.ガバナンスに対する認識を向上 さ宜 るため、官民を挙げた取 り組みが継続 されるべきである

課題2 すべての国 .地域は、コーポレート.ガバナンスに関する法律 .規制がきちんと実施 .施行されるよう努力すべきである

課題3 アジア円卓会議参加国は、会計 .監査 .非財務事項の開示について、国際的基準 .慣行に 十分に収赦するよう努力すべきであるoもし収赦 させることが当面できない場合に、国内の 基準設定主体は、国際的基準 .慣行から禾離 しているとの事実と、その理由を開示すべき である○企業は、財務諸表の個別項目において、適当な場合には、この 「蔀離についての開示」

を再掲するか、参照として記述すべきである

課題4取締役会は、経営戦略計画策定、内部統制体制の監視、経営者 .支配株主やその他のインサイダーが関与する取引について独自審査などに、積極的に参加すべきである 課題5 非支配株主は、法 .規制の枠組みにより、インサイダーや支配株主による不利益から十分に保護されるべきである 課題6政府は、銀行規制および銀行のガバナンスの改善のために更なる努力をすべきである

ヨーロッ南東 課題1 コ‑ポレー ト.ガバナンスに関する法律 .規制が実施 .施行 されるよう努力すべきである 課題2民間部門の関与を増やし、コ‑ポレート.ガバナンス文化の発達を促進するべきである 課題3 コーポレート.ガバナンスに重要なすべての当事者と専門家のために、 トレーニングを展開

するべきである

課題4 少数株主をインサイダーや支配株主による不利益から保護するべきである 課題5取締役会を強化するべきである

課題6 国際標準と会計、監査、非財務情報の公表のために稚持発展 していくべきである

ユーラシア 課題1民間部門の発展を促進するべきである 課題2 情報開示 .透明性を向上 させるべきである 課題3 実施と施行を強化するべきである 課題4 株主権利を強化するべきである 課題5 少数派株主を保護するべきである

課題6 戦略的な計画とモニタリングにおいて取締役会を強化するべきである ‑

課題

7

政府は、銀行規制及び銀行のガバナンスの改善のために更なる努力をするべきである

ラテ

アメリカ 課題1 株主の議決権 を真筆に受けとめるべきである

課題2 会社形態が変わる際や上場廃止の際に、既存の株主を不利のないように適正に扱 うべきである 課題3 財務報告を確実にし、関連会社間取引の情報開示 を改善 させるべきである

課題4 実行的な取締役会を発展させるべきである

課題5 法律に基づいた枠組みの特性、有効性、予測可能性 を改善するべきであるo地域で継続的に協力するべきである

ロシア 課題1 コーポレート.ガバナンスに関する法律の実施 と施行を強めるべきである 課題2透明性と一貫性を確実にするべきである

課題3 民間部門の関与を増やし、コ‑ポレー ト.ガバナンス文化の発達を促進するべきである 課題4‑継続的なサポートと改革の進展調査をするべきである

(出所)OECD [2002]、OECD[2003a]、OECD[2003b]、OECD [2003C]、OECD[2004a]をもとに筆者作成。

(7)

ガバナ ンスの適応範囲 を銀行や国有企業へ と広 げ ている。先進諸国において も、銀行や国有企業の 影響力 は大 きいため、発展途上 国における議論 は、

先進諸国で も参考 となる取 り組みであろう。 なお、

本稿では、議論の推移 を概観す るため、J=れ らの 詳細については、次稿以降で詳 しく論 じてい きた

4.2 ア ジア円卓会議参加 国 にお ける コーポ レー ト・ガバナ ンス改革の調査報告

各円卓会議 では新たな議論の進展 とともに、前 節の図1で示 したよ うに、参加 国の コーポ レー ト・

ガバナ ンス改革 の進展 に関 して、定期 的な調査報 告 を必要 と して い る。2008年 現 在 まで に、 その 取 り組みは、 アジア円卓会議や ラテ ンアメ リカ円 卓会議 において行 われてい る。 なかで も、アジア 円卓会 議 で は、2007年 の会議 におい て 『コーポ レー ト・ガバ ナ ンス報告書 (以下 「アジア報告書」

とい う)27』 を公表 し、 白書策定以降 におけ る各 国の改革 の詳細 を明 らかに した28。 これ を2003年 時点の各国の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス と比較 し てみ ると、 白書策定の時点で、 コーポ レー ト・ガ バナ ンス構築 が鈍かった国において、改革 の進展 度 が高 い こ とが明 らか となった29。 と くに、表

2

にあるよ うに、バ ングラデシュでは、多 くの制度 が他国 と同程度 あるいはそれ以上 の改革 が行 われ たのである。

バ ング ラデ シュにお け るコーポ レー ト・ガ

ナ ンスの変 化 をみてみ る と、企 業 経 営機 構 改革 が顕著 に進 んだ とい えよ う。企業経営機構 で は、

2003年 の時点 において、独立取 締 役 の選任 の義 務づけや監査委員会の設置 などが義務づ け られて いなかった。 しか し、今 日では、 これ らの義務づ けを行い、 さらには、取締役の人数の上 限や任期 の上限 を定 め るな どの改革 が進 め られ た。 また、

情報開示 ・透 明性 において も、2003年 の時点では、

非財務情報の開示 が義務づ け られていなかった も のの、今 日では、比較対象に した全ての項 目で開 示が義務づけ られ るよ うになったのである。

バ ング ラデ シュにおいて、 この よ うな改革 が

進 め られた背景 には、バ ング ラデ シュ証券取 引等 委員会 が2006年 に 『コーポ レー ト ガバ ナ ンス ・ ガイ ドライ ン (以下、 「バ ング ラデ シュ原

」 と い う)30』 を策定 した ことが挙 げ られ る。 これに よ って、バ ング ラデ シュの上 場 企 業 は、バ ング ラデ シュ原則 につ いて 「遵守 か説明 (compliance orexplain)」 をす ることが求 め られ るよ うになっ たのである。この よ うに、発展途上 国におけるコー ポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 に も、原則 の影響 が大 きくなってい るとい えよ う。

アジア報告書 が示す特徴のなかで、バ ング ラデ シュ以外の国で明 らかになった ものに、前回の調 査では、マ レーシアで始 まっていた取締役研修制 度 の義務化が、パ キ スタンで も義務づ け られ るよ うになったことが挙 げ られ る。 また、取締役の任 意の研修 を可能 とす る組織 的枠組み も、全 ての国 で整 えられてい ることが挙 げ られ る。発展途上国 が研修制度 を必要 とす る目的は、各国内の取締役 数 を増や し、経営者不足への対処や独立取締役の 増加 を図 るもので ある31。他 に も、2003年 の時点 と比較 して進展 がみ られ る様子 が うかが え、アジ ア各国では、 白書策定後 に、 それ ぞれの課題 を解 決 しよ うとす る姿 がみ られ るとい える。他の地域 では、 まだ調査報告書の策定 に至 るまで議論 が進 め られていないが、 アジア と同様 に、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 の進展 が図 られてい ると考 え て良いであろ う。

5

地域円卓会議 における議論の展望 と原 則 の策定

5.1 コーポ レー ト・ガバナ ンス自書の策定 地域 円卓会議 が開催 されてか ら今 日に至 るまで、

白書 の策 定 を始 め と して、 発展 途 上 国 にお け る コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築 も しだいにすすめ られて きている。 これ は、地域 円卓会議 における 成果の一部 とい えよ う。

さて、地域 円卓会議 における議論 は、 これか ら、

図2の よ うな展 開 を してい くと考 え られ る。 ここ では、地域 円卓会議 における議論 の進展 と今後の

(8)

42 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第13 2009年3月

2

発 展途上 国にお けるコーポ レー ト・ガバナ ンス改革 の進展‑ バ ングラデ シュ を例 に して一 2003年 2007年

Ⅰ企業経営機構構造 コーポ レー ト.ガバナンス構造の基本

1.取締役の人数の上限下限を定めている 下限上限 :なし:3名 下限上限 ::520名名

2.労働者代表の取締役会参加が認め られている × ×

取締役の選解任規定および義務規定

1.取締役任期の上限が定め られている ×

2.取締役の時差的な任期規則 が定め られている × ×

3.取締役の継続的な研修の義務づけられている × ×

4.取締役の任意研修 を可能 とす る組織的枠組みが設け られている ×

独立取締役の規定

1.法令による取締役会への独立取締役選任が義務づけ られている ×

2.経営陣 との親戚 .婚姻関係 にあるものは排除 され る ×

3.多数株主の関係者であるものは排除 され る ×

4.関連会社の職歴 を持つ ものは排除 され る ×

5.当該会社 と相当規模の取引関係にある会社の代表者は排除 され る ×

取締役会 と取締役に関する規定

1.取締役会への出席状況開示 が義務づけ られている ×

2.監査委員会の設置が義務づけ られている ×

3.報酬委員会の設置が義務づけ られている × ×

4.指名委員会の設置が義務づけ られている × ×

5.その他の委員会の設置が義務づけ られている × ×

Ⅱ 株主の権利

1.郵便による議決権の行使が認め られている × ×

2.電話 ビデオ会議 による議決権の行使が認め られている × ×

3.その他の手段 による議決権の行使が認め られている × ×

4.株式発行の承認が認め られている ×

5.株主代表訴訟が定め られている × ×

Ⅱ 情報開示 .透明性

1.コ‑ポレー ト.ガバナンス関連情報の開示が義務づけ られている ×

2.取締役 .主要経営陣の報酬 に関す る開示が義務づけ られてい る ×

3.れているコーポ レー ト.ガバナンス規範か らの禾離 に関す る開示が義務づけら ×

(出所)OECD [2007] と小島 [2007]124‑125,129‑130頁.をもとに、筆者作成。

展望 と して、(1)白書 の策定 に関す る議論 と白書 新 た な 白書 な どの策 定、 (3)地 域 原 則 の策 定 に の策定、(2)自書 で示 され た課題 に関す る議論 と 向 けた議論 と各地域 コ‑ポ レー ト ・ガバ ナ ンス原

(9)

則の策定、の

3

つ に分類 したO そこで、本節vTjま、

これ らを詳 しくみてい くことにす る。

第1に、白書の策定に関す る議論 と自書の策定、

についてみてい く。 ここは、図

2

の左側 の部分に あたる。 ここは、本稿で も詳 しく論 じて きたよう に、白書策定に至 るまでの地域 円卓会議 における 動 きで ある。各地域 の 円卓会議 で は

、1 9 9 0

年 代 の後半以降、 さまざまな議論 を重ねて きた。 その 成果 として、OECD原則 を参考 に して、自書 を策 定 したのである。第

4

節で も論 じたよ うに、 白書 は、各国のコーポ レー ト・ガバナ ンス改革 に大 き な影響 を与 え、各国が さまざまな改革 を進 める契 機 となったのである。地域 円卓会議 における議論 や白書の策定が、発展途上国において も、本格的 にコーポレー ト・ガバナ ンス改革 が進め られ る要 因となったといえよう。

5.2 各国の課題 に焦点 をあてた新 たな白書の策 定

2

に、課題 に関す る議論 と新 たな白書の策定、

についてみてい く。 ここは、図2の中央 の部分に あたる。第

4

節で も論 じたよ うに、今 日の地域 円 卓会議では、銀行や国有企業の コーポ レー ト・ガ バナンスに焦点があてている。現段階では、各地 域で議論が深 め られている状態であるが、OECD によって国有企業原則が策定 され た ことによ り、

今後は、 さらなる進展 として、新たな白書の策定

が期待 され る。

地域円卓会議が開催 された当初は、 コーポ レー ト・ガバナ ンスは各地域 によって特徴が異 なると い う観点か ら、議論 が始 まり、OECD原則 を参考 に して各地域の白書 が策定 された。 この流れ と同様 に、国有企業や銀行の コーポ レ‑ 卜・ガバ ナ ンス も、各地域 で特徴 が異 なるため、OECDが策定 し たEg有企業原則や、今後新たに策定 され る原則 を 参考に して、各地域の国有企業 白書の ような白書 の策定 にまで進展す ると考 えている。 ここで、策 定 された銀行や国有企業の自書 は、今 日策定 され ている白書 と同様 に、各地域の コーポ レー ト・ガ バ ナ ンスに影響 を与 え、それぞれの コーポ レー ト・

ガバナ ンス構築 を促進 させ る材料 となるだろう。

この よ うに、銀行や国有企業の コーポ レー ト・

ガバ ナ ンス とい った議論 に関 して も、各地域 に よって特徴が異 なるため、それぞれに合 わせた白 書の策定へ と進展 し、 その改革 に役立 て られてい

くと考 えられ る。

5. 3

各地域 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 の策 定 にむけて

3

に、地域原則の策定 にむけた議論 と原則の 策定、 につ いてみてい く。 ここは、図

2

の右側 の 部分にあたる,小 島大徳

[ 2 0 0 7

] は、「ブロ ック 的な経済統合 が進 め られていることを考 えると、

地域 的 な原則 が策定 されてい くと考 え られ る32

図2 地域 円卓会議 における議論の進展 と今後の展望

E 一E

;o[cD原則を参考に策定

コーポレト・ガバ ンス白書

国有企業など

を参考策定

国有企業白書など

;地域原則の策定に向けた 議論

これまでの議論や くア 白書などを参考に策定 各地域

コーポレートガバナンス原則

各国のコーポレート・ガバナンス原則や企業のコーポレート・ガバナンス構築に影響を与える

(出所)筆者作成。

(10)

4 4

神奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第

1 3

2 0 0 9

3

と論 じてい る。つ ま り

、E

Uや

AS E A

Nな どの地域 ご との経済統合 が進 んでい る こ とを指摘 して お り、 その流れに ともない、地域 ごとの原則 が策定 され るだろ うと論 じてい る。 この よ うな指摘か ら も、地域 円卓会議 における今 日までの議論 と、今 後の議論 をふ まえた うえで、地域 ごとの原則 を策 定す ると考 えられ よ う。 そ して、 ここで策定 され た原則 は、 これ までの議論や 自書 と同様 に、各国 の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築や原則 の策定 に 影響 を与 え、企業の コーポ レー ト・ガバ ナ ンス改 革 に も役立 て られ るだ ろう。

このよ うに、 これ までの地域 円卓会議 における 取 り組み は

、3

つ にわ けて考 えることがで き、今 後 は、 しだいに各地域の原則の策定へ とシフ トし てい くと考 えてい る。今 日では、各国内で も独 自 にコーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論や研究 を進 めてお り、その成果 は、地域 円卓会議 を通 じ て、地域 の国々 と共有 されている。 その ため、発 展途上国では、今後 も、地域 円卓会議の議論や白 書、原則 を通 じて、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス改 革 を活発に してい くとい えるだ ろう。発展途上国 では、地域で協力 しなが ら、 コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの議論 と改革 を深 めてい くとい えよ う。

6

おわりに

発展途上国では、アジア通貨危機 などを背景 と して

1 99 0

年代 後半 か らコーポ レ‑ ト ・ガバ ナ ン ス改革 が求 め られていた。 そ こで

、OECD

が中心 となって地域 円卓会議 を開催 し、地域 ごとにコー ポ レー ト・ガバ ナ ンスの議論 を深化 させ たので あ る。地域 円卓会議では、地域 の コーポ レー ト・ガ バナ ンスに関す る特徴や課題 を示 した白書 を策定 し、各国にコーポ レー ト・ガバ ナ ンス改革 を求 め たのである。 そ して、 白書策定後 は各国で、原則 の策定 を行 うなど積極 的なコーポ レー ト・ガバ ナ

ンス改革 を行 っている。

今 日で も、発展途上国では、 コーポ レー ト・ガ バ ナ ンス改革 が鈍い との考 えが多いなか、本稿で 明 らかに したよ うに、地域 円卓会議 を契機 として、

原則の策定 をは じめ と した改革 が進 んでいたので ある。発展途上国におけるコーポ レー ト・ガバ ナ ンス改革の特徴には、(1)近隣の国々が協力 して コーポ レー ト・ガバ ナ ンスに関す る議論 を行 って いる、 (2)原則 を用いた改革 を積極 的に行 ってい る、 (3)コーポ レー ト・ガバ ナ ンスの適応範 囲 を 上場企業以外 に も広 げてい る、 といった ことが挙 げ られ る。 多 くの国が協力 して改革 を進 め ること で、地域全体の コーポ レー ト・ガバ ナ ンスを向上 させ よ うと取 り組んでいるとい えよ う。

この よ うに、発展途上国において も、コーポ レー ト ・ガバ ナ ンス改革 は進展 してお り、先進諸国に おいて参考 となるよ うな取 り組み も行われている ので ある。世界 中で議論 が深化 し続 けてい るコー ポ レ‑ ト・ガバ ナ ンスは、先進諸国 におけるコー ポ レー ト ・ガバ ナ ンスの研究 だけでな く、 これ ら 発展途上国におけるコーポ レー ト・ガバ ナ ンスに も焦 点 をあて るこ とが重要 とい えよ う。 それ に よって、新 たな議論の展 開や先進諸国 を も巻 き込 んだ議論へ と進展す ることに も繋 が るだ ろ う。今 後 は、発展途上国の企業 がいかに して コーポ レー ト・ガバ ナ ンス構築 を行 っているかを、 よ り詳細 に考察 してい く必要 がある。

主ヽヽ/ー

平 田光弘

[ 2 0 0 0]81

頁.

2 平 田光弘

[ 2 0 0 0 ]81

頁.

3 OECD [ 2 0 03 ]3

頁.

4 OECD [ 2 0 03 ]3

頁.

5 星野妙子編

[ 2 0 04 ]4

頁.

6 星野妙子 ・末贋昭

[ 2 0 0 6 ]2 7 5

頁.

7 小島大徳

[ 2 0 0 4 ]3

頁.

8 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 につ いて は、

小島大徳

[ 2 0 0 4

] を参照の こと。

OECD [ 1 9 9 9 ]

小島大徳

[ 2 0 0 7 ]9

頁.

小島大徳

[ 2 0 0 7 ]9

頁.

アジア円卓会議の参加国は、バ ング ラデシュ、

中国、香港、 イ ン ド、 イン ドネシア、マ レー

(11)

シア、パ キス タン、 フィリピン、 シ ンガポー ル、韓国、台湾、 タイ、ベ トナムである。

13 南東 ヨーロ ッパ 円卓会議の参加国 は、アルバ ニア、ボスニ ア ・ヘル ツェゴビナ、 ブル ガ リ ア、クロアチア、マケ ドニ ア、モル ドバ、ル ー マニア、 セル ビア、モ ンテネグロである。

14 ユ ーラシア円卓会議の参加国は、 アル メニ ア、

アゼルバ イジャ ン、 カザ フスタン、 グル ジア、

モル ドバ 、モ ンゴル、カザ フス タン、キルギ ス、 ウク ライナ、 ウズベキス タンである。

15 ラテ ンアメ リカ円卓会議の参加国は、 アルゼ ンチ ン、チ リ、 メキシコ、 ブラジル、ベ ネズ エ ラ、ペル ーで ある。

16 ァフ リカ、中国で も開催 が予定 されている。

17 小島大徳 [2007]234頁.

1R OECD [2002]、OECD [2003a]、OECD [2003b]、OECD [2003C]、OECD [2004a] 小島大徳 [2007]110頁.

星野妙子 ・末庫昭 [2006]9頁.

小島大徳 [2007]150頁.

OECD [2003C]52頁.

OECD [2003a]8頁.

小島愛 [2007]48頁, OECD [2005]

国有企業 コーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則につ いては、小 島愛 [2007] を参考の こと。

27 OECD [2007]

28 ラテ ンアメ リカ円卓会議では、すべての国の 調査報告 は行 われてい ないため、本稿 では、

アジア円卓会議 における調査報告 に焦点 をあ て る。

29 2003年 時点 の ア ジア各国 の コーポ レー ト・

ガバ ナ ンス構造 につ いては、小 島大徳 [2006]

を参照の こと。

3O secmi tiesandExchangeCommission l2006]

3' ァ ジア をは じめ、 発展途上 国 が 多 く集 まる 地 域 で は、GCGFの 支 援 の も とで、取 締 役 研修 ネ ッ トワーク (GlobalDirectorTraining Networks)を構 築 し、地域 が協 力 して研修 制度 に関す る議論 を行 ってい る。取締役研修

ネ ッ トワークは、今 日まで に、東 アジア、南 アジア、 ヨーロ ッパ及び中央 アジア、 ラテ ン アメ リカで構 築 されてお り、各国が自国の研 修制度 に関 して議論 を もちよ り、協力 して研 修制度 を構築 す る動 きにある。

32 小島大徳 [2007]116頁.

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