論文内容要旨
論文題名
Myelination during fracture healing in vivo in myelin protein zero ( p0 ) transgenic medaka line.
( Myelin Protein Zero ( P0 )遺伝子改変メダカを用いた in vivo
での 骨折治癒過程における髄鞘の機能解明)掲載雑誌名
Bone, Vol.133, 115225, 2020
年専攻名 病理系薬理学(医科薬理学分野) 百々悠介
【背景・目的】
骨折修復過程において、中枢神経が障害されると仮骨が異常に増生する 事が知られている。この現象では骨折治癒過程において神経系細胞が何か しらの形で関与していることが推察されるがその詳細なメカニズムは不 明のままである。そこで本研究では、半透明なメダカを用いることで有髄 神経を構成する髄鞘を可視化させ、髄鞘の動態を経時的に調べ、骨折治癒 過程における髄鞘と神経の挙動を解明することを目的とした。
【方法】
髄 鞘 の マ ー カ ー で あ る
mpz (myelin protein zero, P0)
遺 伝 子 のPromotor
下流で緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現するmpz -EGFP
メダカと 骨芽細胞マーカー(osterix
)の promotorにより骨芽細胞が赤色蛍光タン パク質(DsRed)で標識されるmpz -EGFP/osterix-DsRed
ダブルトランス ジェニックメダカを作製した。これらのメダカを用いて、蛍光顕微鏡、抗 アセチル化チューブリン抗体二重免疫染色、アリザリン骨染色を用いて①mpz -EGFP
成魚メダカの全身におけるmpz
陽性細胞の局在の観察 ② 尾 鰭を構成する鰭条骨をガラスキャピラリーで骨折させ、骨折修復過程での 髄鞘と骨芽細胞の挙動の観察 ③mpz
陽性細胞阻害薬として知られるラ パマイシン(mTOR阻害薬)投与による骨折修復の変化を観察した。【結果】
① 全身において
mpz
陽性細胞は脳、脊髄、側線、そして末梢神経である 尾鰭の鰭条骨に神経に沿って局在した。②尾鰭の鰭条骨の骨折実験では骨 折4
日目から28
日目にかけて、髄鞘(EGFP+細胞)が神経に沿って骨折箇所の近位から遠位に向かって骨折部を包み込むように増加・伸展し、新生
EGFP
+細胞の形で発現する様子が観察された。また、骨芽細胞(DsRed+細 胞)は、骨折4
日目から14
日目にかけて骨折部での増加を認め、その後 減少した。③ラパマイシン(mTOR阻害薬)は新生EGFP
+細胞とDsRed
+細胞 の発現を著しく低下させ、髄鞘と骨芽細胞の増加を抑制する様子が観察さ れた。また、骨折後14
日目のアリザリン骨染色像ではラパマイシン投与 群は骨癒合不全像を呈し、骨折修復の遅延が観察された。【考察】
本研究により、骨折修復において髄鞘と神経および骨芽細胞の動態を可 視化することで、髄鞘が骨芽細胞による骨折修復の進行に依存して近位か ら遠位へ伸長することが示された。また、ラパマイシン投与実験により骨 折修復において