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博士(医学)畠山鎮次 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)畠山鎮次 学位論文題名

マウスリンパ組織におけるFgr 発現とその関連分子の研究

学位論文内容の要旨     I .緒言

細 胞 内蛋 白 質 のチ ロ シン 残 基 のり ン 酸 化反 応 は, 細 胞 の活 性 化及 び増 殖反応と 腫 瘍 細 胞に おける 形質転換 に関与し ている. 非受容体型 のプロテ インチロ シンキナ ー ゼ(PTK)であるsrc‑familyは, 血液系及 びりンパ 系細胞に 発現が高く,それらの細胞 の活性化及び分化の制御に関与していることが示唆されている.

  癌遺伝子y‐ fgrま,最初にGarlner一RaSheedfelmesarc()mavlrusより分離された.その 後 , これ はーfamilyに 属し,そ の遺伝子 産物Fgrは,PTK活性を有す ることが 判明し た . その 癌 原 遺伝 子 であ るc脅 は ,単 球, マクロファ ージ,好 中球,ナ チュラル キ ラ ー(NK)細胞 ,及びEps忙in‐Barrv洫s感染B細胞に発 現されている.Fgrは免疫グ ロ プリンGFc受容 体u型(Fc弧uI)と結合していることが,ヒトにおいて報告されてい る .しかし,マウスにおいてはFgrの機能,組織分布,会合分子など不明な点が多い.

  本研 究 において ,Fgrの発現 及びその 関連分子 を解明する ために, まずマウ スFgr に 対 す る モ ノ ク ロナ ー ル 抗体 (mAb) 俎2を 作 成し た .こ の2H2を使 用 し,lmmune compleXkmaSeassり,及 ぴ免疫組 織化学的 手法によ って,種 々の組織に おけるFgr発 現 を 検 索 し た . さら に , 免疫 沈 降法 に よ りFgrと 結合 し て いる 分 子 を同 定 した ・

IL材 料 と 方 法

  抗 ヱ空 丞Fgr佳 堕 往 製: マ ウスc‑fgr cDNAを合成す るための 適当なプ ライマーを 使 用して,RT‑PCR法にてマウ ス腹腔細胞からc‑fgr cDNAを得,それをpMAIー−c2ベク タ ーに組み 込み,Fgrとマ ルトース 結合蛋白 との融合 蛋白質を得た.それをマウスに 免 疫し,Fgrの ユニーク領 域を認識 する単ク ローン抗 体2H2 (IgG1,K)を作製した.

  免 疫 沈 隆 法 : ラ ク ト ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 法 に よ りNa125Iで 細 胞 表 面 標 識 し , lo/oNP‑40ま たはl%Brij96を使 用して可溶 化し,そ の上清に 各抗体とプロテインハセ フ ァ ロ ー ス ピ ー ズ ま た は , プ ロ テ イ ンG‑ア ガ ロ ー ス ビ ー ズ を 反 応 さ せ た 後 , SDS‑PAGEを行った.

  迦vitrQ kinase assay:非標識下の細胞より免疫沈降を行い,洗浄後のビーズにキナ ー ゼ 用 緩 衝 液 と [ ア‑32P]ATPを 加 え て 反 応 さ せ ,SDS‐PAGEを 行 っ た ・   垈Z王 ピ 翌2壁ZZ:mviロ0bnaSeassay後 の ゲ ル よ り 目 的 の 部 分 を 切 り 出 し , 50mM炭 酸 ア ン モ ニ ウ ム 中 で ホ モ ジ ェ ナ イ ズ し ,V8プ ロ テ ア ー ゼ を 反 応 さ せ , SDS‐n6ぬEを行った.

免 疫組繊iヒ 掌染色:各 組織を凍 結し,厚 さ5メmで薄 切後,冷アセトンで固定した・

そ の後ビオ チン化2H2抗体 を反応さ せ,さら にアビジ ン‐ピオチン化ベルオキシダー ゼ複合体と反応させ,DABで発色させた.

m. 結 果

(2)

造 血 丞及 垈 リZZ! 丞組 繊 睦 蔓tr士墨Fgr現:マ ウスの造 血系およ ぴりンパ 系組織由 来の 細胞溶解 液におい て,2H2を使 用して血vitroキ ナーゼ反 応を行うと,Fgrはりン パ 節 に最 も 高く,脾臓 が次に高 く,胸腺 や末梢血 にもわず かながら 発現が認め られ た. しかし, この方法 によって は,骨髄に はFgr発現は 認められ なかった.またりン パ 節 よ りMac‑l陽 性 細 胞 を 調 整 し ,2H2mAbを 用 い て 免 疫 染 色 を 行 っ た と こ ろ , Mac‑l陽性細胞にFgrの発現が認められた・

  ヱ空 墨リZZ!組 繊睦担t士 墨Fgr現堕免 疫組繊iヒ堂 的鰹蚯: 脾臓においては白脾髄 周 囲 の辺 縁 帯に,リン パ節にお いては傍 皮質領域 と髄質に ,陽性所 見が得られ た.

  リ ン 杢 変4Z活 性 化 圭 霊‑ (LAK細 胞 睦 担 ! 士 墨Eg鑑現 : マ ウスLAIく細 胞 で2H2 mAbを用 いてin vitroキナ ーゼアッ セイを行 うと,胸腺 と比較し て非常に高い発現が 認められた・

  ヱ空 丞腫癌細 胞!三塑t j墨Fgr現:血液系及ぴりンパ系細胞由来の腫瘍細胞を使用 し て ,2H2によ る面vitroキナー ゼアッセ イを行う と,マク ロフアー ジ/単球 系以外 の腫瘍細胞にもFgrの発現が認められる結果が得られた.

  活性iヒ細胞!三担!士墨Eg£発現:B細胞及ぴ腹腔細胞はLPSで,T細胞はPMA,カルシ ウム イオノフ オア,及 ぴ抗Thy‑l抗体 を用いて刺 激すると ,いずれの細胞も刺激前に はFgrの発 現 は認 め ら れな い が ,刺 激 後はFgrの 発現 が 認め ら れ るよ うに なった.

  ヱ 空 丞Fgr壬 と 結 盒し 至 !! 墨 細 胞表 面 盆壬 : マ ウス マ クロ フ ア ージ 様 細 胞を Na125Iで表 面標識し ,その細 胞溶解液を2H2mAbによって免疫沈降した.PU5―1.8細胞 に お いて は75kDa,J774.1細胞にお いては主 要な75kDa,80kDaの 他,幾っ かのFgrと の会合蛋白質が認められた・

  Ly6C盆 壬 睦 結 盒L玉v)墨Fgr壬 :面vitroキ ナ ーゼ ア ッ セイ に よりLy6C分 子 との 共沈 物に,Fgrと 同様の分 子量のり ン酸化蛋白 質が認め られたが ,FcyRII分子にはヒ トの 場合と異 なり,Fgrと 考えられ るキナーゼ 活性を有 する分子 の共沈が認められな か っ た. さ らに2H2と 抗Ly6C抗 体 によ る 免 疫沈 降 物 の1次 元 ペ プチ ド マップ パター ン は 一致 し た. 従 っ て,Ly6C分 子と 結 合 して い る 分子 は ,2H2mAbに よって認 識さ れる 分子と一 致,即ちFgrであるこ とが判明し た.また ,正常リ ンパ節細胞を用いて も同様の結果が得られた・

IV.結 論 と 考 察

免 疫 組織 化 学, 免 疫 複合 体 キナ ー ゼ アッ セ イなどに より,Fgrは 主にマク ロフアー ジ 系 細胞 ,LAK細 胞 等 に陽 性 であ っ た .し か し,休止状 態では発 現が認め られない T,B細 胞 など の り ンパ 系 細胞 で も 活性 化 に 伴いFgr発現が 認められ ,また腫 瘍細胞 に お い て も マ ク ロ フ ァ ー ジ 系 列 以 外 の 由 来 の 細 胞 にFgr発 現 が 認 め ら れ た . Fgr分 子と 共 沈す る 分 子は , 特に75kDaの 分 子 がそ の 主要 な 成 分を 成 して いた. 今 回 用 いた マ ウス のシステ ムでは, ヒトで報 告されてい るFc7RIIとの結 合は認め られ な か った . これ は,アミ ノ末端の ユニーク 領域におけ るアミノ 酸配列が ,ヒトと マ ウス で大きく 異なること が一因と 推定され た.

  また 既存の表 面分子とFgrの 結合を検 索する過 程で,抗Ly6C抗体を用いた免疫複合 体キ ナーゼア ッセイによ りLy6CがFgrと結 合してい ることが 判明した .この結果は,

Ly6Cを 介す る 細胞内 シグナル 伝達にFgrが 関与する 可能性を示 唆する.Fgrほ主に自 然 免 疫を 担 当す る細胞に 多く発現 するが,Fgrと結合する 分子の検 索は,前 述のFgr 発現 部位・細 胞のデータ と共に,Fgrの役割, 特に非特 異的認識 に関与する分子機構 を知 る上で, 今後重要と 考えられ た.

(3)

学位論文審査の要旨 主査   教授   小野江和則 副 査    教授    葛巻    暹 副 査    教授    柿沼 光明

学 位 論 文 題 名

マウスリンパ組織における Fgr 発現とその関連分子の研究

  細胞内蛋白質のチ口シン残基 リン酸化は、細胞の活性化、増殖、形質転換などに、関与してい る。非受容休型のプロテインチ口シンキナ―ゼ(以下PTK)であるsrc−familyは、造血系細胞に発 現が高く、免疫系細胞のシグナル伝達に直接関与レていることが、次々と判明している。src ‑fa milyに属し、PTK活性を有するFgrは、ヒ卜では単球、マク口ファ―ジ、好中球、ナチュラルキ ラ一細胞に発現しており、免疫 グ口プリンのFcYII型レセプターと結合していることが報告され ているが、マウスにおいては、Fgrの機能、組織分布、会合分子など、ほとんど明らかにされて いない。

  本論文は、マウスFgr分子のユ二一ク領域に対する単ク口 ―ン抗体(2H2)を樹立し、Fgr陽性 組織、細胞を同定し、さらにFgrとの会合分子を明らかにした。先ず、in vitroキナーゼ反応に よって、Fgrはりンパ節、脾臓の順に強く発現するが、胸腺、末梢血では弱く、骨髄には認められ ないことが判明した。また、免 疫組織化学的検索の結果、リンパ節では傍皮質、髄質、牌臓では 辺縁帯のマクロファ→ジが、特 異的に2H2陽性であった。従 って、マクロファージの一部がFgr を発現すると考えられた。しか し、刺激後の活性化の状態では、マク口ファージのFgr発現fま増 強し 、 さら にT細胞、B細 胞にもFgrの発現が新たに認 められた。また、IL―2で誘 導したLAK細 胞も、Fgr強陽性であった。さらに、一部の例外を除き、多くの造血系腫瘍細胞にもFgrの発現が 認められた。したがってFgrの発現は、レスティングの状態では単球、マク口ファ―ジ系細胞亜 群に限定されるが、細胞が活性 化、または形質転換した状態では、リンパ系細胞にも認められる ことが判明した。

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(4)

  次にFgrと会 合している分子を明らかにするため、ヨードで細胞表面を標識し、細胞溶解後、

2H2抗体で免疫 沈降したところ、分子量75kDaの蛋白を中心として、幾っかの分子が同定された

。これらのFgr会合分子の中に、ヒ卜で認められたFcYII型レセプターは認められなかった。こ のようにヒ卜とマウスでFgrとの会合分子が異なるのは、Fgrのユニーク領域のアミノ酸配列が

、種によって大きく異なることに起因すると考えられた。しかし、抗Ly6C抗体との共沈分子の中 に、2H2と反応 する分子が同定され、これらはべブチドマップパターンの解析により、Fgrと同定 された。

  論文発表に際し、葛巻教授より、2H2抗体の特異性、FgrとLy6Cとの会合は腫瘍細胞で見てい るが正常細胞でも認められるか、柿沼教授より、PIリンカ一型細胞表面分子が、ミリスチン酸で 結合している分子と結合する可能性、報告について、またその際のアダプタ一分子の関与につい ての御質間があったが、本人は的確に解答しえた。また、葛巻、柿沼両教授より個別に御審査い ただき、合格と判定された。

  以 上、 本論文はマウスFgr分子の発現、分布などの詳細を明 らかにし、ヒ卜とマウスてはFg rとの会合分子 が異なり、マウスFgrはLy6Cと会合することを始めて明らかにした。また、今回 の研究により、T細胞におけるLck,Fyn,B細胞におけるLyn,Blkで明らかになったように、非特 異免疫に関与すると考えられる、免疫系細 胞の細胞内シグナル伝達に重要な分子のーっが、Fgr で あ る こ と が 判 明 し た 。 従 っ て 本 論 文 は 、 博 士 の 学 位 に 相 当 す る と 判 定 し た 。

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