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学位論文題名A novel glycomic/glycoproteomic approach based on LC/SSI−R/IS and MSn spectralmatchingmethod

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 武 川 泰 啓

     学位論文題名

A novel glycomic/glycoproteomic approach based on   LC/SSI − R/IS and MSn spectralmatchingmethod

    (LC/SSI 一 MS お よ び MSn ス ペ ク ト ル マ ッ チ ン グ 法 を 用 い た 新規グライコミクスノグライコプロテオミクス解析法に関する研究)

学位論文内容の要旨

    糖 鎖修 飾はタンバク質の機能制御 機構にとって極めて重要な 生合成プ口セスであり、生 体 内夕 ンバ ク質の約50%以上は糖鎖修 飾を受けた糖夕ンバク質で あると考えられている。糖 鎖は細胞の発 生、分化、増殖さらには免疫 やガンの転移などの生命現象に深く関わっている。

ま た多 くの 疾患において糖鎖変化が報 告されていることから、疾 患マーカーとしても注目さ れ はじ めて いる 。 従来 、糖 鎖の 構造 解 析は 様々 な分 析法(NMR,HPLCマッピング法,メチル 化分析,酵素 消化等)により行われてきた が、スループッ卜が低くまた熟練した技術を必要と す るも ので あった。近年のゲノミクス 、プ口テオミクスの勃興に ともない第三の生体鎖状分 子 で あ る 糖 鎖 に つ い て も 微 量 ・ 迅 速 ・ 簡 便 な 構 造 解 析 手 法 の 確 立 が 切 望さ れて い る。

    近 年、 質量 分 析法(MS)はプ ロテ オ ミク スに おい てタ ンパク 質の微量・迅速・簡便な解 析 が可 能で あることが示されている。 しかし、糖鎖は構成分子が 直列にならんでいる核酸や タ ンバ ク質 とは異なり、枝分かれ構造 や立体異性の違いに基づく 複雑な構造をしている。そ の ため 、MSによ る 糖鎖 構造 の詳 細な 解 析は 困難 であ り、 依然と して確立された方法論は存 在 しな いが 、こ れ まで の研 究か ら多 段階夕ンデム質量分析スベク トル(MS スペクトル)に お ける 糖鎖 フラグヌン卜イオンの相対 的強度に着月することによ り、異性体糖鎖を識別でき るとの報告が なされている(ライブラ1」ー照合型の糖鎖同定法)。しかしながら、このアプロ ー チは これ まで限られた種類の糖鎖の みしか議論されていなかっ た。そこで私は、このMS ラ イブ ラリ ー照合型の糖鎖同定方法を 糖夕ンバク質糖鎖に応用す ることを考えた。さらに、

HPLCマ ッ ピ ン グ 法 に より 蓄 積さ れて いるHPLCに おけ る糖 鎖溶 出 位置 デー タを 活用 す るこ と も 考 え 、LC/MSを 用 い た 微 量 ・ 簡 便 ・ 高 精 度 な 糖 鎖 構 造 解 析 法 の 確 立 を 目 指 し た 。     第 一 章 で は 、 MSを 用 い た 糖 鎖 構 造 解 析 の 現 状 を 簡 単 に ま と め 概 説 し た 。     第 二、 三章では、MS スペクトル による異性体糖鎖の識別・ 同定方法について検討を行 った。このア プ口一チが成立するにはMS スベクトルの再現性と異性体識別能が必須である。

そ こで 、私 はまずソニックスプレーイ オン化(SSI)法を用い、N結 合型異性体糖鎖の正/負イ オ ンモ ード におけるMS スベク卜ルを 取得した。次に、MS スベ ク卜ルの再現性および異性 体 識別 能を 評価 す るた めに 、各MS スペクトルデー夕間を相関係 数により数値化した(MS ス ベク トル マッチング法)。その結果 、再現性の良いMS スペク トルの取得が可能であるこ

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と 及 びN結 合 型糖 鎖の よう な大 き な糖 鎖であっ ても異性体の識別・同定が可 能であることを 明 ら かと した 。また 、負イオンモードでのMS 測定は、正イオンモードより も遥かに有効か つ 多くの糖鎖構造情報を得る ことが可能であることを見出 した。特にインターナルイオン(D, D‑2H20イ オン )は 、 有用 な構 造情 報を 与 えた 。以 上の 結果 か ら、糖夕ンパ ク質糖鎖のMS ス ペ クト ルラ イブラ ルーを構築することによりMS スベクトルから糖鎖の同 定が可能である こ とが明らかとなった。

  第 四、 五章 では 、LC/MSを用 い て糖 鎖の分離 と同時にMS スペクトルを取 得することで、

よ り 高精 度な 糖鎖同 定および複雑な試料解析が 可能であると考え、検討を行 った。そこでま ず イオン化条件、カラム、溶 離液等を検討し、逆相カラム よる糖鎖の高分離条件を決定した。

ま た 、SSI負 イオ ンモ ード を用 い るこ とで、中 性糖鎖及びイオン化の際に解 裂のおこりやす い シ アリ ル糖 鎖(酸 性糖鎖)をフラグメントさ せることなく、かつ同程度の 感度で検出でき る こ とが わか った 。 さら に、 これ までHPLCマ ッピ ング 法に よ って蓄積され てきた糖鎖溶出 位 置 デー タもLC/MS分 析に 適用 可 能で ある こと を 明ら かと し、 溶出 位 置情 報とMS゜ スペ ク ト ル ライ ブラ リーを 組み合わせることでより高 精度な糖鎖同定および複雑な 試料の解析が可 能 であることを示した。

  第 六章 では 、本 解 析法 をヒ ト免 疫グ 口 ブリ ンGの糖 鎖解 析に 応用した。 免疫グ口ブリンG の 糖 鎖は これ までさ まざまな方法により解析が なされてきたが、本法により 新規糖鎖の発見 お よび効率的な構造解析に成 功し、その有効性を示した。

  次 に、 私は 糖ベプ チドの解析に着目した。糖 鎖をタンパク質から切り出す ことなく糖ペプ チ ドのまま分析することがで きれば、1)糖鎖構造2)ベプチド配列3)糖鎖とぺプチドとの結合 位 置 の情 報を 得る 事 がで るこ とか ら、 近 年糖 ベプ チド の解 析 研究が盛んに 行われている。

  第 七章 では 、糖ベ プチドの精製および分離に ついて検討を行った。糖ベプ チドは、夕ンパ ク 質 をプ 口テ アーゼ 消化することにより調製す るため、サンプルの複雑性を 著しく増大させ て し まう 。こ れまで に糖ベプチドの精製や分離 に関する報告がなされてきた が、異性体糖ベ プ チ ド( 同じ べプチ ド配列であるが異性体糖鎖 を有する分子)の分離につい ては不十分であ っ た 。私 は両 性イオ ン型親水性クロマトグラフ イーを初めて糖ペプチドの分 離に応用し、夕 ン パ ク質 のプ 口テア ーゼ消化物から、糖ペプチ ドを選択的かつ高分離能で分 離することに成 功 した。

  第 八章 では 、糖ペ プチドの構造解析について 検討を行った。これまで、糖 ベプチドの解析 に お いて 、ベ プチド 配列、糖鎖結合部位、糖鎖 配列の決定については様々な 報告がなされて き た が、 糖鎖 構造の 同定については議論されて いなかった。私は、糖ペプチ ドのMS 解析と 糖 鎖MS ライ ブラリ ーを比較することで、異性 体糖ペプチドの解析が可能で あることを示し た 。

  第 九 章 で は 第 一 章 か ら 第 八 章 ま で の 総 括 と こ れ か ら の 展 望 に つ い て 短 く 述 べ た 。

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学位論文審査の要旨

主 査    教 授    西 村 紳 一 郎 副 査    教 授    河 野 敬 一 副 査    教 授    石 森 浩 一 郎

副 査    教 授    小 布 施 力 史( 生 命科 学 院)

     学位論文題名

A novel glycomic/glycoproteomic approach based on   LC/SSI ― MS and MSn spectralmatchingmethod

    (LC/SSI − MS お よ び MSn ス ベ ク ト ル マ ッ チ ン グ 法 を 用 い た 新規グライコミクスノグライコプロテオミクス解析法に関する研究)

  生体内タンパク質の約50%以上は糖鎖修飾を受けたものであり、この種の糖タンパク質では 糖鎖部分がタンパク質の安定性や機能発現に深く関与している。近年、質量分析(MS)を用いた タンパク質の網羅的解析研究が盛んであるが、糖鎖修飾解析についてはその困難さから解析が 遅れているのが現状である。特に、糖鎖構造の同定や未知構造の決定に関しては依然として良 い手法は存在せず、新たな解析法の確立が切望されている。本論文は、このような現状にある タンパク質糖鎖修飾解析について、質量分析を用いた高感度・簡便な構造解析法の確立を目的 として研究したものであり、糖鎖生物学上大きな意義がある。

  MSによる糖鎖構造解析を 困難にしていのは、構成単糖に異性体が存在する事や結合の多様 性から起因する異性体糖鎖 が数多く存在するためである。これら異性体糖鎖は、MS/MS測定に おけるフラグメントイオンも同じ質量数を示すことが多く、従来プロテオミクスで用いられて いる理論上のフラグメントイオン(」rl/笏との一致度を比較する方法では糖鎖の同定は困難であ った。著者は、異性体糖鎖であっても結合様式や立体構造の違いからグリコシド結合の開裂の しやすさが異なる事に着目し、フラグメントイオンの相対的強度を利用するという方法を用い・

ることにより、MS スペクトルライブラリーから簡便に糖鎖構造を同定できる方法論を確立し た。また、これまで解析が非常に困難であったシアリル糖鎖の詳細な解析も可能であることを 実証した。さらに、本方法論を用いることでこれまで発見されていなかった新規糖鎖の構造を 決定することにも成功し、糖鎖生物学に与えるインパクトは大きい。一方、近年タンパク質か ら糖鎖を切り出すことなく糖ペプチドのまま分析する事により、糖鎖とタンパク質との結合位 置を決定できる事という報告がなされ、注目を集めている。しかし、従来法では糖鎖とタンパ ク質との結合位置の決定はできても、糖鎖構造を同定することは極めて難しかったが、著者は 糖ペプチドの構造解析に糖鎖のMS スペクトルライブラリーを応用することで、糖鎖部分を含 む糖ペプチドの解析が可能であることを示した。これにより、タンパク質のどの位置にどのよ うな糖鎖が結合しているかを解析する事が可能となった。

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  これを要約するに、本論文は質量分 析を用いたタンパク質のNI結合型糖鎖修飾の高感度・

簡便な構造解析法を確立したものであり、糖鎖科学、タンパク質科学はもちろんのこと、医学、

創薬科学を始めとした各分野にも大きな波及効果があり、多方面の科学の進展に大きく貢献す るものと確信している。

  よ って 著者 は、 北 海道 大学 博士 (理 学) の学 位を 授与される資 格あるものと認める。

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