図5.4 磁芯の等価電気回路
R
l I l l
I l ㎞Re㎞㎞ μR,1 μ㎞1 粋Rel+」μIml
ナ ナ キ jωL R7 jωN2 ωN2 jωN2μ養、+μ孟 ωN2μ孟。+μ温 jωN2 食。+μ塩=jωN2睡=j①N2帳一」μ㎞お;jωN2塑+ω幽S (μRe+jμ㎞)I I 重 1
+R←L一準・R埋S判岡
(5石)式が直列等価回路になる.ここで,透磁率の実部に対する虚部の比をtan△とし,
ωSN2
μ1血 μ㎞ l R
tan△=一= =一
。. 5.7)μR, (DSN2 ωL μRe l
となる.(5.7)式の伽△を損失係数といい,その逆数を磁芯の性能指数㌫という.
ωL μRe
Omニー=一 …(5・8)
R μlm
5.2.1節において,電磁機器における鉄芯材に要求する機能として,
①外部印加磁界に対して磁芯内部にできるだけ大きな磁束(密度)を誘起し得ること ②外部印加磁界の時間変化に速やかに追随すること
を挙げた.この2つの条件について,以上の議論で出てきた複素透磁率や性能指数を用いて考える.
まず,① 磁芯内部にできるだけ大きな磁東(密度)を誘起し得ること⇔(複素)透磁率kの実部賑。
が大きい⇔tan△が小さい⇔g (5.8)式)が大きい
また,② 磁界の時間変化に速やかに追随すること⇔位相角△が小さい⇔tan△が小さい⇔⊆〜 (5。8)式)
が大きい
したがって,上に挙げた2つの条件は単純に鱗((5.8)式)が大きいという1つの条件にまとめること ができる.
次に,効率的な誘導加熱を行うための条件は,
(1)大きな磁気エネルギを被加熱導体に蓄積すること(より多く磁束を誘起すること)
(2)その蓄積磁気エネルギを有効に熱に変換すること
である。このうち,①の条件は電磁機器の鉄芯材に対する要求と同一であるが,②番の有効に熱に変換 するためには,外部印加磁界の時間変化に対して内部に誘起される磁束の位相遅れが大きいほうが,す なわち位相遅れ角△が大きいほうが効率的に発熱させることができる.よって,磁気回路法から得られ る効率的な誘導加熱を行うための条件は,
仏((5.8)式)が小さい
という条件になる.(1)の条件を満たす方法の考察については,第6章にて詳細な検討を行う.
次節では,本節の内容を包含した誘導加熱負荷の等価回路にっいてまとめ,本文においてはどの等価 回路を採用し,どのようにその内容を吟味していくかまとめる.
52。3誘導加熱負荷の電気的等価回路
以上の議論においては導出したL,Rは磁芯の特性を電気的な等価回路定数に置換したものであり,
実際の鉄芯入コイルや誘導加熱負荷などでは巻線と磁芯,もしくは被加熱導体との間に空隙が存在し,
そこに漏洩磁束が発生する.また,ワーキングコイル導線の内部抵抗なども考慮しなければ,より実用 的な負荷等価回路とはいえない.現在用いられている誘導加熱負荷等価回路は上に述べたことを回路の パラメータの中により詳しく反映させる(相互誘導モデル)か,思い切って単純化してしまう(L−R直 列/並列回路モデル)か,その2つの方法がある。
これらのことを考慮に入れつつ誘導加熱負荷等価回路に採用されているモデルを概観し,本文におい てはどの等価回路を採用し,さらにその特性把握はどのようにしていくのかを本節において述べる.
まず,漏洩磁束や磁気的な結合などを考慮した相互誘導モデルについて述べる.これは,誘導加熱時 のワーキングコイルと被加熱導体との配置や磁束分布の直観的な推測によって,実際の状態に近いと考 えられ,この等価回路を採用している文献も多い(5×9).
たとえば大森(5)は高周波電力を供給するインバータ出力電流,つまりワーキングコイルに供給する電 流に大きな歪と直流分が乗るために,その影響を考慮するため,負荷等価回路に相互誘導モデルを採用
一タ設計に必要な負荷等価回路 定数値測定に関する議論の中で
V〜 Li L R
簡単に述べている.また,高橋
(ηは誘導加熱負荷の加熱効率の 定義と,効率向上法についてこ
のモデルを用いて解説している。 図5.5誘導加熱負荷系の相互誘導モデル 相互誘導モデルの等価回路を図5.5に示す。
2次側のL,Rは,前節の議論で述べた直列等価回路における磁芯のインダクタスLと鉄損抵抗Rで ある.また,Riは励磁巻線の巻線抵抗,Liは鉄芯の無い場合の巻線の自己インダクタンスである.1は 巻線電流,12は磁芯内部に誘起される誘導(渦)電流である。
正弦波励振を考えた場合,変圧器の1次,2次側に誘起される電圧と電流との問に以下の2式が成立
する.
Vニ(Ri+jωL量)1−j(DMI2 0=一jωMI+(R+jωL)12
第2式から,1と12の関係が導出することができて,
ら一
罧、1−j讐楽1
この12を第1式の12に代入し,虚実分離してまとめると,
v一
〔喋辮〕・幽嘉跡
となる.従って,相互誘導モデルにおいて電源から見たインピーダンスZは,
VニZI=(Ro+jωLo)1
と表現することができ,かつ,電源である高周波インバータから見た誘導加熱負荷の等価抵抗Ro,及び 実効インダクタンスLoは次式で与えられる(飢
ω2M2R
Ro=斑+ ..。(5.9)
R2+ω2L2
ω2M2L
Lo=L孟+ .。.(5.10)R2+ω2L2
これによって,相互誘導モデルは,Ro−Loの直列等価回路(図5.6)になる.
この相互誘導モデルにおいて,木船は「L,R(原
文ではL2,飽)は御熱物の賄値であるが, Ro :Lo
これらを正確に測定することは困難である.また Mについても同様の理由から,その値を把握する
ことは難しい.」(㊦と述べている.また,結合係数
kと負荷の時定数τを用いて, 図5.6誘導加熱負荷直列等価回路 ω2k2τLi
RoニRi+ 22 _(5。11)
1+ωτ ω2k2τ2Li
Lo;Li一 _(5.12〉
2 2 1+ωτ
ただし,
k=M伍
τ一
となるが,これについても同様に「未知数は減ったものの,結合係数を正確に計測することは困難であ る.1φ)と述べている.実際に,相互誘導モデルにおいて結合係数kと時定数τを用いた表現では,変数 がLi,Ri,k,τの4つに集約されている.この式を誘導し,負荷等価回路定数として電源回路の設計に 利用した大森は,これら4つの定数を得るにあたり,ワーキングコイル内部抵抗Riについては,導線に
リッツワイヤを用いているのでその値は小さいとして無視し,LiについてはL墨に関する関係式と実測 波形から求め,k,τについては計測したLiでの実験条件に合うk,τが求められるまで(実験による実 測波形と動作波形のシミュレーションが一致するまで)計算を繰り返すという方法で得ているφ).
また,相互誘導モデルについてその複雑性を理由にLo−Ro直列等価回路を採用した木船(6)は,その負
荷等価回路定数を得る方法として,①市販のLCRメータによって誘導加熱負荷の(仮の)等価回路定数 を得る,②その値を用いて設計した誘導加熱電源と負荷を接続して定格より低い電力を投入してそのと きの測定値と正弦波交流理論を用いて負荷等価回路定数を得る,③電源を再設計し,定格に近い電力を 投入して最終的な結果を得る,という方法を採用した、
そのほか,木船の方法の亜種として,誘導加熱電源の代わりに正弦波電力増幅器を用いて定格電力(も しくはそれに近い電力)を投入する方法(8×9)なども用いられている.
いずれにせよ,誘導加熱負荷等価回路定数を得るには,実際に電力を投入して加熱する必要がある.
誘導加熱を行うには,誘導加熱負荷を等価回路で表し,その定数値を求めておくことが前提になるが,
木船が採用した純粋に実験的な方法頓)は,負荷等価回路定数値やその特性が判明していない段階では必 要になり,筆者も同様の方法を採用している.しかしながら,この方法のみでは負荷が変化するたびに 実験を繰り返す必要があり,なかなか汎用性がつかみにくい.特に本文で検討している高周波誘導加熱 の応用技術としての船側鋼板誘導加熱システムにおいては,加熱時ごとに負荷が変化するため,負荷等 価回路定数を得るというただ1、点のために実験を繰り返す木船の方法では負担が大きい.また,実験と 回路応答の面から理論解析を行った大森の方法では理論解析は純粋に電源回路の面からのみ実行してい るので,誘導加熱負荷の特性を一般的に考慮した解析とは言いがたい.
筆者が以下実行する解析は,高周波インバータを設計する上で必要になる負荷等価回路定数値を事前 に計測することが難しい船側鋼板誘導加熱負荷に対し,事前に予測した値を用いて回路を設計すること ができるよう,船側鋼板誘導加熱負荷の負荷等価回路定数推算式を導出するためのものである.
解析の手順として,負荷はL−R直列等価回路を仮定し,電磁気学から導出したL−R直列回路の理論的 周波数特性を定式化し,現在まで繰り返してきた実験による周波数特性(その一部は文献(10)にある)と 照合して理論式中の比例係数を決定し,負荷等価回路定数の推算式を導出している.また,導出した推 算式の検証を兼ねて負荷等価回路定数間の相似則も誘導し,実験によってその正当性を確認している,
5。3被加熱導体中の磁界分布をあらわす方程式と境界条件
マクスウェル電磁方程式から導体中の磁場の満たす微分方程式と境界条件を導いておく(軌 電磁気学の基礎方程式であるマクスウェル電磁方程式は以下の4つの式で表される.
詔
rotE=一一 ...(5.13)
∂t l . ∂E
−rotB= +ε一 _(5.14)
糾 ∂t
divE=ρ _(5.15)
(liv丑二〇 _(5.16)
(5.13)式はファラデーの電磁誘導則であり,(5.14)式はアンペール・マクスウェルの電流磁気誘導則,
(5.15)式はクーロンの電荷法則,(5。16)式はクーロンの磁荷法則である。
ここで,E:電界ベクトル,君:磁束密度ベクトル,あ電流密度ベクトル μ:透磁率, ε二誘電率 ρ:電荷密度
である.ところが,被加熱物体になる鋼板などの導体内部においては,電荷密度pが安定に存在できず,
電荷は電流ベクトル1として導体中に拡散してしまうので,(5.至5)式で表されるクーロンの電荷法則は導 体中で成立しない.したがって,導体中では(5.15)式のかわりに電流ベクトル1と電界ベクトルEの間の 関係式が必要となる.これは導体中における電流密度ベクトル と電界Eとの間のオームの法則 =σE._(5.15 ) (σ:電気伝導度)