−Ca且c.R2!
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図5.30
氏8 あとがき
本章においては,高周波誘導加熱負荷の電気的特性にっいて検討を行った.ここで得られた結論をま
とめる.
1)電磁機器用鉄芯材の等価回路理論を援用し,誘導加熱においては効率良い加熱を行う条件として,
性能指数蛾の値が小さいというものであることを述べた.
2)マクスウェル電磁方程式から平板状誘導加熱負荷の性能指数を計算し,表皮深さに対する鋼板厚さ の比丁/δが約3以上の点で効率的な誘導加熱が可能になることを示した。
3)マクスウェル電磁方程式に基礎を置く渦流解析の結果とワーキングコイルと鋼板の配置を考慮し,
さらに,漏洩磁束の影響も考慮した負荷等価回路定数の周波数特性に関する理論式を導出し,それ はワーキングコイルの形状に関する部分と鋼板の物性値に関する係数に分離できることを示した.
4)負荷抵抗に関しては,ワーキングコイルの内部抵抗を無視することができるとした場合に,理論式 と実験式の指数が一致する範囲において比例係数の整合を行い,10〜3叩くHzlの帯域で普通鋼を誘導 加熱する際の負荷抵抗値を推算する式を得た.
5)4)に関連して,同じ周波数帯域で負荷インダクタンスの理論式と実験式は,漏洩インダクタンスの 影響を無視することができず,周波数の指数関数で表した際の指数が異なるため,負荷抵抗を求め た場合のように理論の裏付を得ることができなかった.ここでは実験式を整理して10〜3叩dセ1の帯 域で負荷インダクタンスを推算する式を求めた.
6)これまでの実験結果から,負荷等価回路定数の推算式中の比例係数と周波数の関数部分に関しては その正当性が確認されていたが,形状係数Gsをさらに吟味することによって,非常に限定された条 件ながら,相似形ワーキングコイルを用いて加熱した際の負荷等価回路定数間に成立すると考えら れる相似則を誘導し,その有効性を実際に誘導加熱実験を実施して確認した.これによって,導出 した推算式は全体として正当性を有すものと考えられる.
第6章 高透磁率磁性材料による加熱効率向上
61まえがき
本文にて提案している高周波誘導加熱を用いた重油加熱回収システムはその特性上,水中での加熱が 中心になると考えられる.筆者はこれまで,水中加熱時の効率向上策として発泡ゴム断熱材を用いて熱 効率の向上を図ることを検討した(1).しかしながら,発泡ゴムに限らず断熱材は内部に空気などの気体
を封じ込めて断熱性能を得るものが主体であるため,水中に設置しようとしても浮力が働いて浮き上が ってきたり,逆に気泡がつぶれて断熱性能が失われたりするなど実際の使用時に有効な手段たりえるか 疑問である.
そこで本章では,誘導加熱現象を再吟味し,断熱材によらない水中加熱時の効率向上策を検討する.
具体的には,鋼板と鎖交する磁束の通路を考え,磁束が通過する空気磁路部の透磁率を上げて,全体の 磁気抵抗を下げることにより,同一の起磁力下でより多くの磁東を誘起することを考える。その方法と しては,空気磁路部になるワーキングコイルの裏側を高透磁率磁性材料を用いて覆えば,わずかであっ ても加熱効率向上に対する効果があるものと思われる.実際,家庭用の電磁調理器の磁界分布を測定し た結果,磁気シールド用のフェライトコアがある箇所が磁束密度が大きくなって,温度も高くなるとい う報告(2)がある。ただし,文献2)で使用しているような一般的な焼結フェライトコアは比透磁率が数千か ら数万という透磁率の高い材質であるものの,固形で展・延性がないため非常に脆く破砕しやすい.ま た,船側鋼板誘導加熱システムで使用する場合,どうしてもワーキングコイルの取扱が荒くなり,焼結 フェライトコアではすぐに破砕してワーキングコイルが使用不能になり,加熱そのものが不可能になっ てしまう可能性が高い.したがって,焼結フェライトコアの高い透磁率は魅力的であるが,あえてそこ に目をつぶり,焼結フェライトに対して比透磁率が10から20程度と非常に小さいものの,高い柔軟性 を有し,破砕の心配のないフェライトゴムシートを高透磁率材に使用す盗ただし,この場合比透磁率 が二桁から三桁落ちているため,期待した結果が得られるかどうか定かでない.よって,このフェライ
トゴムの効果について実際に誘導加熱実験を行って検証した.
本章では,高透磁率材料を用いることで加熱効率が向上する根拠について,まず第3章で述べた磁気 回路法による推定を行い,最終的に誘導加熱実験を行ってその有効性を検討する。
なお,本章で言う誘導加熱の加熱効率とは,ワーキングコイルに供給した電力のうちどれだけの比率 で被加熱物である鋼板が発熱したかを見るもので,投入電力のうちどれだけを重油に供給し,これを加 熱できたかという通常の意味での熱効率とは別物である.
6。2 高透磁率材料を使用した実験
本節においては,磁気回路法を用いた加熱効率向上の推定を述べる.磁気回路法は磁路の選定などの 条件から,磁気抵抗の値を決定する事が難しく,実際の形状を考慮に入れた計算を行うには,ごく僅か の場合を除いて,数値計算にたよる必要がある.しかしながら,具体的な値を得られなくても,適当な 磁路を仮定して計算を行った場合,最低限の傾向はつかめるので,磁気回路法がまったく有効性を持た ないと言うわけではない.逆に,正確な結果は,数値計算なり実験なりによって得られれば良い.
62。1磁気回路による推定
本節において,加熱効率の向上原理の推定を磁気回路理論を用いて行うので,以下簡単に磁気回路の 概要をまとめる.
電気回路においては電圧V[Vlをかけて電流1[Alを流し,その電流の流れ具合によって回路のインピ
一ダンスZ(抵抗R)1Ω1としているが,磁気回路においては電気回路の電圧に相当するものを起磁力r
(姐[Ar/叫,n:コイル巻数、,:コイル電流),電流に相当するものを磁束Φ[Wb]、回路のインピーダ ンスに相当するものはパーミアンス(磁気抵抗)吼【A/Wb1になる.その対応を以下の表6.1に示す.
表6.1から,電気回路において材料の物性定数である電気伝導率σが大きければ電気抵抗Rが小さく なって等しい電圧で大きな電流を流すことができるのと同様に,磁気回路においても透磁率μ(こちら
も材料の物性定数〉が大きければその材料内部に大きな磁束を誘起することが可能である。
ただし,電気エネルギは熱として放散し,消費されるが,磁気エネルギは磁束が誘起されている場所 に蓄積されるのみで消費はされないことが両者の相違である.
表6。1電気回路と磁気回路の対応
電気回路 ⇔ 磁気回路
電圧(起電力)V「円 ⇔ 起磁力叫Ar加]
電流1[A1 ⇔ 磁束Φ[Wbl
インピーダンスZ(抵抗R)[Ω1 ⇔ パーミアンス(磁気抵抗)呪[A/Wbl 電気エネルギ(ジュール熱)RI21J] ⇔ 磁気エネルギgゆ2Z2団
夏電気抵抗R【Ω1一一
σS
:電気伝導率[s/ml l:電流流路長[m]
:電流流路断面積o㎡1
⇔
i磁気抵抗尉AIW司=一
μS
:透磁率[Wb/㎞1 1:磁路長【副
:磁路断面積[m21
電気抵抗の場合は電流が流れれば発熱するが,本来エネルギを蓄積するのみの磁気エネルギが鋼板内 部でどのように熱に変換されるのか,第5章5.2.2節においてまとめた効率的な誘導加熱を行う条件を磁 気回路理論を用いた表現についておさらいすると,
(1)大きな磁気エネルギを被加熱導体に蓄積すること(より多く磁束を誘起すること)
(2)その蓄積磁気エネルギを有効に熱に変換すること である.さらにこの条件を一言で表せば,
性能指数仏((5.8)式)の値が小さい ということであった.
性能指数縣の定義を考えると,(5.8)式から,損失になる透磁率の無効分μ㎞に対する透磁率の有効分 μR。の比であり,その逆数が位相遅れ角㎞になる.G。が小さいと言うことは,とりもなおさず㎞が 大きいということであり,鋼板に蓄積された磁気エネルギを有効に熱に変換するためには,外部印加磁 界の時間変化に対して内部に誘起される磁束の位相遅れ角△[diglが大きいほうが効率的に発熱させるこ
とができる.
第5章(5.29)式にて,誘導加熱を行う際の性能指数蟻を計算している.この逆数にtanの逆関数を作 用させて位相遅れ角△をT/δを変数にしてあらわしたグラフを図6.1に示す.
図61より,T/δを大きくしていくと,すなわち周波数を高くしていくと位相遅れが急激に拡大してい くが,T/δが約3・7のあたりで最高46石1・】まで上昇し,さらにT/δが大きくなると位相遅れは45[q一定に
なる.
したがって,誘導加熱を効率的に行うために高周波化するわけであるが,位相遅れに関しては限度が