• 検索結果がありません。

唄33

31

29 27 25

一 F

βo

r

0 25 50

75   100   125   150   175   200   時刻[s]

一加熱面

  から   10[mm]

壷加熱面  から

 400[mm]

図4.50 温度上昇特性

 細線は加熱面に一番近い計測箇所(加熱面からの距離=101mml)に取り付けた温度センサによる温度 上昇を表し,太線は加熱面から一番遠し・箇所(加熱面からの鵬図00[㎜1)での1蹟センサによる嚴 上昇を示している。加熱面全体が水で覆われ,大量の冷却水による熱放散にもかかわらず,誘導加熱に よってタンク内の重油が加熱可能であることが示された.

 本節においては,準定周波電力制御ZCS高周波インバータから更なる性能向上を企図して,定周波電 力制御範囲を大幅に拡大する制御法を新提案し,実際に小型重油タンクを加熱する実験を行ってどの動 作を確認した.そこから,以下の結論を得た.

 1)転流重複ZCSの特徴である任意の時間にZCSターンオン可能という特徴を活かし,S3とS4のト   リガを非同期させる制御法を採用することによってフルブリッジ運転とプッシュプル運転を組み   合わせた定周波電力制御を実現した.

2)プッシュプル運転時は回生電力制御を行うことによって,余計な補助回路などを付加せずとも出   力電力は最大出力から10[%1出力まで定周波で電力制御が可能であることを示した.

3)小型重油タンク加熱実験から,タンク側壁を加熱することによる内部の重油温度を上昇させるこ   とが可能であることを示した、

45 あとがき

 本章においては,高周波誘導加熱負荷を駆動する高周波インバータについて,その動作特性と,高周 波化に伴う問題点,及びその解決策として,ハードスイッチング電源におけるスナバ回路の定数選定,

回路のソフトスイッチング化と,それへの定周波電力制御機能の付加を検討してきた.ここで得られた 結論を以下にまとめる.

1)半導体スイッチングデバイスを用いる高周波インバータにおいて,その高速スイッチングに伴う問  題点,すなわち,サージ電流,サージ電圧の発生,及びスイッチング損失の増大などの発生要因を   まとめ,その対策として検討されてきたスナバ回路,ソフトスイッチング電源について述べ,半導  体スイッチングデバイスを保護するスナバ回路の形式を種々検討し,使用するデバイスが高速スイ   ッチング可能なIGBTを使用していること,また,電圧の定格から実際にスイッチにかかる電圧が  小さくなるという条件を鑑み,スナバ回路の形式として,ハードスイッチング高周波インバータに   おいては電力回生型スナバ回路が最もふさわしいことを示した.

2)汎用ハードスイッチングインバータを用いた模擬負荷実験から,電力回生型スナバ回路はスナバ回  路の時定数がスイッチング周期にほぼ等しくなる定数条件 においてスナバ抵抗RSNはできるだけ  大きく,かつ,スナバコンデンサC訓の容量はできるだけ小さくすることが望ましいことを示した.

3)IGBTを用いる高周波インバータにおいて,汎用ハードスイッチングインバータの実験結果から,共  進周波数よりわずかに低い周波数で運転することが最も効率が高く,したがって,回路をソフトス  イッチング化する際においても共振周波数より低い周波数で運転するZCSが望ましいことを示した、

4)ソフトスイッチングインバータに定周波電力制御機能を付加することを検討し,まず,回生電力制  御のみを用いる準定周波電力制御ZCS高周波インバータを提案し,主にシミュレーションによって  その特性を解析した.そこから,定周波電力制御範囲は40[%]程度とやや狭いことが判明した.た  だし,船側鋼板誘導加熱負荷に適用する場合において,鋼板が変わっても負荷変動の範囲は40[%]

  もないと予測されることから,本回路の定周波電力制御範囲は十分な広さを持っていると考えられ

  る。

5)準定周波電力制御ZCS高周波インバータの持つ定周波電力制御機能をさらに向上させるため,ほぼ  同一回路でスイッチの制御法を改めることで定周波電力制御範囲を拡大することが可能であること  を示した.すなわち,S3とS4のトリガタイミングを非同期にすることによって,フルブリッジ運  転時において電源と負荷とが接続されている時間を可変し,フルブリッジ動作が徐々にプッシュプ  ル動作に移行する範囲まで75[%1の電力制御範囲(定格に対し25[%1出力まで)をうることを可能に   し,さらにプッシュプル運転時に回生電力制御を組み合わせると定格から10[%]程度の出力まで連  続的に可変することが可能であることをシミュレーションと実験によって確認した.

6)定周波電力制御ZCS高周波インバータを用いた小型タンク加熱実験によって,タンク側壁を加熱し,

 そこからの伝熱によって内部の重油を加熱することが可能であることを示した.

第5章 高周波誘導加熱負荷基礎特性 5.1まえがき

本章では,高周波誘導加熱負荷について,特に負荷等価回路定数値周波数特性に関する検討を中心に,

その電気特性について詳しく考察する.

本文の目的とする船側鋼板誘導加熱システムの基礎特性把握のため,本章ではまず,鋼板などの磁性 体の内部に発生する交流損失の種類と発生原理について概説する.まず,電磁機器における交流鉄損の 計算を電気工学,及び磁気工学の立場から述べ,効率的な誘導加熱はどのような条件で実施されるべき かを検討する.次に,誘導加熱負荷の等価回路について述べ,続く渦流解析による誘導加熱負荷等価回 路定数の理論解析とこれまで実施してきた実験結果から負荷等価回路定数値の推算式を導出する.最後 に,負荷等価回路定数の推算式の検証を兼ねて負荷等価回路定数に対する相似則を導出し,誘導加熱実 験によって検証している.

5.2効率的な誘導加熱を行うための条件 5.2。1電磁機器と誘導加熱

 一般に電磁機器は変圧器に代表される静止機と電動機のような回転機に大まかに分けられている.共 通の特徴として供給電気エネルギを一旦磁気エネルギに変換した後,要求するエネルギ形態に再変換し ている.すなわち,一般的な鉄芯付変圧器においては1次巻線に交流電流の形で供給した電気エネルギ を,その電流が鉄芯内部に誘起した磁束に磁気エネルギとして蓄積し,それと鎖交する2次巻線に誘導 起電力を誘起し,2次巻線が負荷に接続された場合において鉄芯内部の磁気エネルギが再び電流として 電気エネルギに再変換されて負荷へと供給される(1).同様に,電動機においては界磁コイルに電流を流 して電気エネルギを供給し,それを変圧器と同様に磁気エネルギに変換する.電動機の場合においては 構造上発生する空隙に多くの磁気エネルギが蓄積され,電機子巻線電流や2次導体電流が作る磁界との 相互作用によってトルクを発生し,磁気エネルギから運動エネルギヘ再変換している④

従って,電磁機器においてはエネルギ変換の第1段階である電気エネルギからの磁気エネルギヘの変 換をいかに効率よく行うかに腐心してきた.電磁機器においては鉄芯材に使用する材料に要求する機能

として,

 ①外部印加磁界に対して磁芯内蔀にできるだけ大きな磁束(密度)を誘起し得ること  ②外部印加磁界の時問変化に速やかに追随すること

を求めてきた.つまり,大きな磁東密度を得る事ができればそれだけ磁気素子(すなわち鉄芯)の小型 小容積化が可能になる,また,印加磁界の時問変化に対して速やかに追随することはそれだけ鉄芯内部 において発生する熱損失が軽減されるβx4).

ひるがえって誘導加熱においては外部印加磁界によって被加熱導体中に誘起した磁気エネルギをいか に有効に熱エネルギに変換するかが肝要である.以上の考察から,効率的な誘導加熱とは,

 ①大きな磁気エネルギを被加熱導体に蓄積すること  ②その蓄積磁気エネルギを有効に熱に変換すること

の2点が重要である.①番の磁気エネルギ蓄積については通常の鉄芯材に要求される特性と同一であり,

磁性材料の高性能化のため物性物理学的見地から現在でも活発に研究されている.非常に興味深い問題 ではあるが,本文で扱う磁性材料は船体構造材に用いられる一般的な軟鋼であるので,その物性物理学 的見地からの磁気特性改善は,本文において本質的な意味を成さない.したがって,本文では,鉄材が 持っ一般的な磁気特性について概観するにとどめる.