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3.3 読み出し ASIC のアナログ部試作機

3.3.3 SlitA2013

SlitAではパルス幅の要求を満たすことができなかった。そのため、2番目のアナログ部試

作機としてSlitA2013を開発した。より微細なプロセスである Silterra CMOS 0.18 µm 術を用いて製造することで、回路の時間応答を速くし、パルス幅の改善を図った。SlitA2013 の性能を評価するために、評価基板を製作した。図3.4SlitA2013とその評価基板の写真 を示す。SlitA201364チャンネルの信号読み出しが可能であるが、その中の32チャンネ

内でのチャンネルと評価基板内でのチャンネル番号の対応関係を に示す。図 右図中ではアナログ入力部の右端がチャンネル1である。評価基板には

の つの電源が与えられているが、 の電源はコンパレータに入る前のアナ ログ信号を外部に出力するためのアンプのみに用いられる。図 右図の左上の コネクタからテスト用の矩形波を に入力できるようになっており、右の ネクタからコンパレータに入る前のアナログ波形が出力される。これらを使用するかどう かは前述のデジタルコントロールによって制御する 図 テストパルス入力とアナログ モニター出力 。また図 右図のデジタル出力部の上部にピンホールがあり、そこから

のデジタル出力が 確認できるようになっている。基板の右上に つ付いた可変抵抗は上からそれぞれ、プリ アンプ帰還抵抗、ポールゼロキャンセル シェーパーバイアス、オフセット調整電圧、ス レッショルド参照電圧の調整用で、主にこれらの抵抗を調整して信号の調整を行う。

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SlitA2013

左 と 評価用基板 右

a

b

3.4 aSlitA2013の写真。bSlitA2013評価基板の写真。

3.3 読み出しASICのアナログ部試作機 25

ルのみを評価基板と接続することで評価を行った。基板にはSlitA2013の電源電圧である± 0.9 Vと+2.5 VGND3つの電圧を与える。+2.5 Vはコンパレータ入力前のアナログ 信号を外部に出力するボルテージフォロワー回路に与える電圧である。評価基板は8 bitのデ ジタルコントロール信号を外部から与えることでいくつかの機能を切り替えることができる。

• アナログ出力モードとデジタル出力モードの切り替え。

– アナログ出力モードでは1チャンネルのみLEMOからアナログ波形を読み出す ことができる。出力するチャンネルは選択可能である。

– デジタル出力モードでは、デジタル出力部から32チャンネルのデジタル信号の読 み出しが可能である。また、デジタル出力用コネクタの上部にあるスルーホール からch1ch2ch3ch4ch5ch9ch12ch16ch21ch24ch29ch32 デジタル信号の読み出しも可能である。

– アナログ出力モードとデジタル出力モードを同時に選択することはできない。

• SlitA2013への信号の入力プロセスの切り替え。

– テストパルス入力モードでは、SlitA2013チップ内の100 fFのキャパシタで入力 した矩形波の電圧を電荷に変換する。

– アナログ入力モードでは、アナログ入力用コネクタのピンから直接電荷を入力す る。センサーを接続することも可能である。

• チャンネルごとの基準電圧の詳細設定。

– ディスクリミネータで比較する基準電圧は、全チャンネルに与える外部参照電圧

(VREF)をDACで各チャンネル毎に詳細に調整して決める。

– DACに割り当てられた4 bitの数値を指定することで電流値とその符号を設定す ることができる。

– DAC間には5 kΩの抵抗が付いており、電流をやり取りすることでチャンネルご との基準電圧を調整することができる。

デジタルコントロールでは、読み取り用のタイミング信号であるストローブ信号(CLB1 チャンネルあたり8 bitのシリアルデータSDIクロック信号CLK3つの信号を入力 して行う。CLBLowのあと、入力されたSDICLKの立ち上がりでサンプルし、デー タを保持する。表3.2にそれぞれのビットが制御している機能を示す。基板上には、4つの 可変抵抗が実装されており、SlitA2013のプリアンプの帰還抵抗調整用電圧(VPRE、ポー ルゼロキャンセル回路のバイアス(Vpzcsh、オフセット電圧(VOFF、全チャンネルに与 える参照電圧(VREF)の調整を行うことができる。SlitA2013の性能評価はすでに行われ た[24]。表3.3SlitASlitA2013の性能評価の結果をまとめる。SlitA2013ではタイム ウォークの要求を満たさなかったため新バージョンの読み出しASICを開発した。第5章で 新バージョンの読み出しASICについて述べる。

26 3 シリコンストリップ検出器読み出し回路

3.2 SlitA2013の各ビットの制御。

データ入力時間 内部制御ビット 備考

first TEST テストパルス入力

2nd AMON アナログ出力

3rd COMPENB コンパレータ制御

4th GBOFF ゲインブーストオフ

5th D0 DAC 最上位bit

6th D1 DAC 2nd bit

7th D2 DAC 3rd bit

last D3 DAC 最下位bit

3.3 読み出しASICに対する要求性能とこれまでの試作機の測定結果[21]

項目 要求値 SlitA SlitA2013

信号雑音比(S/N 15 20 20

ゲイン >19 mV/fC 40 mV/fC 26 mV/fC

等価雑音電荷(ENC 1600 e 1600 e 1000 e ダイナミックレンジ ∼ 3 MIP 5 MIP 5 MIP

パルス幅 < 100 ns 130 ns 80 ns

タイムウォーク <5 ns 18 ns

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第 4

ビーム試験

J-PARC ミューオン g−2/EDM実験では、シリコンストリップ検出器を用いて陽電子の

飛跡と時間を測定する。陽電子飛跡検出器には高計数率耐性と高計数率変化に対する耐性、

十分な信号雑音比(S/N)と検出効率が要求される。そのため、読み出しASICのアナログ 部試作機であるSlitA2013の評価基板とテストセンサーを接続したシリコンストリップ検出 器試作機に陽電子ビームを照射してその応答を確認した。J-PARC 物質・生命科学実験施設 におけるビーム試験ではミューオンのパルスビームを用いて検出器試作機の時間応答を確認 し、東北大学電子光理学研究センターにおけるビーム試験では運動量200 MeV/cの直流ビー ムを用いて陽電子信号を測定した。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 34-37)