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ビーム試験のセットアップ

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 38-42)

4.1 J-PARC 物質・生命科学実験施設におけるビーム試験

4.1.2 ビーム試験のセットアップ

図4.1J-PARC MLF で 行 っ た ビ ー ム 試 験 の セ ッ ト ア ッ プ を 示 す 。ま た 、図 4.3 J-PARCのビーム試験におけるデータ収集システムのブロック図を示す。D2-lineへ輸送した 表面ミューオンビームを標的カウンターに照射し、静止させる。静止したミューオンは崩壊 して陽電子を放出する。この高計数率の陽電子の信号をシリコンストリップ検出器試作機を 用いて測定した。Front Sci.DSSD1Aセンサー・Rセンサー・DSSD2はアルミ製の暗

21 21 21 21 57.15

66 22 30

Target Sci.

Front Sci.

DSSD1

A‒sensor R‒sensor

DSSD2

BDC1

BDC2 Back Sci.

μ+ e+

4.1 J-PARC MLF D2-lineで行ったビーム試験のセットアップ。

箱内に設置した。暗箱は自動ステージ(SIGMAKOKI, SGSP26 200(XY))上に固定され、

ビーム軸方向に200 mm移動させることができる。検出器試作機の位置を移動させることで レートを変化させ、時間応答を確認した。各検出器の位置は備え付けのレーザーシステムを 用いて合わせた。その後、図4.1のセットアップの上から木製の暗箱と暗幕を被せた。暗箱 内の温度は精密空調機器(ORION, PAP01B)を用いて管理した。J-PARCのビーム試験で 用いた各検出器の詳細を以下に述べる。

4.1 J-PARC 物質・生命科学実験施設におけるビーム試験 29

シンチレーションカウンター

シンチレーションカウンターは、シンチレータと光検出器で構成される。荷電粒子がシン チレータ内を通過すると、荷電粒子のエネルギーはシンチレータに吸収され、シンチレーショ ン光と呼ばれる微弱な信号を生成する。光検出器は、シンチレーション光を光電子に変換し て増倍することで、信号を電圧に変換する。シンチレーションカウンターを上流に2台、下 流に1台設置した。最上流のTarget Sci.TS)は30 ×30 ×3 mm3のプラスチックシンチ レータ(ELJEN Technology, EJ-212)である。ミューオンはTS内で静止し、崩壊して陽電 子を放出する。次に、TSの下流にある暗箱内にFront Sci.FS)を設置した。FS6 × 5

× 1 mm3のプラスチックシンチレータ(ELJEN Technology, EJ-212)で、トリガー用のシ ンチレーションカウンターである。最後に、最下流にBack Sci.BS)を設置した。BS10

× 12 × 10 mm3 のプラスチックシンチレータ(ELJEN Technology, EJ-200)で、時間基 準として用いた。全てのシンチレータからの信号を光電子増倍管(PMT: Photomultiplier

(HAMAMATSU, H3164-10)を用いて検出した。PMTで増幅した信号の波形情報を波形デ ジタイザー(WFD: Wave Form DigitizerCAEN, V1742)で、時間情報を時間分解能25 psTDCCAEN, V1290)と時間分解能200 psTDCCAEN, V1190)でそれぞれ取 得した。

Double-sided Silicon Strip Detector DSSD

DSSDBelle II実験で使用する予定の両面シリコンストリップ検出器である。両面のス

ト リ ッ プ で 得 ら れ た 信 号 か ら 荷 電 粒 子 の 通 過 位 置 を2 次 元 情 報 と し て 測 定 す る 。表4.1 DSSD セ ン サ ー の 仕 様 を 示 す 。DSSD か ら の 信 号 読 み 出 し に はATLAS実 験 の ト リ ガ ー 用 ミューオン検出器であるTGCThin Gap Chamber)用のASDを使用した。DSSDから の波形情報はWFDを用いて取得した。本解析では DSSDで取得したデータを使用してい ない。

4.1 DSSDの仕様。

仕様

厚さ 320µm

全空乏化電圧 120 V

読み出しストリップ N-side P-side

長さ 122.74 mm 57.525 mm

ストリップ間隔 240 µm 75 µm ストリップ数 512 768

30 4 ビーム試験

Beam Defining CounterBDC

BDCはシンチレーションファイバーと光検出器で構成された、荷電粒子の飛跡を捉える ための汎用テレスコープである。シンチレーションファイバーを通過した荷電粒子は、その 飛跡に沿ってシンチレーション光を生成し、ファイバー内を全反射で伝播する。本ビーム試 験 で 使 用 し たBDC は 、0.5 mm角 シ ン チ レ ー シ ョ ン フ ァ イ バ ー(Saint-Gobain Crystals, BCF-10を水平方向に10本、1.0 mm角シンチレーションファイバー(Kuraray, SCSF-78 を垂直方向に6本並べた構造をしており、有感面積は6 ×5 mm2である。表4.2に各ファイ バーの仕様を示す。ファイバーの長さは最大385 mmであった。また、各ファイバーからの 信号を1.3 mm角のMPPCMulti-Pixel Photon CounterHamamatsu, S12825-050P-01)を 用 い て 検 出 し た 。MPPC SiPMSilicon Photomultipliers)の 一 種 で あ り 、ガ イ ガーモードのAPD(Avalanche photodiode) をマルチピクセル化した光検出器である[27] 表 4.3 MPPC の 仕 様 を 示 す 。多 チ ャ ン ネ ル MPPCへ の バ イ ア ス の 供 給 と デ ー タ 収 集 は、EASIROCと呼ばれるASICを実装したNIMNuclear Instrument Module)規格の EASIROCモ ジ ュ ー ル [28] を 用 い て 行 っ た 。EASIROCASD 回 路 を 内 蔵 し て お り 、ゲ インやシェーピング時定数をスローコントロール信号で変更することができる。EASIROC モ ジ ュ ー ル は 外 部 ト リ ガ ー を 与 え る こ と で 64チ ャ ン ネ ル 分 の 波 高 情 報 を 12 bit ADC

(Analog-to-Digital Converter)として取得することができる。また、MPPCは信号の増倍 率が温度変化するため、温度センサー(ANALOG DEVICES , AD592CN)で測定した温 度情報を読み出すことができる。今回のビーム試験では、BDC22 mm間隔で2台設置し た。BDCはビーム試験に用いるために独自に開発を行った。BDCの開発については付録A で取り扱う。

4.2 BDCに用いたシンチレーションファイバーの仕様。

型番 ファイバー径 放射光の色 発光ピーク波長 減衰長 最小曲げ直径

BCF-10 0.5 mm blue 432 nm 4 m 100 mm

SCSF-78 1.0 mm blue 450 nm 2.2 m 200 mm

シリコンストリップ検出器試作機

シリコンストリップ検出器試作機はセンサーボード、SlitA2013評価基板と中継基板で構成 される。Aセンサーを接続した試作機を試作機ARセンサーを接続した試作機を試作機R と呼ぶことにする。センサーボードの詳細は2.2.2で述べた。SlitA2013はアナログ部試作機 であるため、外部からデジタルコントロール信号を入力する必要がある。そこで、中継基板 [24]を製作して接続することで、デジタル信号のレベル変換とシリアル通信によるデジタルコ ントロールを行った。SlitA2013から出力されたアナログ波形をWFDCAEN, V1742)で

4.1 J-PARC 物質・生命科学実験施設におけるビーム試験 31

4.3 BDCに用いたMPPCの仕様。

項目 仕様

素子 MPPCMulti-Pixel Photon Counter

受光面積 1.3 mm × 1.3 mm

ピクセル間隔 50 µm

ピクセル数 667

降伏電圧 65 ± 10 V 増倍率 1.25 ×106 増倍率の温度計数 2.7 × 104/

取得し、デジタル出力信号の立ち上がり時間と立ち下がり時間を時間分解能200 psTDC

(CAEN, V1190)で測定した。図4.2に試作機Rの写真を示す。SlitA2013の各バイアスは、

ASIC単体の性能評価を行ったときと同じパラメータである。表4.4SlitA2013 の各バイ アスの設定値を示す。

Radial strip sensor  (64ch)

SlitA2013   (2nd prototype) 

R-sensor

SlitA2013

4.2 シリコンストリップ検出器試作機Rの写真。

4.4 J-PARCのビーム試験におけるSlitA2013の各バイアスの設定値。

パラメータ Aセンサー読み出し Rセンサー読み出し 備考

VPRE 17.5 mV 3.4 mV プリアンプの帰還抵抗調節用電圧

Vpzcsh 878 mV 875 mV PZC回路のバイアス

VOFF 62 mV 85 mV オフセット調整用電圧

32 4 ビーム試験

ジタル出力

SlitA2013 中継基板

アナログ出力

コン ロール信号ジタル

A‒sensor

R‒sensor TDC

V1190 V1290TDC Target Sci. PMT

Front Sci.

Back Sci. Discriminator

V1742WFD

DSSD ASD NIM Buffer

Beam pulse DAQ busy

F/F

GG F/F

BDC

GG Delay

EASIROC F/F

trigger

VME interrupt

timing hold Back Sci.

Back Sci.

Pulse  Generator

(D645) width 500 μs

trigger (delay=47 μs)

trigger (delay=7 μs)

ASD: Amplifier Shaper Disctiminator GG: Gate Generator

F/F: Fan‒in/Fan‒out Target Sci.

Front Sci.

Back Sci.

4.3 J-PARCのビーム試験におけるデータ収集システムのブロック図。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 38-42)