SliT128A TEG
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図 5.8 SliT128A TEG チ ッ プ と そ の 評 価 基 板 の 写 真 。(a)TEG チ ッ プ の 写 真 。 SliT128A の ア ナ ロ グ 部TEG は 青 枠 で 囲 わ れ た 領 域 で あ る 。(b)TEG 評 価 基 板 の 写 真。評価基板の中心にTEGチップを貼付けて、アルミ線ワイヤーボンディング実装する。
評価基板のサイズは100 mm× 100 mmである。
• チャンネル間での基準電圧の詳細な調整。
– コ ン パ レ ー タ で 比 較 す る 基 準 電 圧 は 、全 チ ャ ン ネ ル に 与 え る 外 部 参 照 用 電 圧
(VREF)を各チャンネルのDACで調整した電圧である。
– DACに割り当てられた6 bitの数値を指定することでDACに流れる電流値とそ の符号を設定することができる。
• デジタルコントロール信号はSOY-100Mボード(Bee Beans Technologies, 100BASE-Tx)と呼ばれるコントローラを用いてチップへ入力する。表5.3にそれぞれのビット が制御している機能を示す。
5.2 SliT128A TEG のアルミ線ワイヤーボンディング実装
SliT128A TEGチップの評価基板へのアルミ線WB実装を九州大学で行った。図5.9に
九州大学のシリコン検出器開発設備の写真を示す。クラス1000のクリーンブース(AirTech, MCB02-492821T6)内には、全自動アルミ細線ウェッジワイヤーボンダー(Kulicke&Soffa, 3700plus)、マニュアルワイヤーボンダー(Kulicke&Soffa, iBond5000-Wedge)、ボンドテス ター(Nordson, 4000Plus)、マニュアルプローブステーション(Cascade Microtech,
PM8-60 第5章 新バージョンの読み出しASIC
表5.3 SliT128Aの各ビットの制御。
データ入力時間 内部制御ビット 備考
first TEST テストパルス入力
2nd AMON アナログ出力
3rd COMPENB コンパレータ制御
4th GBOFF ゲインブーストオフ
5th POS DC極性変換
6th D0 DAC 最上位bit
7th D1 DAC 2nd bit
8th D2 DAC 3rd bit
9th D3 DAC 4th bit
10th D4 DAC 5th bit
11th D5 DAC 最下位 bit
12th NC
13th NC
14th NC
15th NC
16th NC
COAX-ST-PCKG)が設置されている。本WB実装は全自動アルミ細線ウェッジワイヤー
ボンダー(オートボンダー)を用いて行った。まず、常温乾燥タイプの導電性樹脂ペースト
(藤倉化成, ドータイトD-500)を用いて評価基板にTEGチップを接着した。WB実装にお いて実装面の平面度は非常に重要である。評価基板の裏面にはバイパスコンデンサーなどの 部品を実装していたため、平面度を保つための治具を製作した。基板を治具にネジ留めし、
基板の反りを矯正した。治具はオートボンダーのワークホルダーに固定した。図5.10にワー クホルダーに固定した治具の写真を示す。本実装では25µm径のアルミ・シリコンボンディ ングワイヤー(田中貴金属, TABNタイプ)を用いた。WB実装はプロセスプログラムを設 定することで自動的に行われる。そのため、プロセスプログラム内の各パラメータの設定が 非常に重要である。パラメータの詳細については5.2.2で述べる。練習用の部品未実装基板 を用いてボンド強度の高いパラメータの条件出しを行った。ボンド強度はボンドテスターを 用いてワイヤーの破壊試験(プルテスト)を行うことで測定した。5.2.3でワイヤーの破壊試 験とその結果について述べる。条件出しで得られた最適なパラメータを用いて、最終的に2 枚の評価基板に対して2枚のSliT128AチップをWB実装した。5.2.4で本WB実装の結果 と考察について述べる。
5.2 SliT128A TEGのアルミ線ワイヤーボンディング実装 61
図5.9 九州大学のシリコン検出器開発設備の写真。
ワーク ル ー
練習用基板 治具
ンド ール
TEG プ
図5.10 ワークホルダーに固定した治具の写真。基板の裏面に実装された部品部分に溝を 掘った土台となる治具と、上から押さえつけて基板の反りを矯正するための治具である。
この写真の基板は練習用の部品未実装基板である。
62 第5章 新バージョンの読み出しASIC
5.2.1 ワイヤーボンディング実装の原理
WB実装は基板上の電極パッドとチップ上の電極パッドを電気的に接続する手法の一つで ある。WB実装の種類として熱圧着方式や超音波圧着方式などがある。熱圧着方式は、300 度以上の熱と荷重を加えてワイヤーを接続する。キャピラリーと呼ばれるツールの先端に火 花を飛ばしてワイヤーを溶かしたもの(ボール)を形成し、一定の荷重を加えてワイヤーと電 極パッドを接合する。熱圧着方式に用いられるこのようなボンディングプロセスをボールボ ンディングと呼ぶ。ボールを形成するため全方向にワイヤーの配線が可能であるが、太線ワ イヤーを用いることはできない。主に金線ワイヤーが用いられる。超音波圧着方式は、一定 の荷重と超音波振動をウェッジツール(ボンドツール)に与え、ワイヤーと電極パッドを接 合する。超音波圧着方式に用いられるこのようなボンディングプロセスをウェッジボンディ ングと呼ぶ。ウェッジボンディングでは、金線以外のアルミ線やニッケル線などの金属ワイ ヤーを使用することができ、細線から太線まで幅広い線幅のワイヤーを使用することができ る。また、チップに対して熱を一切与えないため、熱に弱いチップのWB実装を行うことが できる。図 5.11にボンドツールを用いた超音波圧着方式によるWB 実装の概念図を示す。
ボンドツールは荷重をかけてワイヤーを電極パッドに押し付けながら超音波振動を与える。
超音波振動はワイヤーを擦る訳ではなく、ワイヤーの組成に変化を与えてワイヤー素材を柔 らかくする。超音波振動を一定時間かけ続けるとワイヤーとパッド電極の材質の結晶が崩れ、
純合金部が露出する。酸化膜は破壊され、ワイヤーと電極パッドを構成する原子の外周電子 が共有結合することで合金化される。これを冷間溶接(Cold-Welding)と呼ぶ。荷重はワイ ヤーと電極パッドの合金化を促進するために与える。
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図5.11 超音波圧着方式によるワイヤーボンディングの原理。
5.2.2 ボンディングプロセスとボンディングパラメータ
図5.12にプロセス実行時のボンドツールの動きを示す。ボンドツールは1stボンド面の 真上に移動してから下降する。電極パッドに接触すると、ボンド荷重と超音波パワーを印可
5.2 SliT128A TEGのアルミ線ワイヤーボンディング実装 63
する。1stボンドが終了するとTwist Heightまで一旦上昇し、Step Forward Angleで指定 した角度でワイヤーを引き出しながらLoop Heightで指定した高さまで移動する。その後、
2ndボンド面の真上に移動して2ndボンドを行う。2ndボンドが終了すると、ワイヤクラン プを閉じてワイヤーの引きちぎりを始める。ワイヤーの引きちぎりはBreak Distanceで指 定した距離移動する間に行われる。プロセスプログラムで設定できるパラメータはボンドパ ラメータ、ループパラメータ、カットパラメータのボンド ッド動作図 ボンド ル パラメ タ図 3種類に大別できる。各パラメータはボ
アルミ細線ボンド ッド
F F
H
W
H H Z H
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F F
H
W F
H H Z H
ボンド ッド動作図 ボンド ル パラメ タ図
アルミ細線ボンド ッド
F F
H
W
H H Z H
H H
F F
H
W F
H H Z H
1st ボンド
2nd ボンド チ プ
基板 Loop Height
Loop Top
Twist Height ボンド ール
ワイヤクランプ Wire Guide
Step Forward Angle
Break Distance
図5.12 プロセスプログラムを実行したときのボンドツールの動き。1stボンドが終了す るとStep Forward Angleで指定した角度でワイヤーを引き出しながらLoop Topまで移 動する。Loop Topは2つのボンド面のうち、高いボンド面からLoop Heightの高さで 定義される。2ndボンドが終了すると、ワイヤクランプを閉じてBreak Distanceの間に ワイヤーの引きちぎりを行う。
ンドツールの垂直方向の動き、荷重や超音波パワー、時間を指定するパラメータである。そ の中でもボンンディング強度に大きな影響を与えるパラメータを以下に示す。また、図5.2 に最適なパラメータを設定したときの理想的なボンドの形状を示す。
ボンドフォース(Bond Force)
ボンディング中にワイヤーをボンド面に密着させるためにかける荷重。ボンド荷重はボン ディングパラメータの一つであるボンドホールドタイムの間中印可する。ボンド荷重が強過 ぎ る と ワ イ ヤ ー が 冷 間 圧 延 さ れ て し ま い 、圧 着 さ れ た よ う な ボ ン ド 形 状 に な る 。ボ ン ド パ ワーが強過ぎ場合とは異なり、黒く焦げたような跡はない。また、ボンディング前にワイヤー が潰れてしまうため、接合面に合金化されていない部分(ボイド)が現れる。ボイドの発生
64 第5章 新バージョンの読み出しASIC