ール
5.2.3 ボンディングパラメータの条件出し
ボンディングパラメータの条件出しは、TEGチップを貼り付けた練習用基板を用いて行っ
た。5.2.2で述べたボンディングパラメータを変更しながらWB実装を行い、ワイヤーの破
壊試験を行った。図5.14にワイヤーの破壊試験の概念図を示す。ボンドテスターに取り付け られたプルフックが荷重をかけながらワイヤーを垂直方向に引っ張る。ワイヤーが切断され た、もしくはボンドが剥がれた瞬間の荷重を正確に測定し記録する。ボンド強度の強い最適 なボンディングパラメータは、ボンド2点間の距離・チップの高さ・パッドの組成によって 大きく異なる。図5.15にTEG チップのボンディング計画を示す。本WB実装では凹型ボ ンドツール(Kulicke&Soffa, 127240-30)を使用して25 µmアルミ線ワイヤーをボンディン グした。使用したボンドツールの推奨ボンド寸法は、1stボンドに対して75.8 µm × 113.8 µm、2ndボンドに対して75.8 µm × 103.3 µmであった。そのため、1stボンド寸法がツー ルの推奨値を満たしておらず、ボンド強度とイールドに影響が出ると予想される。また、ボン ド2点間の距離がどのワイヤーに対しても異なるが、本WB実装では共通のパラメータセッ トを用いて条件出しを行った。練習用基板を用いた破壊試験の結果から63本のワイヤーに対 して平均荷重が6.6 gのパラメータセットを見つけた。図5.16に破壊試験の結果を示す。ま た、表5.4にそのときのパラメータセットを示す。
表5.4 破壊試験の結果が平均荷重6.6 gのパラメータセット。
ボンドパラメータ 1st ボンド 2nd ボンド ループパラメータ
Bond Force [g] 20 20 Loop Height [µm] 500
Bond Power [unit] 25 23 Step Fwd Angle [ ◦] 20
Bond Hold Time [ms] 5 5
66 第5章 新バージョンの読み出しASIC
図5.14 ワイヤーの破壊試験の概念図。フックが荷重をかけながらワイヤーを垂直方向に 引っ張る。ワイヤーが切断された、もしくわボンドが剥がれた際の荷重を正確に測定し記 録する。ワイヤーがループ部分で切断されるのが理想的だが、多くのワイヤーがボンドの ネック部分で切断される。
図5.15 TEGチップのボンディング計画。1枚のチップに対して合計66本のアルミ線ワ イヤーを打ち込む。1stボンドのパッド寸法は60µm×60µm、2ndボンドのパッド寸法 は80µm×3 mm、チップの厚さは400µmであった。チップ上部で最も長いワイヤーの 長さが3899 µm、最も短いワイヤーの長さが3632 µmであった。チップ下部で最も長い ワイヤーの長さが4047 µm、最も短いワイヤーの長さが3799µmであった。
5.2 SliT128A TEGのアルミ線ワイヤーボンディング実装 67
h1 Entries 63 Mean 6.625 RMS 0.7974
weight [g]
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
numbers of wire
0 1 2 3 4 5 6 7 8
h1 Entries 63 Mean 6.625 RMS 0.7974
Results of pull test
図5.16 63本のワイヤーに対する破壊試験の結果。
5.2.4 TEG チップのアルミ線ワイヤーボンディング実装の結果と考察
5.2.3 で 述 べ た 最 適 な パ ラ メ ー タ セ ッ ト 用 い て2 枚 の 部 品 実 装 基 板 No.1 ボ ー ド 、No.2 ボ ー ド に 対 し て TEG チ ッ プ の WB 実 装 を 行 っ た 。図 5.17 に 光 学 顕 微 鏡(OLYMPUS,
BH2-UMA)を用いて撮影したNo.1ボードのチップ全体の写真を示す。また、図5.18に光
学顕微鏡で撮影したNo.1ボードの1stボンドの拡大写真を、図5.19に2ndボンドの拡大写 真をそれぞれ示す。目視確認の結果、評価基板の動作に影響を与える致命的な不良ボンドは 見つからなかった。しかし、いくつかの懸念事項を確認した。まず、No.1ボードでワイヤー 間隔が10 µm ∼ 25 µm程度の狭いワイヤーを数カ所見つけた。ワイヤーが接触すると回路 がショートしてしまう原因となるが、動作確認の結果、問題は見られなかった。次に、No.2 ボードで電極パッドの端にボンディングされた2ndボンドを1カ所確認した。この電極パッ ドはデジタル信号を外部に出力するDOUT ピンに配線している。動作確認の結果、デジタ ル信号を確認することはできたが、ボンド強度は低いことが予想される。最後に、No.2ボー ドでテール部分が切断された1stボンドを2カ所確認した。ワイヤーが押し潰され、ボンド が中心付近で切断している。正常に導通していることを確認したが、ボンド強度は低いと予 想される。図5.20にNo.2ボードで確認したパッドの端にボンディングされた2ndボンドと テール部分が切断された1stボンドの光学顕微鏡による拡大写真を示す。
68 第5章 新バージョンの読み出しASIC
図5.17 光学顕微鏡によるNo.1ボードのTEGチップ全体の写真。
図5.18 光学顕微鏡による1stボンドの拡大写真。1stボンドの平均ボンド幅は39µmである。
5.2 SliT128A TEGのアルミ線ワイヤーボンディング実装 69
図5.19 光学顕微鏡による2ndボンドの拡大写真。2ndボンドの平均ボンド幅は40µmである。
図5.20 No2ボードで確認したボンド強度が低いと予想されるワイヤーの光学顕微鏡によ る拡大写真。パッドの端にボンディングされた2ndボンドの写真(左)。テール部分が切 断された1stボンドの写真(右)。
70
第 6 章
SliT128A TEG の性能評価
読み出しASICのアナログ部は3.3.2で述べた要求性能を満たす必要がある。新バージョ ンの読み出しASICであるSliT128Aはコンパレータ出力波形を外部に読み出すことができ ない。そのため、TEGとその評価基板を用いてアナログ部の詳細な性能を評価した。