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第五部 サイジング検証

5.4 最少構成台数でのマルチロール環境と仮想環境の比較検証

5.4.4 RPC パフォーマンス

本検証環境 DB キ ャ ッ シュ総量

本 検 証 で の 使 用 メモリ容量

使 用 メ モ リ 容 量 か ら DB キャッシュ総量を 除いたメモリ容量 マルチロー

ル環境 20 GB 27.7 GB 7.7 GB

仮想環境

(MBX) 20 GB 14.9 GB 0.9 GB

使用メモリ容量には、OS などにより使用されるメモリが含まれているため、

サイジング指針よりも多めに使用されていますが、仮想環境においては、ほぼ サイジング指針の通りの DB キャッシュが展開されていると考えられます。マ ルチロール環境では、複数の Exchange Server ロールを実行しているため、

仮想環境に比べて 多くのメモリが使用されていることがわかります。

MSExchangeIS (または MSExchange RPCClientAccess) ¥RPC Operations/sec パフォーマンス カウンターは、過去 1 秒間に発生している RPC 操作の数を示し

ます。Exchange 2010 において CAS サーバーが MAPI クライアントからのアク

セスを処理するように変更されたため、この値を参照することで CAS サーバーへ のクライアント アクセス負荷を調査することが可能です。

本検証においては、それぞれのテスト ケースで同一の負荷をかけているため、同等 の値になっています。

MSExchangeIS (ま た は MSExchange RPCClientAccess) ¥RPC Requests パ フォーマンス カウンターは、Microsoft Exchange Information Store サービスに よって現在処理されている MAPI RPC またはクライアントの数を示します。この カウンターの平均値は、常に 70 未満であることが推奨されます。Exchange Server

2010 における RPC 要求の最大値は 500 であり、それ以上の新しい RPC 操作

は拒否されます。

本検証においては、それぞれのテスト ケースにおいて良好な値を示していますが、

マルチロール環境の方がより良好な値を示していることがわかります。

次の図は、各テスト ケースにおける CAS サーバーの RPC 待機時間 (RPC

Averaged Latency) の平均値と、負荷クライアントで測定されたレスポンス タイ

ム (Read And Process Messages Action Latency) の平均値です。

MSExchangeIS (ま た は MSExchange RPCClientAccess) ¥RPC Averaged

Latency パフォーマンス カウンターは、過去 1,024 パケットの RPC の平均待ち

時間をミリ秒単位で示しています。オンライン モードの Outlook クライアントを 使用する場合、このカウンターの最大値は 50 ミリ秒以下であることが推奨されま す。

本検証においては、それぞれのテスト ケースにおいて良好な値を示していますが、

マルチロール環境の方がより良好な値を示していることがわかります。

Exchange Load Generator User Groups¥Read And Process Messages Action

Latency パフォーマンス カウンターは、負荷クライアントの LoadGen が提供す

るものです。このカウンターは、クライアント側におけるメッセージ読み取りタス クが完了するまでの平均時間 (ミリ秒) を示します。

本検証においては、マルチロール環境の方が、処理時間が減少しています。この結 果は、サーバー側の RPC 待機時間が減少したことによる影響を示しています。

これらについての考察は次の通りです。

 RPC 操作数 (RPC Operations/sec)

送 受 信 数 や ユ ー ザ ー 数 な ど の プ ロ フ ァ イ ル が 同 一 で あ る 場 合 、RPC

Opeations/sec は同一の値を記録することが正常です。本検証では、各テスト

ケースにおいて同一の負荷をかけたため、Operations/sec の値が同等になりま した。そのため、想定通りの負荷がかけられたと考えられ、検証に問題がなかっ たと言えます。

 RPC 要求数 / RPC 待機時間 / クライアント側のレスポンス タイム

これらの結果において、各パフォーマンス カウンターの値は、推奨のしきい値 範囲内であることから、サーバーのボトルネックとはなっていないことがわか ります。また、マルチロール環境の方が仮想環境よりも良好な結果となりまし た。これは、マルチロール環境は、仮想環境と比べて、プロセッサ コア数の数 が多いことや、利用可能なメモリ容量が多いこと、および仮想環境によるオー バーヘッドなどによる影響であると考えられます。

これらにより仮想環境は、同一の物理サーバーに展開したマルチロール環境に 比べて、クライアントへのサービス レベルが低下する可能性があるため、

RPC 待機時間やクライアント側のレスポンス タイムを確認しておくことが 重要です。