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第五部 サイジング検証

5.4 最少構成台数でのマルチロール環境と仮想環境の比較検証

5.4.7 まとめ

本検証環境において、マルチロール環境と仮想環境を比較した結果、マルチロー ル環境の方が CPU や RPC などのパフォーマンスが良好であったと言えます。

これは仮想環境では複数の OS を稼働させること、仮想環境のオーバーヘッドの 存在などによる結果と言えます。また、ディスク負荷に関しては、本検証におい てはマルチロール環境の方がディスクに対する負荷が低い結果となりましたが、

仮想環境は MBX サーバーへのメモリ割り当てを調整することが可能なため、仮 想環境の設計時にはメモリの割り当てが重要であると言えます。

以上のようにマルチロール環境と仮想環境においてパフォーマンスや考慮する点 などの違いがありますが、それぞれの環境においてボトルネックは発生していな いため、マルチロール環境と仮想環境どちらにおいても、最低構成台数である 2 台で Exchange 2010 を稼働させることは可能です。どちらを選択するかは、パ フォーマンスの観点だけではなく、追加コスト (マルチロールの冗長化における ハードウェア負荷分散装置が必須になることなど) も考慮して総合的に判断する ことが重要です。

付録 A. ツールの紹介

Exchange Server Load Generator

Load Generator (LoadGen) は、MAPI クライアントのパフォーマンス負荷をシ

ミュレートします。サーバーの処理能力を決定し、展開計画を評価するのに有益な ツールです。

LoadGen は、Exchange に対し、シミュレートされたクライアント作業負荷を生

成することを目的としています。この作業負荷を用いることで、Exchange の性能 を評価したり、システムに負荷がかかった状態でのさまざまな構成の変更が

Exchange の動作とパフォーマンスにどのように影響を与えるかを分析できます。

また、LoadGen は、運用環境ではなくテスト環境で使用することを目的としてい ます。

LoadGen のマニュアルには、Exchange サーバーに対する負荷テストを構成して

実行する方法が記載されています。LoadGen は、Outlook 2003 (オンラインおよび キャッシュ)、Outlook 2007 (オンラインおよびキャッシュ)、POP3、IMAP4、SMTP、

ActiveSync、および OWA クライアントの活動をシミュレートできます。単一プロ

トコルの作業負荷を生成するのにも使用できます。また、これらのクライアント プ ロトコルを組み合わせることで、複数プロトコル作業負荷を生成できます。

これらのテストの出力は、以下の目的で使用します。

 展開の検証

 クライアントに負荷がかかった状態で、サーバーの構成に対するクライアント コ ンピューターの応答時間を計算

 サーバーあたりのユーザー数の予測

 サーバー ボトルネックの特定

Exchange Load Generator 2010 (Loadgen.msi)

http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=en&FamilyID=cf 464be7-7e52-48cd-b852-ccfc915b29ef

Microsoft Exchange JetStress

JetStress は、ディスク サブシステムのパフォーマンスと安定性をテストするツー

ルです。

Exchange がベースとする Extensible Storage Engine (ESE) の DB テクノロジ

と直接対話することで、DB レベルでの Exchange I/O をシミュレートすることを 目的としています。JetStress は Exchange の必要なパフォーマンス制限の範囲内 で、ディスク サブシステムで利用できる最大 I/O スループットをテストするよう に構成できます。また、ユーザー カウントとユーザーあたりの IOPS に関する適 切なプロファイルを与えることで、ディスク サブシステムが許容レベルのパフォー マンスを維持できることを検証できます。

JetStress は、サーバーに運用データを配置する前に使用する必要があります。

JetStress は運用データを含むシステムに使用するべきではありません。

JetStress テストを使用して、Exchange サーバーの展開前にストレージの信頼性

とパフォーマンスを検証できます。ストレージ サブシステムのパフォーマンスに懸 念がある場合や、システムの I/O 容量を判断する必要がある場合に JetStress を 実行する必要があります。

Microsoft Exchange Server Jetstress 2010 (Jetstress.msi)

http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=en&FamilyID=1 3267027-8120-48ed-931b-29eb0aa52aa6

Mailbox Server Role Requirements Calculator

Mailbox Server Role Requirements Calculator (Mailbox Calculator) を使用する と、一連の入力要素を指定することで、MBX サーバー ロールの要件を確認できま す。計算用シートで、メモリ、ストレージ (I/O パフォーマンス、容量、記憶域構

成)、最適な LUN レイアウト、CPU メガサイクルの要件を確認できます。

Exchange 2010 MBX サーバーの最適なソリューションを設計するには、多数の変

数を考慮する必要があり、計算用シートを用いると設計プロセスでの作業が容易に なります。

ダウンロードは、Exchange Server チーム ブログの記事「E2010 Mailbox Server Role Requirements Calculator」を参照してください。