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第五部 サイジング検証

5.4 最少構成台数でのマルチロール環境と仮想環境の比較検証

5.4.3 プロセッサとメモリのパフォーマンス

設定項目 設定値

ユーザー数 3,000 ユーザー (3,000 ユーザー/サーバー、2 データ ベース/サーバー、1500 ユーザー/データベース) プロファイル Outlook_100 (100 通送受信、送受信メッセージ サイズ

約 75 KB/通)

クライアント Outlook 2007 オンライン モード

(Outlook 2007 の規定値はキャッシュ モード) メールボックス サイ

約 100 MB/ユーザー

配布グループ 500 グループ (メンバーシップ数: 最少 2、平均 20、

最大 50) シミュレーションに

おける 1 日の長さ

8 時間

シミュレーションを 実施する長さ

4 時間

パフォーマンス測定 のタイミング

シミュレーション 4 時間のうち、後半の 2 時間で測定

Processor Time パフォーマンス カウンターは、プロセッサがアプリケーションま

たはシステム プロセスを実行している時間の割合を示します。このカウンターの平 均値は DAG を構成していない MBX サーバーの場合は 70% 未満、DAG を構成 する MBX サーバーの場合は、80% 未満、それ以外のサーバーでは 60 % 未満で あることが推奨されます。

本検証では、それぞれのサーバーにおいて良好な値を示していますが、マルチロー ル環境の方がより良好な値を示しています。

Memory¥Available MBytes パフォーマンス カウンターは、プロセスやシステム

のために直ちに利用可能な物理メモリの容量を MB 単位で示します。このカウン ターは、常に 100 MB を上回っていることが推奨されます。

本検証では、それぞれのサーバーで値が異なりますが、すべてのサーバーにおいて 良好な値を示しています。サーバーごとに値が異なる原因は、利用可能なメモリ容 量が異なることと、実行する Exchange サーバー ロールが異なるためです。

これらについての考察は次の通りです。

 CPU 使用率 (Processor Time)

本検証では、各テスト ケースに対して同一の負荷を生成しており、MBX サー バーにかかる負荷は同等ですが、マルチロール環境では 8 LP、仮想環境では 4 VP とプロセッサ コア比率が異なっていることや、仮想環境では仮想マシンが 複数台動作していることや仮想化によるオーバーヘッドにより、仮想環境の CPU 負荷が上昇したと考えられます。

 使用メモリ容量

次の表は、マルチロール環境の物理サーバーと仮想環境の各仮想マシン (MBX サーバーと コンバインドロール サーバー)の搭載メモリ容量と空き容量から 使用メモリ容量を算出した物です。

本検証では、各テスト ケースにおいて負荷が同一であるにも関わらず、マルチ ロール環境の方がメモリ使用量が多いことがわかります。これは仮想環境に比 べて、利用可能なメモリ容量が多いため、DB キャッシュをより多く展開する ためであったと考えられます。また、MBX サーバー ロール以外にも HUB サーバー ロールと CAS サーバー ロールを実行していることも理由として 考えられます。これらについては、次のように考察した結果です。

まず、本検証において、マルチロールの搭載メモリ容量は 32 GB、仮想環境は

20 GB であるため、サイジング指針から、搭載メモリ容量と DB キャッシュ

総量の関係を次の表に示します。

サ ー バ ー の 物 理 メモリ (RAM)

DB キャッシュ総量

(MBX サーバー ロールのみ)

DB キャッシュ総量 (マルチロール)

16 GB 10.4 GB 8 GB

24 GB 17.6 GB 14 GB

32 GB 24.4 GB 20 GB

本検証の仮想環境のように搭載するメモリ容量が 20 GB におけるDB キャッ シュ総量は、サイジング指針の例に記載されていません。そのため、本考察で は、上記表の搭載メモリ容量 16 GB と 24 GB の DB キャッシュ総量の中間 値を取ることにし、 DB キャッシュ総量を 14 GB と仮定します。これにより、

DB キャッシュは、マルチロール環境では 20 GB、仮想環境では 14 GB の キャッシュが展開されたと考えられます。この DB キャッシュ総量と、本検証 の使用メモリ容量をまとめた表を次に示します。

本検証環境 DB キ ャ ッ シュ総量

本 検 証 で の 使 用 メモリ容量

使 用 メ モ リ 容 量 か ら DB キャッシュ総量を 除いたメモリ容量 マルチロー

ル環境 20 GB 27.7 GB 7.7 GB

仮想環境

(MBX) 20 GB 14.9 GB 0.9 GB

使用メモリ容量には、OS などにより使用されるメモリが含まれているため、

サイジング指針よりも多めに使用されていますが、仮想環境においては、ほぼ サイジング指針の通りの DB キャッシュが展開されていると考えられます。マ ルチロール環境では、複数の Exchange Server ロールを実行しているため、

仮想環境に比べて 多くのメモリが使用されていることがわかります。