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第五部 サイジング検証

5.4 最少構成台数でのマルチロール環境と仮想環境の比較検証

5.4.5 ディスク I/O パフォーマンス

これらにより仮想環境は、同一の物理サーバーに展開したマルチロール環境に 比べて、クライアントへのサービス レベルが低下する可能性があるため、

RPC 待機時間やクライアント側のレスポンス タイムを確認しておくことが 重要です。

ます。IOPS の値は、読み取り I/O (Disk Reads/sec パフォーマンス カウンター) と 書き込み I/O (Disk Writes/sec パフォーマンス カウンター) の合計と一致しま す。

Disk Reads/sec の値は、マルチロール環境の方が仮想環境よりもディスクに対する

読み取り I/O 負荷が低いことを示しています。また、Disk Writes/sec の値は、そ れ ぞ れ のテ ス ト ケ ース に おい て 大き な 差は 見ら れ ま せん 。IOPS は 、Disk

Reads/sec と Disk Writes/sec の合計数であるため、マルチロール環境の方が仮想

環境よりもディスクに対する I/O 負荷が低いことを示しています。

次の図は、マルチロール環境と仮想環境における、アクティブ DB コピーを配置し たディスク (LUN) の Avg. Disk Queue Length パフォーマンス カウンターの平 均値を示しています。

Avg. Disk Queue Length は、ディスクのキューに入った読み取りおよび書き込み

I/O の平均値で、待ち行列の長さを示しています。ディスクにボトルネックが発生 している場合、この値が増加します。このカウンターの平均値は、ディスク スピン ドル数に 2 を加えた値未満であることが推奨されます。

Avg. Disk Queue Length の値は、各テスト ケース間で大きな差は見られず、良好

な値を示しています。

次に、アクティブ DB コピーと パッシブ DB コピーの比較のために、マルチロー ル環境のアクティブ DB コピーと パッシブ DB コピーのディスク I/O パフォー マンス (Disk Reads/sec、Disk Writes/sec、および IOPS) の平均値を調査したグ ラフを次に示します。

Disk Reads/sec と Disk Writes/sec の値は、アクティブ DB コピーの方がパッシ ブ DB コピーよりもディスクに対する読み取り I/O 負荷と書き込み I/O 負荷が 低いことを示しています。IOPS は、Disk Reads/sec と Disk Writes/sec の合計 数であるため、アクティブ DB コピーの方がディスクに対する I/O 負荷が低いこ とを示しています。

次の図は、アクティブ DB コピーとパッシブ DB コピーを配置したそれぞれの ディスク (LUN) の Avg. Disk Queue Length パフォーマンス カウンターの平均 値を示しています。

Avg. Disk Queue Length の値は、アクティブ DB コピーがパッシブ DB コピー に比べて良好な値を示しています。なお、ディスク スピンドル数が 3 であるため、

しきい値が 5 となるため、パッシブ DB コピーにおいてもボトルネックは発生し ていません。

これらについての考察は次の通りです。

 マルチロール環境と仮想環境のディスク I/O パフォーマンス

本検証では、ディスクへの読み取り I/O は、マルチロール環境と仮想環境では、

マルチロール環境の方がディスクに対する読み取り I/O 負荷が低い結果とな りました。これは、次に示すように各テスト ケースにおいて展開された DB キャッシュ総量が、マルチロール環境の方が多かったため、ディスクに対する 読み取り I/O が減少したと考えられます。

本検証環境 DB キャッシュ総量 (サイジング指針から) マルチロール環境 20 GB

仮想環境 14 GB

なお、ディスクへの読み取り I/O が、DB キャッシュ総量により変化すること の詳細に関しては「3.1.5.1 トランザクション I/O」を参照してください。

次にディスクへの書き込み I/O ですが、マルチロール環境と仮想環境では、ほ ぼ同一の値となりました。これは、各テスト ケースにおいて DAG を構成し たため、ログ チェックポイントの深さのターゲットの大きさが同一であるため であると考えられます。

なお、ディスクへの書き込み I/O と、ログ チェックポイントの深さのターゲッ トの詳細に関しては「3.1.5.1 トランザクション I/O」を参照してください。

最後に IOPS とディスク負荷についてですが、IOPS は Disk Reads/sec と

Disk Writes/sec の合計であるため、マルチロール環境の方がディスクに対す

る I/O 負荷が低いことを示していますが、IOPS としては誤差であったため、

ディスク負荷には大きな違いが見られないという結果になりました。

 アクティブ DB コピーとパッシブ DB コピーのディスク I/O パフォーマンス 本検証において、アクティブ DB コピーはパッシブ DB コピーより、ディス クへの書き込み I/O が減少しました。これは、次に示すようにアクティブ DB コピーとパッシブ DB コピーのログ チェックポイントの深さのターゲットの 大きさが異なるためであると考えられます。

DB 構成 ログ チェックポイントの深 さのターゲット (MB) 1 つの DB のコピー (DAG 構成なし) 20

2 つ以上のコピーを持つアクティブ DB 100

コピー (DAG構成あり)

パッシブ DB コピー 5

なお、ディスクへの書き込み I/O が、ログ チェックポイントの深さのターゲッ トの値により変化することの詳細に関しては「3.1.5.1 トランザクション I/O」

を参照してください。

最後に IOPS とディスク負荷についてですが、IOPS は Disk Reads/sec と

Disk Writes/sec の合計であるため、アクティブ DB コピーの方がディスクに

対する I/O 負荷が低いことを示しています。これによりアクティブ DB は、

パッシブ DB コピーに比べてディスク負荷が減少したという結果になりまし た。