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第五部 サイジング検証

5.1 検証概要

ここでは、主に Exchange 2007 から Exchange 2010 で変更されたアーキテク チャを中心に、サイジングに影響する負荷検証を行い、そのパフォーマンスを計測 した 3 つの検証に関して説明します。

No. 検証概要 検証内容 1 MBX サーバーの搭載メモリ

容量とディスク I/O の相関調 査検証

MBX サーバーの搭載メモリ容量を 変更することによる IOPS などの ディスク負荷を調査する

2 CAS サーバーへの RPC 負荷 検証

CAS サーバー 1 台あたりでホスト 可能なユーザー数を調査する

3 最少構成台数でのマルチロー ル環境と仮想環境の比較検証

マルチロールでの物理サーバー 2 台 の構 成と 仮想 環境 での 物理 サ ー バー 2 台の構成において、パフォー マンス比較を実施する

5.1.1 MBX サーバーの搭載メモリ容量とディスク I/O の相関調査検

Exchange 2010 では、ユーザーからのアクセスが DB キャッシュにヒットした場

合、ディスクへの読み取り I/O が発生しないため、ディスクの負荷を低減できます。

また、DB キャッシュの容量は、MBX サーバーの搭載メモリ容量と相関関係にあ ります。これにより、MBX サーバーの搭載メモリ容量を増加することで、ディス クへの負荷を低減させることが可能です。

そこで、 MBX サーバーの搭載メモリ容量を変化させた場合に、I/O やディスク負

荷がどの程度軽減するかを検証します。本検証結果は、MBX サーバーの搭載メモ リ容量とディスクを選択する際に参考にしてください。

なお、DB キャッシュの詳細に関しては「3.1.3.1 DB キャッシュ総量の算出」を参 照してください。

5.1.2 CAS サーバー 1 台でホスト可能なユーザー数の調査検証

Exchange 2007 の CAS サーバーと比較し、Exchange 2010 の CAS サーバーは、

クライアントからのアクセスに関する機能のほとんどを処理するようにアーキテク チャが変更されました。たとえば、Outlook などの MAPI クライアントからのア クセスや、OWA のブラウザへのレンダリング処理などが MBX サーバーから CAS サーバーへ移りました。

そこで本検証では、Exchange 2010 の CAS サーバーにおいて 1 台あたりでホス ト可能なユーザー数を調査するための検証を実施します。本検証結果は、CAS サー バーのサイジングを行う際に参考にしてください。

なお、CAS サーバーの変更点に関しては「3.2 CAS サーバー ロールのサイジング」

を参照してください。

5.1.3 最少構成台数でのマルチロール環境と仮想環境の比較検証

Exchange 2007 から Exchange 2010 へのアーキテクチャ変更により、冗長化す

る場合の最少構成台数が 4 台から 2 台へと変更されました。2 台構成を実現する には、次の 2 つの方法があります。

 マルチロール環境

2 台の物理サーバーにそれぞれマルチロールを展開し、DAG を構成すること で MBX サーバーの冗長化を実施し、ハードウェア負荷分散装置により CAS サーバーあるいは HUB サーバーを負荷分散する構成。少なくとも CAS サー バーの負荷分散には、ハードウェア負荷分散装置が必須であることに注意が必 要です。

 仮想環境

2 台の物理サーバーに 2 つの仮想マシンを展開し、1 つの仮想マシン上に MBX サーバーを DAG で構成することで MBX サーバーの冗長化を実施し、

もう 1 つの仮想マシンに HUB/CAS サーバーを 構成し NLB や ハード ウェア負荷分散装置により 仮想マシン上の CAS サーバーあるいは HUB サーバーを負荷分散する構成。仮想環境の場合、CPU の割り当てやオーバー ヘッドを考慮する必要があります。

次の図は、マルチロールと仮想環境のそれぞれの 2 台構成の一例です。なお、図 の点線の青枠は、Exchange 組織を示しています。

上記のように、同一スペックの物理サーバー 2 台構成で、同一負荷をかけた場合 にパフォーマンスを比較した検証を実施します。

本検証結果は、最少構成台数での導入や、マルチロールもしくは仮想環境の導入を 検討している際に参考にしてください。

なお、マルチロール構成の詳細に関しては「2.1.1 マルチロール構成の考え方」を、

仮想環境の詳細に関しては「2.2 仮想化の考え方」を参照してください。

ハードウェア 負荷分散装置

マルチロール サーバー 1

マルチロール サーバー 2

マルチロール構成 仮想環境構成

HUB / CAS HUB / CAS

MBX MBX

ホスト サーバー 1

ホスト サーバー 2 HUB

CAS MBX

HUB CAS MBX