第五部 サイジング検証
5.3 CAS サーバーへの RPC 負荷検証
5.3.3 プロセッサとメモリのパフォーマンス
次の図は、各テスト ケースにおける CAS サーバーの CPU 使用率 (Processor Time) とメモリ空き容量 (Memory¥Available MBytes) の平均値です。
Processor Time パフォーマンス カウンターは、プロセッサがアプリケーションま たはシステム プロセスを実行している時間の割合を示します。このカウンターの平 均値は CAS サーバーの場合は 60% 未満であることが推奨されます。
本検証では、すべてのテスト ケースにおいて良好な値を示していますが、ユーザー 数が少ない方がより良好な値を示しています。
Memory¥Available MBytes パフォーマンス カウンターは、プロセスやシステム
のために直ちに利用可能な物理メモリの容量を MB 単位で示します。このカウン ターは、常に 100 MB を上回っていることが推奨されます。
本検証では、すべてのテスト ケースにおいて良好な値を示していますが、ユーザー 数が少ない方がより良好な値を示しています。
これらについての考察は次の通りです。
CPU 使用率 (Processor Time)
本検証では、各テスト ケースに対してユーザー数を変化させることで負荷を変 化し、ユーザー数に比例して CAS サーバーへのアクセスが増加した結果、
Processor Time が上昇したと考えられます。また、すべてのテスト ケースに
おいて CPU がボトルネックにならないことから、18,000 ユーザーにおいて
も CPU の負荷はしきい値範囲内です。
ただし、本検証においてパフォーマンス測定のタイミングは、シミュレーショ ン 4 時間のうち、後半の 2 時間の処理が安定したタイミングを測定したもの を記載しており、CAS サーバーの負荷という観点では、朝のピーク時などを 想定して同時接続ユーザー数を考慮する必要があります。LoadGen のシミュ レーションでは、シミュレーション開始時に設定したすべてのユーザーが CAS サーバーへログオン処理を行います。そのため、シミュレーション開始 直後は、CAS サーバーの負荷が上昇します。次のグラフは、 シミュレーショ ン 4 時間のうち、前半 2 時間の CAS サーバーの Processor Time の推移を 示した物です。
このようにシミュレーション開始直後は、6,000 ユーザーのテスト ケースは、
しきい値範囲内の 60 % に収まっていますが、12,000 ユーザーと 18,000 ユーザーのテスト ケースは 60% を超えており、CPU がボトルネックとなっ ていることがわかります。これにより、同時接続ユーザー数は、CAS サーバー 1 台において 6,000 ユーザー以内であれば問題がないと言えます。
なお、LoadGen で設定するユーザー数は、企業のユーザー数と同等のユーザー
数を想定したものですが、同時接続ユーザー数を考慮した場合は意味合いが異 なり、LoadGen の設定数が必ずしも企業のユーザー数と同一とならないこと に注意してください。たとえば、18,000 人規模の企業において、始業時から メールを使用するユーザーが約 6,000 人であるといった環境を想定した場合、
同時接続ユーザー数は、6,000 ユーザーとなります。そのため、この環境のピー ク時の想定負荷は、上記グラフの 18,000 ユーザーのテスト ケースではなく、
6,000 ユーザーのテスト ケースが該当することに注意してください。
使用メモリ容量
Processor Time と同様に CAS サーバーへのアクセス増加により使用メモリ
容量が増えたと考えられます。