第五部 サイジング検証
5.2.4 ディスク I/O パフォーマンス
次の図は、各テスト ケースにおける、MBX サーバー ロールのディスク I/O パ フォーマンス (Disk Reads/sec、Disk Writes/sec、および IOPS) の平均値を示し ています。なお、次のデータは、1 つの DB (2,000 ユーザー) において得られた I/O
パフォーマンスを示しています。本検証では、6,000 ユーザーを 3 つの DB に
2,000 ユーザーずつ分割して格納したため、システム全体の I/O パフォーマンスは
次のデータのおおよそ 3 倍となることに注意してください。
IOPS (Input / Output Per Second) は、一定期間の Physical Disk (Logical Disk)
¥Disk Transfers/sec の平均値であり、1 秒あたりに発生したディスク I/O を示し ます。IOPS の値は、読み取り I/O (Disk Reads/sec パフォーマンス カウンター) と 書き込み I/O (Disk Writes/sec パフォーマンス カウンター) の合計と一致しま す。
Disk Reads/sec の値は、テスト ケース 1 よりテスト ケース 2 の値が小さく、
またテスト ケース 2 よりテスト ケース 3 の値が小さいため、搭載メモリ容量が 多い方がディスクに対する読み取り I/O 負荷が低いことを示していることがわか ります。また、Disk Writes/sec の値は、テスト ケース間で大きな差は見られませ ん。なお、IOPS は、Disk Reads/sec と Disk Writes/sec の合計数であるため、
Disk Reads/sec と同様に搭載メモリ容量が多い方がディスクに対する I/O 負荷が
低いことを示していることがわかります。
次の図は、メールボックス DB を配置したディスク (LUN) の Avg. Disk Queue
Length パフォーマンス カウンターの平均値を示しています。なお、次に示すデー
タは 3 つの DB の平均値となります。
Avg. Disk Queue Length は、ディスクのキューに入った読み取りおよび書き込み I/O の平均値で、待ち行列の長さを示しています。ディスクにボトルネックが発生 している場合、この値が増加します。このカウンターの平均値は、ディスク スピン ドル数に 2 を加えた値未満であることが推奨されます。
Avg. Disk Queue Length の値は、すべてのテスト ケースにおいて良好な値を示し
ていますが、搭載メモリ容量が多い方がより良好な値を示していることがわかりま す。
これらについての考察は次の通りです。
ディスクへの読み取り I/O (Disk Reads/sec)
MBX サーバーの搭載メモリ容量を増加させることで、DB キャッシュが多く 利用できるようになったため、ディスクへの読み取り I/O が減少したと考えら れます。
ディスクへの書き込み I/O (Disk Writes/sec)
ディスクへの書き込み I/O は、ログ チェックポイントの深さのターゲットの 値により異なり、ログ チェックポイントの深さのターゲットは、DAG 構成の 有無により変動します。本検証では、各テスト ケースにおいて DAG を構成 しておらず、ログ チェックポイントの深さのターゲットの値は同一です。その ため、各テスト ケース間でディスクへの書き込み I/O が、ほぼ同一の値になっ たと考えられます。
Avg. Disk Queue Length
ディスクへの読み取り I/O が減少したことにより、Avg. Disk Queue Length が減少したと考えられます。