第3章 扇から構成した実トーリック多様体 47 0を晦の部分集合とする。0が晦の有理的凸多面錘であるとは、u1,u2,…,u。∈
.M甲が存在して、
0=匙U1+IR+U2+…+IR+U8
とかけるときにいう。
さて、娠の有理的凸多面錘0を考え演算を定義しよう。σの元uに対し、記号コpu
を考える。
(注意)この¢Uは、単に「記号」であって単独では意味はない。しかし、以下の演 算が定義されることによって、これは単項式であるかのように扱うことができ、都 合がよくなる。
u,u ∈σに対し、バとコpU の積を次で定義する:
u u u十魅 z ・の :;コP
さらに、R(0〉を次式で定義する:
R(o):一㊥酬一{Σ娠洲c.∈爬}
u∈0∩ハ4 u∈σ∩M
このとき、R(0)は環となることが容易に確かめられる。ただし、環R(σ)の単位元 はzo(0はRlηの原点)で、コgo議1とみなしている。
補題3.2Gordanの補題
ぬの任意の有理的凸多面錘0に対し、0∩Mは有限生成加法半群である。
証明 0は有理的凸多面錘だから、
0驚R+U・+恥U2+…+R+Us,U1,U2,…}Us∈M
とかける。ここで、0の部分集合KをK={c・u・+c2u2+…+c8UslO≦cゴ≦1,ゴ=1,2,…,8}
とおくと、κは上の定義からコンパクトである。Mは格子点の集合であるから離散 的、よって、K∩Mは有限集合である。そして、{U1,U2,…,U.}とK∩Mが加法 半群として、0∩Mを生成する。
む
実際、任意のu∈0∩Mに対し、u畿Σlcゴ鞠(吻≧0)とかけるが、この係数cゴ ゴ=1
をガウス記号l lを用いて、cゴ=[cゴ1+4ゴ(0≦4ゴ≦1)とかくと、
お ぢ タ
u一Σ噛一Σ回馬+Σ噛
ゴ=1 ゴ=1 ゴ=1
タ
で・Σ鯛∈κ∩Mなので、示された。 ・
ゴ=1
いよいよ、実アファイントーリック多様体を定義する。
定義3.4実アファイントーリック多様体
有理的凸多面錘0に対し、Uを次式で定義する:
U:={P:R(0)→測pは環準同型写像,P(1)=1}
(注意)ここで、P(1)=1は厳密にはP(zo)慧1の意味である。
このUを環R(0)から決まる実アファイントーリック多様体といい、環R(0)を実 アファイントーリック多様体Uの座標環という。
上の定義は、ある環準同型写像の集合をアファイントーリック多様体といってい るが、多様体という割にはその「形」が見えてこない。しかし、以下のように解釈 することにより、Uを「図形」と考えることができる。
(観察3.3)実アファイントーリック多様体Uは、あるユークリッド空間の中の
「単項式一単項式」という形の多項式の零点集合と同一視される
このことを説明しよう。0を有理的凸多面錘とする。Gordanの補題から、0∩M は次のようにかけているとする:
0∩ハ4ニZ+u1十Z+u2十… 十π+Up
上の式と環R(0)定義から、R(0)の任意の元はのu・,が2,…,劣UPの有限個の積の1次 結合でかけていることがわかる。よって、これらの行き先P(zU・),P(zU2),…,P(zUP)
が定まれば、準同型写像P:R(σ)→Rは決定される。つまり、写像 e:U→盈P,P吟(P(¢U1〉,P(劣U2),…,P(zUp))
は単射である。0(U)⊂IRPであるが、◎は単射であるので、この写像を埋め込みと 考えて、Uを贈の中の部分集合とみなすことができる。
しかし、一般に、eは全射とはならないことに注意しよう。実際、(C1,C2,…,Cp)∈
躍\{0}に対し、clu1+c2u2+…+%Up=0とすると、
¢clu1+c2助+ +%%=♂;1 である。このとき、
(¢u1)c1(飢u2)c2…(zUp)¢P=1 が成り立つことになり、Pは準同型写像であるから、
、(P(zu1))c1(P(のu2))¢2・一(P(z迂P))Cp甥P(1)一1
第3章 扇から構成した実トーリック多様体 49
でなけれ亭まならない。
(注意)次のような場合はeは全射となる。例えば、
u、識(1,0》…,0),u2ニ(0,1,0,…ラ0),…,u。ニ(0,0,…,0,1)
とおき、凸多面錘0=IR+u1+R卜u2+…+IR+uゑを考える。すなわち、0は1肥の 第一象限である。このとき、
R(0)=】R『1,zロ2,…,zUnlとなり、U瓢盈ηである。
なぜなら、σ∩MはU1,U2,・一,U皿で生成されるので、
R(o)一㊦聡¢㌧R[zu17灘u2,…,剥 u∈σ∩M
は明らかである。よって、
U={P:珊zu1,zu2,…,3rUn1→R l.Pは環準同型写像,P(1)ニ1}
となる。ここで、馳:コ」pu1シッ2:=が2,… ,腕:=がnとおく。P∈Uはッが臨灘Ui(¢ニ 1,2,・一,η)の行き先z¢累P(跳)で決定される。
e:U→聡η,P吟(P(ッ・),P(ッ2),…,P(ッη))=(z・,之2,…,禰
とする。このとき、〜=(z1,…,zπ)とおくと、多項式ノ(徴,…,穿π)∈圃駒,…,祠 の行き先はP(ノ)=ノ(z)驚ノ(z1,…,乞π)となる。ここで、u1,u2,…,Unは1次独 立で、自明なもの以外の関係式がないから、任意のz諏(之1,…,砺)∈1欝に対し、
∫陣ノ(之)により、P:R(0)→飛∈Uが定まる。これは、写像eは全射であること を意味している。よって、0によってUと1餅を同一視、すなわち、U二騨である。
議論を続ける。多項式環珊ッ1,…,詞からUの座標環R(σ)への準同型写像で、
φ:聡1ツ1,… ,働1→R(0),跳←〉φ(紘)ニzu置
なるものを考える。R(0)の定義とφが準同型写像であることに注意すると、φが全射 であることがわかる。ここで、φの核kerφを1とおく。このとき、之コ(z1,…,Zp)∈
RPとそれから決まる環準同型写像
Q:駅ly1,…,穿pl→皿,(2(跳)篇z信(2=1,… ,P),(〜(1)=1
について、次が成り立っ。
(2竃P・φとなる.P∈Uが存在する。#任意のノ∈1に対し、ノ(z)=(〜(!)瓢0
このことより、P∈Uは之∈膨とみなしたことから、Uは膨の部分集合である イデアル1の零点集合と同一視することができる。以後、Uは1で定義される代数 的集合V(1)とも考える。
このイデアル1の生成元について調べてみる。六y)=Σc.y ∈1,〃霊(レ1,…,殉)
とする。ノ(砂,…,劣 P)=Σc x 画+−燭UPなので、
汽y)∈1# Σ Cy=oが任意のuに対して成り立っ。
レ:〃1U1十・一十峰Up=U
となる。よって、λ1,…,λpンμ1り…,侮∈Z+で、
λ1U1+…+λpU〆μ1U・+…+μpUp を満たすものをとり、
y1λ1…野ρλP剛1μ1…ツPμP
なる多項式を考えると、このような多項式全体がイデアル1を生成することがわかる。
η=2として、実アファイントーリック多様体の例をあげる。
例3。1α≧2,α∈Z+とする。このとき、凸多面錘0認Rl+(α,一1)+B+(0,1)の定 める実アファイントーリック多様体Uを求めよう。
Gordanの補題から、u1二(α,一1),u2識(1,0),u3欝(0,1)とおくと、
0∩ハ4ニZ+U1十Z+U2十Z+U3
である。ここでU1+U3=αU2という関係あるので、¢u・耀u3謹Z側2という関係式 が成り立っ。
のu1吟ツ1,¢u2卜〉92,zu3紗彫3
で決まる写像で、Uを聡3の中に埋め込んでおくと、Uは次の式であらわされる:
U#{(舘1ン92,μ3)∈濫3b1ツ3諮穿2α}
Uは代数的集合である。しかし、非特異多様体ではない。なぜなら、ノ=肋 3−y2α瓢0
とおき、
∂∫=ツ3−0
萎二鞠
とおくと、(ッ1,ッ2,ッ3)篇(0,0,0)すなわち、R3の原点(0,0,0)がUの特異点である。
第3章 扇から構成した実トーリック多様体 51 例3.2凸多面錘σ=R+(3,一2)+恥(0,1〉の定める実アファイントーリック多様体 Uを求めよう。
Gordanの補題から、u1嵩(3,一2),u2雲(2,一1),u3#(1,0),晦竃(0,1)とお
くと、
0∩ハ4=・Z+U1十Z+U2十Z+U3十Z+U4
である。ここでu1+u3=2u2,u2+u4=2u3という関係あるので、∬u1切u3=
z2u2,¢u2・偲曳二♂u3という関係式が成り立っ。zu邑吟駒,(歪雷1,2,3,4)で決まる
写像で、Uを爬の中に埋め込んでおくと、Uは次の式であらわされる:
U={(y1,ツ2,ツ3シy4)∈爬4b1ツ3;蹴22,ツ2ツ4=紗32}
Uは代数的集合である。しかし、非特異多様体ではない。なぜなら、∫=鮒3一ッ22ニ 0,g==ッ294一ッ32ニ0とおくと、
{獣蕪二ll灘二訟
である。したがって、{(ッ1,ッ2,ッ3,ッ4)∈R41肋篇ッ3=0,鮒4;0}を満たす点がU の特異点であることがわかる。
以上のように、一つの凸多面錘からユークリッド空間のある代数的集合を対応さ せることができた。次節では、扇と呼ばれる凸多面錘の集合を定義し、その扇から 補題3.1を使って、自然に実アファイントーリック多様体を貼り合わせ、実トーリッ
ク多様体を構成していく。
3.2 扇と実トーリック多様体
まず、扇の入れ物である空間について述ぺておく。
定義3.5η次元縦ベクトル全体のなす実ベクトル空間を娠であらわす:
〈石R=={v==ε(61,62,… ,6η)16毒∈皿(乞=1,2,一・,れ)}
この娠の部分集合で、各成分が整数であるものをNであらわす:
N:ニ{v==f(δ1,δ2,… ,6η)i薩∈Z(茗=1,2,… ,η)}
また、i1瓢℃,o,…}o)ヲi2=ホ(oヲ1,0,…,o),一・y㌔=¢(o,o}…,o}1)とおく。
横ベクトルUニ(α1,α2,…,α冗)∈職と縦ベクトルVノ(δ1,62,・一,6π)∈!服に 対し、写像(,〉→IRを標準的な非退化双線型写像、すなわち、
〈U,V〉:=α・わ・+勿b2+…+απbπ
とする。この写像〈,〉により、!賑と1糠は互いに他の双対空間と考える。
0を娠の部分集合とする。0が娠の有理的凸多面錘であるとは、v1,v2,…,Vs∈
1Vが存在して、
0コ恥v1+R+v2+…+漉+Vs
とかけるときをいう。
次に扇を定義しよう。
定義3.6Σを娠の有理的凸多面錘を要素とする有限集合とする。ΣがNでの扇、
または単に扇であるとは、次の性質を満たすときを言う。
(i)σ∈Σなら、σの面もすべてΣに属する。
(五)σ,T∈Σなら、共通部分σ∩7はσの面かつ7の面である。
また・和集創Σ1:一∪σを扇Σの台という・
σ∈Σ⊃
扇の例をあげる。
例3.3v1=君(1,0),v2=孟(1,1),v3」(0,1)とし、娠の有理的凸多面錘たちを 砺:・=盈+vi(1≦2≦3) ,砺,辞1ニB+v董十飛+vi+1 (1≦¢≦2)
とおくと、Σ瓢{{O},σ1,σ2,σ3,σ12,σ23}は扇になることは容易に確かめることがで きる。ここで、(V1,V2),(V2,V3)は非特異な基底をなしていることに注意しよう。
例3.4v1=孟(1,0),v2=む(4,3),v3翼書(1,1〉,v4=オ(1,2),v5= (0,1)とし、1賑
の有理的凸多面錘たちを
σ乞:瓢R+vi(1≦¢≦5),σ¢,岨二恥v +恥vi+1(1≦¢≦4)
とおくと、Σ1認{{0},σ1,σ2,σ3,σ4,σ5,σ12,σ23,σ34,σ45}は扇になることは容易に確か めることができる。ここで、(V1,V2)は非特異な基底をなさず、(V2,V3),(V3,V4),(V4,V5)
は非特異な基底をなしていることに注意しよう。
(注意)上の例でみたように、扇には必ず、零錐体{0}が含まれている。これは、扇 子が竹などでできた骨を要でつなぎ合わせてそれに紙を張って作られるように、こ の扇の要に当たる部分が零錐体{0}である。
第3章 扇から構成した実トーリック多様体 53 扇Σの元である娠の有理的凸多面錘σに対し、その双対錘σvは娠の有理的凸 多面錘である。このとき、前節と同様にして、
Rσ:一R(σv)=㊥Rのu u∈σv∩M
とおき、環Rσから決まる実アファイントーリック多様体
砺:={P:1ち→R l Pは環準同型写像,P(1)=1}
を考えよう。
補題3.3σを扇Σの元とする。σの面7に対し、次を満たすu∈σv∩Mが存在する。
1.7・謹σ∩{u}⊥
2。TV∩ルf=(σv∩ハ4)十Z+(一u)
3.Uレニ{P∈砺IP(コ贋臆)≠0}
証明 1.すべてのu∈reLintσv∩7⊥に対し、7二σ∩{u}⊥である。σv∩7⊥は有 理的なので、ア=σ∩{u卦を満たすu∈σvをMのなかにとることができる。
さて、1式の両辺の双対錘をとり、第2章補題2。2の2、補題2.3の3とu∈σvで
あることより、
7〉=σV ({U}⊥)〉=σ〉+H({U})=σV+翼+(一U) (3.5)
と表されることに注意しよう。
2。(3、5)カ】ら、7〉∩ハ4=(σv十盈+(一u〉)∩M⊃(σ〉∩ハ4)十Z+(一u)は明らカ》で
あるので、逆向きを示そう。任意のw∈Tv∩Mに対し、十分大きな自然数αをと れば、W+αU∈σV∩Mなので、W∈(σ〉∩M)+Z+(一U)であることがわかり、示
された。
3.瓦の定義式と2から、瓦=Rσ1の一u1であることがわかり、ザ・z覗=¢o=1 なので、明らかである。 □
(注意)包含関係σV⊂TVから決まる自然な単射Rσ⊂瓦が定義する写像伽:砺→砺 の像が補題3・3の3の右辺、すなわち・伽(防)={P∈砺l P(¢u)≠0}である。
定義3。7ΣをNでの扇とする。σ,丁∈Σに対し、σ∩7はσと7のそれぞれの面な ので、補題3.3の3より、の∩7⊂砿とも砺∩γ⊂仏ともみなせる。これによって、
のと仏を0レ∩。に沿って自然に貼り合わせることができる。この方法で実アファイ ントーリック多様体たち防,(σ∈Σ)をすべて貼り合せたものを、扇Σから決まる 実トーリック多様体といい、X(Σ,N)または単に、.XΣとかく。すなわち:
x(ΣザxΣこ一∪砿
σ(≡Σ