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O O 八年

ドキュメント内 教化研究 No.21 (ページ 97-102)

研 究 活 動 報告

一 一 一 白 川

ES

細胞研究への政府助成を解禁する大統領令

に署名しました︒先述したように倫理上問題があると

してブッシュ前大統領が二

OO

一年に禁止して以来の

政策転換となります︒オパマ大統領は︑この署名式の

スピーチで﹁健全な科学と倫理的価値は矛盾するもの

ではない﹂と指摘し︑今後医療など科学分野で世界を

主導する考えを示しました︒

AV

イギリス連邦の場合

一九九

O

年に﹁ヒト受精・睦研究(胎生学)法﹂が

成立しヒト駐を研究に使うことを許可制で認め︑そ

のための組織としてHFEA(ヒト受精および匪調査

当局)が設立されました︒この法律によって

クロ

l

ンによるヒト個体の複製は禁じ︑生殖目的によるヒト

クローン匪の作製や︑治療を目的とするマウスなどの

E

S

細胞研究も禁じられました︒

OO

一年一月には同法が改正され︑クローン技術

によってヒト匪を作製し︑その旺を医学研究に使うこ

とを認めました︒これによってヒトクローン旺からE S細胞を培養することができるようになりましたがそ

一方でクローンによるヒト個体の複製は禁止し

つ哨

つけ

てい

ます

︒これらの研究は受精後十四日までの

未分化の怪に限定され︑ヒトクローン妊の研究からク

ローン人間作りにつながらないように配慮しています︒

さらに二

O

も同様にスコットランド幹細胞研究ネットワークが形 成され︑幹細胞研究とその臨床応用が進められていま す AV

シンガポールの場合

幹細胞パンクの運営の他︑政府資金による幹細胞研 究と外部研究を繋ぐシンガポール幹細胞研究コンソ

1

シアムが設立されています︒

また︑国立バイオプロセ ス技術研究所内にマウスおよびヒトの幹細胞研究グ ループが活動しているほか︑研究者個人や研究機関が 会員となり会員相互の連携や情報交換を促す非営利研 究組織である幹細胞研究シンガポールが設立されてい

ます︒

‑カナダの場合

OO

二年にヒト多能性幹細胞研究指針を独自に設

定し

カナダ衛生研究所

( C H I R )

を通じて研究開

発を支援しています

︒また︑幹細胞ネットワークによ

り幹細胞研究の臨床応用︑商品化︑公共政策等を支援 するほか︑研究者︑企業︑政策担当者等の交流を進め

ています︒

96 

AV

オーストラリアの場合

幹細胞研究を先導し︑革新的治療薬の開発を目指す 全豪幹細胞センターユニットが設立されています

︒同

ユニットは幹細胞研究の倫理と価値についての声明を 発表し︑研究推進を図っています

︒また︑臨床治療に

用いられる薬品︑装置などの評価とモニタリング活動 を行う保険省薬品・医薬品行政局が幹細胞の臨床治験

の圏内指針を作成する作業を行っています︒

‑ドイツの場合

ドイツでは一

九九

O

年に制定された﹁旺保護法﹂

によってヒトの卵子や受精卵の研究利用が禁じられて

おり︑クローン眠︑つくりも実質的に不可能な状況となっ

ています︒

カトリックの影響もあり︑与党キリスト教 民主同盟など禎数の政党が︑受精卵の研究費用の政府 支出に否定的なことが︑その理由として考えられます

が︑それ以外にも︑

ナチス時代の優生政策や人体実験

といった暗い過去への反省から︑

ヒトの受精卵や遺伝

研究活動報告

子を使う研究に強い抵抗があると指摘さています︒

‑ EU

の場合

第七次フレームワークプロジェクト

( F P 7 )  

幹で

細胞研究を支援

( 8

カ国日研究機関が参加)するほか︑

幹細胞研究とその臨床応用の情報交換を行う欧州幹細

胞ポ1

タルサイトが立ち上げられています

︒また幹細

胞研究の成果を科学分野に展開することを目指したコ

ンソ

l

シアムである敵州システムプロジェクト

国国研究機関が参加)が推進されています︒

救世主(救済者)兄弟に関する問題

着床前遺伝子診断と生殖補助技術を用いて︑病気の 子どもの治療ために臓器ドナ

!として適合する匪を選

別し︑弟や妹を生むことが︑英・米・仏・スウェ

lデ ンなどで認められており︑すでにアメリカを中心に 二

OO

人以上が誕生しています︒英語では

E 3 2

E

﹁救世主(救済者)兄弟﹂と呼ばれています︒体外受精 によって受精卵を複数作り︑治療を必要とする兄姉と

遺伝子が適合するものだけを選び出して妊娠・出産さ

せるのです︒

乙の状況に対してイギリスでは︑二

OO

八年に改正

された前述の﹁ヒト受精・匪研究(胎生学)法﹂によっ

て︑それまで規制のなかった救世主兄弟に関して︑血 液の病気に限って作ることは認めましたが︑臓器移植

を目的としたものは完全に禁止されました︒一

方 ︑

メリカをはじめその他の国では︑法規制はなく︑現在は︑

医療者の良心に任されている状況

です

この問題に関しては︑生まれてくる子どもが 生い立ちのために自分は兄や姉ほど愛されていないと の思いに苦しむ弊害も指摘され︑すでに映画のテ

l

(ア

メリ

カ 映 画

﹁私の中のあなた﹂)としても取り上げ

られるなど︑大いに議論の余地のあるところですが︑

アメリカでは概ね生命倫理学者らが説く﹁家族全体の 利益は︑その子どもの利益でもある﹂との論理で正当

されているため︑現在のところ法による規制があり

ません︒

イギリスの場合も︑法規制はあるものの︑英

国医師会の見解は︑救世主兄弟の心理的負担を﹁仮想 的な害﹂とし︑病気の子どもの苦しみゃ死の可能性を﹁リ

アルな害﹂として対置させて︑救世主兄弟を誕生させ

ることそのものは正当化しています︒

この問題は︑単なる先端医療技術利用に関する倫理

的な議論にとどまらず︑家族とは何かと言った︑人間

のあり方そのものが抱える課題として︑より包括的な

議論が必要と思われます︒

(水 谷浩 志)

日 本 国 内

行政機関の動き

再生医療の分野では︑

E

S細胞研究が進み︑さまざ

まな人間の器官が再生できるようになってきました︒

しかし

E

S細胞研究には二つの大きな問題点が指摘

されています︒一つはヒトの受精卵を壊して取り出す

という倫理的問題︒今一つは︑他人の受精卵から造り

出されるために起る拒絶反応の問題です︒これに対し て︑京都大学の山中伸弥教授によって樹立されたもう

98 

一つの万能幹細胞であるi

p

S細胞研究に注目が集ま

りました︒

再生医療に関して︑日本政府側からの取り組みにつ

いては︑文部科学省︑厚生労働省︑通商産業省を中心

に大きな動きが見られます

︒二

OO

七年四月に︑総合

科学技術会議において︑社会還元プロジェクトの考え

が打ち出されました︒国が主体的に進めていく先駆的

なモデルとしてのプロジェクトを創出し︑これにより

実証研究を通して成果の社会還元を加速することを目

的としています︒このプロジェクトでは︑再生医療の

実現︑人体機能を補助・再生する医療機器の実現のた

め︑文部科学省は基礎分野を中心に︑厚生労働省は臨

床応用に近い部分の研究を中心に︑経済産業省は早期

に臨床研究に結びつくような橋渡し研究の支援を中心

に︑各省が連携を図りながら推進することで研究成果

をあげることとされています︒

OO

八年一

月に

ipS細胞研究の支援策を検討

研究活動報告

する総合科学技術会議の作業部会が聞かれ︑文部科学

省・厚生労働省・経済産業省から計

O

億円以上に上

る支援策が報告されました︒文部科学省は二

O O

八年

一月

二三

日︑京都大学に山中伸弥教授を中心とするi

P

S細胞研究センターを設置し︑ipS

細胞研究の拠

点︑さらに治療に使うことを狙った技術開発を進める

複数の拠点設立など計

二二

億円を

OO

八年度に投入

しました︒

厚生労働省は︑再生医療を推進する拠点整

備などに約一

O

億円︑経済産業省もipS

細胞を効率 的 成作 する 技 術 開発 など

を し て ま す

OO

九年度︑国内行政機関はipS研究に対して

研究や拠点整備などに約

一四五億円を投入しました

政権交代を経た二

O

0

年度予算でも︑この分野の研

究については過去最大規模の予算がつけられています︒

文部

料品

子省

文部科学省はipS

細胞研究をはじめとする万能細

胞研究について︑以下の二点を強調しています︒

O

京都大学山中教授により樹立されたipS

細胞

は︑

再 生医 療 疾 患 研r;' 7tJ 

等 幅 広く 活 用 さ れる

と が 期

侍される我が国発の画期的成果

O

この研究成果を総力を挙げ育てていくため︑

i p

S細胞等の研究をオlルジャパン体制のもと戦略

的に推進﹁ オ

lルジャパン体制﹂という表現は︑取りも直さず

アメリカをはじめとする諸外国の取り組みに対する危

機感から生まれたものであり︑文部科学省も︑

AV

オパマ政権発足に伴う米国における

E

S細胞研究

への政府助成解禁(

OO

九年三

月)

. 米

国ジエロン社による︑

E

S細胞を用いた臨床試

験 の 開 始

(二

OO

九年一

月)

‑ 研

究費︑研究者数から見ても︑米国より劣ってい

る状況

の三点を指摘しています︒

再生医療全般に関して︑﹁再生医療の実現化プロジェ

クト﹂は二

OO

三年度からの十カ年計画で実施されて

ドキュメント内 教化研究 No.21 (ページ 97-102)