研究活動報告
(吉
田淳
雄
・名 和清
隆)
生 命 倫 理
・ 再
生医療に関するアンケ
4
人工妊娠中絶
1 .
教団として過去に研究を行
って いた
:: :4
教
団( 日% )
2 .
教団 として現在行
って いる
::
:1 教団 (3
%)
3.所属する研究員が個人的に研究している
4教団(日%)
4 . して いな い: :: 幻教 団( η% ) 5 . 無回
答
:: :1 教団 (3
%)
ーi
ll
その他‑にU
上記115以外に生命倫理に関する取り組みを行って
いま すか
︒行っている場合︑具体的なテlマと内容な
どを教えてください︒
1 . ある :: :日 教団 (却
%) (内 訳) 遺伝 子組 み換 え︑
ヒトクローン︑出
生前診断︑死刑︑自殺/
自死
︑ ター ミナ ルケ ァ︑ グリ
1フケア︑デスエデュケ
lシ ョン
死 の教 育) など
2 .
ない ::・お 教団 (臼
%)
116 3. 無回 答: :・ 3教 団( 8% ) Q
2
生命倫理関連の声明等の有無
貫教団(または担当部署
・機 関)
では︑生命倫理に関
連する声明を発表したことがありますか︒
ある
場合
︑
具体的な内容と発表媒体を教えてください︒
1 . ある :: :8 教団 (辺
%)
2 .
ない :: :お 教団 (河%)
3.無回答
:: :1
教団(3%)
再生医療に関する研究状況
貴教 団で は再 生 医療 (と くに E S細胞や
iPS
細胞 )
Q
に関連する倫理的問題の研究をしていますか︒ 3
該当
する項目番号に
O
印を付け必要事項をご記入くだ13
︒
i L
{本
アン ケー トに おけ る再 生医 療の 定義
}
病気 や損 傷に より 機能 低下 や機 能不 全に 陥っ た組 織・ 臓器
研究活動報告
に対 して 幹︑ 細胞 (体 性幹 細胞
・ E
S細
胞・
ipS
細胞
)
を活
用し
て組
織・
臓器
の機
能を
再生
せさ
る医
療 . 1
教団として過去に研究を行っていた
::
:2
教
団
( 5
% ) 2 . 教団として現在行っている:::4教団(日%)
3.所属する研究員が個人的に研究している
4教団(日%)
4 . して いな い: :: 部教 団( 叩% ) 5 . 無回 答: :: 教1 団( 3% ) Q 4
E
S題
るよ
塁
医 療の 倫 理自
題
の 譲
E
S細胞による再生医療について︑貫教団では倫理
的問題があると考えますか︒ご意見をご記入くださ
p 。 1 .
問題
があ
る:
:‑
U教
団(
犯%
) 2 . 問題はない::・0教団(0%
3.未対応・
検討
中:
::
日教
団(却%)
4 . 無回 答: :: ロ教 団( 辺% )
Q 5
E
S細胞による再生医療の許容範囲
E
S細胞による再生医療について︑どこまで認めう
ると考えますか︒当てはまるもの全てに
O
を付けてください︒
(自 由記 述欄 あり ) 1 .
病気などによって低下した組織・臓器の機能を
正常な状態に戻す︿
治療
﹀
2 . 組織・臓器の機能が正常な状態から低下しない
ようにする︿予
防﹀
3.老化による組織・臓器の機能低下を防ぐ
化防
止︑
アン
チエ
lジング﹀
4 . 組織・臓器の機能を正常な状態よりも強化する
︿機
能増
強︑
エンハンスメント﹀
1 .
認め
得な
い:
::
6教
団
2.治療
( 1 )
のみ
可・
・ ・ ・ ・
・ 日
教団
3 .
その
他
( 2 1 4 )
も可
:: :3
教団
(内
訳)
2ま
で︑ 3ま で︑
4まで各1教団
4 .
未対応・検討中:::9教団 ︿老
5.無回答(または認め得ない
):
::
8教団
※回答の設定にミスがあり︑﹁ど
れも
許容できない﹂と
﹁無
回答
﹂の区別が判然としないケlスがある(5とし
て一括)ため参考として提示
Q 6
自
よる
霊 長
倫
の
理
由
題
の
議
l p
S
細胞による再生医療について︑貫教団では倫理的問題があると考えますか︒
ご意見をご記入くだ
︐h
︐ ︑
.0‑︽
‑ zv
1 .
問題がある:::日教団(却%)
2.
問題はない:
::
2教団(5%)
3 .
未対応・検討中::口教団(必%
4 .
無回答
:: :7
教団(四%)
Q
7
ipS
細胞による再生医療の許容範囲l p
S
細胞による再生医療について︑どこまで認めう
ると考えますか︒当てはまるもの全てに
O
を付けてく
ださい︒
(自
由記
述欄
あり
)
1 .
認め得な
vi
‑‑
1教団
118
2 .
治療( 1 )
のみ 可
‑‑‑ ‑ ‑ ‑ H
教団
3 . その 他
( 2
1 4
)
も可
::
:5教団
(内
訳)
2ま
で
3
教団︑3
ま で
︑ 4まで各1教団
4 .
未対応・検討中:::日教団
5.無回答(または認め得など:::6教団
※回答の設定にミスがあり︑﹁どれも許容できない﹂と
﹁無回答﹂の区別が判然としないケlスがある(5とし
て一括)ため参考として提示
Q 8
再生医療に関する研究の展望
貫教団における再
生医療に関する研究について︑今
後の展望を教えて下さい︒
1 .
積極的に対応:::4教団(日%)
2 .
関心を持って対応
::
:7
教団(四%)
3 .
しばらく様子を見たい:::5教団(U%)
4 .
とくに対応の予定なし
::
:8
教団
(幻
%)
5.
無回
答:
::
日教
団(
お%
)
研究活動報告
五
l
おわりに再生医療の生ム叩倫理上の問題点│
ここまで再生医療に関して︑最新の技術動向をはじ
め︑国内外の公的機関(メディア)や宗教団体の反応
などについて行った調査研究の結果を述べてきました︒
その
結果
︑
日進月歩で急速に技術が進展し︑国家が
戦略的重点領域として積極的に資金的あるいは法的な
支援を行う中で︑倫理面での慎重な討議を経ないまま
に再生医療が実用化されている現状が指摘されました︒
宗教界では
E
S細胞については生殖細胞の利用とい
う点で反対ないし否定的な見解が少なくなかったもの
の︑生殖細胞を利用しないipS細胞に対しては明確
な反対は見られず︑バチカンなどは早々に賛意を表明
しています︒国内の主要宗教団体に対して行ったアン
ケlト調査では
E
S細胞を利用した再生医療につい
て反対ないし懸念を表明した教団は少なからずあった
ので
すが
︑
そこではやはり生殖細胞の利用が問題視さ れていました︒しかしipS細胞に対しては︑生殖細
胞を利用しない点は評価できる︑だが問題はないとも
言い切れない︑という回答が多かったといえます︒多
くの教団ではバチカンとは異なり︑生殖細胞を利用し
ないからといってipS細胞を利用した再生医療に手
放しで賛意を表明せず︑漠然とした不安や懸念を抱え
ていたことが窺えました︒つまるところ︑生殖細胞を
利用するか否かという一
点の
他に
︑
宗教界は再生医療
に対する倫理的判断の基軸を得ていないのが現状なの
です︒
以上のように︑再生医療に関しては生命倫理上の問
題点が充分議論されないまま︑世界規模で激しい研究
開発競争が繰り広げられ︑急速に実用化が進んでいま
す︒しかしその一方で︑後述するように︑他の先端医
療分野(生殖補助医療︑移植医療︑遺伝子治療など)
とも関わる倫理的問題点が惹起されてきました︒再生
医療︑とくに
ipS
細胞については︑とかくパラ色の
未来が強調されてきましたが︑今後はその技術が応用
される時に起こりうる様々な負の可能性も視野に入れ つつ︑生命倫理上の問題点を抽出して正面から取り組
まなくてはならないでしょう︒
二年間の調査研究を通して︑わたしたちが抽出した
再生医療の倫理的問題点は次の通りです︒
*受
精卵
の破
壊・
・:
・・
E
S細胞は受精卵を破壊すること
によって樹立される
︒受精卵は人格を持つのか︑人
格があるとすれば自己決定権を持つのか︑受精卵の
親である精子︑卵子の提供者の権利︒
*切り出された細胞の自己決定権・・::組織幹細胞は人
から提供される︒
提供に当たってはインフォームド
コンセントが必要とされる︒
インフォームドコンセ ントの上で提供された細胞に関しては︑誰がその所 有権を持ち︑その利用に関して誰が自己決定権を行
使するのか︒
*オーダーメイド治療の治験・::新しい治療法の導入
に関しては臨床研究が不可欠であり︑複数の治験を
行っ
て治療の問題点を明らかにした上で
一般的な治
療法として認知される
︒
オーダーメイド治療では
1 2 0
個々の異なる条件で治験が行われ︑治験の集積がで
きない︒
*高コスト医療の公共性:::再生医療は︑治療のため
に多額の費用が必要な医接のひとつになるであろう
︒
幹細胞の抽出
・樹立︑培養には高価な機器と知識を
持った人材を必要とする
︒
現在
一般的に行われてい
る人工歯根のインプラントでも高価な治療であるが︑
I P
S
細胞を用いた治療ではさらに高額になることが予想される︒一
部の富裕層だけが治療を受けるこ とが出来る医療の開発に多額な国費を導入すること
は許されることか︒
*研
究開
発の
資金
依存
性・
・・
・・・研究開発に膨大な資金が
必要とされ︑発展途上国はその恩恵から除外される
(例
・エ
イズ
新薬
) ︒
実際
︑
インドネシアによる鳥イン
フルエンザウィルスの提供拒否など︑途上国サイド
の不満が高まっている︒
*研究開発の国際的規制:::ヒトクローン問題で表面
研究活動報告
化した問題︒研究開発に対する規制が国別に異なる
ことから︑国連を場として共通の規制を作ろうとす
るがまとまることはない︒
*人体の資源化・人体は公共財か:::臓器移植が普及
した社会では︑本来臓器は個人に所属するものでは
あるが︑脳死あるいは心停止した遺体の臓器は︑治 療に使われる医療資源であり公共財としての性格が
強いものであると考えられるようになる︒再生医療
は人体の資源化を助長する医療ではないか︒
とりわけ︑再生医療の進展と普及によって︑人体が﹁交
換可能﹂であるとみなされ︑資源として捉えられる傾 向が拡大すること︑それによって家族や社会のあり方
に大きな変化が生じることが強く懸念されます︒人体
は部品によって組み上がっており︑部品が傷んだらそ
れを交換すればよいという認識が広まると︑人体の尊
厳性や唯一
性 ︑
つまり﹁かけがえのなさ﹂を失うこと
につながりかねません︒このことは私たちの実生活に
も影響を与える可能性があります︒いくつか例を挙げ
てみ
まし
ょう
︒ すでに欧米では︑難病の子供の治療に必要な幹細胞
などを確保するために︑免疫の型が一致する子供を体
外受精によって誕生させるという﹁救世主兄弟﹂が出
現し
︑
イギリスでは大きな社会問題となりました︒子
供の生命を救う方法があるのにそれを禁じることがで
きるのか︑兄や姉のために生まれてきた﹁救世主兄弟﹂
の肉体は兄や姉の肉体のスペアなのか│
︒
結局
︑ リス議会は厳しい条件を付けた上で﹁救世主兄弟﹂を
認める決断をしましたがアメリカでは法規制はなじ
まないとの見方が強く︑医師個人の判断に委ねられて
いるので︑現在も続々と﹁救世主兄弟﹂が誕生してい
ます︒このように﹁家族﹂のあり方が違つできたり︑
その紳を破壊しかねない点があるのです︒
また︑人体の再生範囲が拡大するにつれ︑これまで
危険とされていた職業や業務がそうみなされなくなり︑
危険労働が増大するなど︑労働環境が変化することな
ども充分考えられるのではないでしょうか︒
イ ギ