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E i S細胞・

ドキュメント内 教化研究 No.21 (ページ 113-117)

p S

細胞を利用した再生医療に倫理的 問題があると考えるかどうかを︑それぞれ尋ねました

まず

ES

細胞については︑﹁問題がない﹂と答えた教

聞はゼロでした︒

﹁未

検討

・対

応中

﹂を含め︑大半の教

団では

ES

細胞が受精卵の破壊を伴っている点に倫理

的問題があると考えていることが明らかになりました

次に

ipS

細胞ですが

ES

細胞と比較して﹁問題

があ る﹂ H← 日教 団︑

﹁問 題は ない

O

←2教団という

ように︑倫理的問題点がない

(少

ない

)

という見方が

増えています︒しかし﹁未対応・検討中﹂も日教団←

口教団に増えており︑現時点ではipS細胞に倫理的

な問題があるかどうかの判断を保留している教団も少

なからずあることがわかります︒

Q 5 ・

Q 7 E S

細 胞・

ipS

細胞による再生医療

の許容範囲

どのような目的ならば

ES

細胞・

ipS

細胞を利用

した再生医療を許容できるか︑質問しました

しか し

回答方法の設定にミスがあっ

たの で

(﹁どれも許容でき

ない﹂と﹁無回答﹂の区別が判然としないケl

スあ

り)

︑ 数値はあくまでも参考として捉えていただきたいと思 いま す

E

細胞については︑﹁認め得ない﹂あるいは認めて

S

も﹁治療﹂までという回答が多く見られました

Q 4

で倫理的問題ありと指摘した教団が多かったことを考

えれば︑これは当然の傾向かもしれません︒

112 

一方

I P

S

胞に つい ては

︑﹁ 認め 得な い﹂

の比

率が

ぐんと下がり︑﹁治療のみ可﹂﹁予防以上も可﹂とする

数値も増加しています︒

E

S細胞と異なりipS細胞

には倫理的な問題点がないと見る教団が多かった

Q 6

の結果が反映されていると言えるでしょう︒

しか

し︑

積極 的に 認め ると いう 傾向 とは 別に

︑﹁ 未検 討・ 対応 中﹂

の数値が上がっていることも注目されます︒

Q  8 

再生医療に関する研究の展望

再生医療に関して︑今後教団としてどう研究・対応

するつもりなのか︑展望を尋ねました ︒自由記述され

た回答を当方にて分類し︑次のように集計しました︒

積極的に対応

::

:4

教団(日%)

関心を持って対応

::

:7

教団 (四

%)

しばらく様子を見たい

::

:5

教団 (H

%)

とくに対応の予定なし:::8

教団 (辺

%) 無回 答: :: 日教 団( お% )

研究活動報告

アン ケー トか ら見 える とと

以上のアンケート結果から︑国内宗教教団ではまだ

再生医療が生命倫理に関わる問題として大きな関心を

集めていないことが窺えます︒アンケートからは︑脳

死臓器移植や安楽死・尊厳死︑それに自殺/自死など﹁い

のちの終わり﹂の問題にはかなり積極的に取り組んで

いることがわかりましたが︑反面︑生殖補助医療や人

工妊娠中絶などの﹁いのちの始まり﹂についての取り

組みは多くないことが明らかになりました︒再生医療

に関しても︑現状ではほとんどの教団が未対応かそれ

に近い状況にあります︒そして何らかの対応を取って

いる

教団

でも

それ

は E

S細胞利用に関するものが多

く ︑

ipS細胞についてはまだ判断しかねるというの

が大勢となっています︒

国内宗教教団の現状がわかったところで︑次にその

理由について考えてみましょう︒なぜ囲内の宗教教団

では︑総じて再生医療への対応が不活発なのでしょう

第一の理由は︑近年の再生医療の進展状況があまり

にも急速であること︑さらにそれが高度に専門化され

ていることです︒各国が巨額の資金を投じて激しい研

究開発競争を繰り広げているため︑文字通り日進月歩

で研究・応用技術が進展しています︒当事者でもなけ

れば︑それをリアルタイムに把握することは困難です︒

そしてその最先端の動向は一定程度以上の専門的な

知識を持った人でなければ適切に理解も評価もできま

せん

︒専門家ではない一般人がフォローするには︑よ

ほどの関心と熱意︑根気を持っていなければならない

でしょう︒

実際

とくに中小規模の伝統仏教教団では

宗派内でそのような人材を得られず対応が困難だとい

う悩みも寄せられました︒確かに︑生命倫理問題に積

極的に取り組んでいるのは比較的規模の大きい教団が

多いのが実状です

︒新日本宗教団体連合会(新宗連)

所属の教団からは︑新宗連が開催する研修会が情報の

入手と自教団の対応の検討に大いに役立っているとの

報告がありましたが︑全日本仏教会などに同様の対応

を期待したいという意見もありました︒

第二にこれまでの再生医療に対する宗教界からの

反応は﹁

ES

細胞の利用への反対﹂という一

枚看

板で

それ以外の視座や切り口がなかったことが挙げられま

す︒

ES

細胞は受精卵の破壊を伴います︒ヒトの受精

卵を﹁人間﹂と同等の存在とみなすか否かは各教団に

よって少なからず相違しますが

E

S

細胞の利用に関

して 見解 を表 明し た各 教団 は︑ おお むね

﹁望 まし くな い﹂

という方向性を共有していたといえます︒しかし受精

卵に由来しない

ipS

細胞が樹立されたことで︑その

ような宗教界の論理(ロジ

ック

)

は有効性を失ってし

まいました︒受精卵の破壊を伴わない方法が確立され

たのなら︑反対する理由はないということにならざ

るをえません︒

第三に︑脳死臓器移植や安楽死・尊厳死などとは異

なり︑現状では再生医療は純粋に﹁医療﹂の問題であ

ると認識されていることです︒脳死臓器移植の場合︑ 臓器移植という﹁医療﹂を行うために﹁死の定義﹂の

114 

変更(拡大)が必要となりました︒それに対して宗教

界は︑おおむね﹁脳死は人の死ではない﹂という立場

に立ち︑﹁死の定義﹂は文化・宗教の問題であり︑それ

を安易に変更すべきではないと論陣を張りましたが︑

再生医療についてはそのような問題点は見当たらない

ので﹁医療﹂の専門家たちに任せておこう︑といった

雰囲気があります︒

しかし︑再生医療をめぐっては現在︑各国でさまざ

まな倫理的問題点が指摘され出しており︑その多くは

まさに文化・宗教に絡む問題です︒現在の日本では

再生医療研究は国家的 ︒プロジェクトとして位置付けら

れ強力な推進力を得ていますので︑日本国内ではなか

なかその負の側面が取り上げられることはありません︒

このような現状なればこそ︑再生医療の倫理的問題点

を指摘し社会全体で議論していく雰囲気を創ること

宗教界がそれを担うことが必要なのではないでしょう

研究活動報告

(吉

田淳

・名 和清

隆)

生 命 倫 理

・ 再

生医療に関するアンケ

ドキュメント内 教化研究 No.21 (ページ 113-117)