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Folio.49 に見られる情趣

ドキュメント内 学位の分野 文学 (ページ 95-100)

3.3 MewāṛīGG Folio 49

3.3.4 Folio.49 に見られる情趣

GG 1.49には別離の恋のラサと勇猛のラサが表現されていることが明らかとなった。これ

まで、別離の恋のラサは、悲哀のラサを体験させるものとして描かれているのではないかと 考察した。では、再びFolio 49を見てみよう。クリシュナがラーダーから離れて行こうとす る様子が描かれていると指摘したが、それによってラーダーが涙を流していたり、うつむい て悲嘆したりしている様子は描かれていない。他の人物たちも同様に、悲しみに暮れている

188 GG 2.2からGG 2.9まではリフレインの中でラーサの踊りが含まれる。

189 ラーサの踊りは、各流派で様々な表現方法を用いて描かれている。また、絵画だけでなくドーム型の 建築の天井などにもデザインとして用いられている。

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ような様子は見られない。そのため、鑑賞者は物語の今後に別離の苦悩を想像することはで きるかもしれないが、この絵からは悲哀を体験することは難しいと言える。

また、註釈書ではラーダーの行動が勇猛のラサを喚起させるとされていた。芸術論書を確 認してみると、ViDhaでは「宣誓、自尊、武勇などの対象に雅量を現し、尊大で眉毛を釣り 上げたような勇ましいものが、力強い勇猛のラサである」とされ、SamSutでは「(八人を支 えることのできる力を持ち?)紐で縛られ伏した者が、忍耐と勇気の力で立ち上がる、実に それが勇猛のラサと呼ばれる」と説かれていた。ここでは、ラーダーがクリシュナを抱きし める姿は描かれているが、その姿によって勇猛のラサが喚起されるとは言い難い。

このFolioでは、愛おしそうにクリシュナを抱きしめるラーダーの振る舞いや、クリシュ

ナとラーサの踊りをする牛飼いの女性たちの振る舞いから、愛着の恋のラサが体験される ようである。

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図版

33 Folio 49場面1拡大図

34 Folio 49場面2拡大図

35 Folio 49場面3拡大図

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【GG 2.6】

jaladapaṭalavalad induvinindakacandanatilakalalāṭam | pīnapayodharaparisaramardananirdayahr̥dayakapāṭam |

rāse harim iha vihitavilāsaṃ smarati mano mama kr̥taparihāsam ||

雲の群れの中を動く月をもしのぐ白檀のティラカのついた〔ハリの〕額を、

ふくよかな乳房を容赦なく押しつぶす〔ハリの〕胸の広さを、

ラーサの踊りの中で、ここで愛戯にふけ、おどけているハリを私の心は覚えている。

【ラージャスターニー語試訳】

gītagoviṃdaropatra | 55 | rādhikā saṣī prateṃ kahe he | vale bhagavāna kisā he | meghasamūhe jugata isā caṃdramā ro niṃdaka iso caṃdanarotilaka hai lalāṭa re viṣe | vale moṭā je stana maṃḍala ro mardana taṇī kareneṃ nirdaya he hr̥daya kapāṭa jaṇī ro | isā bhagavāṇa heṃ mhāro mana smare hai | jaladapaṭala |

『ギータ・ゴーヴィンダ』の貝葉 55。ラーディカーがサキーに語っています。それか ら、バガヴァーンはどのようですか。雲の群れがかかったような月を非難するような白 檀のティラカが額にあります。それから、ふくよかな丸い乳房を、容赦なく胸板で(胸 の広さで)押しつぶしています。このようなバガヴァーンが、私の心に思い起こされま す。雲の群れ190

190 通常はFolio番号の次に書かれるが、ここでは最後に書かれている。

36 Folio 55 (GG 2.6) [2016年9月7日Albert Hall Museum Jaipurにて筆者撮影]

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【GG 2.9】

śrījayadevabhaṇitam atisundaramohanamadhuripurūpam | haricaraṇasmaraṇaṃ prati saṃprati puṇyavatām anurūpaṃ | rāse harimiha vihitavilāsaṃ smarati mano mama kr̥taparihāsam ||

シュリー・ジャヤデーヴァに歌われた、いと美しく〔牛飼いの女性たちを〕夢中にさせ るマドゥ・リプの姿を、

ハリの足跡を思い起こし、今、高潔な者にふさわしい〔ハリを〕、

ラーサの踊りの中で、ここで愛戯にふけ、おどけているハリを私の心は覚えている。

【ラージャスターニー語試訳】

gītagoviṃdaropatra | 58 | śrījayadeva | yo jayadeva ro bhaṇyo iso jyo gīta atisuṃdara hai | manohara hai | madhuripu je śrībhagavāna jaṇī ro svarūpa hai | śrībhagana191 ro | varṇana | smaraṇa parateṃ niraṃta ra puṇyātmā he | sāṃnakūla hai |

『ギータ・ゴーヴィンダ』の貝葉 58。śrījayadeva(シュリー・ジャヤデーヴァ)。ジャ ヤデーヴァが語った歌はとても美しい。魅力的である。マドゥの敵であるシュリーバガ ヴァーンの本当の姿です。シュリーバガヴァーンの描写です。念そうに専念すれば常に 優れた功徳があります。人だかりがあります。

191 śrībhagavānaの誤表記と考えられる。

37 Folio 58 (GG 2.9) [2016年9月11日Āhāṛ Museumにて筆者撮影]

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