■
EU指令における就任制限規定
1) 第3次EU指令では、「①:役員会・執行委員会の構成員」、「②:監査役会の構成員」、「③:①の構成員に直接報告する者」、「④:一般従業員」と
いう分類にて就任制限を規定している。(下図参照)2) フランス、ドイツでは、EU指令で定める就任制限規定及び規制委員会による監視によって、独立性の確保を規定している。
■ 規制機関による規制(フランス)
3) CREは、RTEの監査役会の役員候補者について、RTEとの金銭的利害や、報酬のRTE業績からの独立性について、事前に確認する*
1。4) CREは、RTEの監査役会の役員候補者の独立性を確認するが、能力等の審査、その不足による候補者の拒否は、原則行わない*
2。5) CREは、RTE社員の独立性について、5名の取締役及び3名の送電網の開発・維持・展開の担当者については、個人毎に確認しているが、
一般従業員は監査、RTE提供の情報や報道を通して、監視している*2。
6) CREは、RTEから遅くとも3週間前には、取締役会の任命の通知を受け、EU指令の就任制限規定を満たしていることの監視を行っている*
1。就任中 退任後
就任前
④ 一般従業員
② 監査役会の構成員
③ ①の構成員に直接報告する者
① 役員会・執行委員会の 構成員
過半数 半数未満
兼業禁止
規定なし
3年間 6か月
3年間
4年間
規定なし
−EU指令における就任制限規定−
*1: Journal officiel de la république francaise Délibération du 26 janvier 2012 portant décision de certification de la société RTE
*2: CRE(フランス)の担当者へのヒアリング
フランスでは、EU指令に基づき、送配電会社へのコンプライアンス・オフィサーの配置や報告書の作成など、コンプラ イアンスに関する規制を制定している。
■
EU指令による規制
1) 送配電会社による差別的行為を排除するため、送配電会社は自ら
「コンプライアンス・プログラム」を策定し、実施することを規定している。
2) 送配電会社の法令遵守担当者は、その実施を監視し、年次で報告
書を作成し、規制機関へ提出することと規定している。■ 規制機関による規制
3) CREは、RTE・Enedisに対して、コンプライアンスの状況の確認・承
認・勧告を行っている*1。4) CREは、年次でコンプライアンス報告書を発行し、RTE・Enedisの EDFからの分離状況について、外部へ公表している*
1。■ 送配電会社の状況
5) RTE・Enedisは、法令遵守の責任者であり、CREによって、独立性
及び専門能力が検証された、コンプライアンス・オフィサーを配置して いる*2。6) コンプライアンス・オフィサーは、毎年、コンプライアンス報告書や活
動プログラムの作成を行い、場合によっては、役員会への改善勧告 やCREへの改善計画の提出を行う*2。7) コンプライアンスに関するアニュアルレポートは、5原則(公平性、透
明性、客観性、機密情報保護、独立性)で構成され、CREの改善要 求・勧告に応える活動計画(例:送配電網の改善等)も含んでいる*2。コンプライアンスに関する対応(フランス)
配電会社
Enedis
−フランスにおけるコンプライアンスプログラムの仕組み−
4)
エネルギー規制委員会
(CRE)
発電会社
EDF
1)、2)
3)
3)
コンプライアンス・
オフィサーを配置
2)、6)
送電会社
RTE
コンプライアンス・オフィサーを配置
2)、6)
5) 5)
*1: CRE、Respect des codes de bonne conduite et indépendance des gestionnaires de réseaux d’électricité et de gaz naturel、2013-2014
*2: CRE(フランス)の担当者へのヒアリング
報告書を 外部へ
公表
コンプライアンスに関する対応(ドイツ)
■
EU指令による規制(フランスと同じ内容の再掲)
1) 送配電会社による差別的行為を排除するため、送配電会社は自ら「コ
ンプライアンス・プログラム」を策定し、実施することを規定している。2) 送配電会社の法令遵守担当者は、その実施を監視し、年次で報告書
を作成し、規制機関へ提出することと規定している。■ 規制機関(BNetzA)による規制
3) BNetzAは、送電会社に対して、コンプライアンスの状況の確認・承認・
勧告を行っている*1。
■ 送電会社の状況
4) Amprionは、年に一度、BNetzAにコンプライアンス報告書を提出して
いる*2。5) 各送電会社は、コンプライアンス報告書を年に1度、外部に公表するこ
とで、透明性を高めている*1。6) 各送電会社は、法律専門家であるコンプライアンス・オフィサーを社内
に配置し、場合によっては外部組織からの助言に基づき、コンプライア ンス体制の拡充を図っている。 ドイツでは、EU指令に基づき、送電会社へのコンプライアンス・オフィサーの配置や報告書の作成等、コンプライアン スに関する規制を制定している。
報告書を 外部に公表 外部組織
−ドイツにおけるコンプライアンスプログラムの仕組み−
(Amprionの例)
ドイツ連邦ネットワーク規制庁
(BNetzA)
発電会社
RWE
送電会社
Amprion
コンプライアンス・オフィサーを配置
3)
6)
1)、2)
2)、4)
5)
*1: BNetzA(ドイツ)の担当者へのヒアリング
*2: Amprion(ドイツ)の担当者へのヒアリング
EU 指令により、発電会社と送電会社の業務委託について、規制が行われている。
■ 発電会社と送電会社との業務委託に関するEU指令の内容
発電会社と送電会社との業務委託の制限(欧州全体)
発電会社と送電会社の 業務委託
(禁止事項)
垂直統合型事業者(VIEC)との間で、サービスの提供・授受は、以下の場合を除き、禁止される。
送電会社が提供するサービスが、同じ条件で全ての送電網の利用者が利用可能で、かつ発電・供給の競 争を制限・歪曲・妨害しない。
サービスの提供条件が、規制機関によって承認されている。(義務事項)
垂直統合型事業者(VIEC)と送電会社の全ての商業的及び財務的関係は、市場の条件を遵守しなければな らない。また、垂直統合型事業者(VIEC)との財務的協定を規制機関に提出し、その承認を受けなくてはなら ない。
送電会社は、垂直統合型事業者(VIEC)との商業的及び財務的関係の詳細な記録を保存し、要請に応じて、規制機関に提出しなくてはらない。
送電会社
フランスでは、発電会社と送配電会社間の業務委託に関する契約について、提出された契約リストを基に、CREが監 視を行っている。
発電会社と送配電会社との業務委託の制限(フランス)
送電会社
RTE
配電会社
Enedis
−フランスにおける業務委託に関する規制の仕組み−
1)、5)
発電会社
EDF
エネルギー規制委員会
(CRE)
2)
1)
3)
× ×
3)
△ △
2)
4) 4)
■ 規制機関による規制
1) CREは、提出された契約リストを確認し、一部契約については、
RTE・Enedisと質疑等を行い、内容の詳細を把握することで、EDF
とRTE・Enedisとの契約の監視を行っている*1。例)2013年7月から2014年7月までの1年間において、RTEは21 個のEDFとの契約をCREに提出し、うち15個が承認された。
■ 送配電会社の状況
2) RTEとEnedisは、CREからの要求に従い、随時、EDFとの契約リス
トを、CREに提出している*1。3) EDFからRTE・Enedisへのサービス提供は、送配電網の安全上で
本当に必要な業務と認められるもの以外、一切禁止されている。(EDFが不必要な業務をRTE・Enedisに提供することで、EDFが利 益を得ることを避けるため*1。)
4) RTE・EnedisからEDFへのサービス提供は、サービスが発電や供
給におけるの競争を妨害せず、またCREが提供条件を承認してい る場合のみ、可能である*1。5) EDFとRTEの商業的関係は、市場の条件に合致していることが求
められており、業務委託等の取引は、CREの監視下にある*2。6) EDFとEnedisの商業的関係は、市場の条件に合致していることが
法的に求められていない。ただし、Enedisが公表している資料の中 では、EDFとの業務委託に関する契約は、市場の条件に合致してい ることを示している*3。
*1: CRE(フランス)の担当者へのヒアリング
*2: Journal officiel de la république francaise Délibération du 26 janvier 2012 portant décision de certification de la société RTE
*3: Enedis、Rapport sur la mise en oeuvre du code de bonne conduite d’Electricite Reseau Distribution France、2015
■ 送電会社(ITO)の状況
1) 法的分離(ITO)を実施した送電会社(Amprion、
TransnetBW)と親会社の商業的関係は、市場の条件に合
致していなければならず、BNetzAの監視下にある。なお、商業的関係を結ぶ際に遵守すべきガイドラインは、存在して いない*1。
2) 親会社である発電会社が、法的分離(ITO)を実施した送電
会社(Amprion、TransnetBW)へ業務を委託することは認 められていない。■ 送電会社(FOU)の状況
3) 送電会社間の取引事例として、E.ONから所有権分離
(FOU)した、TenneT(独TenneT)について、親会社である オランダの送電会社TenneT(蘭TenneT)との間では、相互 で送電網整備に関連するサービスを提供している。
発電会社と送電会社との業務委託の制限(ドイツ)
ドイツ連邦ネットワーク規制庁
(BNetzA)
−ドイツにおける業務委託に関する規制の仕組み−
(法的分離を実施した送電会社(ITO)の例)
送電会社 発電会社
ドイツでは、法的分離を実施した送電会社(ITO)と、親会社である発電会社との間の業務委託について、BNetzAが その契約内容を監視している。
×
2)
1)
*1: BNetzA(ドイツ)の担当者へのヒアリング
グループ会社や第三者による影響力を防ぐ施策(欧州全体)
会議体による決議への 影響力
(義務事項)
送電会社は、監査役会の決定事項(株主の資産価値に重大な影響を与える可能性のある決定、特に年間・長 期財政計画、借入額、株主への配当額の承認など)を妨げることなく、送電系統を運用、維持、又は開発する ために必要な資産の使用において、垂直統合型事業者(VIEC)から独立した事実上の意思決定権限(「フラン スの役員会」「ドイツの執行委員会」)を持たなくてはならない。
コンプライアンス・オフィサーは、所属する送電会社の経営・管理組織(「フランスの役員会」「ドイツの執行委員 会」に該当)、監査役会や株主総会の全ての会議に出席することができる。
コンプライアンス・オフィサーは、送電会社の差別的行為の排除を定めた法令遵守計画の実施において、重大 な違反があった場合、規制機関へ報告する。送電会社
設備投資計画の策定へ の影響力
(義務事項)
規制機関は、送電会社の投資計画を監視し、欧州共同体広域系統開発計画との整合性について、送電会社 の投資計画を評価し、年次報告書に記載する。また、評価には、当該投資計画の修正を含むことができる。
送電会社の法令遵守担当者は、送電系統における投資計画又は個別の投資に関する決定の提案を、規制 機関に提出しなければならない。遅くとも、送電会社の監査役会に提出する時までに提出する必要がある。
垂直統合型事業者(VIEC)が、株主総会において、任命されている監査役会の構成員の投票を通じた採択を 妨害し、系統開発10カ年計画に基づいた今後3年間に実施予定の投資に停止又は遅延をもたらす場合には、送電会社の法令遵守担当者は、規制機関に報告しなければならない。
■ グループ会社や第三者による影響力の防止に関するEU指令の内容