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送電ロス補填電力の調達に関する規定の歴史(欧州全体)(2/2)

 欧州全体では、送電ロスのコスト負担をカバーするためのITCファンドが設立され、ACERが監視とEUへの報告を、

送電ロスに関する欧州の見解(1/4)

 欧州では、 ERGEG のポジションペーパーにより、系統運用者による送電ロスの取扱いについてまとめた。

ERGEGのポジションペーパー

• ERGEG (European Regulators Group for Electricity and Gas)が、2008年7月と2009年2月に発行した。

本ペーパーは、エネルギー効率化指令(2006/32/EC)に基づいて、系統運用者による送電ロスの取扱いについてまとめたものである。

注)

ETSOは、ENTSO-Eの前身の組織で、2009年7月に、その機能がENTSO-Eに引き継がれた

送電ロスに関する下記6項目に関して、各国の 分析結果をまとめた

下記6項目について13個の質問へのパブリック コメントを募集した

1.

送電ロスの定義

2.

評価方法

3.

送電ロス量

4.

調達方法

5.

料金表と規制

6.

規制・インセンティブの仕組み

→72ページ参照

 6項目13個の質問に対する、20社のパブリックコメントをま

とめ、送電ロスの考え方を結論付けた

→73、74ページ参照

Treatment of Electricity Losses by Network Operators

(E08-ENM-04-03c、2009年2月)

Treatment of Losses by Network Operators

(E08-ENM-04-03、2008年7月)

ETSO

注)、E. ON、EnBW、RWE等、

20社からパブリックコメントを受領

送電ロスに関する欧州の見解(2/4)

ERGEGは、2008年7月に発行したポジションペーパーにおいて、送電ロスの定義、評価方法、調達方法等に関する 各国の分析結果をまとめた。次に、送電ロスに関する13個の質問を公表し、パブリックコメントを募集した。

ERGEGのポジションペーパー:

Treatment of Losses by Network Operators*

1

送電ロスに関する6項目について、各国の分析結果をまとめた。(下表参照)

次に、6項目に関する13個の質問を公表し、パブリックコメントを募集した。

送電ロスに関する6項目 各国の分析結果のまとめ

1. 送電ロスの定義

送電ロスを、テクニカルロスとノンテクニカルロスに大別

テクニカルロス・・・ジュール熱によるもので、電圧が高いほど小さく、計測可能

ノンテクニカルロス・・・需要家内消費、盗電、未計測、計測エラー等で、計測不可

2. 評価方法

送電ロスの事後評価方法として、下記を定義

• Continuous metering・・・注入量と引出量の実測値よりロスを算定

• Register metering

・・・中圧・低圧領域において計測されないロスを、数理モデルにより予測

3. 送電ロス量

主要14カ国の送電ロス量(%)を、TSOとDSOに分けて例示。TSOとDSOに含まれる電圧階級

と、送電ロスの計算方法は、国によって異なる

4. 調達方法

2

次エネルギーパッケージ(

Directive 2003/54/EC

)に沿って、下記

2

つの方法を定義。調達価 格は規制機関の承認が必要

• Option A・・・TSO・DSOが、卸市場、相対、入札のいずれか、又は複数の組合せで調達

• Option B・・・発電事業者が調達

なお、送電ロスにより発生するインバランスは、他の需給インバランス等と同様に扱われる

5. 料金表と規制 TSO・DSOが送電ロスの調達を行う多くの国では、送電ロスのための特別なタリフが存在しない

ため、送電ロスの調達コストは、系統利用料金に含まれるべき

6. 規制・インセンティブの仕組み

各国の送電ロスの規制・インセンティブの方法を分析し、下記のように大別

送電ロスに係る費用は、他のコストと同様の扱いを受ける

系統利用料金に含めていい送電ロス率(%)の上限が制限

送電ロスがリファレンス値を下回るとインセンティブを受領(上回るとペナルティ課金)

*1: ERGEG、Treatment of Losses by Network Operators, E08-ENM-04-03、2008

送電ロスに関する欧州の見解(3/4)

ERGEGは、送配電系統運用者を含む20社のパブリックコメントをまとめて、2009年2月に発行したポジションペーパ ーにおいて、欧州における送電ロスの取扱いについて結論付けた。

ERGEGのポジションペーパー:

Treatment of Electricity Losses by Network Operators*

1(1/2)

• 13個の質問に対する、20社のパブリックコメントをまとめて、送電ロスの取扱いについて下記の通り結論付けた。

No .

送電ロスに

関する項目 質問 結論

1

送電ロスの定義

Q1. 送電ロスの定義として認められるもの

は?

系統システムへの注入量と引出量の差(メーター計測値又は推計値)で、注入量又は引出量 に対する%値で表示される。現状、ヨーロッパでは統一された定義は存在せず、計測のタイミ ング、盗電等により差異が生じる。テクニカルロスは明確な物理的ロスであり、ノンテクニカル ロスについては定義が不明確。

Q2. 送電ロスはテクニカルロスのみを考

慮すべきか?それともノンテクニカル ロスも含むべきか?

発電所から需要地へ到達するまでに、ロスがどこでどうやって発生するかは、全体で見ると重 要な問題ではないため、両者を区別する必要はない。また、両者の区別は困難であり、かつ、

費用がかかる。

Q3.

送電ロスを定義する際、主な要因は 何か?

上位区分: テクニカルロス

or ノンテクニカルロス

中位区分: 送電系統

or

配電系統

下位区分: 固定ロス(送電量に依存しない)

or

変動ロス(送電量に依存)

2

評価方法

Q4.

配電系統において、送電ロスの評価 方法(Register metering)を改善す る方法は?

スマートメーターによる計測地点を増加させ、費用対効果の分析等へ反映させること。しかし、

スマートメーターへの莫大な投資については、まず、その経済性評価と、仕様・設計の定義の 明確化が必要。

3

送電ロス量

Q5.

送電系統・配電系統それぞれにおい て、合理的かつ許容できる送電ロス のレベルはどの程度か?

1国内でさえ地域により差異があるため、欧州全体でロスの許容範囲を統一することは困難で

ある。ロスの許容範囲は、ロスの要因となる政治・環境・技術的な要素によって異なる。

Q6. どの種類の送電ロスが、最も容易に

削減可能か?

テクニカルロス: 距離に起因するロスが削減し易い。削減手段としては、送電容量の増加や、

発電所の立地を需要地に近づける等が挙げられる。

ノンテクニカルロス: 盗電、未計測、計測エラーが削減し易い。

4

調達方法

Q7.

送電ロス補填電力は、誰が調達すべ きか?

TSO・DSOと、発電事業者のどちらかが調達すべき。いずれにしても、中立性、透明性のある

市場メカニズムを通じて調達するべきとの意見が多かった。

*1: ERGEG、Treatment of Losses by Network Operators, E08-ENM-04-03c、2009

送電ロスに関する欧州の見解(4/4)

 前ページからの続き

No .

送電ロスに

関する項目 質問 結論

4

調達方法

Q8.

送電ロス補填電力は、市場においてど のように調達されるべきか?また、どの ようなソリューションが最も効率的か?

重要なのは中立性、透明性のある市場メカニズムを通して調達すること。一部の回答者は、

規制機関の監視の下での入札による調達も中立性、透明性のある市場取引として含まれ るべきだとした。

Q9. 送電ロス補填電力の調達には、特別な

価格設定が必要か?

下記理由により、送電ロスを調達するための特別な価格設定はしない方がよい、とする回 答者が多数であった。

・発電事業者がロスの調達に責任を持つ場合は、発電コストに含むべき。

・TSO・DSOがロスの調達に責任を持つ場合は、送配電料金に含むべき。

5

料金表と規制 − −

6

規制・インセン ティブの仕組み

Q10. インセンティブのメリット・デメリットは?

メリット: 中長期的に、ロス改善のための設備投資を促す。

デメリット: 国や地域でロス率が違うため、改善に係る投資の費用対効果が明確でない。ま た、気候等の外部変動要因も大きいため、規制に対応しづらい。

Q11.

インセンティブ規制を評価する際に考 慮すべき要素は?

1) 規制の対象となるロス改善の責務を負う者が、ロス改善のための手段を有していること。

2)

目標値が段階的に実現可能な設定であることと、データ収集等に係る労力が最小化さ れていること。

3)

ロス改善の実施者と顧客が請け負う、リスク・報酬のバランスが取れていること。

Q12. テクニカルロスとノンテクニカルロスを

区別して、それぞれにインセンティブの 仕組みをつくることにメリットはあるか?

ロスの範囲と、ロス低減のためのコストドライバーが異なるため、理論上は区別して仕組み をつくることが望ましいが、現実的には困難である。仮に区別した場合、部分最適化に直面 するリスクがある。特に、ノンテクニカルロスは国毎の発生条件が違うため、統一は困難で ある。また、DSOにとって、それらロスを区別することのコスト優位性が感じられない。

Q13. 送電系統と配電系統を分けて、それぞ

れにインセンティブの仕組みをつくること にメリットはあるか?

送電系統ではノンテクニカルロスはほとんど発生しないため、インセンティブの仕組みを分 けた方がよい。一方、計算のメカニズムを同じにして、使用するパラメーターを状況に応じ て使い分けるのがよいとの意見もあった。

ERGEGのポジションペーパー:

Treatment of Electricity Losses by Network Operators*

1(2/2)

*1: ERGEG、Treatment of Losses by Network Operators, E08-ENM-04-03c、2009