有限責任監査法人トーマツ
2016年12月26日
平成28年度産業経済研究委託事業
(託送料金制度を中心とする電力の送配電部門の重要課題に関する調査)
−調査報告書−
1. 調査概要
3
1.1 背景と目的
4
1.2 調査内容
5
1.3 調査全体のまとめ
6
2. 調査①:託送料金の設計内容
10
2.1 発電事業者に対する送電料金課金
12
2.2 地点別料金制度
27
2.3 送配電料金における基本料金と従量料金の設計
47
2.4 潮流改善対策
56
2.5 送電ロス補填電力の安価な調達方法
65
3. 調査②:送配電事業者の行為規制
87
3.1 中立性・公平性の確保に必要な組織上の規制
88
3.2 中立性・公平性の確保に必要な取引上の規制
105
3.3 発電・小売部門に生じるメリットに係る規制
114
4. 補足資料
123
背景(我が国)
目的
電力市場を取り巻く環境の変化
風力・太陽光発電等の再生可能エネルギーや分散電源の
普及による潮流の変化、人口減少や省エネの普及等によ
る需要構造の変化、一部の地域間連系線や周波数変換
所における系統混雑・市場分断の発生、高経年化設備の
増加等の重大な環境変化が生じている。
電力システム改革
東日本大震災以降、電力供給のロバスト性を高めるため
に、広域での電力融通による需給調整能力の向上が求め
られている。一方で、市場競争の促進による電気料金抑
制や、需要家の電力選択の多様化等も求められている。
このような背景により、平成28年4月には電力の小売全面
自由化が始まり、また、平成32年4月には、送配電部門の
法的分離が行われる。
託送料金の上昇
設備利用率の低い電源の増加、広域連系の必要性の高
まり、高経年化設備の増加等により、今後、電力流通設備
の建設・修繕ニーズが高まることで、託送料金の上昇が懸
念される。
我が国にとって必要な制度の詳細検討を行うために、託
送料金制度に関する海外事例の法的根拠、背景事情、
政策的評価について、日本への適用可能性を見据えた
調査を行う。
−調査内容(詳細は次ページ参照)−
• 調査①:託送料金の設計内容
電力の安定供給、バランスの取れた競争市場の確立、再生
可能エネルギーの導入による3E+Sの向上、需要家の電
気料金の低減等、多角的な視点に立って、我が国の低廉か
つ効率的な託送料金制度の設計に必要な海外調査を行う。
• 調査②:送配電事業者の行為規制
組織上の規律、取引上の規律、グループ会社の他部門(発
電・小売)への利益規制等について、我が国における平成
32年の法的分離に向けて、透明性の高い送配電部門の制
度設計に必要な海外調査を行う。
調査項目と調査のポイント
調査項目は、大きく分けて下記の2つ。
調査①:託送料金の設計内容・・・効率的な設備形成・利用の促進を促すために必要
調査②:送配電事業者の行為規制・・・中立性・公平性を確保するために必要
調査①: 託送料金の設計内容 調査項目 対象国 4) 潮流改善対策 5) 送電ロス補填電力の 安価な調達方法 1) 発電事業者に対する 送電料金課金 調査②: 送配電事業者の行為規制 2) 地点別料金制度 3) 送配電料金における基本 料金と従量料金の設計 1) 中立性・公平性の確保に 必要な組織上の規制 2) 中立性・公平性の確保に 必要な取引上の規制 3) 発電・小売部門に生じる メリットに係る規制 英国、フランス、ドイツ、ノル ウェー、スウェーデン、米国 英国、ノルウェー、スウェー デン 英国、フランス、ドイツ、ノル ウェー、スウェーデン、米国 ドイツ フランス、ドイツ、ノルウェー フランス、ドイツ 再エネ普及に伴い、潮流改善のための対策をどのよ うに行っているか 送電ロスの補填電力の調達はどのように規定され、 実際に、どのような方法で調達されているか 発電事業者の負担割合が、国によって異なる理由と 背景はどのようなものか 地点別料金制度は、どのような背景で導入されたか、 また、その評価はどうなっているか 基本料金と従量料金の課金比率は、どのような思想 で設定されているか 送配電部門の中立性・公平性を確保するために、 組織上の規制をどのように設計しているか 送配電部門が取引を行う際の規制と、規制機関の モニタリングはどのように行われているか グループ会社の社名変更や、建物・システムの共用 に対する規制はどのように行われているか 調査のポイント 調査No. ①−1) ①−2) ①−3) ①−4) ①−5) ②−1) ②−2) ②−3)調査①:託送料金の設計内容(1/3)
1) 発電事業者に対する
送電料金課金
(13、14ページ)
調査項目
調査結果のまとめ
( ): 参照先ページ数 目的 内容 政策的 評価・課題1. 欧州の規制協力機関ACERの見解では、発電事業者課金の目的は、地点別料金制度
の適用と、発電側・需要側での送電系統コストの分担、の2つとしている
2. また、ACERは、発電事業者課金は、地点別に価格傾斜をかけることで効果を発揮する
一方で、送電系統コストの発電事業者への課金分を、電力の取引価格に直接転嫁でき
る(需要側に再転嫁する)状態では意味がないとしている
3. スウェーデンの事例では、発電側課金の比率が高まっている理由は、他国に輸出してい
る発電所起因の送電系統の費用を当該発電所に負わせることで、国内の需要家の負
担を軽減するためである
1. 発電側課金比率が10%を超える国は8カ国で、内、島国・半島諸国が6カ国を占める
2. 地点別料金制度との関連が深く、同制度を導入している英国、北アイルランド、アイルラ
ンド、ノルウェー、スウェーデン、ルーマニア(ルーマニア以外は島国・半島諸国)の6カ国
は全て、発電事業者課金を行っており、その課金比率は平均約27%と高い
3. 欧州では、2009年から2016年の期間において、発電事業者への課金比率は、全体的
に、同じか或いは上昇傾向にある
4. 課金方法は、kW課金、kWh課金、送電ロスやアンシラリーサービスへの課金がある
1. 島国・半島諸国
• 英国の規制機関Ofgemは、地点別に価格の傾斜をかけて発電側に課金(北部が高く、南部が 安い)することで、発電所を大需要地近傍に立地誘導できたとの評価をしている2. 欧州大陸(主要国)
• 欧州大陸では、国際電力取引における公平性の観点から、一部の国が高い比率の発電事業 者課金や地点別料金制度を導入することは非現実的としている3. 米国
• 調査した5つの州・地域では、発電事業者課金や地点別料金制度の適用は無いが、電力卸 市場での取引価格に、地点別限界価格(LMP)が導入されている調査①:託送料金の設計内容(2/3)
2) 地点別料金制度
(28ページ)
調査項目
調査結果のまとめ
( ): 参照先ページ数 目的 内容 政策的 評価・課題1. 地点別に料金を設定し、発電所と大口需要家の立地を誘導することで、送電線の混雑
を解消し、送電系統の投資コストと送電ロス調達コストを抑制すること
2. 発電事業者や需要家に、送電ロスや潮流のボトルネックに関する価格シグナルを送ること
1. 導入している国は、英国、北アイルランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、ルー
マニアの6カ国で、ルーマニア以外の5カ国は島国・半島諸国である
2. 送電線が南北方向に敷設されている英国とスウェーデンでは、基本料金(kW課金分)単
価に、南北方向の傾斜がかけられている(発電側と小売側で傾斜の向きは逆)
1. 島国・半島諸国
※前ページ1)の再掲 • 英国の規制機関Ofgemは、地点別に価格の傾斜をかけて発電側に課金(北部が高く、南部が 安い)することで、発電所を南部の大需要地近傍に立地誘導できたとの評価をしている2. 欧州大陸(主要国)
※前ページ1)の再掲 • 欧州大陸では、国際電力取引における公平性の観点から、一部の国が高い比率の発電事業 者課金や地点別料金制度を導入することは非現実的としている3) 送配電料金における
基本料金と従量料金
の設計
(48ページ)
考え方 設定方針1. 送電ロスは送電量に比例して発生するため、送電容量の制約が無いという条件下では、
送電ロスの調達コストが系統運用者の支出+利益に占める割合に合わせて、kWh課金
比率を設定するのが論理的との見方もあるが、実際は、各国の設定方針次第である
(なお、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンでは、日本とは異なり、送電ロス補填電
力の調達は、系統運用者(TSO・DSO)が行う)
1. ドイツのTSOは、kWh課金比率を15%(上記の「考え方」に沿う)に、フランスのTSOは、
将来の電力需要量の変動に応じて投資コストを回収する目的で60%に設定している
調査①:託送料金の設計内容(3/3)
4) 潮流改善対策
(57ページ)
調査項目
調査結果のまとめ
( ): 参照先ページ数 内容 政策的 評価・課題1. 送電系統運用者(TSO)と配電系統運用者(DSO)は、潮流改善の義務を負う一方で、
改善に対して経済的インセンティブが与えられる
2. TSOは、送電系統の増強や再給電指令等、DSOは、配電系統の増強、分散電源への
インセンティブ付与やデマンドレスポンス等の対策を行っている
5) 送電ロス補填電力の
安価な調達方法
(66ページ)
規定 調達状況1. EU指令では、2003年の第2次エネルギーパッケージと2009年の第3次エネルギーパッ
ケージにて、透明性が高く公平な市場を通した送電ロスの調達を規定している
2. フランスでは、エネルギー法により、公平・透明な市場での調達を規定している
3. ドイツでは、グリッドアクセス規制とBNetzAの行政手続きにおいて、原則入札による調達
とした上で、卸市場での調達も認めている
1. フランスでは、卸市場・相対取引・入札、ドイツでは、卸市場・入札、ノルウェーでは卸市
場にて調達している
2. TSOの送電ロス率は、2015年時点で、フランスが2.0%、ドイツが1.5%、ノルウェーが
2.0%となっている
3. レベニューキャップ制度により、目標値からの増減は、TSOの収益又は費用となる
1. TSO
• 再エネの普及拡大に伴い、南北の送電系統の増強が喫緊の課題となっている • 中・東側のTenneTと50Hertzの管轄区域で、混雑に伴う再給電指令の費用が大きい2. DSO
• 再エネの普及拡大に伴い、配電系統の増強も喫緊の課題となっている • 分散電源の普及促進のために導入された、回避された系統利用料のインセンティブは効果 的に作用せず、今後は、デマンドレスポンス等へのインセンティブを強める方針である調査②:送配電事業者の行為規制
2) 中立性・公平性 の確保に必要な 取引上の規制 (105ページ) 3) 発電・小売部門 に生じるメリット に係る規制 (114ページ) 1) 中立性・公平性 の確保に必要な 組織上の規制 (88ページ) 約900社ある配電会社 は、地方自治体の監視 下にあるため、送電会 社程のEU指令・国内法 による行為規制は制定 されていない 監査役会の出身母体別の人数構成に関する規制を制定 機関設計 コンプライアンス・オフィサーを配置、規制機関へ報告 コンプライアンス 規制機関が契約内容を監視 業務委託 コンプライアンス・オフィサーを配置、規制機関へ報告 影響力の防止 就任前後の期間に 関する規制を制定 − 就任制限 就任前後の期間に 関する規制を制定 発電会社から独立して 資金調達を実施 − 発電会社からの資金調 達を実施 資金調達 送電会社・配電会社が規制対象 法的分離を実施した 送電会社のみ規制対象 保証・担保提供 第三者との取引 規制は無いが規制機関 が監視を実施 − 規制は無いが規制機関 が監視を実施 第三者に誤認を与えない広告・宣伝を義務付け 広告・宣伝 親会社・発電会社との建物の物理的な分離とITシステムの分離を義務付け 建物・ITシステムの 共用 社名等変更 親会社・発電会社との関係性を連想させない社名を義務付け フランスでは、EU指令・国内法により、送電会社・配電会社への行為規制が制定されている。
ドイツでは、送電会社への行為規制はフランス同様に制定されているが、配電会社は、地方自治体の監視下にあるため、送電会社程の
EU指令・国内法による行為規制は制定されていない。
送電会社 配電会社 送電会社 配電会社 フランス ドイツ ( ): 参照先ページ数 日本とは異なり、欧米では、送電料金と配電料金が分かれている。また、国によって、送電系統と配電系統の電圧階
級が異なる。
日本と欧米の違いと、本調査の対象範囲
■託送料金と送配電料金の違い ■電圧階級の違い・・・欧米では、国によって、送電系統と配電系統の電圧階級が異なる 電圧区分 英国 フランス ドイツ ノルウェー スウェーデン 送電系統 *3 400 - 330kV 53% 21% 61% 74% 74% 220 - 150kV 28% 27% 39% 0% 26% 132 - 50kV 20% 53% 0% 26% 0% 配電系統*4 132kV以下注) 20kV以下 110kV以下 22kV以下 22kV以下*3: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2016、 *4: 一般社団法人海外電力調査会、海外諸国の電気事業、2014
電圧区分 米国 送電系統 *4 254kV以上 16% 132 - 253kV 34% 41 - 131kV 50% 配電系統*4 39kV以下 注) スコットランドは、66kV以下
託送料金
送電料金
日本
配電料金
その他
送電料金
欧米
配電料金
本調査の
対象範囲
TSO*
1が徴収
*1: 送電系統運用者 *2: 配電系統運用者一般電気事業者、又は、
一般送配電事業者が徴収
DSO*
2が徴収
欧州エネルギー規制当局協力機関(ACER)の見解*
1 スウェーデン*
2 • スウェーデンで発電事業者課金の比率が高まっている理由は、他国に輸出している発電所起因の送電系統の費用を当該発電所 に負わせることで、国内の需要家の負担を軽減するためである。なお、上記目的①の3.より、スウェーデンでは、発電事業者に課 金される送電料金の(地点別の)差異は、卸市場での取引価格(小売側)に転嫁されない • 自国での発電事業者の課金を高めることで、発電事業者の経済メリットを低くし、発電事業者の参入を防止すること(16ページ) ACERの見解によると、発電事業者課金の目的は、地点別料金制度を適用することと、発電側・需要側双方で送電系
統コストを分担することの2つ。
まとめ(1/2) −発電事業者課金の目的−
目的①: 地点別料金制度の適用
(15ページ) 1. 地点別料金制度と組合せて、発電事業者に送電系統コス トを負担させることで、送電線の空容量に余裕がある所に 発電所を誘導する 2. 送電ロス、潮流混雑、アンリラリーサービス費用がエリア によって異なる場合、地点別料金制度は、需要地に近い エリアの発電所を稼動させるインセンティブとなる 3. 卸市場では、取引価格に送電料金の差異が転嫁されて いないため、発電事業者課金が効果的となる(16ページ)目的②: 発電側・需要側での送電系統コストの分担
1. 発電事業者課金は、発電側に直接的に関係する送電系 統コストをカバーすべきである。例えば、輸出国では、発 電事業者課金は、TSO間取引の補填として使える 2. 発電事業者と需要側で送電系統コストを効果的に分担でき るかどうかは、発電事業者への課金分を需要側に転嫁で きるかどうかによって決まる。もし、発電事業者への課金 分を、市場取引価格(需要側)に直接転嫁できるならば、 発電事業者課金は意味が無い(16ページ)*1: ACER、Opinion on the agency for the cooperation of energy regulations、2014 *2: ACER(欧州)、Ei、SvK(スウェーデン)の担当者へのヒアリング
発電事業者に対する送電料金課金の目的
目的 欧州 視点 目的 国 視点 ( ): 参照先ページ数まとめ(2/2)
送電料金の発電事業者への課金比率を高く設定している国は、島国・半島諸国が多い。一方、欧州大陸の主要国で
は、国際電力取引の公平性の観点から、今後も、高い比率の発電事業者課金を行う可能性は低い。
発電事業者課金
の内容
政策的評価・課題
5%を超える発電事業者課金を行っている国は11カ国。その内、10%を超える国は8カ国で、内、島
国・半島諸国が6カ国を占める
(18ページ) 地点別料金制度を導入している英国、北アイルランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、ル
ーマニアの6カ国は、発電事業者課金も行っており、その課金比率は平均約27%と高い
(18ページ) 2009年から2016年までの期間において、発電事業者への課金比率は、全体的に、同じか或いは
上昇傾向にある
(20ページ) 課金方法は、kW課金、kWh課金、送電ロスやアンシラリーサービスへの課金がある
(21ページ) 今後も、高い比率の発電事業者課金を行う可能性は低い*
1 • 欧州大陸では、国際電力取引における公平性の観点から、一部の国が高い比率の発電事業 者課金や地点別料金制度を導入することは非現実的としている島国・
半島諸国
欧州大陸
(主要国)
( ): 参照先ページ数 英国、ノルウェー、スウェーデン等では、発電事業者課金は、地点別料金制度と
の組合せで導入されている。英国のOfgemは、地点別に価格の傾斜をかけて課
金することで、発電所の立地誘導につながっているとの評価をしている
(38ページ) スウェーデンでは、風力・原子力発電の容量と、国際電力融通の増加により、
2012年に、発電事業者への課金比率を引き上げた
(17ページ) *1: RTE(フランス)、TransnetBW、TenneT、50Hertz(ドイツ)の担当者へのヒアリング 調査した5つの州・地域では、発電事業者課金や地点別料金制度の適用は無いが、
電力卸市場での取引価格に地点別限界価格(LMP)が導入されている
(23ページ)米国
発電事業者に対する送電料金課金は、地点別に課金の傾斜を付けることで、効果を発揮する。
発電事業者課金の目的としての地点別料金制度
SE1 発 電 コ ス ト エリア価格 (SE1∼SE4が、 全て同じ場合) 発 電 コ ス ト 発 電 コ ス ト 発 電 コ ス トSE2 SE3 SE4
利益 SE1∼SE4 エ リ ア 価 格 販 売 価 格 送電料金 SE1 発 電 コ ス ト 発 電 コ ス ト 発 電 コ ス ト 発 電 コ ス ト
SE2 SE3 SE4 SE1∼SE4
エ リ ア 価 格 販 売 価 格 スウェーデン国内で見ると、発電所の立地条件は、 南部(SE4)の方が経済優位性が高い (SE1∼SE4の発電コストが同等との前提) 左図に比べて 利益:減 発電事業者 小売事業者 発電事業者課金+地点別料金制度: 「無」 発電事業者 小売事業者 発電事業者課金+地点別料金制度:「有」 ■地点別料金制度による発電事業者へのインセンティブの仕組み(スウェーデンの事例*1) • ノルドプール卸市場では、スウェーデンの4つのエリア(SE1∼SE4)毎に、エリア価格が設定されている。なお、4つのエリア価格は、通常 は同じだが、潮流の混雑がある場合のみ、差異が生じる。 • 発電事業者への送電料金課金を地点別に設定(北部(SE1)程高く、南部(SE4)程安い)することで、発電事業者の経済優位性は、南部 の方が高くなり、南部への発電所立地誘導のインセンティブとなる*2。 エリア価格 (SE1∼SE4が、 全て同じ場合) 北 南 北 南 *1: Nord Poolウェブサイト等の情報を基に、トーマツ作成
*2: Svenska Kraftnat、The swedish electricity market and the role of Svenska Kraftnat、2001
混雑発生時は、SE4の方が エリア価格が高くなる
21.16 21.18 22.00 22.90 22.90 24.49 0 10 20 30
SE1 SE2 SE3 SE4 DK1 DK2
エリア価格(€/MWh) ■卸市場での取引価格への転嫁 • ノルドプール卸市場では、まず、市場全体(ノルウェー、スウェーデ ン、フィンランド、デンマーク)に対してシステム価格が決定される。 次に、それを基に、各国のエリア価格が決まる。 • エリア価格が、市場全体の電力需給バランスによって決められる ため、発電事業者に課金された送電料金の(地点別の)差異は、 直接的にエリア価格に転嫁できない。
ノルドプールのように、発電事業者に課金された送電料金の(地点別の)差異を、市場価格に直接転嫁できない卸市
場では、発電事業者課金が効果的に作用する。
卸市場における発電事業者課金の意味 −ノルドプールの事例−
−スウェーデンとデンマークのエリア価格*1− (2015年の平均) 送電料金の 発電事業者への 課金比率 スウェーデン: 41% (SE1(北)が高く、SE4(南)が安い) デンマーク: 3% (MW) (€) 供給カーブ (発電事業者) 需要カーブ (小売事業者) システム価格 取引高 −1日前市場でのシステム価格の決定方法*1− *1: Nord Poolウェブサイトの情報を基に、トーマツ作成 発電事業者への高い課金比率が 参入障壁となる 1. ノルドプール市場全体について、需要カーブと供給カー ブを求め、交点をシステム価格に設定 2. システム価格を参照して、各国のエリア価格を決定 3. 混雑発生時のみ、エリア価格間に差異が発生 ■自国への発電事業者の参入の防止 • 下図において、スウェーデンのSE4とデンマークのDK1のエリア 価格は同じであるが、送電料金の発電事業者への課金比率は SE4の方が高い。 • 送電料金以外の発電コストが同じであれば、SE4での発電所建 設は経済的に不利となり、発電事業者の参入障壁となる。 同じエリア価格発電事業者への課金方針
EU規則では、発電事業者への課金を考える上で、欧州全体での国際協調による利益を重視している。
■欧州のEU規則 * Commission Regulation (EU) No. 838/2010
• Rectial (10): 発電事業者への課金は、国内市場を弱体化させてはならず、また、国際協調による利益を実現するために、ある一定の範囲 内で設定されるべき、と規定している。
• Annex Part B: 再エネの導入目標を達成するために必要な送電系統への投資の影響を考慮して、発電事業者課金の適切性をACERが監 視しなければならない、と規定している。
• Annex Part B: 「送電料金の規制共通化のガイドライン」において、発電事業者へ課金できる送電料金の上限値を定めている。(下表参照) なお、下表に示す上限値には、「発電事業者が支払う送電系統への接続設備の費用」、「アンシラリーサービス費用」、「送電ロス補填費用 (発電事業者分)」を含んではいけない、としている。
■ACERの見解 * ACER、Opinion on the agency for the cooperation of energy regulations、2014
• 発電事業者課金は、市場での競争と投資決定を歪めないように、欧州全体で調和の取れた方法で効率的に適用されるべき。 • 発電事業者へのkWh課金は、インフラ投資コストの回収ではなく、送電ロスの調達とアンシラリーサービス費用の回収に活用すべきである。 • 送電系統への影響が小さい場所へ発電所を誘導するために、発電事業者へのkW課金とランプサム課金に上限を設ける必要はない。 ■島国・半島諸国の視点 • 英国・・・2013年7月、ガス電力市場規制庁(Ofgem)は、北部での注入料金が高いことが、同地域における風力発電導入の障壁になってい るとして、南北の価格差を小さくする方針を発表した。* 一般社団法人海外電力調査会, 海外諸国の電気事業、2014 • スウェーデン・・・2012年、風力発電・原子力発電の容量と、国際電力融通の増加により、SvKは、基本料金に占める発電事業者の課金比率 を、25%から30%に引き上げた。 * Elforsk、Transmission grid planning in modern electricity markets、2013
■欧州大陸(フランス、ドイツ)の視点 • グリッドが隣国・他地域とメッシュ状につながっており、国際・地域間電力取引において、発電事業者の公平な競争市場を確立するために、 発電事業者への課金を行っていない。 * RTE(フランス)、TransnetBW、TenneT、50Hertz(ドイツ)の担当者へのヒアリング 島国・半島諸国・・・高い上限値設定 欧州大陸・・・低い上限値設定 上限値 国 A) 2.5 €/MWh 英国、北アイルランド B) 2.0 €/MWh ルーマニア C) 1.2 €/MWh デンマーク、スウェーデン、フィンランド D) 0.5 €/MWh その他EU加盟国
*1: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2016 を基に、トーマツ作成 ノルウェー ルーマニア 英国 アイルランド 北アイルランド
欧州で、送電料金の発電事業者への課金比率が10%を超える国は8カ国。この内、地点別料金制度も導入している
国は6カ国で、内5カ国が島国・半島諸国である。
送電料金の発電事業者課金と地点別料金制度の関係
ノルウェー(38%) スウェーデン (41%) ルーマニア (8%) 英国(23%) アイルランド (25%) 北アイルランド (25%) スウェーデン オーストリア (43%) ベルギー (7%) フィンランド (19%) ポルトガル (8%) モンテネグロ (33%) 6カ国の内5カ国 は、島国・半島 諸国 5% < PG≦ 10% 10% < PG 発電側課金のみ 発電側・需要側課金の両方 PGが10%を超える国 は8カ国で、内6カ国 は、島国・半島諸国 ■送電料金の発電事業者への課金比率(PG)*1 • PG が5%を超える国は11カ国 • PG が10%を超える国は8カ国 ■地点別料金制度を導入している国*1 • 英国、北アイルランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、 ルーマニアの6カ国が導入し、これら6カ国のPGは平均27%と高い。送電料金の発電事業者への課金比率(欧州)
英国、ノルウェー、スウェーデンでは、発電事業者への課金を行い、かつ、地点別料金制度を導入している。
一方、フランス、ドイツでは、発電事業者への課金はほぼ行っておらず、また、地点別料金制度も導入していない。
■送電料金の発電事業者への課金比率 • 英国、ノルウェー、スウェーデンでは、発電事業者への課金比率が高く、それぞれ、23%、38%、41%となっている。 • 一方、フランス、ドイツでは、発電事業者への課金はほぼ行っておらず、それぞれ、2%、0%となっている。 ■発電事業者への課金比率と他の事実との関係(下表参照) • 発電事業者への課金比率が高い英国、ノルウェー、スウェーデンでは、地点別料金制度を導入している。 →島国・半島諸国の特徴 • 一方、発電事業者への課金比率が低いフランス、ドイツでは、地点別料金制度を導入していない。 →欧州大陸の特徴*1: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2016
−送電料金の発電事業者への課金比率と他の事実との関係− 注1) フランスでは、150 - 400kVに接続する場合のみ、発電側に課金される 注2) 接続に要した工事費用に加えて、接続に伴い発生する配電系統の増強工事費用の一部を一括回収し、残りの部分を配電線 使用料で浅く広く回収する方式 発電事業者への課金比率が高 い国は、地点別料金制度「有」 項目 英国 フランス ドイツ ノルウェー スウェーデン 発電事業者への課金比率 [%]*1 23 2注1) 0 38 41 地点別料金制度*1 有 無 無 有 有 発電事業者の初期接続費用の 回収方法*1 シャロー∼ 準シャロー注2) シャロー シャロー∼ スーパーシャロー シャロー ディープ 電源構成 ガス3割 石炭3割 原子力8割 再エネ3割 水力9割強 水力4割 原子力4割 発電事業者への課金比率と の関係性は確認できない 本表の考察
0 10 20 30 40 50 英 国 北ア イ ル ラ ン ド ア イ ル ラ ン ド ア イ ス ラ ン ド ノ ル ウ ェ ー ス ウ ェ ー デ ン デ ン マ ー ク フ ィ ン ラ ン ド エ ス ト ニ ア ラ ト ビ ア リ ト ア ニ ア オ ー ス ト リ ア ベ ル ギ ー ブ ル ガ リ ア ク ロ ア チ ア チ ェ コ フ ラ ン ス ド イ ツ ギ リ シ ャ ハ ン ガ リ ー イ タ リ ア モ ン テ ネ グ ロ オ ラ ン ダ ポ ー ラ ン ド ル ー マ ニ ア ス ロ バ キ ア ス イ ス ス ペ イ ン ポ ル ト ガ ル
(%)
2016年 2009年送電料金の発電事業者への課金比率の推移(欧州)
発電事業者への課金比率は、2009年から2016年の期間において、全体的に、同じか或いは上昇している傾向にある。
地域別に見ると、北欧諸国とイベリア半島において、上昇している国の割合が高い。
■送電料金の発電事業者への課金比率の推移(2009年→2016年)*1*1: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2009・2016を基に、図はトーマツ作成
① ② ③ ④ ⑤ 地域 上昇↑ 低下↓ ①島国 アイルランド(+5%) 英国(-4%) ②北欧諸国(半島) スウェーデン(+16%)、フィンランド(+8%) ノルウェー(-6%)、デンマーク(-1%) ③バルト三国 − − ④欧州大陸 オーストリア(+28%)、ルーマニア(+8%)、ベルギー(+7%)、スロバキア(+3%) イタリア(-3%)、ポーランド(-1%) ⑤イベリア半島 ポルトガル(+8%)、スペイン(+5%) − 合計 +88% -15% 上昇 低下
送電料金の発電事業者への課金方法
発電事業者への課金方法として、kW課金を採用している英国、北アイルランド、アイルランド、スウェーデンでは、地
点別料金制度を導入している。
■各国の課金方法*1 • 発電事業者への課金方法として、kW課金、kWh課金、送電ロス、アンシラリーサービスがある。 • kW課金を行っている英国、北アイルランド、アイルランド、スウェーデンは、地点別料金制度を導入している。 国 課金方法 地点別料金制度 の導入 kW課金 [€/MW] kWh課金 [€/MWh] 送電ロス [€/MWh] アンシラリーサー ビス [€/MWh] 英国 6,994 − − 0.38 ○ 北アイルランド 5,590 − − − ○ アイルランド 5,590 − − − ○ スウェーデン 4,090 − 0.41 − ○ デンマーク − 0.40 − − フィンランド − 0.50 − − オーストリア − − 0.50 1.53 ベルギー − − − 0.91 フランス − 0.19 − − ルーマニア − 1.93 0.35 − ○ スペイン − 0.50 − − ポルトガル − 0.50 − − −送電料金の発電事業者への課金方法−送電料金の発電事業者への課金比率(米国)
調査した米国の5つの州・地域では、送電料金の発電事業者課金と地点別料金制度の導入は行っていない。この事
実は、欧州大陸のフランス、ドイツと同様である。
■送電料金の発電事業者への課金比率
• 米国の5つの州・地域(PJM、New York、California、New England、Texas)では、発電事業者への課金を行っていない。(下表参照)
■発電事業者への課金比率と他の事実との関係
• 発電事業者への課金を行っていない米国の5つの州・地域では、地点別料金制度も導入していない。また、発電事業者の初期接続費用は、 PJM以外はシャロー方式(PJMのみディープ方式)である。(下表参照)
• 米国では、1996年にFERCがオーダー888・889を公布し、送電設備の第三者利用開放義務を課すことで卸電力取引の活性化を図っている。 • また、投資税額控除(ITC)、発電税額控除(PTC)、再エネ利用基準制度(RPS)等の導入により、再エネ促進支援を行っている。
*1: Frontier economics、International transmission pricing review、2009を基に、トーマツ作成
−送電料金の発電事業者への課金比率と他の事実との関係*1−
項目 PJM New York California New
England Texas 発電事業者への課金比率 [%] 0 0 0 0 0 地点別料金制度 無 無 無 無 無 発電事業者の初期接続費用 の回収方法 ディープ注) シャロー シャロー シャロー シャロー 地点別の概念は、送電料金ではなく、電力卸市場での取引価格(LMP)に反映されている →次ページ参照 欧州大陸(フランス、ドイツ)と 同様に、発電事業者への経済 的負担が小さい 注) 米国では、FERCのオーダー2003によって、発電事業者にシャロー方式以上の負担を求めている。PJMでディープ方式 となっているのは、容量市場協定に関する供給可能量基準によるものであり、容量電源としての登録に、コスト負担が求 められている
LMPの仕組み(1/3)
米国の送電料金では、発電事業者課金や地点別の概念が無い。一方、電力卸市場での取引価格において、地点別
限界価格(LMP)を導入することで、送電線の混雑時に、地点(ノード)毎に価格を設定している。
■地点別限界価格: LMP(Locational Marginal Price)の内容
• 米国では、送電料金に発電事業者課金や地点別の概念は無いが、PJM、CAISOやNYISO等では、LMPにより、電力卸市場での取引価格 に地点別の概念を導入している。 • 「LMP = 発電限界費用+送電混雑費用+限界損失費用」 でノード毎に計算され、送電線の混雑が発生した場合のみ、ノード間のLMP価 格に差異が発生する。(次ページ参照) ■送電線の混雑が無い場合(使用送電容量<最大送電容量)のLMPの設定方法*1 ① ノード2の$48/MWhの発電所よりも安い、ノード1の$38/MWhの発電所を稼動し、ノード1からノードに2へ送電する ② ノード1とノード2は同じLMP価格となる ノード1 200MW $35/MWh 200MW $36/MWh 200MW $38/MWh 200MW $42/MWh 300 MW ノード2 200MW $40/MWh 200MW $40/MWh 200MW $48/MWh 200MW $50/MWh 700 MW 最大送電容量: 400MW 使用送電容量: 300MW (混雑無し) ノード1のLMP=$40/MWh (ノード1、2で最も高い発電限界費用) ノード2のLMP=$40/MWh (ノード1、2で最も高い発電限界費用) : 発電所運転 : 発電所停止 発電側 小売側 (需要) 同じ価格 *1: 各種文献情報を基に、図はトーマツ作成 注) 本図では、送電混雑費用と限 界損失費用は考慮していない
LMPの仕組み(2/3)
地点別限界価格LMPでは、ノード間の送電線に混雑が発生した場合に、ノード間のLMP価格に差異が発生する。
■送電線の混雑が有る場合(使用送電容量=最大送電容量)のLMPの設定方法*1 ① ノード1とノード2間の使用送電容量が、400MW(最大送電容量)に到達する ② ノード1の$42/MWhの発電所は、送電線の混雑のために運転できない ③ ②の代わりに、ノード2の$48/MWhの発電所を運転する ④ ノード1とノード2でLMPの価格差が発生する ノード1 200MW $35/MWh 200MW $36/MWh 200MW $38/MWh 200MW $42/MWh 200 MW ノード2 200MW $40/MWh 200MW $40/MWh 200MW $48/MWh 200MW $50/MWh 1,000 MW 最大送電容量: 400MW 使用送電容量: 400MW (混雑有り) ノード1のLMP=$38/MWh (ノード1で最も高い発電限界費用) ノード2のLMP=$48/MWh (ノード2で最も高い発電限界費用) 小売側 (需要) 価格差が発生 *1: 各種文献情報を基に、図はトーマツ作成 発電側 : 発電所運転 : 発電所停止 注) 本図では、送電混雑費用と限 界損失費用は考慮していないLMPの仕組み(3/3)
米国の場合、地点別限界価格LMPに、送電ロス費用が反映されている。
■限界損失費用の算定方法*1 ① ノード1からノード2に電力を供給する場合、送電ロス(下図では15MW)が発生する ② 受け手となるノード2のLMPに限界損失費用(15MWの送電ロス費用)が反映され、ノード2のLMP価格が高くなる ノード1 515MW $38/MWh 200 MW ノード2 300 MW 最大送電容量: 400MW 使用送電容量: 315MW 送電ロス: 15MW ノード1のLMP =$38/MWh ノード2のLMP =$38/MWh*(315MW/300MW)=$39.9/MWh 小売側 (需要) *1: 各種文献情報を基に、図はトーマツ作成 発電側 : 発電所運転<
停止する発電所の費用負担
英国では、発電所を停止又は出力低減する場合は、kW課金を回避又は低減するために、接続契約の解消又は接続
登録容量の低減の申請を行う。
■停止する発電所への課金(英国の事例)*1 • 発電所を停止する場合は、下記「A. 接続契約の解消」の手続きを行い、接続容量を低減する場合は、下記「B. 接続登録容量の低減」の 手続きを行う。 概要 種類 A. 接続契約の解消 B. 接続登録容量 の低減 1. 接続契約を解消する場合は、6ヶ月前までに、TSOに書面で申請しなければならない →本申請において特別な記載が無い場合は、下記「B. 」において接続登録容量が0の扱いとなる 2. 接続契約の解消をもって相対契約が完了し、TSOの請求日より28日以内に、申請者は、下記を支払わなければならない a) 年度末までの接続料金とUse of System Chargesb) 接続地点での契約完了に伴う総額 c) 送電系統に直接接続する発電事業者、又は、相対契約をしている発電事業者はキャンセル料金 3. 契約解消から6ヶ月以内に、 a) イングランドとウェールズでは、TSOの土地において、スコットランドでは、TSOから送電ライセンスを受けた者の土地 において、申請者は、申請者の全ての設備を撤去しなければならない b) イングランドとウェールズでは、TSOが、全ての資産を申請者の土地から撤去しなければならない。スコットランドでは、 TSOから送電ライセンスを受けた者が申請者の土地から撤去した全ての資産を、TSOが、買い取らなければならない 4. 接続地点が洋上の場合、申請者とTSOから送電ライセンスを受けた者の間で合意した期間内に、 a) 送電ライセンスを受けた者の洋上プラットフォーム又は隣接する場所において、申請者は、申請者の全ての設備を撤 去しなければならない b) 申請者の洋上プラットフォーム又は隣接する場所において、送電ライセンスを受けた者が撤去した全ての資産を、 TSOは、買い取らなければならない 1. 接続容量を低減する日の5営業日より前に、書面で申請し、次の4月1日から有効となる 2. 申請が有効となる次の4月1日までの期間は、Use of System Chargesを通常通り支払う
3. 加えて、低減した分のキャンセル料金の支払いが必要となる。キャンセル料金は、年度の終わりの28日前に、TSOが申請 者に請求し、申請者は、そこから28日以内に支払わなければならない
まとめ
地点別料金制度は、隣国との複雑な電力潮流が少ない島国や半島諸国にて導入されており、英国のOfgemは、送電
線の混雑解消を目的とした、発電所の立地誘導につながっていると評価している*
1。
地点別料金制度
の目的
地点別料金制度
の内容
政策的評価・課題
地点別に料金を設定し、発電所と大口需要家の立地を誘導することで、送電線の混雑を解消し、
送電系統の投資コストと送電ロス調達コストを抑制すること*
1 発電事業者や需要家に、送電ロスや潮流のボトルネックに関する価格シグナルを送ること*
2 導入している国のほとんどが、島国・半島諸国
(18ページ) • 導入している国は、英国、北アイルランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、ルーマニアの6カ国で、ルーマニア 以外の5カ国は島国・半島諸国である • 送電線が南北方向に敷設されている英国とスウェーデンでは、基本料金(kW課金分)単価に、南北方向の傾斜がか けられている(発電側と小売側で傾斜の向きは逆) • 島国・半島諸国の特徴として、隣国との複雑な電力潮流が少ないため、地点別料金の設計と実行が容易である*1: Ofgem、Locational charging on Britain’s gas and electricity networks、2007
*2: Svenska Kraftnat、The swedish electricity market and the role of Svenska Kraftnat、2001
*3: TransnetBW、TenneT(ドイツ)の担当者へのヒアリング
今後も地点別料金制度を導入する可能性は低い*
3 • ドイツでは、グリッドが隣国とメッシュ状につながっており(33ページ)、複雑な電力潮流が発生してい るため、地点別料金制度の適用が困難である • 欧州大陸では、国際電力取引における公平性の観点から、一部の国が高い比率の発電事業 者課金や地点別料金制度を導入することは非現実的としている島国・
半島諸国
欧州大陸
(主要国)
発電所の立地誘導につながっている
• 英国では、ガスの輸入配管と火力発電所を、大需要地近傍に誘導できている(38ページ) • ノルウェーやスウェーデンでも、新規分は南部に建設される傾向にある(46ページ) ( ): 参照先ページ数 英国では地点(発電側:27ゾーン、小売側:14ゾーン)、ノルウェーでは限界ロス率とkファクター、スウェーデンでは緯
度と限界ロス率に対して地理的要素が反映され、これら3カ国の地点別料金の傾斜は大きい。
地点別料金制度の課金方法のまとめ(英国、ノルウェー、スウェーデン)
■地点別料金制度の課金方法と、価格への地理的要素の反映方法 国 TSO/DSO 課金先 kW課金/ kWh課金 価格への地理的要素の反映方法 地点 限界ロス率 その他 英国*1 TSO 発電側注) kW課金 ○(27ゾーン) 小売側(30分メーター) kW課金 ○(14ゾーン) 小売側(一般メーター) kWh課金 ○(14ゾーン) ノルウェー *2、*3 TSO/DSO 発電側 kWh課金 ○ 小売側 kW課金 ○(kファクター) kWh課金 ○ スウェーデン *4、*5 TSO/DSO 発電側・小売側 kW課金 ○(緯度) kWh課金 ○*1: National grid、The statement of use of system charges、2016 *2: Statnett、2014 tariff bookket
*3: Nord REG、Economic regulation of electricity grids in Nordic countries、2011 *4: Elforsk、Transmission grid planning in modern electricity markets、2013 *5: Svenska Kraftnat、The swedish electricity market and the role of Svenska
Kraftnat、2001
*6: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2016 注) アンシラリーサービス費用は含まない (€/MWh) 英国 アイルランド 北アイルランド ノルウェー ルーマニア スウェーデン 地点別料金制度を導入している6カ国 の内、料金の傾斜が大きいのは、 英国、ノルウェー、スウェーデン ■地点別料金の傾斜(TSO、発電側+小売側)*6
地点別料金制度に関する歴史的背景
英国、ノルウェー、スウェーデンでは、1990年代に地点別料金制度が導入された。
■英国 * Ofgem、Locational charging on Britain’s gas and electricity networks、2007、* 一般社団法人海外電力調査会, 海外諸国の電気事業、2014 • 1990年に、イングランドとウェールズ地方の高圧送電系統を対象として、地点別料金制度が導入された。
• その後、2005年に電力取引制度(BETTA)が出来た際、地点別料金制度の適用範囲は、スコットランドまで拡張された。
• 2013年7月、ガス電力市場規制庁(Ofgem)は、北部での注入料金が高いことが、同地域における風力発電導入の障壁になっているとして、 南北の価格差を小さくする方針を発表した。 (17ページの再掲)
■ノルウェー * Nord REG、Economic regulation of electricity grids in Nordic countries、2011
• 1991年のエネルギー法において、地点別料金制度の導入が規定された。利用者が支払う料金単価は、系統内のどこから電力を購入するか、 また、どこへ電力を販売するかに関係なく、接続地点によって決まる。 (経過措置) • 送電系統の潮流改善につながる場所に発電所が建設される場合は、当該発電所の注入電力量に係る料金に対して、15年間の軽減措置が 与えられる。15年の根拠としては、下記のようなものが関連していると考えられる。なお、ノルウェーの電源構成では、水力発電が9割強を占め る。
- 石油エネルギー省が1917年に制定した「Industrial Licensing Act」において、国以外が水力発電所の権利を得る際は、ライセンスの 取得が必要となり、その権利は15年間と規定されている。
- 2012年1月に、ノルウェーとスウェーデンで運用開始されたグリーン電力証書では、再エネ発電事業者に、補助金が15年間支払われる。 ■スウェーデン * Elforsk、Transmission grid planning in modern electricity markets、2013、* Svenska Kraftnat、The swedish electricity market and the role of Svenska Kraftnat、2001
• 1995年1月、送電ロスやボトルネックに関する価格シグナルを事業者に提供するために、系統運用者SvK社が地点別料金制度を導入した。 利用者が支払う料金単価は、系統内のどこから電力を購入するか、また、どこへ電力を販売するかに関係なく、接続地点によって決まる。 • 1996年には、地方送電系統、配電系統の利用料金においても、地点別料金制度が導入された。
• 2011年11月、スウェーデンの電気料金ゾーンが4つに分割された後、SvKは、基本料金の内、緯度により決定されるファクターを低く設定する ことで、緯度による送電料金の違いを小さくすることを決めた。
-60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 英 国 北 ア イ ル ラ ン ド ア イ ル ラ ン ド ノ ル ウ ェー ス ウ ェー デ ン デ ン マー ク フ ィ ン ラ ン ド オー ス ト リ ア ス イ ス ベ ル ギー ド イ ツ フ ラ ン ス イ タ リ ア モ ン テ ネ グ ロ ルー マ ニ ア ス ペ イ ン ポ ル ト ガ ル (TWh) 輸出 輸入
電力の輸出入と地点別料金制度(欧州全体)
地点別料金制度を導入している6カ国の特徴として、隣国との電力の輸出入量、又は、隣国との複雑な電力潮流が少
ないことが挙げられる。
−欧州の国際連系線*2− *2: ENTSO-Eウェブサイト ■地点別料金制度を導入している国の特徴 • 電力輸出入量が小さい: 北アイルランド、アイルランド、ルーマニア • 隣国との複雑な電力潮流が少ない: 英国・・・輸入量は大きいが、96%がフランスとオランダから ノルウェー、スウェーデン・・・北欧諸国内での輸出入量が大きい −各国の電力輸出量と輸入量(2015年)*1− *1: ENTSO-Eウェブサイトの情報を基に、トーマツ作成 島国・半島諸国 欧州大陸 北欧諸国 全体の約8割が、北欧 諸国内での輸出入 96%がフランスとオランダからの輸入 :地点別料金制度導入国 英国、ノルウェー、スウェーデンでは、隣国との複雑な電力潮流が少ない。特に、英国とスウェーデンでは、送電線が
南北方向に敷設されているため、地点別料金において、南北方向の価格傾斜の設計をし易くしている。
■英国、スウェーデンの送電系統の特徴 • 英国、スウェーデンでは、送電線は南北方向に敷設されている。(下図参照) • よって、南北方向の電力潮流が大きい。 ■地点別料金制度との関係 • 英国、スウェーデン共に、国内における南北方向の電力潮流の混雑を解消するために、地点別料金制度を導入し、基本料金(kW課金分)単価 に南北方向の傾斜をかけている(発電側は北部が高く、小売側は南部が高い)。 • 隣国との複雑な潮流が無いため、地点別料金制度の設計がし易い。送電系統と地点別料金制度(英国、ノルウェー、スウェーデン)
*2: Svenska Kraftnatウェブサイト *1: National gridウェブサイト −英国の送電系統図*1− −スウェーデンの送電系統図(緑色の背景色)*2− 英国、スウェーデンでは、 • 北部に、水力や風力発電所が、 南部に需要地が集中する • 北部から南部へ送電するため に、送電線は南北方向に敷設 されている 隣国との複雑な電力潮流が生じるドイツでは、地点別料金制度の設計が複雑となる。実際、北部での風力発電の普
及拡大に伴う南北の潮流改善対策として、南北方向の送電線の増強を選択している*
1。
■ドイツの送電系統の特徴 • ドイツでは、送電線はメッシュ状に敷設され、複数の隣国とつながっている。(下左図) この結果、隣国との電力潮流が複雑になり、地点別料金 制度の導入を困難にしている。 • 近年の北部での風力発電の普及拡大により、北部から需要地の集中する南部への潮流が大きくなったため、南北方向の送電線の増強を計画 している。(下右図)送電系統と地点別料金制度(欧州大陸の例:ドイツ)
*2: ENTSO-E、Map - ENTSO-E transmission system mapを基に、一部トーマツ作成
*3: BNetzA、Grid expansion planned according to the Bundesbedarfsplangesetz、2014 −ドイツの送電線増強計画図*3− −ドイツの送電系統図*2− 隣国とメッシュ状 につながるドイツ の送電系統 南北方向の送電線 の増強を計画中 (青色斜線部) *1: TransnetBW、TenneT(ドイツ)の担当者へのヒアリング
地点別料金の設定ロジック(英国、送電料金)*
1(1/4)
英国の送電料金(TNUoS)は、発電側は、①Wider zonal generation TNUoS tariffs、② Local substation
generation TNUoS tariffs、③ Local circuit generation TNUoS tariffsで構成される
■計算式
*1: National grid、The statement of use of system charges、2016
送電料金 = 容量 [kW] * P
(G①)[£/kW] + 容量 [kW] * P
(G②)[£/kW] + 容量 [kW] * P
(G③)[£/kW]
発電側(G) 注)
kW課金
① Wider zonal generation TNUoS tariffs
P
(G①) : 27ゾーン別に設定されている価格 [£/kW] →35ページ参照P
(G②) : 陸上の送電系統に直接接続する発電事業者に課金される変電所関連価格 [£/kW] →36ページ参照P
(G③) : 陸上の送電系統に直接接続しない発電事業者に課金される変電所関連価格 [£/kW] →36ページ参照kW課金
② Local substation generation TNUoS tariffs
kW課金
③ Local circuit generation TNUoS tariffs
送電料金 = 3回の3組の期間における30分デマンド値 [kW] * P
(L①)[£/kW]
小売側(L) 30分メーター (HH) 一般メーター (NHH)送電料金 = 16時∼19時の時間帯の年間の電力使用量 [kWh] * P
(L②)[£/kWh]
P
(L①) : 14ゾーン別に設定されている価格 [£/kW] →37ページ参照P
(L②) : 14ゾーン別に設定されている価格 [£/kWh] →37ページ参照 注) アンシラリーサービス費用は含まない地点別料金の設定ロジック(英国、送電料金)*
1(2/4)
英国で27ゾーン別に設定されている発電側価格の①Wider zonal generation TNUoS tariffsは、2016年に計算方
法が変更され、南北の価格差が小さくなった。
■発電側価格① Wider zonal generation TNUoS tariffs: P(G①)
*1: National grid、The statement of use of system charges、2016
−P(G①)が設定されている27ゾーン− −P(G①)(2015年)− −P(G①)(2016年)− 計算例(2016年): Zone1 石炭火力・・・-1.99+10.51*58%(稼働率)+7.77+0.51=12.4£/kW (A) Zone1 陸上風力・・・10.51*37%(稼働率)+7.77+0.51=12.2£/kW Zone23 石炭火力・・・-2.76+3.11*58%(稼働率)-6.32+0.51=-6.8£/kW (B) Zone23 陸上風力・・・3.11*37%(稼働率)-6.32+0.51=-4.7£/kW →(A)と(B)の価格差・・・19.2£/kW 計算例(2015年): Zone1 石炭火力・・・25.55£/kW(A) Zone1 陸上風力・・・25.55£/kW Zone23 石炭火力・・・-5.21£/kW (B) Zone23 陸上風力・・・-5.21£/kW →(A)と(B)の価格差・・・30.76£/kW 2016年の価格差は、2015年比62% (A) (B) (A) (B)
地点別料金の設定ロジック(英国、送電料金)*
1(3/4)
英国の発電側価格の②Local substation generation TNUoS tariffsと、③Local circuit generation TNUoS
tariffsは、陸上と洋上について、異なる価格設定がされている。
■発電側価格② Local substation generation TNUoS tariffs: P(G②)
*1: National grid、The statement of use of system charges、2016
−陸上の主要送電系統(MITS)に直接接続する場合− −洋上の送電系統に接続する場合−
■発電側価格③ Local circuit generation TNUoS tariffs: P(G③)
地点別料金の設定ロジック(英国、送電料金)*
1(4/4)
英国では、小売側価格は14ゾーン別に設定されている。発電側価格の①Wider zonal generation TNUoS tariffsと
比べて、同地点間(1. Northern Scotlandと12. London)での南北の価格差が小さい。
■小売側価格: P(L①)、P(L①)
• 14ゾーン別に設定され、北部が安く、需要地が集中する南部が高い。
• 発電側価格① Wider zonal generation TNUoS tariffs: P(G①)と比べると、南北の価格差は小さい。 −P(L①)、P(L②)が設定されている14ゾーン− − P(L①)、P(L②) (2016年)− P(L①) 30分メーター P(L②) 一般メーター Demand Tariffの
Zone1(A)とZone12(B)の価格差 10.9£/kW
(A)
(B)
→ 発電側のP(G①)(2016年)の、同地
点間における価格差19.2£/kWに 比べて、小さい(35ページ参照)
*1: National grid、The statement of use of system charges、2016
(A)
*1: Ofgem、Locational charging on Britain’s gas and electricity networks、2007 −風力発電マップ*1− • 建設中や承認済の風力発電を示す −火力発電マップ*1− • 2000年以降の、600MW超のガス火力発電と熱電併給(CHP)発電を示す
Ofgemによると、英国の地点別料金制度は、風力発電の立地に対してはインセンティブとして作用していない一方で、
火力発電に対してはインセンティブとして効果的に作用し、大需要地近傍への立地誘導ができたと評価している。
発電マップ(英国)
ガス火力発電 CHP 建設中 承認済 申請済 地点別料金制度により、ガ スの輸入配管と火力発電 が大需要地近傍に建設さ れ、既存の送電インフラの 増強を回避している (Ofgem*1) 風力発電の建設場所 は、英国全体に散ら ばっており、地点別料 金制度の影響を受け ていない(Ofgem*1) 送電料金の 発電事業者 への課金 安 高送配電料金 = 過去の容量 [kW]
②* P
(L)[NOK/kW] * k + 使用量 [kWh] * P
S[NOK/kWh] * C
loss,I送配電料金 = 過去の使用量 [kWh]
①* P
(G)[NOK/kWh] + 使用量 [kWh] * P
S[NOK/kWh] * C
loss,I地点別料金の設定ロジック(ノルウェー、送配電料金)*
1, 2 ノルウェーでは、固定料金は、発電側は過去の使用量に対して、小売側は過去の容量に対して課金される。実際の使
用量に対するkWh課金単価は、接続地点の限界ロス率によって決まる。
P
(G) : Statnettが決定する単価 [NOK/kWh]③P
S : ノルドプールのシステム価格 [NOK/kWh]④C
loss,i : 接続地点iの限界ロス率 →40ページ参照P
(L) : Statnettが決定する単価 [NOK/kW]⑤k
: kファクター →41ページ参照 ■計算式 ①: 過去10年間の年間発電電力量(送電端)の平均値とする。発電端の計測値しかない場合は、発電端の 計測値から1.5%を差し引いた数値を使用するが、それよりも良い変圧器や変電所の参照データがあれ ば、良い方のデータを用いる。揚水発電については、発電端の数値が用いられる。なお、新規の発電所 については、初年度とその翌年は発電量の予測値が使用され、3年目以降は過去のデータを参照する。 ②: 過去5年間のピーク時間帯の消費電力の平均値とする ③: 2014年は0.012NOK/kWh。Commission regulation 774/2010により、0∼1.2€/MWhの範囲での設定 が規定されている ④: 市場全体の需給均衡価格 ⑤: 2014年は170NOK/kW。なお、給電停止の通知時間と給電停止時間に応じて、料金設定を 170NOK/kW(2014年の場合)の5%、25%、50%、75%に変更できる(右表参照) 発電側(G) 小売側(L) 固定料金 kWh課金 固定料金 kWh課金*1: Statnett、2014 tariff bookket
*2: Nord REG、Economic regulation of electricity grids in Nordic countries、2011 *3: Statnettウェブサイト − Statnettの送電料金表*3− P(G) 0.012NOK/kWh P(L) 170NOK/kW kファクターのc 1.5 15分前通知 給電停止時間 の制約無し 9NOK/kW 5% of P(L) 2時間前通知 43NOK/kW 25% of P(L) 12時間前通知 85NOK/kW 50% of P(L) 15分前通知、給電停止時間2時間 128NOK/kW 75% of P(L)
地点別料金の限界ロス率(ノルウェー、送配電料金)*
1、*
2、*
3 ノルウェーで、kWh課金単価の計算に使用される限界ロス率は、潮流の状況に応じて地点別に異なる送電ロスを反
映している。
■限界ロス率 送配電料金に、潮流の状況に応じて地点別に異なる送電ロスを反映すること。 役割 内容 ピーク時間帯 オフピーク時間帯+
−
限界ロス率 (発電側) 北部の限界ロス率 (発電側)が高い →送電料金が高い 限界ロス率(小売側) = −1 * 限界ロス率(発電側) 南部の限界ロス率 (発電側)がマイナス の数値となる →送電料金が安い ① 主要系統 約200の接続地点毎に設定される。 毎週見直され、金曜日に翌週分が公開される。 ピーク時間帯(平日の6:00∼22:00)とオフピー ク時間帯(平日の22:00∼6:00と、土日)とでは ロス率が異なる。(右図参照) ±15%の範囲内で設定される。 ② 地方送電系統・配電系統の小売側料金には、 系統全体の年間平均ロス率が設定される。*1: Statnett、2014 tariff bookket
*2: Nord REG、Economic regulation of electricity grids in Nordic countries、2011 *3: ENTSO-E、Overview of Transmission Tariffs in Europe、2016
地点別料金のkファクター(ノルウェー、送配電料金)*
1 小売側料金のkファクターは、発電所への近接性によって送配電料金を割引する目的で導入された。具体的には、接
続地点における冬期の発電供給力が大きい程、同接続地点での小売側の送配電料金が安くなる。
■kファクター ① 大需要家以外用(kf) ② SFHB用(kSFHB)𝑘
= 𝐹
ୗ୲୭୲ൗ
(𝑃
୲+ 𝐹
ୗ୲୭୲)
(ただし、
𝑘
≤ 0.5の場合、𝑘
= 0.5)
𝑘
> 0.5の場合、 𝑘
ୗୌ= 𝐹
ୗ୲୭୲ൗ
(𝑃
୲+ 𝐹
ୗ୲୭୲+ 𝑐∗ 𝐹
ୗୌ)
𝑘
= 0.5の場合、 𝑘
ୗୌ= 𝐹
ୗ୲୭୲ൗ
(2 ∗ 𝐹
ୗ୲୭୲+ 𝑐∗ 𝐹
ୗୌ)
𝐹
ୗ୲୭୲ :接続地点における、全需要家の𝐹ୗの合計 [kW]𝐹
ୗ :需要家の、過去5年間のピーク時間帯消費電力の平均値(SFHB以外) [kW]𝑃
୲ :接続地点における、冬期の利用可能出力の合計 [kW] (水力発電:冬期のピーク時間帯(6時間連続)の出力、風力発電:容量の50%、火力発電:容量の100%に設定)𝐹
ୗୌ :大需要家の、過去5年間のピーク時間帯消費電力の平均値(SFHB) [kW] 𝑐 :SFHB用の補正係数で、c = 1.5に固定 下記2つの要因によって、需要家の送配電料金の割引を実施すること。 1. 発電所への近接性、 2. 大需要家の安定消費 役割 内容 kファクターは、「① 大需要家以外用(kf)」と「② 大需要家(SFHB)用(kSFHB)」の2種類存在し、接続地点毎に計算される。 2014年に下記2つの変更が行われた。 1. kfの下限(割引率の上限)を50%に設定、 2. kSFHBに補正係数cを採用 𝑃୲が大きい程、kファクターの値が小さく なる(小売側の送配電料金が安くなる) →「1. 発電所への近接性」の考慮 𝐹ୗୌのみ個々 の需要家に関す るパラメータ*1: Statnett、2014 tariff bookket
計 算 式 𝑃୲が大きい程、また、 𝐹ୗୌが大きい程、kファクターの値が小さく なる(小売側の送配電料金が安くなる) →「1. 発電所への近接性」と「2. 大需要家の安定消費」の考慮 大需要家(SFHB): ピーク電力が15MW超、かつ、使用時間 が7,000時間超(使用時間は、年間の総 電力消費量をピーク電力で割ったもの)
地点別料金の設定ロジック(スウェーデン、送配電料金)*
1, 2 スウェーデンでは、送配電料金の計算方法は発電側と小売側で同じで、kW課金単価は緯度により、kWh課金単価は
接続地点の限界ロス率により決まる。
■計算式
送配電料金 = 容量 [kW] * (m * (
φ
i-
φ
min) + PC
min) [SEK/kW] + 使用量 [kWh] * P
A[SEK/kWh] * C
loss,i* C
corrm
: 勾配(発電側は+、小売側は−) [SEK/kW/o] (右図参照)φ
i : 接続地点iの緯度 [o]φ
min : 最南端の接続地点の緯度 [o]PC
min :φ
minにおける基本料金単価 [SEK/kW]①P
A : スウェーデンのエリア価格 [SEK/kWh]②C
loss,i : 接続地点iの限界ロス率③C
corr : 補正係数(スウェーデンは0.8に固定) ①: SvKが、基本料金単価の見直しが必要な場合に調整するパラメータ ②: 送電ロスを補填するために市場から調達した電力価格に基づき、SvKが年に一度設定する ③: 接続地点毎に設定される係数。北部の電源地における発電側と、南部の需要地における小 売側のロス率は高く設定される 価格 [SEK/kW]*3 緯度 48 m 小売側 m 発電側 19 35 88 *3: 一般社団法人海外電力調査会, 海外諸国の電気事業、2014 南部 北部 kW課金 kWh課金 発電側(G) 小売側(L)*1: Elforsk、Transmission grid planning in modern electricity markets、2013