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Device 9:4 端子試料で超伝導転移を観測

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 195-200)

第5章 付録

MoS 2 Device 9:4 端子試料で超伝導転移を観測

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図 5-88:カリウムイオン電解質ゲーティング(1回目)

VG = 10 VまでDrain電流が順調に増加し,VG = 10 Vで冷やし始めた直後,カリウムイ オンインターカレーションと見られるDrain電流急上昇が見られた.よって,電解質を凍 らせ,電気抵抗温度特性を測定した(図 5-89).

図 5-89:VG = 10 Vの電気抵抗温度特性

低温測定中に断線することはなく,電気抵抗温度特性測定をT = 2 ~ 300 Kの範囲で行う ことができた.抵抗温度特性のグラフを見ると,温度が低いほど抵抗が減少しており,金 属的振る舞いを示している.また,極低温領域に注目してみると,さらに興味深い測定結 果を示していた(図 5-90).

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図 5-90:極低温領域におけるVG = 10 Vの電気抵抗温度特性

T = 10 K付近から,抵抗値が急激に減少していることがわかる.これは超伝導的な振る舞

いであり,ここまでの明らかな抵抗減少は本研究を開始してから初めての結果である.し

かし,T = 4 K付近から再び抵抗値が上昇していることから,キャリア注入量が不十分で

あるために残留抵抗が生じていると考え,さらにGate電圧を印加することにした.

・カリウムイオン電解質ゲーティングと電気抵抗温度特性測定(2回目)

次に,T = 300 K,Bias = 100 mVでVG = 13 VまでGate電圧を印加した結果を示す

(図 5-91).

図 5-91:カリウムイオン電解質ゲーティング(2回目)

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VG = 10, 12 VでDrain電流の増加は飽和していたが,VG = 13 Vで再度Drain電流が増加 した.また,デバイスを冷やし始めた直後にも急上昇が見られ,VG = 13 Vで約3倍電流 量が増加した.おそらくカリウムイオンインターカレーションによるものと考えられる.

このまま電解質を凍らせ,電気抵抗温度特性を測定した(図 5-92).

図 5-92:VG = 13 Vの電気抵抗温度特性

VG = 10 Vの時と同様に,温度が低いほど抵抗が減少しており,金属的振る舞いを示して

いる.また,極低温領域における抵抗温度特性もVG = 10 Vの時と同様にT = 10 K付近 から,抵抗値が急激に減少している(図 5-93).

図 5-93:極低温領域におけるVG = 13 Vの電気抵抗温度特性

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・磁場依存性測定による超伝導転移の確かめ

このT = 10 K付近から起きる抵抗値の急激な減少が超伝導転移によるものなのかを明

らかにするため,VG = 13 Vを印加して凍らせた状態であるこのデバイスにおいて,試料 に一定の磁場を印加しながらT = 2 ~ 10 Kの抵抗温度特性を測定する,という実験を複数 の磁場の強さによって行い,極低温における抵抗温度特性の磁場依存性を調査することに した.結果は次のようである(図 5-94).

図 5-94:VG = 13 Vにおける抵抗温度特性の磁場依存性

グラフを見ると,磁場を印加していない(B = 0 T)の時は極低温領域で抵抗の減少が見ら れるのに対し,印加する磁場が大きくなるほど抵抗の減少は見られなくなった.すなわち 磁場印加による超伝導の消失であり,超伝導転移の最も代表的な現象とされるゼロ抵抗は 観測されていないものの,極低温領域における抵抗値の急激な減少は超伝導転移に基づく 振る舞いだと確かめることができた.

この結果から,改良を重ねたデバイス構造において,元々絶縁体だったMoS2結晶薄膜 をカリウムイオンインターカレーションによって絶縁体-金属転移,さらには超伝導転移へ と導くことに成功したと言える.したがって,本研究室では初めてとなる,アルカリ金属 イオン電解質を用いた電解質ゲーティングによる層状化合物半導体材料の超伝導化に成功 したのである.

・オーバードープによる超伝導層の減少の可能性

次に,VG = 10 VとVG = 13 Vの抵抗温度特性を比較するため同一グラフにプロットし

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