RATTUS N◎RVEG:CUS
第四節 D2・D3アルブミンの単離
試薬と実験方法
試薬
DEAE Sephadex A−50はアマシャムバイオサイエンスより購入した。その他の試 薬は全て特級を用いた。
D2・D3アルブミン単離
LPS投与1.5日後の血漿を試料とした。第二章第二節において記述した血漿か らのnativeアルブミン精製の操作後、次の操作を追加した。約400mgのアルブミ ン濃縮液26mlを50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)で平衡化しておいた DEAE Sephadex A− 50カラム(1.6×9cm)に流速10ml/hでかけ、200mMリン酸ナ
トリウム緩衝液(pH 7.0)で塩濃度のステップワイズ溶出によりカラム内に残存 しているアルブミンを溶出させた。ゲル濃度7.5%のnative PAGEにより精製率と 各フラクションにおけるアルブミンの移動度を確認した。
結果
D2, D3アルブミンの特性を評価する為にLpS投与1.5日後のラット血漿(30ml)
を2ステップのカラムクロマトグラフィー、Blue Sepharose CL−6BとSephacryl S−300で分離した。Sephacryl S−300カラムのアルブミンフラクションをDEAE Sephadex A−50にかけた。この方法で3つの異なる電荷のアルブミン(フラクショ
ン1,2,3)が得られた(図2−11)。フラクション1,2,3のピーク面積
は23.1%、74.6%、2.3%であった。次にこれらアルブミンをnative pAGEで分析 し(図2−12)、図2−6における移動度と比較した。これらバンド(フラクシ ョン1,2、3)のRf値は0.25、0.54、0.38を示した。このRf値はLPS投与ラ ットの血漿で観察された3種類のRf値と一致する。すなわちDEAE Sephadex A−50 を用いる事で単離できたフラクション1,2,3のアルブミンが、D3,N1,D2ア ルブミンにそれぞれ相当すると判断した。
2.5
2.0
﹃0 0
ー 司■■
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0.5
0.0
0.25
0.20
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コ コ 0 0
0.05
0.00 0 10 20 30 40 50 60 70
Fraction Number(7.5ml/fraction)
図2−11 DEAE Sephadex A.50による異なる電荷を帯びたアルブミンの単離
LPS投与ラットの血漿から第二章第二節の方法でアルブミンを精製した。次に異なる電荷
を帯びたアルブミン(N1, D2, D3)の単離の為に、この精製後のアルブミンをイオン交換ク
ロマトグラフィーにかけた結果、3つのフラクション(F1, F2, F3)が得られた。
1 2 3
←D3
←D2
←Nl
図2−12 イオン交換クロマトグラフィーによって単離した異なる電荷を帯びたアルブ ミンのnative・PAGEプロフィール
図2−11に示してあるフラクション1,2,3をnative PAGEにかけた。レーン1,2,3はフ
ラクション1,2,3である。ゲルはSYpRO Orangeで染色し、蛍光的に捉えた画像を示してい
る。これらアルブミンのRf値は図2−5にそれぞれ相当する。
考察
前節までの結果から、2つのアルブミン(D2, D3)が変性状態であることが示 された。そこでD2・D3アルブミンを構造評価する為、本節では非変性条件下に おける単離を試みた。
native pAGEでnativeアルブミンとD2, D3アルブミンが異なる移動度を持って いる(図2−5)ことは、これらアルブミンの荷電がそれぞれ異なることを示唆 している。そこで荷電の違いで分離するイオン交換クロマトグラフィーを用いれ ば、これら3種類のアルブミンを非変性条件下で単離できると仮説をたてた。
実際、LPS投与1.5日後における血清アルブミンの試料はイオン交換クロマト グラフィーにより3つのフラクション(フラクション1、2、3)に分離された(図 2−11)。図2−12におけるこれら3つのアルブミン(フラクション1、2、3)
の相対移動度は、図2−5におけるnative PAGEのバンドD3, N1, D2の移動度に 相当する。このことからフラクション1,2,3はD3,N1,D2アルブミンであると判 断した。イオン交換クロマトグラフィーの溶出順位とnative PAGEの移動度の順 番の不一致は、イオン交換クロマトグラフィーとnative PAGEで用いたpHが異な ること、native PAGEが表面荷電だけでなく、分子の大きさと形にも強く依存する ことに因ると考えられる。