第五章 腎臓による変性アルブミンの
第二節 内毒素中毒における尿中のアルブミン
試薬と実験方法
試薬
クレアチニンはシグマ(株)、飽和ピクリン酸溶液は和光純薬工業より購入し た。その他の試薬は本論文で関連する各章において述べられている。
尿の採取
代謝研究用飼育ケージを用いた他、二章と同様の方法で飼育した。内毒素中毒 はLPSを5mg/kg体重(10)の濃度で腹腔内投与することで誘導した。尿は微生物 や消化酵素による分解を防ぐ為、滅菌チューブに4℃で回収した。更に24時間で 得られた尿サンプルから餌や糞などの微粒子を除去するため、2,000×gで20分 遠心し、更に上清を0.45μmブイルター(DISMIC−25cs;東洋濾紙(株))で濾過し
た。
糸球体濾過量(GFR)
1.5m1容チューブに尿または血漿5μ1をとり、これに蒸留水45μ1を入れた(10 倍希釈)。一方でクレアチニン標準液(0.5mg/dl)50μ1を他の1.5m1容チューブ
に入れた。飽和ピクリン酸溶液と2.5M NaOHをそれぞれ100μ1ずつ全てのチュ ーブに加えた。撹搾後、20分室温で放置し、蒸留水500μ1を加えてよく撹搾した。
530nmでの吸光度を測定し、以下の式から糸球体濾過量を算出した(11g)。
クレアチニン濃度(mg/dl)
=0.5×10×(希釈試料の吸光度)/(標準液の吸光度)
糸球体濾過量=尿クレアチニン濃度×尿量/血漿クレアチニン濃度
結果
まず変性アルブミンが尿中において存在するか調べた。特異的M−Alb抗体を用 いたWestern Blot法によりD2・D3アルブミンが検出された(図5−1)。また LPS投与により尿中で増加される様子が観察された為、ボリューム解析を行った。
ボリューム解析の結果、コントロールにおいて尿中D2、D3アルブミン濃度は、
それぞれ0.11±0.01μ9/ml、1.73±0.05μ9/m1であった。またLPS投与によって・
それら変性アルブミンの尿中濃度が5倍近くにまで有意に増加することが示され た(図5−2)。血中濃度と比較すると、尿中濃度はピークに達するまでの時間に 約1日の遅れがD2アルブミンにおいて認められた。
アルブミン異性体は濃度ではなく割合で論じられることが多い。そこで総アル ブミンに対する変性アルブミンの占める割合でも同様の変化を示すかどうか調べ た。その結果、割合において濃度と同様の変化が観察された(図5−3)。更に尿 中のD2・D3アルブミンの割合は血中より高いことが示された。
表1には尿排出のパラメータを示した。コントロールに比べ内毒素中毒では尿 量、糸球体濾過量が有意に減少した。このことからLPS投与によって腎臓の機能 が減少したことが示された。
Days after LPS inj ection
O l 2 3 4 5
嚇 鱗繕鎌 ←D3 ←D2
←Native
図5−1 LPS投与ラットの尿中における変性アルブミンの検出