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カベオラ小胞によるgp30の細胞内移動

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ボ・

第五節  カベオラ小胞によるgp30の細胞内移動

試薬と実験方法

試薬

 試薬は本論文で関連する各章において述べられている。

肝内皮細胞の培養

 前章第三節の「肝内皮細胞の単離と培養」と同様の方法で行った。

gp30の内在化と再利用における輸送小胞阻害剤の効果

 本節ではgp30内在化の指標としてgp30抗体の取り込み量、 gp30再利用の指標 として細胞表面のgp30存在量を測定した。内在化と再利用における阻害剤添加の タイミングはEscticheらの方法に従った(39)。すなわち再利用における細胞表面 存在量曲線から、まず最大内在化時間と再利用にかかる時間を算出した(図4−

8A)。次に内在化の阻害に関してはインキュベート開始時に阻害剤を添加し、再 利用の阻害に関しては最大内在化時間に阻害剤を添加した(図4−8B)。

 gp30の活性化は、第二節「gp30の架橋形成とチロシン残基のリン酸化」に示し た方法におけるD3アルブミン処理(50mg/m1)によって行った。

内在化に関しては、コントロールとgp30活性化肝内皮細胞を37℃で50分か20 分(それぞれ最大内在化時間に相当)インキュベートした。その際、FITC標識抗

gp30抗体(3μg/mDを含む培地にfilipin(5 p9/ml)(141), digitonin(4μM)(132),

PAO(2μM)(5)のいずれかの阻害剤の存在下で行った。

再利用に関しては、コントロールか活性化肝内皮細胞を非標識抗gp30抗体 (3 pg/ml)と一緒に37°Cで50分か20分(それぞれ再利用の開始時間に相当)イン キュベートした。洗浄後、各阻害剤を加え、これら肝内皮細胞を37°Cで40分イ ンキュベートした。細胞表面gp30の免疫染色は上記「細胞表面におけるgp30存 在量の経時変化」と同様の方法で行った。

(A)再利用曲線と内在化最大時間 り一コントロール  ・{ド・活性化

図4−8 再利用曲線から算出する内在化の

   最大時間と阻害剤添加のタイミング

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(B)阻害剤添加とインキュベート

 受容体の内在化と再利用における阻害剤添 加のタイミングはEscticheらの方法に従って

決定した(39)。

内在

再利

0  20  40  60  80  100

(A)再利用曲線と内在化最大時間

  図4−6におけるgp30再利用曲線から

  コントロールと活性化肝内皮細胞にお   けるデータを抜粋した。その後、gp30   の内在化が最大になる時間を図中に示   した。この内在化最大時間は細胞表面   への移動(再利用)が開始される時間   の側面もある。

(B)阻害剤添加とインキュベート

  パネルAより算出された内在化最大時

  間(再利用開始時間)をもとに、添加

  剤添加のタイミングとインキュベート

  時間を算出した。青線はコントU一

  ル・赤線は活性化細胞における阻害剤

  とのインキュベート期間を示してい

結果

 前節の結果はgp30の活性化と再利用の関係を示唆した。しかしこれらの結果だ けでは、再利用速度の変化過程について説明するのは難しいと考える。本節では 再利用速度が変化する原因が、輸送小胞の細胞内への放出速度にあるのではない かと仮説をたてた。既に第三章において、変性アルブミンのエンドサイトーシス が、gp30とカベオラ小胞により仲介されることを明らかにしている(9)。そこでま ず、gp30の細胞内移動もカベオラ小胞を用いているか調べた。

 まず活性化した肝内皮細胞におけるFITC標識抗gp30抗体の取り込みに輸送小 胞の阻害剤がどのような影響を与えるか調べた。カベオラ関連エンドサイトーシ スの阻害剤であるfilipinとdigitoninはコントロールと活性化の肝内皮細胞の両方 において、FITC標識抗gp30抗体の取り込みを阻害した(図4−9)。一方クラス リン被覆小胞によるエンドサイトーシス経路の阻害剤であるPAOは、その取り込 みを有意に妨げなかった。この結果は肝内皮細胞においてgp30の内在化がカベオ ラ小胞を用いていることを示している。

 次にgp30が細胞表面に戻る時、カベオラ小胞を使っているか調べた。阻害剤を 加えるタイミングは、gp30の再利用が始まる時間に設定した。 filipinとdigitonin はコントロールと活性化の肝内皮細胞の両方において、FITC標識抗gp30抗体の 細胞表面への移動を阻害した(図4−10)。一方PAOは、その細胞表面への移 動に有意に妨げなかった。この結果は肝内皮細胞においてgp30の再利用にカベオ

ラ小胞を用いていることを示している。そしてこれらの結果 (図4−9&10)

はコントロールあるいは活性化に関わらずgp30が細胞内の内在化と再利用の両 方にカベオラ小胞を用いていることが示された。

 そこでgp30活性化によるD3アルブミンの分解増加とカベオラ小胞との関係を 確かめる為、コントロール及びgp30活性化の肝内皮細胞においてD3アルブミン 取り込み及び分解におけるカベオラ関連エンドサイトーシスの阻害剤効果を観察

した。どちらの細胞でもfilipinは、 FITC標識D3アルブミンの取り込み及び分解 を有意に阻害した(図4−11)。この結果は肝内皮細胞において、D3アルブミ ンの通常のエンドサイトーシスだけでなくgp30活性化による増加分のエンドサ イトーシスもカベオラ小胞が関連する経路であることを示している。

 本章におけるこれまでの結果から、肝内皮細胞においてgp30の活性化が、 gp30 の再利用速度(D3アルブミンのエンドサイトーシス)を上昇させる為、カベオラ 小胞の細胞内への放出を促進しているという仮説がたてられる。内皮細胞膜にお けるカベオラ放出には、カベオリン1のチロシンリン酸化が必要である(97,147)。

そこでgp30の再利用速度の増加とカベオラ放出の関係を調べるため、コントロー ルとgp30活性化細胞におけるカベオリン1のチロシンリン酸化を定量した。図4

−12は肝内皮細胞においてD3アルブミン処理によりgp30が活性化されるほど、

カベオリン1のチロシン残基がリン酸化されることを示している。抗体処理によ るgp30活性化の場合も、同様のチロシンリン酸化が観察された。この結果は肝内 皮細胞において、gp30の活性化がカベオリンのチロシンリン酸化を促進し、細胞 膜から細胞内へのカベオラ放出速度を上昇させることを示している。

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図4−9 肝内皮細胞におけるカベオラ小胞を使ったgp30の内在化

 9P30はD3アルブミン処理(50 mg/mlのD3アルブミン)で活性化した。コントロール(黒

棒)かgp30活性化(白棒)肝内皮細胞をそれぞれ50分あるいは20分 (図4−5&7にお

ける最大内在化時間)37℃でFITC標識抗gp30抗体(3μg/m1)と阻害剤と一緒にインキュベ ートした。阻害剤はクラスリン関連エンドサイトーシス経路の阻害剤のPAO、カベオラ関連 エンドサイトーシス経路の阻害剤のfilipinやdigitoninである。ホモジネート後、内在化gp30 の免疫蛍光強度をFluorlmager 595を使って定量した。データは阻害剤無添加におけるシグナ ル強度を100%として算出した。値は平均値±標準誤差を示している(n=3)。***p<0.001vs.

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図4−10 肝内皮細胞におけるカベオラ小胞を用いたgp30の再利用

 gp30はD3アルブミン処理(50mg/mlのD3アルブミン)で活性化させた。コントロール(黒

棒)かgp30活性化(白棒)肝内皮細胞をそれぞれ50分あるいは20分(図4−5&図4−7

における再利用開始時間)非標識抗gp30抗体(3μg/m1)と37℃でインキュベートした。洗 浄後これら肝内皮細胞を阻害剤入りの培地に交換し、更に40分37°Cでインキュベートした。

酸性緩衝液で洗浄後、細胞表面のgp30を抗gp30抗体とFITC標識二次抗体で1時間4°Cで

それぞれインキュベートすることで染色した。この細胞表面gp30の免疫蛍光強度は、細胞の 回収液をマイクロプレートへ移し、Fluorlmager 595を使って定量した。データは阻害剤無添 加におけるシグナル強度を100%として算出した。値は平均値±標準誤差を示している(n=

3)。  *P<0.05and***Pく0.001 vs. none.

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control 9P30 activation

図4−11 filipinがgp30活性化による1)3アルブミン分解増加を阻害する

 gp30は抗体処理(二次抗体添加)で活性化させた。コントロールとgp30活性化肝内皮細 胞は2時間37°CでFITC標識D3アルブミンとカベオラ関連エンドサイトーシス阻害剤filipin の存在下インキュベートした。FITC標識D3アルブミンの取り込み(黒棒)と分解(白棒)

は細胞破砕液の蛍光強度から測定した(第三章第三節に詳細)。値は平均値±標準誤差を示

している(n=3)。**p<0.01and***p<0.001 vs. none.

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図4−12 肝内皮細胞で1)3アルブミンがカベオリン1のチロシンリン酸化を誘導する

(A) カベオリン1のチロシンリン酸化 肝内皮細胞のgp30を活性化させるため様々な濃 度のD3アルブミン (0,05,5,25,50 mg/ml)と一緒に1時間4°Cでインキュベートした。ま た、抗体処理(二次抗体、右端)でgp30を活性化させた。これらの細胞溶解液を抗カベオリ

ン1抗体で免疫沈澱した。免疫沈澱したタンパク質をSDS−PAGEで分離後、 PVDF膜に転写 した。膜上におけるチロシンリン酸化カベオリン1は抗リン酸化チロシン抗体とFITC標識 二次抗体を用いて検出した。その蛍光画像はFluorImager 595を用いて取得した。

(B)カベオリン1におけるチロシンリン酸化の定量パネル(A)に示されたチロシンリン 酸化カベオリン1の蛍光はFluorImager 595を用いて定量した。データはコントロールにおけ

るシグナル強度を100%として算出した。値は平均値±標準誤差を示している(n=3)。

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