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3.2 高効率石炭火力発電設備導入のメリット

3.2.3 CO 2 削減によるメリット

圧では同580万~960万ドルのCO2クレジットが発生する試算結果となる。

<褐炭を燃料とする場合> <亜瀝青炭を燃料とする場合>

25.4

33.4 33.9

44.5 42.3 55.6

0 10 20 30 40 50 60

超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界

600MW 800MW 1,000MW

(万tCO2/年)

25.0

32.9 33.4

43.9 41.7 54.8

0 10 20 30 40 50 60

超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界

600MW 800MW 1,000MW

(万tCO2/年)

図 3.2.6 超臨界圧、超々臨界圧発電設備を導入した場合のCO2排出削減量

(対亜臨界発電設備)

なお、燃料削減による効果とCO2排出量削減による効果をコスト面で比較すると、CO2

排出量削減による効果は、現状のCO2クレジット価格では燃料削減による効果の4割強と なる。

表 3.2.8 超臨界圧、超々臨界圧発電設備を導入した場合のCO2クレジット

(対亜臨界発電設備)

(万ドル/年)

超臨界圧 超々臨界圧 超臨界圧 超々臨界圧

600MW 445 584 438 576

800MW 593 778 584 767

1,000MW 741 973 730 959

褐 炭 亜瀝青炭

<褐炭を燃料とする場合> <亜瀝青炭を燃料とする場合>

445

584 593

778 741 973

0 200 400 600 800 1,000 1,200

超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界

600MW 800MW 1,000MW

(万ドル/年)

438

576 584

767 730 959

0 200 400 600 800 1,000 1,200

超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界 超臨界圧 超々臨界

600MW 800MW 1,000MW

(万ドル/年)

図 3.2.7 超臨界圧、超々臨界圧発電設備を導入した場合のCO2クレジット

(対亜臨界発電設備)

0 5 10 15 20 25 30 35

'08/8 '08/10 '08/12 '09/2 '09/4 '09/6 '09/8 '09/10 '09/12 '10/2 '10/4 '10/6 '10/8 '10/10 '10/12 '11/2

(ドル/tCO2

出所: BlueNextホームページ掲載BlueNext Spot CERデータ(http://www.bluenext.eu/

図 3.2.8 欧州におけるCO2クレジット価格の推移

(3)プラント価格に対するCO2クレジットの効果

前節に示したように、高効率石炭火力発電設備は、亜臨界圧石炭火力発電設備と比べ、

初期投資額が割高となる。表3.2.2に示したプラント価格(EPCコスト)の試算結果を基 に、高効率石炭火力発電設備を導入したことにより得られるCO2クレジットがプラント価 格にどのような影響(得られたクレジットで初期投資額を相殺する)をもたらすのか算定 する。なお、算定は以下に示す条件の下に行う。

 クレジット価格: 17.5 ドル/tCO2

 クレジット発生期間: 10 年

 割引率: 12 %

 建設期間: 4年

図3.2.9に示すように、運転開始後10年間で得ることのできるクレジットは超臨界圧石

炭火力発電設備で29ドル/kW、超々臨界圧石炭火力発電設備で39ドル/kWと算定される。

超臨界圧、超々臨界圧石炭火力発電設備を導入したいずれの場合も、クレジットを得るこ とで、クレジットが発生しない場合よりも、プラント価格を低減させることが可能になる。

クレジットを得ることにより、超臨界圧石炭火力発電設備は、亜臨界圧石炭火力発電設備 と同等までプラント価格を引き下げることができるようになる。一方、超々臨界圧発電設 備ではプラント建設単価増加分の約6割が削減されることになる。

1,300 1,303

1,365

1,326 1,332

1,200 1,250 1,300 1,350 1,400

クレジットなし クレジットあり クレジットなし クレジットあり

亜臨界圧 超臨界圧 超々臨界圧

プラ/kW

29

39

図 3.2.9 プラント価格に対するCO2クレジットの効果

なお、クレジット価格が先の想定よりも上昇すれば、高効率石炭火力発電所の操業によ り得られるクレジットは増加し、プラント価格をより低減させることが可能になる。二国 間オフセットが成立し、クレジットが確保できることになれば、高効率石炭火力発電所の 導入に有利な状況が生まれる。

仮に10年間のクレジット価格が一定であったとすると、図3.2.10に示すように運転開 始後10 年間で獲得できるkW あたりのクレジットは、クレジット価格の変動に比例して 変化する。超臨界圧発電設備が導入された場合では、クレジット価格を10ドル/tCO2から 50ドル/CO2まで変化させると、運転開始後10年間の獲得クレジットはkWあたり17ド ルから 85ドルまで変化し、クレジット価格が18.8ドル/tCO2を超えると初期投資費の増 加分である32ドル/kWを超えるようになる。

一方、超々臨界圧発電設備がが導入された場合では、10年間の獲得クレジットは22ド ル/kWから112ドル/kWまで変化し、クレジット価格が29.1ドル/ tCO2を超えると初期

投資費の増加分である65ドル/kWを超えるようになる。

クレジット価格は変動するので、一概には言えないが、二国間クレジットで高効率石炭 火力発電設備導入による初期投資額の増加分を回収するには、クレジット価格が超臨界圧 で最低18.8ドル/tCO2、超々臨界圧で最低29.1ドル/tCO2となる必要がある。

0 20 40 60 80 100 120

10 15 20 25 30 35 40 45 50 クレジット価格(ドル/tCO2

(ドル/kW)

29.1 ドル/tCO2

18.8 ドル/tCO2

プラント価格の増加分:超臨界圧 プラント価格の増加分:超々臨界圧 超々臨界圧導入の場合の

獲得クレジット

超臨界圧導入の場合の 獲得クレジット

運転開始後10年間での獲得ク

図 3.2.10 クレジット価格と運転開始後10年間でのkWあたりの獲得クレジットの対比