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2.3 クレジット量の試算

2.3.3 試算結果

インドネシアに褐炭焚き高効率石炭火力発電所を導入した場合のCO2排出削減量の試算 結果は、表2.3.6のとおりである。

表 2.3.6 ベースライン毎のCO2排出削減量の試算結果(褐炭を燃料とする場合)

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW

【ACM0013準拠ケース】

ACM0013のOption 1ケース 26.2 34.9 43.6 34.1 45.5 56.8

ACM0013Option 2ケース 22.8 35.8 44.8 30.7 46.4 58.0

【ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

(300MW~500MW以上) 28.6 46.3 57.9 36.5 56.9 71.1

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 41.7 55.5 69.4 49.6 66.1 82.7

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 95.8 127.7 159.7 103.8 138.3 172.9

J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 17.5 23.4 29.2 25.5 34.0 42.5

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 95.8 127.7 159.7 103.8 138.3 172.9

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 26.2 34.9 43.6 34.1 45.5 56.8 超々臨界圧

超臨界圧

なお、ベースライン毎の CO2排出量とプロジェクトCO2排出量を表 2.3.7、表2.3.8 に 示す。

表 2.3.7 ベースライン毎のCO2排出量

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW

ACM0013準拠ケース】

ACM0013のOption 1ケース 360.8 481.0 601.3

ACM0013Option 2ケース 357.4 482.0 602.5

【ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

(300MW~500MW以上) 363.2 492.5 615.6

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 376.3 501.7 627.1

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 430.4 573.9 717.4

【J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 352.2 469.6 586.9

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 430.4 573.9 717.4

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 360.8 481.0 601.3

表 2.3.8 プロジェクトのCO2排出量(褐炭を燃料とする場合)

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW 334.6 446.2 557.7 326.7 435.6 544.5

超臨界圧 超々臨界圧

<参考:亜瀝青炭焚き高効率石炭火力発電所が導入された場合>

参考として、現在使用している亜瀝青炭を燃料とした高効率石炭火力発電所が導入され る場合についての試算を行った。CO2排出削減量の試算結果は、表2.3.9のとおりである。

また、表2.3.10にプロジェクト CO2排出量を示す。なお、ベースライン毎のCO2排出量

は、褐炭焚き高効率石炭火力発電所(表2.3.7)と同じである。

亜瀝青炭を燃料とした場合と褐炭を燃料とした場合(表2.3.11)、CO2排出削減量に大き な差は見られない。これは、“IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventory, Volume 2 Energy, Chapter 1, Table 1.4”に示される燃料別の単位当たりCO2排出量が、

亜瀝青炭より褐炭の方が小さく示されており(本調査では 95% confidence interval の

Lower の数値を用いている)、使用される数量は褐炭の方が多くなるが、プロジェクトの

CO2排出量は亜瀝青炭の方が数万トン大きくなるためである。

本調査では、以上のようにCO2排出量原単位を IPCC の示す Lowerの数値を適用して 試算を行った。しかし、J-MRVではIPCCのDefaultの数値を用いるよう記述されおり、

またACM0013についても過去のバージョンではDefault値の適用も認めていた経緯もあ

る。そのため、排出量削減量を算出するにあたってCO2排出量原単位としてどちらを用い るのかを検討しておく必要がある。したがって、Default値を用いた場合のCO2削減量の 試算結果を参考まで追加しておく(表2.3.13以降を参照)。

表 2.3.9 ベースライン毎のCO2排出削減量の試算結果(亜瀝青炭を燃料とする場合)

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW

ACM0013準拠ケース】

ACM0013のOption 1ケース 24.9 33.2 41.5 32.7 43.6 54.6

ACM0013Option 2ケース 21.5 34.1 42.7 29.4 44.6 55.7

ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

(300MW~500MW以上) 27.3 44.6 55.8 35.1 55.1 68.9

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 40.4 53.8 67.3 48.2 64.3 80.4

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 94.5 126.0 157.6 102.4 136.5 170.6

J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 16.3 21.7 27.1 24.1 32.2 40.2

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 94.5 126.0 157.6 102.4 136.5 170.6

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 24.9 33.2 41.5 32.7 43.6 54.6

超臨界圧 超々臨界圧

表 2.3.10 プロジェクトのCO2排出量(亜瀝青炭を燃料とする場合)

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW 335.9 447.9 559.8 328.0 437.4 546.7

超臨界圧 超々臨界圧

表 2.3.11 褐炭を燃料とする場合と亜瀝青炭を燃料とする場合の比較

褐炭 亜瀝青炭 褐炭 亜瀝青炭

発電端熱効率 (%) 41.1 41.8 42.1 42.8

送電端熱効率 (%) 38.7 39.3 39.6 40.2

想定する発熱量(net) (kcal/kg) 4,000 5,000 4,000 5,000

(GJ/t) 16.74 20.92 16.74 20.92

石炭使用量 600MW (万t) 220.0 173.0 214.7 169.0

800MW (万t) 293.3 230.7 286.3 225.3

1,000MW (万t) 366.6 288.4 357.9 281.6

IPCCによるCO2排出原単位 tCO2/GJ 0.0909 0.0928 0.0909 0.0928

CO2排出量 600MW (万tCO2/年) 334.6 335.9 326.7 328.0

800MW (万tCO2/年) 446.2 447.9 435.6 437.4 1,000MW (万tCO2/年) 557.7 559.8 544.5 546.7

超臨界圧 超々臨界圧

<参考:CO2排出量原単位にIPCCのDefault値を適用した場合の試算結果>

以下にIPCCのCO2排出量原単位を示す。Default値はLower値より高くなるが、褐炭 のCO2排出量原単位は Lowerの場合は亜瀝青炭より低い数値であったのに対し、default 値では亜瀝青炭より高い。以下に排出量原単位をDefault値した場合のベースライン排出 係数、ベースライン毎の CO2排出量、プロジェクトの CO2排出量、そしてベースライン 毎のCO2排出削減量を示す。

表 2.3.12 CO2排出量原単位

(kg/TJ) Lower Upper Anthracite 98,300 94,600 101,000 Coking Coal 94,600 87,300 101,000 Other Bituminous Coal 94,600 89,500 99,700 Sub-Bituminous Coal 96,100 92,800 100,000 Lignite 101,000 90,900 115,000 Default 95% confidence interval

出所: IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventory, Volume 2 Energy, Chapter 1, Table 1.4

まず、Default 値を用いた場合、想定したケース毎のベースライン排出係数は、CO2排 出量原単位が高くなることで、インドネシアが公表する全発電所の平均排出係数を適用し ている⑥以外は全て高くなる(表 2.3.13)。このため、ベースライン毎のCO2排出量も増 加する(表2.3.14)。一方、プロジェクトのCO2排出量についても、表2.3.15に示すよう に増加する。この結果、ベースライン毎のCO2排出削減量は、表2.3.16のとおりとなる。

表 2.3.13 Default値を用いた場合のケース毎のベースライン排出係数

600MW 800MW 1,000MW

ACM0013準拠ケース】

ACM0013のOption 1ケース

ACM0013Option 2ケース 0.9365

【ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

(300MW~500MW以上) 0.9616

当該地域の総発電電力量の20%に相当する までの運開の新しい方からプラントの平均

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド)

【J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数

当該国における同種燃料の発電所の平均排出 係数

【その他ケース】

1.1308

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 0.9452

1.1308 0.891 0.9452

0.9471

0.9752 0.9982

表 2.3.14 Default値を用いた場合のベースライン毎のCO2排出量

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW

【ACM0013準拠ケース】

ACM0013Option 1ケース 373.6 498.1 622.7

ACM0013のOption 2ケース 370.2 499.1 623.9

ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

300MW500MW以上) 380.1 513.9 642.4

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 394.5 526.1 657.6

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 447.0 595.9 744.9

J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 352.2 469.6 586.9

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 447.0 595.9 744.9

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 373.6 498.1 622.7

表 2.3.15 Default値を用いた場合のプロジェクトのCO2排出量

<褐炭を燃料とする場合>

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW 想定するプロジェクトのCO2排出量 371.8 495.7 619.7 363.0 484.0 605.0

<亜瀝青炭を燃料とする場合>

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW 想定するプロジェクトのCO2排出量 347.8 463.8 579.7 339.7 453.0 566.2

超々臨界圧 超臨界圧

超臨界圧 超々臨界圧

IPCCのLower値を用いた場合、褐炭の排出量原単位の方が亜瀝青炭より小さかったた

め、使用量が多くなる褐炭の場合でもプロジェクトのCO2排出量に大きな差がなかった(表

2.3.8、表2.3.10)。しかし、Default値を用いた場合は、褐炭の排出量原単位の方が亜瀝青

炭より高くかつ使用量も大きくなるため、褐炭を燃料とする場合のプロジェクトの CO2

排出量が多くなる(表2.3.15)。このため、ベースライン毎の CO2排出削減量は、褐炭を 燃料とする場合が亜瀝青炭を燃料とする場合に比べ小さくなる。設定したベースラインに よっては、プロジェクトのCO2排出量がベースラインCO2排出量より高くなる。

表 2.3.16 Default値を用いた場合のベースライン毎のCO2排出削減量の試算結果

<褐炭を燃料とする場合>

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW

【ACM0013準拠ケース】

ACM0013Option 1ケース 1.8 2.4 3.0 10.6 14.2 17.7

ACM0013のOption 2ケース -1.7 3.4 4.2 7.2 15.2 18.9

【ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

(300MW~500MW以上) 8.3 18.2 22.7 17.1 30.0 37.5

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 22.7 30.3 37.9 31.6 42.1 52.6

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 75.1 100.2 125.2 84.0 112.0 140.0

【J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 -19.6 -26.2 -32.7 -10.8 -14.4 -18.0

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 75.1 100.2 125.2 84.0 112.0 140.0

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 1.8 2.4 3.0 10.6 14.2 17.7

超々臨界圧 超臨界圧

<亜瀝青炭を燃料とする場合>

(万tCO2/年)

600MW 800MW 1,000MW 600MW 800MW 1,000MW

【ACM0013準拠ケース】

ACM0013Option 1ケース 25.7 34.3 42.9 33.9 45.2 56.5

ACM0013のOption 2ケース 22.3 35.3 44.2 30.4 46.2 57.7

【ACM0013条件緩和ケース】

運開の新しい方から5プラントの平均

300MW500MW以上) 32.2 50.1 62.7 40.4 61.0 76.2

当該地域の総発電電力量の20%に相当する

までの運開の新しい方からプラントの平均 46.7 62.3 77.8 54.8 73.1 91.4

⑤ 全プラントの平均(JAMARIグリッド) 99.1 132.1 165.2 107.2 143.0 178.7

【J-MRV適用ケース】

⑥ 当該国における全発電所の平均排出係数 4.3 5.8 7.2 12.5 16.6 20.8

当該国における同種燃料の発電所の平均排出

係数 99.1 132.1 165.2 107.2 143.0 178.7

【その他ケース】

インドネシアに亜臨界を導入した場合の最高

熱効率 25.7 34.3 42.9 33.9 45.2 56.5

超臨界圧 超々臨界圧

2.3.4 2基目以降のCO2排出削減量の試算

以上、超臨界圧及び超々臨界圧石炭火力発電所の1基目が導入された場合のCO2排出削 減量の試算を、設定したベースライン毎に試算した。今後、インドネシアではこれら高効 率石炭火力の対象となり得る大型火力発電所の建設が予定されており、以下ではベースラ イン毎に2基目以降のCO2排出削減量の試算を行う。

高効率石炭火力プラントが導入された場合、対象となるグリッドのベースライン熱効率 が上昇、すなわち、ベースラインCO2排出係数が低くなる。したがって、高効率石炭火力 発電所が順次導入され、これらがベースラインを算出する場合の対象になる場合を想定し