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石炭火力発電設備の導入規模と高効率石炭火力発電( SC 、 USC )導入の

RUPTL10-19の電源開発計画によれば、インドネシアにおける石炭火力発電所の開発計

画は2010年から2019年にかけて合計で32,697MWとなっている。これは、全体の電源 開発計画の 58.9%を占めている。また、地域別に見るとジャワ-バリにおける石炭火力発 電所の開発計画が21,625MWと最も多く、石炭火力発電所開発計画(32,697MW)の66% を占めている。事業者別にみるとPLNとIPPはほぼ2分する形になっており、石炭火力 発電所の電源開発はジャワ-バリを中心にPLNとIPPがともに進めていくこととなってい る。

表 1.3.1 インドネシアにおける石炭火力発電所開発計画

(単位:MW)

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 合計 構成比 PLN 3,205 2,625 - 700 1,660 - 1,000 - - 3,000 12,190 56.4%

IPP - 660 2,265 450 1,400 1,000 1,860 1,200 600 - 9,435 43.6%

3,205 3,285 2,265 1,150 3,060 1,000 2,860 1,200 600 3,000 21,625 100%

PLN 37 964 634 320 308 - 200 200 - - 2,663 36.7%

IPP 12 231 8 630 472 950 450 525 630 690 4,598 63.3%

49 1,195 642 950 780 950 650 725 630 690 7,261 100%

PLN 49 501 200 459 235 110 - - 7 7 1,568 41.1%

IPP 14 - 376 623 340 210 240 205 180 55 2,243 58.9%

63 501 576 1,082 575 320 240 205 187 62 3,811 100%

PLN 3,291 4,090 834 1,479 2,203 110 1,200 200 7 3,007 16,421 50.2%

IPP 26 891 2,649 1,703 2,212 2,160 2,550 1,930 1,410 745 16,276 49.8%

3,317 4,981 3,483 3,182 4,415 2,270 3,750 2,130 1,417 3,752 32,697 100%

ジャワ・バリ

インドネシア 全体 西部 インドネシア

東部 インドネシア

出所:RUPTL10-19を基に作成

地域別、事業者別に見ると、ジャワ-バリにおけるPLN、IPP(民間)の計画はともに総 発電設備容量が300MW以上のプロジェクトが大半を占めており、東部、西部インドネシ

アでは300MW未満のプロジェクトが大半を占めている。

ジャワ-バリでのPLNのプロジェクトで最も大きなものは中部ジャワのJawa Tengah Baru

(2,000MW25)と西ジャワのIndramayu Baru(2×1,000MW)となっており、さらに西

ジャワのJawa Barat Baru(1,000MW26)などが計画されている。一方で、IPP(民間)

のプロジェクトで最も大きなものは南スマトラのSumatera Mulut Tambang(BT+MR27

(5×600MW)で、その他に中部ジャワのJawa Tengah(Infrastruktur)(2×1,000MW)、

Banten(1×660MW)が計画されている。今後、これらの大型プロジェクトが、高効率

石炭火力発電の対象になると考えられる。

西部、東部インドネシアの電源開発計画では、総発電設備容量の小さいプロジェクトが 大半を占めている。総発電設備容量が600MW 以上の発電所のプロジェクトは、IPP(民

25 設備容量内訳は不明

26 設備容量内訳は不明

27 発電電力量のほとんどを直流高圧送電(HVDC)によりジャワ-バリ系統へ送電するため、ジャワ-バリで IPPとされている。

間)のジャンビ州のJambi(2×400MW)、リアウ州のRiau Mulut Tambang(2×300MW)、

南スマトラSumsel-6(2×300MW)のみとなっている。

表 1.3.2 ジャワ-バリシステムにおける石炭火力発電所建設 プロジェクト一覧(300MW以上)

(単位:MW)

状況 操業開始年 所在

Jawa Tengah Baru 計画 2,000 2019 中部ジャワ

Indramayu Baru 計画 2 × 1,000 2,000 2014、2016 西ジャワ

Pelabuhan Ratu 建設中 3 × 350 1,050 2011 西ジャワ

Jawa Barat Baru 計画 1,000 2019 西ジャワ

Indramayu 建設中 3 × 330 990 2010 西ジャワ

Teluk Naga/Lontar 建設中 3 × 315 945 2011 バンテン

Tj. Awar-awar 建設中 2 × 350 700 2013 東ジャワ

Cilacap Baru/Adipala 建設中 1 × 660 660 2014 中部ジャワ

Paiton 建設中 1 × 660 660 2010 東ジャワ

Rembang 建設中 2 × 315 630 2010 中部ジャワ

Pacitan 建設中 2 × 315 630 2011 東ジャワ

Suralaya 建設中 1 × 625 625 2010 バンテン

Labuan 建設中 1 × 300 300 2010 バンテン

Sumatera Mulut Tambang 計画 5 × 600 3,000 2016-2018 南スマトラ

Jawa Tengah 計画 2 × 1,000 2,000 2014、2015 中部ジャワ

Tanjung Jati B Exp 建設中 2 × 660 1,320 2012 中部ジャワ

Paiton 3-4 Exp 建設中 1 × 815 815 2012 東ジャワ

Banten 計画 1 × 660 660 2016 バンテン

Cirebon 建設中 1 × 660 660 2011 西ジャワ

Madura 計画 2 × 200 400 2014 東ジャワ

建設中 1 × 130 2012 バリ

建設中 2 × 125 2013 バリ

PLN

IPP

(民間)

設備容量 プロジェクト名

Bali Utara/Celukan Bawang 380

注: ※は、設備詳細が不明。

出所:RUPTL10-19を基に作成

表 1.3.3 西部インドネシアにおける石炭火力発電所建設 プロジェクト一覧(300MW以上)

(単位:MW)

状況 操業開始年 所在

Pangk. Susu FTP1 2 × 220 440 2011、2012 北スマトラ州

Pangk. Susu FTP2 2 × 200 400 2013、2014 北スマトラ州

Meulaboh 計画 2 × 200 400 2016、2017 ナングロ・アチェ・

ダルサラム州

Jambi 計画 2 × 400 800 2018 ジャンビ州

Riau Mulut Tambang 計画 2 × 300 600 2016、2017 リアウ州

Sumsel-6 計画 2 × 300 600 2014、2015 南スマトラ州

Tarahan #1,2 計画 2 × 200 400 2018、2019 ランプン州

Sumsel-5 計画 2 × 150 300 2014、2015 南スマトラ州

Sumsel-7 計画 2 × 150 300 2015、2016 南スマトラ州

プロジェクト名 設備容量

PLN

IPP

(民間)

出所:RUPTL10-19を基に作成

第 2 章 高効率石炭火力発電設備導入よる CO

2

排出削減効果

2.高効率石炭火力発電設備導入よるCO2排出削減効果

インドネシアを相手国とした二国間オフセットメカニズムを構築する場合、現行のCDM 制度、方法論をそのまま適用することが難しいため、インドネシアに適しかつ世界が認め る新たな方式によるベースライン排出係数を定める必要がある。

本章では、インドネシアにおいて高効率石炭火力発電設備を導入した場合のCO2排出削 減量(クレジット量)を試算するためのベースライン設定について検討する。さらに、検 討したいくつかのベースラインをもとに、高効率石炭火力発電設備が導入された場合のCO2

排出削減量の試算を行う。

まず、ベースラインの算出に必要なデータを収集するために、既存石炭火力発電所の運 転状況について整理する。次に、収集したデータをもとに、提案するいくつかのベースラ インを計算し、それぞれのベースラインについて高効率石炭火力発電所が導入された場合 のCO2排出量を試算する。

なお、本調査では、特定の高効率石炭火力発電プロジェクトを前提にしていないため、

600MW、800MW、1,000MW の超臨界圧、及び超々臨界圧石炭火力発電所を導入すると

して、それぞれについて試算を行うこととする。