石炭消費量削減とクレジット獲得による効果

投資費の増加分である65ドル/kWを超えるようになる。

クレジット価格は変動するので、一概には言えないが、二国間クレジットで高効率石炭 火力発電設備導入による初期投資額の増加分を回収するには、クレジット価格が超臨界圧 で最低18.8ドル/tCO2、超々臨界圧で最低29.1ドル/tCO2となる必要がある。

0 20 40 60 80 100 120

10 15 20 25 30 35 40 45 50 クレジット価格（ドル/tCO2）

（ドル/kW）

29.1 ドル/tCO2

18.8 ドル/tCO₂

プラント価格の増加分：超臨界圧 プラント価格の増加分：超々臨界圧 超々臨界圧導入の場合の

獲得クレジット

超臨界圧導入の場合の 獲得クレジット

運転開始後10年間での獲得クレジット

図 3.2.10 クレジット価格と運転開始後10年間でのkWあたりの獲得クレジットの対比

入した場合の回収年数が2年（亜瀝青炭を燃料とする場合）から3年（褐炭を燃料とする 場合）短縮される結果となった。

表 3.2.9 燃料費節約と獲得クレジットによる初期投資額増加分の回収年数

＜褐炭を燃料とする場合（褐炭価格60ドル/トン、CO2クレジット価格17.5ドル/ｔCO2と想定）＞

（万ドル）

増額分 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目

600MW

亜臨界圧 78,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 79,920 1,920 1,002 445 919 1,740 2,473 3,127 3,711 4,233 4,699 5,115 超々臨界圧 81,900 3,900 1,315 584 1,207 2,284 3,247 4,106 4,873 5,557 6,169 6,715 800MW

亜臨界圧 104,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 106,560 2,560 1,336 593 1,226 2,320 3,297 4,170 4,948 5,644 6,265 6,819 超々臨界圧 109,200 5,200 1,754 778 1,609 3,046 4,329 5,474 6,497 7,410 8,225 8,953 1,000MW

亜臨界圧 130,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 133,200 3,200 1,670 741 1,532 2,900 4,121 5,212 6,186 7,055 7,831 8,524 超々臨界圧 136,500 6,500 2,192 973 2,011 3,807 5,411 6,843 8,121 9,262 10,281 11,191

年間獲得 クレジット

初期投資額 年間燃料

費節約額

燃料費節約分＋クレジット（累計）

注： 年数は運転開始後の年数を示す。

割引率12％、建設期間4年で試算。なお、減価償却費はキャッシュフローに考慮していない。

＜亜瀝青炭を燃料とする場合（亜瀝青炭価格87.5ドル/トン、CO2クレジット価格17.5ドル/ｔCO2と想定）＞

（万ドル）

増額分 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目

600MW

亜臨界圧 78,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 79,920 1,920 1,129 438 996 1,885 2,679 3,387 4,020 4,585 5,090 5,540 超々臨界圧 81,900 3,900 1,482 576 1,308 2,476 3,518 4,449 5,280 6,022 6,685 7,277 800MW

亜臨界圧 104,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 106,560 2,560 1,505 584 1,328 2,513 3,572 4,517 5,360 6,114 6,786 7,387 超々臨界圧 109,200 5,200 1,976 767 1,744 3,301 4,691 5,932 7,040 8,030 8,913 9,702 1,000MW

亜臨界圧 130,000 - - - - - - - - - -

-超臨界圧 133,200 3,200 1,881 730 1,660 3,141 4,464 5,646 6,700 7,642 8,483 9,234 超々臨界圧 136,500 6,500 2,471 959 2,180 4,126 5,864 7,415 8,800 10,037 11,142 12,128

年間獲得 クレジット

初期投資額 年間燃料 燃料費節約分＋クレジット（累計）

費節約額

注： 年数は運転開始後の年数を示す。

割引率12％、建設期間4年で試算。なお、減価償却費はキャッシュフローに考慮していない。

（2）30年間の累積キャッシュフロー

褐炭を燃料とする1,000MWの超臨界圧と超々臨界圧石炭火力発電設備について、割引 率を変化させることで30年間の累積キャッシュフローを試算した。

【燃料節約分のみ、クレジットなしの場合】

石炭価格（ここでは褐炭価格）が50 ドル/トンから70 ドル/トンの範囲で変動するとし て30年間の累積キャッシュフローを計算した。その結果、超臨界圧を導入した場合では、

割引率を 20％と見ても、30 年間の累積キャッシュフローが正の値となり、超臨界圧導入 にメリットがあることが示される。

一方、超々臨界圧を導入する場合では、石炭価格が50ドル/トンの場合、割引率17％で 負の値となり導入メリットがなくなり、石炭価格が60ドル/トンの場合では割引率20％で 負の値となり導入メリットがなくなる。

0 5,000 10,000 15,000 20,000

6 8 10 12 14 16 18 20

割引率（％）

累積キャッシュフロー（万$） 石炭価格：70ドル/トン

石炭価格：60ドル/トン 石炭価格：50ドル/トン

図 3.2.11 割引率と累積キャッシュフロー（超臨界圧、燃料節約分のみ、クレジットなし）

-5,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

6 8 10 12 14 16 18 20

割引率（％）

累積キャッシュフロー（万$）

石炭価格：70ドル/トン 石炭価格：60ドル/トン 石炭価格：50ドル/トン

図 3.2.12 割引率と累積キャッシュフロー（超々臨界圧、燃料節約分のみ、クレジットなし）

【燃料節約分、クレジット（運転開始後10年間クレジットを獲得）ありの場合】

石炭価格（ここでは褐炭価格）を60 ドル/トンと固定して、クレジット価格が7.5ドル /tCO2から27.5ドル/tCO2の範囲で変動するとして30年間の累積キャッシュフローを計算 した。その結果、クレジット獲得により 30 年間の累積キャッシュフローは増加し、超臨 界圧、超々臨界圧のどちらを導入する場合でも、割引率20％においても正の値となり導入 メリットがあることになる。なお、割引率12％では、超々臨界圧導入の累積キャッシュフ ロー方が超臨界圧より大きくなる。

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

6 8 10 12 14 16 18 20

割引率（％）

累積キャッシュフロー（万$）

石炭価格：60ドル/トン

石炭価格：60ドル/トン+クレジット：27.5ドル/tCO2 石炭価格：60ドル/トン+クレジット：17.5ドル/tCO2 石炭価格：60ドル/トン+クレジット：7.5ドル/tCO2

図 3.2.13 割引率と累積キャッシュフロー（超臨界圧、燃料節約分あり、クレジットあり）

-5,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

6 8 10 12 14 16 18 20

割引率（％）

累積キャッシュフロー（万$）

石炭価格：60ドル/トン

石炭価格：60ドル/トン+クレジット：27.5ドル/tCO2 石炭価格：60ドル/トン+クレジット：17.5ドル/tCO2 石炭価格：60ドル/トン+クレジット：7.5ドル/tCO2

図 3.2.14 割引率と累積キャッシュフロー（超々臨界圧、燃料節約分あり、クレジットあり）