(9) VRRP
5.2 CLI での操作
5.2.1 補完機能
コマンドライン上で[Tab]キーを入力すると,コマンド入力時のコマンド名称やファイル名の入力を少な くすることができ,コマンド入力が簡単になります。補完機能を使用したコマンド入力の簡略化を次の図に 示します。
図 5‒3 補完機能を使用したコマンド入力の簡略化 (config)# in[Tab]
(config)# interface
また,[Tab]キーを入力すると使用できるパラメータやファイル名の一覧が表示されます。補完機能を使 用したパラメータやファイル名の表示例を次の図に示します。
図 5‒4 補完機能を使用したパラメータやファイル名の表示例 (config)# interface [Tab]
async loopback port-channel gigabitethernet mgmt range
hundredgigabitethernet null tengigabitethernet (config)# interface
5.2.2 ヘルプ機能
コマンドライン上で「?」を入力すると,指定できるコマンドまたはパラメータを検索できます。また,コ マンドやパラメータの意味を知ることができます。次の図に「?」入力時の表示例を示します。
図 5‒5 「?」入力時の表示例
> show port ?
<port list> <nif no.>/<port no.> ex."1/2", "2/1-5", "3/1,4/1", "*/*"
statistics Display the statistics information list of ports transceiver Display the transceiver information list of ports <cr>
> show port
なお,パラメータの入力途中でスペース文字を入れないで「?」を入力した場合は,補完機能が実行されま す。また,コマンドパラメータで?文字を使用する場合は,[Ctrl]+[V]キーを入力したあと「?」を入 力してください。
5.2.3 入力エラーメッセージ
コンフィグレーションコマンドまたは運用コマンドを不正に入力した場合,エラー位置を「^」で指摘して,
次行にエラーメッセージを表示します。[Tab]キー入力時と「?」入力時も同様となります。
「^」の指摘個所とエラーメッセージの説明によって,コマンドまたはパラメータを見直して再入力してくだ さい。入力エラーメッセージの表示例を次に示します。
図 5‒6 範囲外の数値を入力した場合の表示例
> show nif 33 show nif 33 ^
% The value at the ^ marker is outside the valid range.
> show nif 33
図 5‒7 パラメータが不足している場合の表示例
> show ip show ip ^
% The command at the ^ marker is invalid.
>
入力エラーメッセージ一覧を次の表に示します。
表 5‒3 入力エラーメッセージ一覧
メッセージ 説明
% '<word>' is invalid in this location. 不正な文字'<word>'が入力されています。
<word>:不正な文字
% The combination with the already-entered parameter at the ^ marker is invalid.
「^」の個所で入力済みのパラメータが入力されています。
% The command at the ^ marker is invalid. 「^」の個所でコマンドを実行するのに必要なパラメータが不 足しています。
% The command is too long. 一度に入力できる文字数を超えています。
% The command or parameter at the ^ marker is invalid.
「^」の個所で不正なコマンドまたはパラメータが入力されて います。
% The format at the ^ marker is invalid. 「^」の個所で入力形式が不正なパラメータが入力されていま す。
% The IP address format at the ^ marker is invalid.
「^」の個所で不正な IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスが 入力されています。
% The name at the ^ marker is invalid. 「^」の個所で不正な名称が入力されています。
% The parameter at the ^ marker is too long. 「^」の個所で桁数の制限以上のパラメータが入力されていま す。
% The value at the ^ marker is invalid. 「^」の個所で不正な数値が入力されています。
% The value at the ^ marker is outside the valid range.
「^」の個所で範囲外の数値が入力されています。
5.2.4 コマンド短縮実行
コマンドまたはパラメータを短縮して入力して,入力された文字が一意のコマンドまたはパラメータとして 特定できる場合,コマンドを実行します。短縮入力のコマンド実行例を次の図に示します。
図 5‒8 短縮入力のコマンド実行例(show netstat interface の短縮入力)
> sh nets in [Enter]
Date 20XX/07/19 12:00:00 UTC
Name Mtu Network Address Ipkts Ierrs Opkts Oerrs Colls Eth1/2 1500 192.168/24 192.168.0.60 3896 2 2602 0 0
>
なお,短縮実行できるコンフィグレーションコマンドはコンフィグレーションのモードによって異なりま す。
コンフィグレーションコマンド show
コンフィグレーションの各モードで短縮実行できます。
コンフィグレーションコマンド commit,end,quit,exit,rollback,save,status,top
グローバルコンフィグレーションモード,または template コマンド実行後に移行するサブモード(第 二階層)でだけ短縮実行できます。ほかのモードで短縮実行すると入力エラーになります。
コンフィグレーションコマンド end-template
template コマンド実行後に移行するサブモード(第二階層)でだけ短縮実行できます。ほかのモード で短縮実行すると入力エラーになります。
コンフィグレーションコマンド delete,insert,replace
template コマンド実行後に移行するサブモード(第二階層)以降のモードで短縮実行できます。ほか のモードで短縮実行すると入力エラーになります。
上記以外の各モードのコンフィグレーションコマンド
各モードで一意に特定できたコマンドを短縮実行できます。
また,*を含むパラメータを指定した場合は,それ以降のパラメータについて短縮実行できません。
5.2.5 ヒストリ機能
ヒストリ機能を使用すると,過去に入力したコマンドを簡単な操作で再実行したり,過去に入力したコマン ドの一部を変更して再実行したりできます。ヒストリ機能を使用した例を次の図に示します。
図 5‒9 ヒストリ機能を使用したコマンド入力の簡略化
> ping 192.168.0.1 numeric count 1 <-1 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes
64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=0 ttl=31 time=1.329 ms 192.168.0.1 PING Statistics
---1 packets transmitted, ---1 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 1.329/1.329/1.329 ms
> <-2
> ping 192.168.0.1 numeric count 1 <-3 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes
64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=0 ttl=31 time=1.225 ms 192.168.0.1 PING Statistics
---1 packets transmitted, ---1 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 1.225/1.225/1.225 ms
> <-4
> ping 192.168.0.2 numeric count 1 <-5 PING 192.168.0.2 (192.168.0.2): 56 data bytes
192.168.0.2 PING Statistics
---1 packets transmitted, 0 packets received, ---100.0% packet loss
>
1. 192.168.0.1 に対して ping コマンドを実行します。
2.[↑]キーを入力することで前に入力したコマンドを呼び出せます。
この例の場合,[↑]キーを1回押すと「ping 192.168.0.1 numeric count 1」が表示されるので,
[Enter]キーの入力だけで同じコマンドを再度実行できます。
3. 192.168.0.1 に対して ping コマンドを実行します。
4.[↑]キーを入力することで前に入力したコマンドを呼び出し,[←]キーおよび[Backspace]キーを 使ってコマンド文字列を編集できます。
この例の場合,[↑]キーを1回押すと「ping 192.168.0.1 numeric count 1」が表示されるので,IP アドレスの「1」の部分を「2」に変更して[Enter]キーを入力しています。
5. 192.168.0.2 に対して ping コマンドを実行します。
ヒストリ機能に次の表に示す文字列を使用した場合,コマンド実行前に過去に実行したコマンド文字列へ変 換したあとでコマンドを実行します。なお,コンフィグレーションコマンドでは,コマンド文字列変換はサ ポートしていません。
表 5‒4 ヒストリのコマンド文字列変換で使用できる文字一覧
指定 説明
!! 直前に実行したコマンドへ変換して実行します。
!n ヒストリ番号 n※のコマンドへ変換して実行します。
!-n n回前のコマンドへ変換して実行します。
!str 文字列 str で始まる過去に実行した最新のコマンドへ変換して実行します。
^str1^str2 直前に実行したコマンドの文字列 str1 を str2 に置換して実行します。
注※
運用コマンド show history で表示される配列番号のこと。
また,過去に実行したコマンドを呼び出して,コマンド文字列を編集したり,[Backspace]キーや[Ctrl]
+[C]キーで消去したりしたあと,再度コマンドを呼び出すと,該当コマンドのヒストリを編集したり消 去したりできます。
注意
• 通信ソフトウェアによって方向キー([↑],[↓],[←],[→])を入力してもコマンドが呼び出さ れない場合があります。その場合は,通信ソフトウェアのマニュアルなどで設定を確認してくださ い。
• 装置を再起動すると,ヒストリ機能のコマンド履歴は消去されます。
5.2.6 パイプ機能
パイプ機能を利用すると,コマンドの実行結果を別のコマンドに引き継げます。実行結果を引き継ぐコマン ドに grep コマンドを使うと,コマンドの実行結果をよりわかりやすくできます。「図 5‒10 show sessions コマンド実行結果」に show sessions コマンドの実行結果を,「図 5‒11 show sessions コマン ド実行結果を grep コマンドでフィルタリング」に show sessions コマンドの実行結果を grep コマンドで フィルタリングした結果を示します。
図 5‒10 show sessions コマンド実行結果
> show sessions
Date 20XX/01/07 12:00:00 UTC
operator console --- 0 Jan 6 14:16
operator aux --- 1 Jan 6 14:16 (ppp0:200.10.10.1) operator ttyp0 --- 2 Jan 6 14:16 (192.168.3.7) operator ttyp1 admin 3 Jan 6 14:16 (192.168.3.7)
図 5‒11 show sessions コマンド実行結果を grep コマンドでフィルタリング
> show sessions | grep admin
operator ttyp1 admin 3 Jan 6 14:16 (192.168.3.7)
>
5.2.7 リダイレクト
リダイレクト機能を利用すると,コマンドの実行結果をファイルに出力できます。show ip interface コマ ンドの実行結果をファイルに出力する例を次の図に示します。
図 5‒12 show ip interface コマンド実行結果をファイルに出力
> show ip interface > show_interface.log
>
5.2.8 ページング
ページングが有効な場合,コマンドの実行によって出力される結果が一画面にすべて表示しきれないとき に,ユーザのキー入力を契機として一画面ごとに区切って表示します。ただし,リダイレクトがあるときに はページングをしません。なお,コンフィグレーションコマンド username,または運用コマンド set terminal pager でページングを有効にしたり無効にしたりできます。
5.2.9 CLI 設定のカスタマイズ
自動ログアウト機能や CLI 機能の一部は,CLI 環境情報としてユーザごとに動作をカスタマイズできます。
カスタマイズできる CLI 機能と CLI 環境情報を次の表に示します。
表 5‒5 カスタマイズできる CLI 機能と CLI 環境情報
機能 カスタマイズ内容と初期導入時のデフォルト設定
自動ログアウト 自動ログアウトするまでの時間を設定できます。
初期導入時のデフォルト設定は,60 分です。
ページング ページングするかどうかを設定できます。
初期導入時のデフォルト設定は,ページングをします。
ヘルプ機能 ヘルプメッセージで表示するコマンドの一覧を設定できます。
初期導入時のデフォルト設定は,運用コマンドのヘルプメッセージを表示する際に,入力 できるすべての運用コマンドの一覧を表示します。
これらの CLI 環境情報は,ユーザごとに,コンフィグレーションコマンド username で設定できます。ま たは,次に示す運用コマンドで一時的に該当セッションでの動作を変更できます。
• set exec-timeout
• set terminal pager
• set terminal help
コンフィグレーションコマンドで設定した場合,一度ログアウトして再度ログインすると設定値が有効とな ります。運用コマンドで一時的に動作を変更した場合は,設定状態を表示できないため,各機能の動作状態 で確認してください。