第 5 章 CFRP グリッドの有効ひずみと RC はりのせん断耐力の評価
5.4 CFRP グリッドの有効ひずみ式の検証
5.4.2 解析概要
縦横両方向 CFRP グリッドの分担状況を明らかにするため,試験結果をシミ ュレートし,FEM解析を用いて検討した。
(1)解析方法
図-5.4.2 および表-5.4.5 に解析モデルまた種類を示す。解析は汎用 FEM ソフトであるDianaを用いて,3次元非線形解析を行った。コンクリート,PCM およびCFRPグリッドは三角柱,四角柱ソリッド要素,鉄筋は埋め込み鉄筋要素 を用いた。また,CFRPグリッドとコンクリートの間に完全定着とした。
解析は載荷点部の節点に Z 方向強制変位を与えることにより実施した。収束
計算にはNewton-Raphson法を採用し,収束判定条件としてはエネルギーノルム
を0.5%と設定した。なお,収束条件を満足しない場合(最大反復数10回)には 収束計算を打ち切り,次の解析ステップへ不釣合い力を持ち越す方法を採用し た。境界条件は,支点部の節点にそれぞれYZ方向とZ方向変位成分を拘束し,
150 1300
1300
50@54=2700 25
25
200 2350 200
2750
500
240 200 20 20
D32 D10
CFRPグリッド 吹付けモルタル
150 1300
1300
100@26=2600 75
75
200 2350 200
2750
500
240 200 20 20
D32 D10
CFRPグリッド 吹付けモルタル
700 400 700 50
50
50 50
1900
3030240 300
CR6 50×50 CFRPグリッド D6@150
4
CFRPグリッド 吹付けモルタル
D22
300
30 180 30
D22 D6@150
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中央断面の節点にX方向変位成分を拘束した。
(a)D-1 (b)D-2
(c)E-1
図-5.4.2 解析モデル
表-5.4.5 解析モデルの種類
Type CFRPグリッド
(ピッチ:縦×横)
引張鉄筋比 pw
有効高さ d, (mm)
せん断 スパン a,(mm)
せん断 スパン比
a/d
D-1 CR-4@50×50
4.37% 454 1100
2.42
D-2 CR-8@100×100 454 1100
E-1 CR-4@50×50 3.58% 270 700 2.59
拘束条件 (Z+Y方向)
拘束条件 (Z方向) 強制変位
(Z方向)
拘束条件 (X方向)
CFRPグリッド(CR4@50) PCM コンクリート
計測位置
拘束条件 (Z+Y方向)
拘束条件 (Z方向) 強制変位
(Z方向)
拘束条件 (X方向)
CFRPグリッド(CR8@100) PCM コンクリート
計測位置
拘束条件 (Z+Y方向)
拘束条件 (Z方向) 強制変位
(Z方向)
拘束条件 (X方向)
CFRPグリッド(CR4@50) PCM コンクリート
計測位置
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(2)材料構成則
本研究では,コンクリート要素に分布ひび割れモデルを適用して解析を実施 した。図-5.4.3 (a)にコンクリートの応力-ひずみ関係を示す。圧縮側の構成 則に関しては,強度試験から得られた圧縮強度 fc’を用い,コンクリート標準示 方書19)に基づいて定式化した。また,降伏の判定にはvon Misesの降伏条件を用 いている。一方,引張側に関しては,コンクリート標準示方書による引張軟化曲 線を適用している(図-5.4.3(b))。図中のA,heqおよびGfは,それぞれの要 素の体積,等価要素長およびコンクリート引張破壊エネルギーである。Gfは
CEB-FIP Modelcode22) に基づいて,式 3.4.1のように定義している。なお,本研究で
適用した分布ひび割れモデルの場合,引張側の軸方向ひずみのコンターレベル が図中の ε1 に達した時点でひび割れが発生し,ε3に達した時点でひび割れが開 口していることを意味している。
CFRPグリッドには図-5.4.4に示すような引張強度に達したら応力およびひ ずみがゼロになるvon Misesモデルとした。一方,鉄筋には図-5.4.5に示すよ うな弾塑性体モデルを適用した。降伏はVon Misesの降伏条件に従うものとし,
降伏ひずみに達した後のひずみ硬化係数を1/100とした場合について示す。
(a)圧縮側 (b)引張側
図-5.4.3 コンクリートの構成則
図-5.4.4 CFRP グリッドの構成則 図-5.4.5 鉄筋の構成則
f 'c
σ(MPa) ɛ(×10-6)
002) . 2 0 002 ( . ' 0 85 .
0
fc
f t σ(MPa)
f t/ 4
ɛ1 ɛ2 ɛ3 ɛ(×10-6)
E ft
1
eq t
f
h f
G
0.75
2
eq t
f
h f
G
5
3
-f t0 f t0
ɛt0
-ɛt0 Ew
ɛ(×10-6) σ(MPa)
-f y f y
ɛy -ɛy E0
E0 / 100
ɛ(×10-6) σ(MPa)
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