第一項 鴨川市における残したい味
鴨川市全体における「残したい味」について
WS
を行った。その結果,多くの意見 が抽出された。「鴨川の残したい味」の食材として挙がった食べ物を例として提示する(図 47)。
モウソウ竹の 筍
は竹 まだけの筍
ひじき ひじき ひじき ひじき 長狭米 こし
ひかり 長狭米 こし ひかり 長狭米 こし ひかり
天草 麦
赤米 黒米
は竹 菜花
だいだい
筍
もくぞうがに どじょう
天然うなぎ 夏みかん
ハス
のぶき
いのしし
は竹
金目鯛
ハバ
なまこ あわび
さざえ
伊勢えび
とこぶし しったか
磯物 天草
金目鯛
落花生
葉唐辛子
えび 山ウド
はば
さざえ
ざっこ ふき
葉唐辛子
のびる
わかめ わかめ
あじ あじ
イカ 菜花
よもぎ 生姜 ふき
小湊産わ か め
椎茸 みょうが
ふじつぼ
しいら シーラ
えんざら びんたあじ
もくぞうがに しじみ
しったか あわび
ぶり(いなだ)
あゆ
ふきのとう
天草
カメノテ
いわし
のり 磯まつ(のり)
まながつ(う ちわ)
サンショウ
いそっぴ 夏みかん
筍
は竹 筍
まだけの筍 ふきのとう
びわ
あずき 餅米
曽呂のホシヒ カリ 曽呂のこしひ かり
さば
かつお 金時豆
あじ 菜花
曽呂のこしひ かり
曽呂二子のこ しひかり
長狭の餅米
天津のひじき 曽呂の白菜
桃太郎トマト とろろいも
夏みかん
さざえ 長狭米 こし ひかり
大根
ゆず みょうが
ひじき いせえび
いそっぴ
さざえ
とこぶし あわび
さば
ひじき わかめ はば
あじ
伊勢えび
天草 伊勢えび
キュウリ
かぶ
ブルーベリー 甘夏ミカン
さつまいも
柿
茄子
タマネギ サニーレタス
菜花
枝豆 ジャガイモ
わらび 小松菜
長ネギ
大根
ふきのとう
筍 菜花
いちご
空豆
トマト おくら
白菜
天草 わかめ
ねぎ
玉葱 黒いも
ふき
しそ
落花生
スナックエン ドウ じゃがいも
茄子
パセリ
白カボチャ カボチャ
ほうれん草
ひじき
あじ さば いわし
小松菜
大根 さつまいも
長狭米 こし ひかり
ひじき
いか わらび
柿
長芋 山芋 さつまいも
菜花
わかめ はば
さば 金目鯛
モウソウ竹の 筍 大浦ごぼう
うり
図 47 鴨川市の残したい味で出された意見(食材)
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千葉県にスローフード協会はないが,スローフード協会の定める「味の箱舟」5つ の認定基準に則った。認定基準は以下の通りである。
①その生産物が,特別に美味しいこと(美味しさとは,その土地の習慣や伝統を基準 にすること)
②その生産物が,ある程度の長い年月にわたって,その土地に存在した植動物の種で あること。 また,その土地の原材料が使われた加工,発酵食品であるか,あるいは,
地域外からの原料であっても,その地域の伝統的製法によるものであること
③その地域との環境的,社会経済的, 歴史的つながりがあること
④小さな作り手による,限られた生産量であること
⑤現在,あるいは将来的,消滅の危機に瀕していること
なお,本研究における場合は, 5 名以上が挙げたものに限定し,選定した。
WS
参加 者達と検討を重ねながら,「鴨川味の方舟」のリスト化を行った。味の方舟として,WS
で認定された食物は食材10
品目,料理13
品目,おやつ4
品目の計27
品目であった(表
6)。また,残したい理由については表 7
に示す通りである。食材 料理 おやつ
伊勢海老 サザエ 金目鯛 ハバ ワカメ ヒジキ 天草
筍(孟宗竹,真竹,破竹)
長狭米
つみれ汁(鯵つみれなど)
ヒジキの煮物 サザエカレー 初乳チーズ料理 さんが焼き なめろう からなます 五目ご飯 混ぜご飯 焼き米 太巻き祭り寿司 太巻き寿司
かき餅 おはぎ 芋羊羹 ところてん 表 6 残したい鴨川の味
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【伊勢海老】鴨川でとれる 伊勢海老は身が締ってい て,甘みがあるのが特徴。
海老網を仕掛ける時期に なると,舟が一斉に猛スピ ードで思い思いの漁場へ 向かう。この光景も鴨川の 一つの風物詩である。
【ワカメ】鴨川のワカメ は,三陸産のようにとろけ るような食感ではなく,や わらかいがしっかりした 歯ごたえがある。磯の香 り,風味が強いことが特 徴。
【サザエ】鴨川の海ではサ ザエが豊富に採れていた。
サザエの刺身,つぼ焼き,
寿司,茶碗蒸しなどサザエ の風味を活かした料理が 多い。見突き漁で採る。
【ヒジキ】鴨川産のヒジキ は太く,長く,柔らかいが しっかりした歯ざわりが 特徴。市場で最高級品とし て評価され,他産地の 10 倍近い価格で取引されて いる。小湊産と天津産では ヒジキ自体に品質の差は ないが,小湊は泥岩の波食 棚が続くため,砂の混入度 が低いため 1 位の座を確保 している。
【金目鯛】金目鯛は体色が 赤く輝き,金色の目をした 美しい魚で,荒い海の深海 に棲息しており容易にと れないことから,千葉では 神ことや祝いの膳には欠 かせない食べ物となって いる。
【天草】鴨川市の磯で紅藻 である天草がとれる。その 天草を白くなるまで水を かけては乾かす。寒天は白 くさらしてあるが,天草は 海藻の風味が強く,鴨川で は天草で作ったところて んの風味を好む人が多い。
【鯵】料理によって小鯵,
中鯵,大鯵,真鯵など鯵の 種類を使い分けている。鴨 川で海水浴をすると鯵と 一緒に泳ぐことができる 住民にとって身近な魚で ある。
【筍】鴨川は竹が多く 3 月 の孟宗竹に始まり,ほてい 竹,は竹,真竹と,春一杯 筍料理を楽しめる。筍ご 飯,筍の味噌汁,筍の煮物 など様々な料理で食べら れる。
【ハバ】ハバのりはきれい な磯に生える海草で,年に 3 日解禁される。「幅が利 くように」などと願い,干 したハバを焼いて揉み,雑 煮の餅や具が隠れるほど かける。鴨川では生ハバの 味噌汁が好まれている。
【長狭米】幕末頃には米の 番付で横綱・大関を競う美 味しい米として知られて おり,明治天皇即位時の大 嘗祭で,主基祭殿に奉納さ れた歴史的背景を有して いる。
表7-1 味の方舟品目(食材)の残したい理由
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【つみれ汁】鰯,鯵,鯖など大量に とれる魚は,つみれにして汁や鍋な どに使う。つみれを作る際の作り 方,薬味などの味付けは家庭によっ て異なる。
【さんが焼き】余ったなめろうを形 を整え焼いた料理で,貝皿として,
アワビ,とこぶしの貝殻を使い,貝 殻ごと,火にかける。なめろう同様,
海岸部のおふくろの味。
【ヒジキ煮物】釜揚げしたヒジキを 生ヒジキ,長期保存をきかせるため に生ヒジキを乾燥させる乾燥ヒジ キがあるが,ヒジキの収穫時期に加 工場で販売される生ヒジキを使っ たヒジキ煮物は産地ならではの美 味しさである。
【なめろう】魚をおろし,味噌,生 姜,大葉などとたたく漁師料理。漁 村で日常食とされている。鯵で作ら れることが多いが様々な魚で作ら れる。各家で作るなめろうの味は海 岸部におけるおふくろの味。
【サザエカレー】カレーが普及した 戦後,肉が高かったことから磯にい くらでもいるサザエを肉替わりに しカレーに入れたことから始まっ ている。現在サザエが高級になりサ ザエカレーは高級な料理に感じら ている。
【からなます】おからを使った料理 で,仏ことの精進料理から広まった 料理と言われている。行事食のみで なく日常食としても食べられる料 理となっている。
【初乳チーズ料理】鴨川の酪農家は 出荷できない(乳等省令で禁止され ている)初乳を酢で凝固させ料理の 材料として使っている。酪農家に伝 わり食べられている料理である。
【きゃらぶき】鴨川には,俗に大山 ブキと呼ばれている野ブキが多く 生えている。春のふきと秋のふきで は味が異なり,各家で作り方にこだ わりがある。保存食,酒の肴に最適。
【五目寿司】鴨川では魚に脂がのっ ている冬によく作られている。アワ ビ,サザエ,伊勢海老を散らした五 目寿司も鴨川の伝統料理である。
【混ぜご飯】鴨川では菜の花ご飯,
ヒジキご飯,筍ご飯など季節の旬の 食材をメインとした様々な混ぜご 飯が食べられている。海産物から山 菜まで幅広い食材が使われている のが特徴。
【太巻き寿司】厚焼き卵で巻く太巻 き寿司は明治以降になって作られ るようになった。祭りに親戚等を招 待するため,重箱に太巻き寿司を入 れて持って行き。帰りには家人への 土産として持たせた。地区によって 厚焼き卵に使う卵の個数が異なる。
【焼き米】鴨川のかつての田植えで は種籾を発芽させて手植えで行っ ていたが余った種籾を捨てるのは もったいないので干して焼き米に してとっておき,食べる時に再度煎 って蒸かして食べていた。田植えの 最後の日食べるおやつとして,重箱 に入れて,当時ご馳走であった砂糖 をまぶし,田で皆と食べた。現在で は種籾を消毒してあるので,余った 稲籾で焼き米を作ることはできな くなった。
【太巻き祭り寿司】鴨川で太巻き祭 り寿司が作られるようになったの は1960年代で,料理研究家の普及 活動によって1990年代に急速に広 まり,様々な絵柄が巻かれるように なった。比較的新しい料理だが,市 民から伝統料理とみられている。
TPOに合わせた絵柄を楽しめる。
表7-2 味の方舟品目(おかず)の残したい理由