17
名会員数
外部カタリスト…研究者ら
内部カタリスト…食生活改善協議会役員
111
地域食生活再生計画は外部カタリストが計画づくりと同時にマネジメントの一端を 担うことにより,外部カタリストが提示したアイディアから会員らが賛同することで 有効な運動へ変わっていった。
(2)再生活動目的に対する認識レベルの確認と活動に対する反応ベクトルの把握
再生活動目的として,鴨川味の方舟品目をすぐに普及したいという意思を持つ(味 の検討も大事ではあるがすぐに普及することが大事ではないかと考える)会員と,味 の検討を十分に行い美味しいものを作れるようになり,それを残すために伝承活動を 行う必要があると考える会員が存在する。また,そこまで明確な意思を持たず,自分の勉強のために味の方舟品目を覚えたい という会員もおり,再生活動目的に対する認識レベルは分かれている(表
21)。
鴨川味の方舟品目をすぐに普及したいと考える会員は外部への発信や,小学生,若 い世代への普及,飲食店での提供を行いたいと考えているため,自分自身がインスト ラクター役として調理技術を向上させたいという意欲は少なく,この活動や料理につ いての普及を行うことに意義を感じていた。
味の検討を十分に行い美味しいものを作れるようになりたい,味の方舟品目を残す ために伝承活動を行う必要があると考える会員は,料理のコツを覚えることや,食材 による味の変化を検討会内で行っており,自分達が後世に伝えていきたい味はどのよ うな物なのかを自分達で作りあげようすることに意欲を持っている。そのため,イン ストラクター役となる際や,テレビ取材や味の方舟品目の料理づくり体験の依頼で味 の方舟品目を試食してもらう場面や体験提供があると,できるだけ美味しく作れるよ うに,検討会以外でも練習を重ねるようになった。そして食材への興味も生まれ,自 主的に良質な食材を鴨川市内で探すようになった。
自分の勉強のために味の方舟品目を覚えたいという会員は,まだ勉強として参加し ているが,自分の食生活をより良くしたいという意味で,味の検討を十分に行い美味 しいものを作れるようになりたいと考えている。味の方舟品目を残すために伝承活動 を行う必要があると考える会員が行う反応と少しずつ同化している。
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所属 参加動機 美味しく作るための調理への意欲 2014 年現在 入会年
a 食改 責任感→威光動機 やや薄い 休止 2010
b 食改 責任感→威光動機 やや薄い 休止
c 食改 責任感→取得動機 高い d 食改 責任感→取得動機 高い e 食改 義務感→取得動機 高い
f 食改 動員 薄い 脱会
g 食改 動員 薄い 休止
h 地域住民 動員 薄い 脱会 2011
i 食改 取得動機 非常に高い。2011 年~2012 年のなめろう の検討会において指導を行っていたため 作り方のコツ,食材,教える技能の重要 性について会員で一番理解している。
2012
j 地域住民 好奇心動機 技能を有しているが,全体を見ながら自 分は調理に携わらない。
k 食改 取得動機 高い l 食改 取得動機 高い
m 食改 好奇心動機 高い 2013
n 地域住民 取得動機+好奇心 動機
高い 2014
o 地域住民 取得動機+好奇心 動機
高い
p 地域住民 取得動機+好奇心 動機
高
q 地域住民 取得動機+好奇心 動機
やや薄い
表21 メンバーの特性
113
(3)内部カタリスト・マネージャーへの役割分担と外部カタリスト・マネージャーの働
きかけ外部カタリストが鴨川の食の魅力をメンバーに伝える役割を担い,メンバーの特質 を見ながら,料理の指導,補助,渉外担当等の役割を分担した。
味の検討を十分に行い美味しいものを作れるようになり,それを残すために伝承活 動を行う必要があると考える会員は料理の指導役とした。自分の勉強のために味の方 舟品目を覚えたいという会員は補助役とし,鴨川味の方舟品目をすぐに普及し残して いきたいと考える会員は渉外担当として役割を割り振っていった。
第四節 事業の運営
(1) メンバーが求める地域で果たす役割像の把握
味の検討を十分に行い美味しいものを作れるようになり,それを残すために伝承活 動を行う必要があると考える会員は,取得動機(財を取得し,所有したいという動機)
から運動に参加している。料理を美味しくできるコツと調理技能(財)の向上を目指 している。
鴨川味の方舟品目をすぐに普及し残していきたいと考える会員は,威光動機(人か ら高く評価されたいという動機)から運動に参加している。指導者としての役割を担 いたいと考えており,運動の中心を担いたい,評価されたいと考えていた。しかし,
プロジェクト味の方舟が会として,美味しいを核とした運動であるため,味の方舟品 目の料理を美味しく作れる人に権威があり,高く評価される。そのため,この会員は 威光動機をもつものの調理技能に乏しいため,権威としては扱われず,ジレンマを感 じている場面が多く見られた。
自分の勉強のために味の方舟品目を覚えたいという会員は,好奇心動機(周囲の環 境を探索したり,調べたいという動機)で運動に参加している。
(2)メンバーの暮らし再生への導入欲求の把握
メンバーは味の方舟品目を伝承することで社会に働きかけたい,家庭の食卓に取り 入れたいと考えている。伝承の指導者になりたい人,味の方舟を美味しく作れるよう になりたい人がメンバー内に見られる。これらの欲求に応え,意欲を保つために外部 カタリストがレシピの提供などのフィードバックを行い,活動が進む中で料理技能の 向上と良質な味への認識が生まれた。
(3)活動成果品への蓄積
1)鴨川市の食生活データベース冊子発行
2009
年8
月~2010年7
月にかけて行ったWS
の結果をとりまとめ,「食の文化を創 造する 鴨川味の方舟-鴨川市の食の魅力を磨く-」を発行した。WS中にWS
の結果 は,研究者がまとめた物を毎月フィードバックし,各地区であっているかを修正しな がら行っていたが,冊子化する上でさらなる確認が必要となった。114
冊子化することから後世へ伝わるものだという認識が強く生まれ,プロジェクト味 の方舟会員と食改会員の元教員を中心に確認修正作業を行い,外部カタリストが修正 を基に再度修正を加え,それをまた確認修正してもらう作業を繰り返した。2011年
3
月に鴨川市における地域食生活データベースとして冊子「食の文化を創造する 鴨川 味の方舟」を発行した(図65)。冊子発行に伴い,パネルディスカッション,シンポ
ジウムを行い,このデータベースおよび味の方舟品目を今後どのように活かしていっ たらよいかをWS
参加者へ問いかけた(図66)。しかし,明確に何をしたいなどの意
見は出されなかった。2)検討会
検討会は,食改の調理実習の場となっている鴨川市ふれあいセンター内(健康福祉 施設であり,鴨川市健康推進課もこの建物内にある)の調理実習室で行った。
2011
年 から太巻き寿司・なめろうの作り方の検討を行った(図67
・表22)。同じ料理(図 68,
69)でも使用する食材や調味料,調理の工程によって味が異なることを認識できるよ
うになった。安いからという主婦の感覚で食材を選ぶ傾向にあったが,少し高い食材 でも会員自ら美味しいものを判断できるようになり,美味しい物を選ぶようになった。調理の際に化学調味料を使用していたが,外部カタリストが鴨川市には現在でも鰹 節を作っている加工業者があることを何度か説明し,実際に鰹節と鰹節削り箱を持参 し鰹節を削ると,「懐かしい」などの声が挙がり,鰹節で出汁をひくようになった。
会員は検討会で味の検討を進めるうちに,鴨川だから食べられる美味しい本物の味 を食べ続けることが出来るようにしたいという意思を強く持つようになった。
図65 地域食生活データベース 図66 パネルディスカッションの様子
115
年 月 日 太巻き寿司 なめろう
2011 7 25 大山地区 昔ながらの太巻き寿司 東条地区 鴨川のあじ平らげ鯛!
8 23 主基地区 卵の太巻き寿司夏バージョン 東条地区 わらさのなめろう 9 14 曽呂地区 昔の巻き寿司 太海・江見地区 飛び魚なめろう 10 25 主基地区 卵の太巻き寿司通年バージョン 鴨川地区 鯵のなめろう 11 15 東条地区 秋祭り寿司 天津地区 鰹のなめろう
11 29 西条地区 太巻き寿司 小湊地区 鯵のたたき・なめろう・焼きさんが・
鯵の煮和え 12 14 大山地区 夏祭り寿司 なし
2012 1 10 鴨川地区 厚焼き卵の太巻き寿司 鴨川地区 鯵のなめろう 1 25 吉尾地区 椿の花,桃の花,野菜巻き 西条地区 鯵・いなだの酢なめろ
う―橙・夏蜜柑・穀物酢―
表22 太巻き寿司・なめろうの検討会
図67 なめろうと太巻き寿司の検討会
図68 検討会で作られた太巻き寿司
図69 検討会で作られたなめろう