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146 第六節 本章のまとめ

ドキュメント内 年間献立の可視化(大山地区) (ページ 149-154)

楽しいを核とした鴨川郷土料理研究会いろり波田における地域食生活再生マネジメ ントについてまとめると,以下の通りである。

1)マネジメント主体を鴨川市大山地区の農家民泊主婦達で組織化し,宿泊者に対する

「体験を通して地域の料理づくりの楽しさを提供すること」を共通目的として,体 験者にとってすぐに楽しさを感じることができる太巻き祭り寿司の練習を行うこと に対して,民泊主婦らの間での体験への認識のずれから反発があったが,実際の農 家民泊での体験に結びつくことで理解が得られた。

2)学習プログラムとして段階を設けることが有効であるが,リーダーの個性によって

学習段階,会全体を無視し自分達の作りやすい料理に研修会の料理を変えたがる傾 向にあった。

これらを無理ない形で修正する必要があったため実際に体験の機会を設けるよう にした。体験を行うことで,体験者にとって,何が魅力となるか理解されると民泊 主婦らは研修会での学習意欲が向上し自主的に練習するため技能が向上することが 分かった。

3)外部カタリストが体験として何が魅力となるかを伝える役割を担った。料理の技能

と体験指導能力は別であるため,太巻き祭り寿司の体験指導を地域内で見ているメ ンバーが指導役となり,それ以外のメンバーは教わる立場となった。

活動成果として,研修会で作った太巻き祭り寿司を記録した写真でカレンダーを 毎年作り,巻くことの出来る太巻き祭り寿司の種類を増やした。カレンダーを見て 太巻き祭り寿司づくりに興味を持った地域住民が入会し会員が増えた。農家民泊主 婦らも,当初の目標である「太巻き祭り寿司体験の提供」が達成されたこと,大山千 枚田保存会で地域料理練習会が頻繁に行われていることから,会に対する意欲が低 下し,「楽しみを提供する」の部分が薄まることが分かった。

4)メンバーが,太巻き祭り寿司づくりを覚えたいという目的は一致しているため,こ

の欲求に応え,意欲を保つために,メンバー内で太巻き祭り寿司の作り方を検討し,

外部カタリストが,綺麗に分かりやすく巻ける体験指導マニュアルを作成しフィー ドバックすることで体験指導への認識が生まれた。

基本ロードマップと事業計画の作成では第一段階の太巻き祭り寿司の次に第二段 階のおやつづくりへ移行する予定であったが,平行して練習を進めることに決定し た。学習プログラムとして段階を設けることが有効であるが,リーダーの個性によ って学習段階,会全体を無視し自分達の作りやすい料理に研修会の料理を変えたが る傾向にあった。

これらを無理ない形で修正する必要があった。体験者にとって,何が魅力となる か理解されると民泊主婦らは研修会での学習意欲が向上し自主的に練習するため技 能が向上することが分かった。

マネジメント環境の整備としてカレンダーなどの見える化の道具が重要であると分 かった。カレンダー,会のリーフレットを作成し,システムの

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を行ったことから 市内小学生対象の太巻き祭り寿司づくり体験が鴨川市生涯教育課からの依頼で行われ,

地元大学など教育関係とのパートナーシップが構築された。

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また,本会の運営の一端を担いながら,外部カタリストである自身を観察していた。

会へ初期から携わっていたこともあり感情移入をしすぎる傾向にあった。

会の運営や鴨川市補助事業の会計や報告書作成の際に,勝手に物ことを決定してい ると会員から見られることもあり,初期は反発も多かった。それは,自身が相手(会員) に分かる言葉でコミュニケーションをとることが出来ていなかったことによるもので,

相手が何を知覚したいのかが理解できていなかったことによる。このように外部カタ リストによって会の運営を妨げる事態があることは否めない。その危険性は常にはら んでいることが示唆された。

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終章 地域食生活再生計画のマネジメント手法の構築と今後の課題

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第一節 地域食生活再生計画のマネジメント手法の構築

地域食生活再生計画のマネジメント手法を検討するため千葉県鴨川市において,地 域食生活再生マネジメント運動を行った。

本論文序章において,本研究の課題として提示した 3 点について接近することする。

地域食生活再生計画のマネジメント手法として筆者ら研究者の関与により実証の成果 として以下が明らかとなった。

1)産業から食生活が構築され地域食生活がなくなりつつあること

鴨川市における地域食生活マネジメントは,自己増殖的で波及効果の大きい動きが もたらされるよう学習の高まりを重視し,①食べる魅力の再発見,②地域の美味しい 料理づくり,③良質な食材を確保する活動とした。

地域食生活実態の認識を地域住民と共に合意形成形成を行った結果,地域住民の中 には自らの食生活の質を向上させようという意欲から,地域食生活再生運動へ加わっ た。この地域食生活再生運動に携わり,地域の美味しい食べ物を次世代に伝えていき たいと感じ,地域の美味しい味を検討することから,自分たちが食べている食材や食 物がどのように生産されているのか食材生産現場への興味が生まれた。

このことから,産業(生産)側から提供された食物の中から選択するのではなく,自分 たちの美味しい味を食べ続けていくために,産業(生産)側へアプローチをするといった,

食事の外部環境づくりを地域生活者として行う意識へつながることが示唆された。

2)地域食生活をマネジメントする視点が欠如していること

地域食生活マネジメントを担うことの出来る組織は,組織自体が主体性を持ち,組 織として「地域食生活をどの様にしていきたいか」を常に考え,計画し,行動してい くことが出来る組織であることが分かった。

また,地域食生活マネージャーを育成するにあたり,自発的成長を促し,気づきの 場を提供出来る組織が必要である。地域食生活をマネジメントするにあたって,本研 究では,以下のことが明らかとなった。

(1)地域個性として潜在的に存在している資源を顕在的資源として魅力を磨くこと。

(2)美味しいを核とした運動では,美味しい物を作る技能を確立することへの認識が

生まれた。舌の開発と,同じ料理を同じレシピで作る際の,味の検討の繰返しが 必要となることが分かり,食材の品質への関心が高まった。

(3)楽しいを核とした運動では,一定限のレベルが求められメンバー内で共有され目

に見える成果物が得られることが必要となる。

(4)伝承ツールとしてのレシピやカレンダーで可視化を行うことが伝承普及に有効で

あることが分かった。

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3)計画が計画づくりでとどまってしまう恐れがあること

計画が計画づくりでとどまらないように,第一章で行った地域食生活資源の把握を 行う中で,地域食生活再生運動を実際に実行可能な主体について検討しながら行っ ていった。そのため,①マネジメントに関わる主体間・主体間環境関係を捉えた上で の計画であるため実行的計画になること,また,②運動を担う者に絶えず刺激を与え,

自ら活動をデザインし動かしているという意識を持たせ,自立的にマネジメント活動 を行おうとするモラールが形成され続けるようにした。

外部カタリストである研究者の関わりとしては,地域食生活再生マネージャーが育 った段階,エンパワメントの開発までとしその後は地域食生活マネジメントを担う組 織を自立させていく必要性があることが明らかとなった。外部カタリストである研究 者の資質として,地域個性を地域住民よりも詳しいこと,調理に関する知識と技術が あること,地域食生活マネジメントを行う上で求められるフィードバックに対応でき る能力があることが挙げられる。

また,本手法の他の地域での適用のためには以下の留意点が明らかとなった。

1)組織づくりは目的で集まった組織とすること

組織をつくることが目的ではなく,地域食生活再生を運動として行っていくこと が目的であるため,組織の継続には意味はない。組織の中の人材は流動することが 前提であるため,組織の目的を明確にし,その目的に賛同した人材が集まることで,

運動自体が継続すること必要である。

2)料理を美味しく,美しく作ろうと努力を評価すること

料理を美味しく美しく作るためには,技能が必要となる。個人,各家庭で美味し い味というものは異なるが,地域の美味しい味を検討していくことが地域食生活再 生運動では重要となる。地域の味を外食で食べられることも必要とはなるが,地域 の味を食べた人が自分も家で作ってみたいと感じるには一定以上の美味しさと見た 目の美しさが求められる。この料理技能を向上させようとする姿勢を評価すること が地域食生活マネージャー育成につながる。

3)運動の当事者である意識を強くすること

運動の当事者意識を強くすることで,意思決定が行われるようになった。これは,

料理技能の向上によるところが大きかった。料理技能や味,体験指導能力の向上か ら,当事者意識は強まっていった。運動に参加する人の動機が,料理技能の向上で はない場合もあるため,いかに当事者意識を強くしていけるかは,その人の強みを 活かすことである。強みを活かせるかは外部カタリスト及び内部カタリストの資質 によるところが大きい。

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