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67 H    が

ドキュメント内 方言研究法の探索 (ページ 92-102)

68暮 れ た

69 食われない(条件)

70 食われない(能力〉

       特殊方言音の地域差・年齢差  91  また,複合語は,どうであろうか,複合の程度により,違いがあるであろ

うか,18 熊と19 白熊,26 首と23 かまくび,33 靴と34 長靴,36 草

と37枯草 38 田の草とり,46火事と47山火事,58鍬と59鍬の種

類は,このための調査語である。

 動詞喰う」「来る」「くれる」と形容詞「高い」等は,その活用形が,/ku/

を含むことで,この事象に関係を持つが,さらに,それが史的変遷の過程に おいて,現在の活用形を生み出す要因となっていることに注目せねばならな い。いくつかの調査語を準備した。

3.結

3.1/ku/・/kwa/〉/FU/・Fa/と語の種類

 ここでは,現在の温海町地区において,共通語の/ku/あるいは/kwa/に対 介して,それぞれ[Φ醐,[¢a]の現われる特徴について,それが,どのよう な性質の語に多く見られるか,あるいは,どのような語に現われにくいのか,

ということについて,述べたい。

3.1.1現れにくい語

 まず,「42 菊」についてみると,第2モーラは共通語の/ku/に対応して,

[g磁]あるいは[k飼が現われている。話者72名中,約50%が〔g繭であり,

残りが[k磁]であるが,この場合,陣滋]は1例も現われていない。

 また,「44西瓜」についてみると,[一kwa][一gwa]はそれぞれ,高年層 に1名,3名聞かれたが,他はすべて,[・ka][・ka][・ga]であ1),[一ka〕は 27名で[一ka][一ga]が41名であった。[一¢a]は全く聞かれなかった。また,こ れについては,特に中学生と40歳以上との間にもあまり大きな差はないよう

である。

 次に「20 くじゃくJの語末のモーラについてみると,[一kcu]が44名で,残 り,28名中,26名が[一g撮]で,2名が無和酒であった。[一¢額ki]は,まったく 現われなかった。

92

 また,「51九九」についてみると,語末のモーラは,[一g田]は,72名中,

33名で,残りの39名はすべて,[一kw]であった。この場合もこΦ撮]は全く見 られなかった。

 つぎに「59鍬の種類」についてみる。この地域においては,/maguwa/(馬 鍬),/biQcjuROwa/(備中鍬),/toROwa/(唐鍬),/mado◎wa/(窓下〉等の種 類の鍬が用いられているが,今や機械化されている農業では,これらの鍬を 使うことも,しだいに少なくなってきている。これについて,[一pwa]は,72 名門,7名で,すべて,戸沢地区の人だけで,5名が高年層で,中年層が2

回目あった。[一gaコは14名で,1−Ba]は33名である。中学生は,[bitSo:gewwa]

類が3名,[bittSo:puawa]類が3名,残り6名は「知らない」という。中・

高年層にも「矢llらない」類が5名みられたが,戸沢地区には,なかった。い ずれにしても,この場合にも,[一¢a]は,全く聞かれなかった。

 以上の5項目は,いずれも,[Φ面]あるいは[Φa]の全く現われなかった ものであるが,現われ方が皆無ではないが,きわめて少ない項閉はほかにも あった。全体で,[Φ司あるいは,〔Φa]の出現率が20%に達しなかったのは,

予想したものが多かった。f20 くじゃく・23かまくび・25 クレヨン・51

九九・60 くるくる・49勲章・56来るだろう・34長靴・57来るか・

53 火曜B・21かっこう(鳥)・43 花壇・66 高くて・52 関東・61 ア イスクリーム」の15語がそれである。

 このうち,「25 クレヨン・61 アイスクリーム」は,外来語である。一般 に使用されるようになったのは,そう古くはない。一方,「食う」や「くれる」

の活用をみると,[OaRe:](食わない),[Φedε:ba](食いたければ〉,[Φebaコ

(食えば),[Φ{llta](食った),[戯dε:baΦf:](食いたければ食え),[Φo;](食 おう)等の形や[φeraenε:3(くれられない),[Φeda](くれた)等の形が見

られる。この二語の活用形は,〔Φ一]が多く現われていて,k>Φの典型的な事 象例と見倣されるが,k>Φは,/ku/,/kwa/のみに見られることで,/ka/,

/ki/,/ke/,/ko/,/kja/等には見られないことであるから,これらの活用形

も,たぶん/kuwaneR/〉ΦuwaneR/〉ΦaneR/あるいは/kuwaneR/>

kwaneR/〉ΦaneR/のように変化したものであり,/kuwaneR/>kaneR/〉

       特殊方雪山の地域差・年齢差  93 ΦaneR/のように変化したものではないであろう。同様に

 kUOR>ΦUOR>ΦOR(食おう)

 RuedεR>ΦuedεR>ΦedεR(食いたい)

 kueba>¢ueba>eeba(食えば)

 kureru>ktteru>Φueru>Φeru(くれる)

 kureda>kueda>Φueda>Φeda(くれた)

 kurerareru>kueraeru>Φueraeru>Φeraeru(くれられる)

であろう。したがって,k>Φの事象は, kUOR>kOR, kue>ke等の事象成立 以前に成立したものであろう。現在では,新しい語をも,そのなかに取り込 む力はない。「クレヨン」ドアイスクリーム」に,k>Φの事象例が少ないのは 当然であろう。「アイスクリーム」は誘導によって,「脚s斑ΦUI僅m磁]とも警

う」と答えたものが,40歳代男性炉沢地区)に一人見られたが,他の地区 には皆無であった。「クレヨン」は,やや多く8名である。戸沢地区には,積 極的自発的に[oCtl Cej ON]と回答した話者が3名あったが,他は,誘導による

ものである。とは醤え,その差は,やはり「クレヨン」の,この地区への導 入の歴史の古さを示すものであろう。

 また,新しく使用された語も,同様に,この事象の影響はあまり受けない であろうと予想された。20 くじゃく,49勲章,52 関東,53 火曜貝,43 花壇がそれである。「関東」「花壇」は一一部有識層の間では,古くから用いら れたかもしれないが,一一般庶民の問に広く普及するのは学校教育からであろ

う。

 結果の一部を示せば,表1のようになる。予想したとおり,これらの語に       表1 調査結果の一部(新しい語〉

沢 温 海

鼠が関

ΦΦΦΦ

くじゃく 6 2 1 0 4 0 11 2 13

勲  章 2 3 0 0 0 1 2 4 6

関  東 0 1 0 G 0 0 0 1 1

火曜臼

3 0 1 0 0 0 4 0 4

花  壇 1 0 0 0 0 1 1 1 2

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ついては,k>Φの事象は,多くは見られなかった。「くじゃく」は,ある程 度の團治者が[Φ田d3ak朗のような反応を示したが(18.1%),これは,他 の語に比較して,親しみを覚えるせいでもあろうか。

 次に複合語の場合を見ることにする。46 火事と47 由火事,36草と37 枯草と38 田の草とり,33 靴と34 長靴,18 熊と19 白熊,26 首と23 か日くび が考察の対象である。話者が質問に答えて,[Φδdzi ]のように,Φ 音で反応したものと,誘導によって,「[Oδdzr]とも言う」と反応したものを 示すと表2のとおりである。

 これを見ると,単独の場合と複合語の後半となっている場合とで,あまり 差のないこともあるし,かなり差のあることもあるようである。

 「火事」と「山火事」では,ほとんど差は見られない。

 次に,「箪」と,「田の草とり」では,たいした差はないが,「草」と「枯草」

では,やや違いがめだつ。それは,「闘の草」は「タノクサ」であるのに,「桔 草」は「カレグサ」と連濁を生ずることのあるのが,この方醤の特徴である。

その分だけ,k>重の現れるのは少なくなる。

 「靴」と「長靴」の場合は,[Φ面dz戯]と[naua瞬dz疋司のように,連濁を         装2 調査結果の〜部(捜合語との幽趣)

戸   沢 温  海

鼠が関

ΦΦΦ 誘 計

火   事 6 4 9 2 18 2 33 8 41 山 火 事 6 5 9 2 16 3 31 10 41

草 2 8 4 4 16 5 22 17 39

枯   草 4 5 1 5 10 6 15 16 31

田の草とり 4 5 4 4 12 6 20 15 35

二化 8 3 5 1 13 3 26 7 33

長   靴 1 2 0 0 0 1 1 3 4

熊 5 6 6 3 13 3 24 12 36

白   熊 5 2 3 2 5 5 13 9 22

首 5 7 6 2 11 5 22 14 36

かまくび

1 2 0 1 2 3 3 6 9

      特殊方言音の地域蓋・年齢差  95 生じていることが多い。したがって,「長靴jの場合に「¢」がほとんど現れ

ないのは当然であろう。それは,一般に,語中・語尾の/一ku/,/一kwa/に対応 して,この方雪では,[一gw][一gwa]の現れることが多く,既述のように,「菊」

「西瓜」「くじゃく」F九九」「備中鍬」等の場合に,[Φ]の現われないのも,こ のことと関係があろうし,「66高くて」も,多くは[tagag面de〕のような反 応が多く,[Φcu]はただ1名,鼠が関の高年男性に見られただけである。

 したがって,「長鞠」は連濁を生じていることが多いということが,そのま ま,複合語の結合度の強さを示しているとも言える。語中・語尾の/一ku/,

/一kwa/にk>Φの事象がほとんど見られないのと同様な性質に基づくもので

あろう。

 「熊」と「白熊」の場合は,後者が四三的に親しくない存在であり,したが って,「D.K」や「N. R.」が若干見られたが,[sifog戯m司等が20%近く見 られたことは注目すべきであろう。東北南部や北関東では,[s罫ok戯m司と 言うが,この地区では,〔slTog uima]が,かなり見られた。そして,[sl foΦdima]

は22名(約30%)にとどまった。

 これに対して,「22かまくび」において,k>Φの事象が9名(12。5%)で あったのは事情が異なるようである。すでに「かまくび」という語を知らな い人が増してきている。約半数が「D.K.」あるいは「N.R.」であった。もっ

とも,「知らない」等の回答は,高年層には少なく,(7名,23%),申年層は,

約半数で(14名,47%),中学生は全翼であった。

 これは「1 とうもろこし」の場合と比較して,興味深い。「とうもろこし」

は,この地の方言で,腫as温噌bl〕と言われる。たぶん,「蜀黍」に対して,あ まく美味なることに着目して,「菓子〜」と命名したものであろうが,今や,

その命名の由来がわからなくなってきているようである。最も町の中心であ る濫海地区で,13名(54%),戸沢地区18名(75%),鼠が関地区21名(88%)

であるが,しだいに,中学生や中年層に,/ki bi/という形が多くなってきて いるのは,現在,「黍」や「蜀黍」が作られなくなって,紛れる恐れがなくな ったからであろうか。

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3.1.2現れやすい語

 一方,共通語の/一k一/に対応:して,/争/の現れるのは/ku/,/kwa/の場合で あるが,よく現れる10項目は,各地区,それぞれ表3のとおり,カッコ内は,

圃答者数。各地区とも24名について面接調査。

 これを見ると,「桑の実」「桑(の木)」「くろ(畦)」「くるみ」「茎」「口」と ともに「食わね一1「食えば」「食え」「食った」「食う」「食いたく」「食おう」

「くれれば」「くれられない」等の「食う」「くれる」の活用形が上位を占めて いる。かつそれらは,[Φane:](食わない),[Φeba](食えば〉,[Φo:](食お う),[Φeda](くれた),[ΦefaeRe:](くれられない)のようになっていて,単 に,ku>Φuの:事象であるとばかりは警えない状態である。だから,たとえば  kueba>Φueba>Φeba (食:えはり

 kureta>kureda>kueda>Φueda>Φeda(くれた)

のような通時的変遷を考える必要がある。そして,このk>Φの事象は,かな り古い時期に生じたものであろうし,基本語の動詞の活用形の各形は,活用 形式のみならず,音韻的変化をも含んでいるので,これを圃帰するのは,か         表3 調査結果の一部(方言音が現れやすい語)

戸    沢 温   海 鼠 が 関

桑 の 実(22) 1

食わね一⑳

桑 の 実(24) 1 桑 の 実156)

1

くれれば⑳

桑 の 実(2の 食 お う⑳ 2

食わね一㈲

3 食わね一一⑳ 2 食: え ば(2①

1

食 え ば(24) 食 え ば(63)

桑 (の木〉伽) 食   え(2⑪

食いたく⑳

3

食   え(63)

く   ろ⑳ 食   う(19>

食わね一㈱ 食いたく翻

4

食いたく(20)

5

くれれば㈲

食 っ た㈱

5

くれれば(62)

食   え(20) 食 っ た(18) 5 食   う(23) 7 食   う㈹

く る み㈲

7

食いたくq8> 食   え(23) 8 食: お う㈹

食 お う⑲ 桑 (の木x17) くれられない㈱ 9 くれられない(59)

8 食 え ば(19) 茎  (17) 口  (22> 桑 (の木)㈱

食   う㈲ 8 食 お うq7)

10

くれよう(22)

10

食 っ た働 くれられない⑲ く   れ(17)

くれられない(1?)

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