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(3・20) がHurwitz多項式となるように与える.ここでsはラプラス演算子である

Figure3.2に導出したコントローラのブロック線図を示す・図中のClは(3・18)式に対

応し,Gは(3.19)式に対応する.得られたコントローラは,電気系サブシステムに対して

はフィードフォワードに相当する制御を行い,機械系サブシステムは剛体球の位置に関す

るPID制御で構成される.(3.18),(3.19)式より調節できるモデルパラメータはインダク

タス定数cl,ギャップ定数c2,電磁石の抵抗月日 および剛体球の質量mとフィードバッ クゲインた0,た1,た2である.

Figure3・2‥Blockdiagramofthepassivitycontroller.

3.3.4

安定性解析

導出されたコントローラに対して以下の命題が成立する.

命題3・3

剛体球磁気浮上系モデル(3・2)に対し,γ≡0としたコントローラ(3.18),(3.19)

を適用した場合,f→∞のとき威0→0となる.

証明3・3(3・14),(3・15)式,および(3.19)式を(3.2)第3式に代入すれば次式を得る.

m弘=m〈如‑た2壷0‑た1弘一戊0鉢佃〉 +去∂ (∂+2¢d)一明 (3・21)

ここで,上式を適当に移項して整理すれば,機械系サブシステムの閉ループダイナミクス

〈壷0+症+摘+た0上土紬dT〉=去∂(∂+2¢d)一夕 (3・22)

を得る.ここで,適当な変数変換を行うと,重力の影響を取り除くことができ,

〈壷0+症+摘+た0鉢伊〉=去∂(∂+2¢d)

とすることができる.いま,状態変数ベクトルを

諾=[威0壷。鉢伊]r

と定義し,入力滋を

克=去∂(∂+2¢d)

と定義して,閉ループ系のダイナミクス(3.23)を書き換えると,

壷=A諾+月協

(3・23)

(3.24)

(3・25)

(3.26)

41 3.3.コントローラの導出

を得る.ここで,行列A∈R3×3とβ∈R3×1は次のとおりである・

0戎01戎0

0 l

O 1 0

(3.27)

また,行列Aの特性多項式は(3.20)式に一致し,d(s)がHurwitz多項式となるように係

数た。,た1,た2が選ばれているので行列Aは安定である・したがって,正定対称行列Pと 準正定対称行列Qが存在してLyapunov方程式

PA+ArP=一々

(3.28)

が成立する.閉ループ系のダイナミクス(3.26)の漸近安定性を示すために,行列Pを用い

Ⅴ=去抑諾 (3・29)

を考え,これを閉ループ系のダイナミクス(3.26)に沿って時間微分し,(3・28)式を用いて

整理すれば,

ウ=一芸諾rQ打拍動

を得る.(3.30)式,第1項目は行列Qの準正定性により,

一芸諾rQ諾≦0

(3.30)

(3.31)

が直ちにいえるが,第2項目は符号の判定がつかない.そこで,第2項目の有界性につい

て考察する.まず,目標磁束¢dに関して,

l¢。l2≦l2mcll(l鮎l+ll∬‖l匝‖)

を得る.ここで,

∬=[た2た1た0]

である.これより適当な正数α1,α2>0が存在して,

l¢dl≦α1+α21㈲l

とすることができる.同様にして,

紺∂l+2㈲〉

(3.32)

(3.33)

(3.34)

(3.35)

となるので適当な正数α3,α4>0が存在して,

l叫

剣(α3+α。l酬) (3.36) とすることができる・これらの結果より,(3・30)式,第2項目は適当な正数β1と戯を用

いて

諾rP仇l≦同〈β1+馴諾Il2〉 (3・37)

と書くことができる・¢は指数的に0に収束するので,Qを適当に大きく取ることで

ウ≦一芸諾rQ諾+l抽+β21軒〉≦0 (3・38)

とすることができる・したがって,Vは閉ループ系(3.26)のLyapunov関数となり壬→∞

で諾→0が示された.一q

3.4 数値シミュレーション

本章で得られたコントローラの有効性を検証するため数値シミュレーションを行う.シ

ミュレーション条件および目標軌道は2.5.1項で示されたものと同じ条件で行う.ゲインと モデルのパラメータを「mble3.1に示すように設定したときの数値シミュレーション結果を

Figl∬e3・3に示す・シミュレーションでは時刻1[sec]において制御が開始される.

Tもble3.1:Gainsandparametersofthereferencemodel.

Parameter Symbol Value

Di鮎rentialgaln た2 500

Propotionalgaln た1 2500

Integralgaln た0 250

Coilinductanceconstant Cl 10.75×10 5

[Hm]

Gapconstant C2 2.20×10‑3

Coilresistance 月。 4.50

[n]

Ballmass 63.7×10‑3

【Kg]

Gravityconstant 9.80665

[m/sec2]

シミュレーション結果より,位置と速度の軌道に若干の誤差が生じるが,おおむね良好 に追従しているといえる.ゲインとパラメータは試行錯誤的に決定したが,モデルベース

43 3.4.数値シミュレーション

[∈】GO害岩d

‑4.0

‑5.0

‑6.0

‑7.0

‑8.0

‑9.0

‑10.0

11・%

4

つん

0 8 6 4 L l 1 0 0 0

【く】l亡り呂一U

0 2.0 4.0 6.O

Time[sec】

(a)Positiontrq]eCtOry,

2.0 4.O

Ti皿e【sec]

(C)Cl爪ent.

【00∽\五首0〇一〇>

【>]論題〇三nd占

6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0

1・㌔

0 5 0 5

/0

5 5 4

x10 ー3

Result Dく∋Sir(∋d

0 2.0 4.0 6.O

Time[sec】

(b)Velocitytr勾eCtOry.

】「 一】▲ 一▲ 1 1

L

0 2.0 4.0 6.O

Time【sec]

(d)1nputvoltage.

Figure3.3:Simulationresultoftheseparatedcontro11er.

ドコントローラの場合と同様に,電気系サブシステムに対するコントローラのパラメータ を調整しておおよその追従特性を得たのちに,機械系サブシステムのゲイン調整を行った.

本章で導出されたコントローラでは,機械系サブシステムのゲインよりも電気系サブシス テムに対するパラメータの方が制御性能に大きな影響を与える.本章で導出されたコント ローラではモデルパラメータの変化に対する感度は高いが,ゲインた2,た1,た。の変化に対 する感度が鈍い.これは,それぞれのサブシステムに対するコントローラが独立しており, 電気系サブシステムは機械系サブシステムを駆動するためのアクチュエータとみなせるの で,電気系サブシステムが目標磁束如に収束しない限り目標電磁力を発生できないためで

ある.したがって,機械系サブシステムに対するコントローラのゲインた2,たい た。を適切 に調整して応答性を改善しようとしても,電気系サブシステムの応答性が悪いと目標磁束

に追従することができず,結果的に系全体の応答性が劣化する.この意味で分離型コント ローラではゲイン・パラメータ調整がシビアである.また,電気系サブシステムの閉ルー

プ系の収束速度は月。/clによって決定され,さらに何らフィードバックを行っていないた

め収束速度を調節することができない.磁束のフィーバックを行うことで,制御特性の改

善が期待できるが,この場合,電気系サブシステムは依然として非線形であるので,平衡

点が目標値とは異なるところに移動するピーキング現象[10]が発生し制御性能を劣化させ

る恐れがある.

3.5 実験

本章で得られたコントローラの実機での有効性を検証するため実験を行った.実験条件

は2・6節で示されたものと同じ条件とする・ただし,制御開始時の電流の値は5.5[Ⅴ]の制

御入力を電磁石に印加したときに電磁石に流れる電流とした.目標軌道はこれまでと同じ ものを用いる.

機械系サブシステムのコントローラのゲインと電気系サブシステムのコントローラのパ ラメータをTbble3・2に示すように設定したときの実験結果をFigure3.4に示す.実験では

時刻1[sec]より制御が開始されている.

1もble3.2:Gainsandparametersofthereferencemodel.

Parameter Symbol Value

Diff6rentialgaln た2 430

Propotionalgaln た1 1850

Integralgaln た0 10

Coilinductanceconstant Cl 10.25×10 5

[Hm]

Gapconstant C2 2.00×10‑3

Coilresistance 月。 4.30

[n]

Ballmass 63.7×10‑3

[Kg]

Gravityconstant 9.80665

[m/sec2]

モデルベースド型コントローラと同様に速度信号を得るために後退差分を用いたため, レーザー変位計の量子化誤差によるノイズが現れていることが確認できる.この影響によ

り制御電圧には大きな振動が現れるが,電磁石が有するローパス特性により位置軌道に大 きな影響を与えていないことが確認できる.また,非線形性の影響があるにもかかわらず

目標軌道に良く追従しているということができる.

45 き.5.実験

言言二三…ニ

‑4.0

‑5.0

‑6.0

‑7.0

‑8.0

‑9.0

‑10.0

‑1l.0

′0

4 2 0

受U l l l 1 0

[且一仁りヒnU

0.0 2.0 4.O

Time[sec]

(a)PositiontT叫eCtOry.

6.0

2.0 4.O

Ti皿e[sec]

(C)Cu汀ent.

[00S\∈]倉00‑○>

[>】乱雲〇三己丘

0.03 0.02 0.O1 0

‑0.01

‑0.02 0.0

0 0

′m

2.0 4.0 6.O

T血e[sec】

0))Velocitytr毎ectory.

2.0 4.0 6.O

Time[sec]

(d)1npufvoltage.

Figure3A:Experimentalresultoftheseparatedcontroller.

本章で得られたコントローラはモデルベースド型コントローラよりもゲインを大きく設 定することができない.また,前章で得られたコントローラよりも振動が生じやすく,不 安定になり易い傾向が見られた.この理由は次のように考えられる.電気系サブシステム は機械系サブシステムを駆動するためのアクチュエータとみなすことができ,さらに,電 気系サブシステムは平衡点近傍では近似的に1次遅れ系とみなすことができる.したがっ て,機械系サブシステムのコントローラが生成した目標電磁力がアクチュエータのバンド 幅を超える周波数成分を有する場合,その周波数成分に対しては十分なゲインを得ること ができないため,機械系サブシステムに生ずる振動を十分減衰させることができない.し たがって,ゲインを大きくして機械系サブシステムの固有振動数を上げると系は不安定に なりやすくなると考えられる.このため,あまりゲインを大きく設定することができず,位 置軌道にも若干振動が残り,追従性に関しても若干誤差が生じシミュレーションほど良好 な結果を得ることができない.

3.6 線形コントローラとの比較

本節ではこれまでに導出された非線形コントローラと線形コントローラとを比較する ことで非線系コントローラの優位性を示す.線形制御では本来非線形であるシステムを平 衡点近傍で線形近似してコントローラ設計を行うため,線形領域から外れたところでは閉 ループ系は安定性が保証されず,広範囲での安定化が困難である.しかし,これまでに導

出された非線形コントローラはハードウェアの制約を受けない限り理論的にはあらゆる範

囲で安定性が保証される・線形制御の方法は多くの種類があるが,本章では文献[58]をも

とにLQG制御とKalmanフィルタを用いた状態推定器を組み合わせたものを取り上げる.

3.6.1

線系モデルの導出

剛体球磁気浮上系を線形近似する際の剛体球の位置,速度,および電流の平衡点をそれ

ぞれ封g,姐dgとし,これらの平衡点を実現するための電圧を祝0とおく.このとき,剛

体球磁気浮上系を同定して得られたプラントモデル,

(石㌔+エ0)鮎+

myo

(ご。‑y。)2

(z。‑y。)2

¢2+mタ=0

yo豆。+月1亘。=祝

を平衡点近傍で線形近似すれば以下の式を得る.

エ0△範+た3△洩。+凡△d。=△祝 m△弘一硯△yo‑た㌘△d。=0

(3.39)

(3・40)

ここで,△yo,△q。,△祝はそれぞれ剛体球の位置,電流,および制御電圧の平衡点からの

微小な変化であり,係数エ0,た‰た㌘,た3はそれぞれ,

エ0

ニ0‑J/g

2た豆g